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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2019-11
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ガス・ヴァン・サント「ミルク」で見る世界005●宮台真司さんの「MILK」評、「ぴあ」に掲載

 ちょうど映画の公開開始週に店頭に並ぶ『ぴあ』5月7日号に、「人生は映画に学べ!~GW映画の主人公にみる、もうひとつの生き方~」という特集が組まれているのですが、『ミルク』についても取り上げられています。

 執筆者は社会学者の宮台真司さん。まずはその冒頭の部分から。

 「〈世界〉の中に佇む少年」を描けば右に出る者のいない監督の作品。自身がゲイだとカミングアウトする監督の本作は、70年代米国を舞台に、ゲイであることを公表して公職(サンフランシスコ市議会議員)についた米国初の政治家を描く。40歳の誕生日に「僕には何も語れるものがない」と嘆くハーヴィー・ミルクが、数年後にはゲイだけでなく、いわれなく迫害される弱者を勇気づけるアイコンへと成長したのはなぜか。

・・・そうなんだぁ~。ミルクが「なにかをしよう」と発奮したのは40歳の誕生日だったんだぁ~、と、ちょっと嬉しい発見(笑)。何事も本気で思い立って行動すれば「遅い」なんてことはないはずだし、40年間という人生経験の厚みがあったからこそ、何度落選しても挑戦し続ける「タフさ」が身に付いていたのかもしれませんね。

 (中略)問いへの回答は「イデオロギーではなく人間関係が彼を連れ出した」というものだ。だから政治家ないし候補者としての彼は「上から目線」(これぞ真実!)でもなければ「下から目線」(俺は弱者の味方!)でもなく、「横から目線」を貫徹する。だから、本作が成功するか否かは、ハーヴィーが、ゲイであるという以外には強烈な迫害体験を含めていささかも特別な所がなく、強いていえば「愛らしい、しかしフツーの存在」であることを描き切れるか否かに掛かっている。

 成功したと感じる。「愛らしい、フツーの存在」だから「愛らしくない、フツーの存在」からの嫉妬を招き、殺される。このドラマツルギーを、内面表出もゲイ的仕草も最小限に抑えたショーン・ペンの演技に加えて、「愛らしくなさ」を絶妙に演じたジョシュ・ブローリンが支えた。賛辞に値する。

・・・実際のミルク本人が本当に「上から目線」でも「下から目線」でもない目線を、生涯にわたって保ち続けていたのかは別として(←だって人って権力を握ると変わるじゃ~ん。爆)。

 「特別な出来事や観念が介在しない」まま、「偶発的な人間関係が彼を歴史的存在へと連れ出す」ことを描いた映画だと分析し、宮台氏自身も「その世界観に連なる者である」と、共鳴の姿勢を示しています。つまりこの映画、よくある「主人公を特別視し、善と悪を単純化して描くヒーローもの」に堕さなかったのが良かったみたいですね。(詳しくは『ぴあ』掲載の本文全体を実際にお読みください。)

 ところで。

 宮台真司さんといえば、このブログで映像公開を始めた初期の頃に登場したことがあるのを御存知ですか?2006年12月に及川健二さん主催で行われたシンポジウム『これからの多様な性・家族・ライフスタイル』にパネリストとして参加。社会学者としての立場から、アメリカ・ヨーロッパ・日本社会を分析・比較しながら示唆的な発言をなさっています。

 今回ひさびさに見返してみたら、この2年半の間に起こった出来事と照らし合わせて具体例が浮かぶようになったということもあり、面白かったです(笑)。まだご覧になったことのない方はぜひ、この機会にどうぞ。( 「これからの多様な性・家族・ライフスタイル」の全記事はこちらから。 )

●11 宮台真司さん① なにがカッコいいのか
  

●12 宮台真司さん②ヨーロッパではなぜ「寛容」がカッコいいのか
  

●13 宮台真司さん③家族とは、本当の保守とは
  

★関連映像シリーズ・・・フランスのパックス法制定秘話

●17 及川健二さん~西洋や北欧では多様な家族は自明のこと
  

●18 宮台真司さん~不安な人間たちの共同体
  

●21 宮台真司さんから一言~LGBT可視化の条件
  

 僕が今回、宮台さんの映像を久々に見返してみて大切だと思ったポイントはこの映像にありました。↑

「顔が見えることによって、『多様性が自分の幸せに役立つ、得になる』と思える人間が多くなければならない。『多様性は自分を脅かす』という人間が多ければ、むしろバックラッシュが起こりやすくなります。」

「多様性が自分を幸せにすると思えるためには、なにか帰属先が存在して、感情的な安全が確保されていなければいけない。」

 う~む。「不況だ不況だ」とメディアが煽り、実際に人員削減を企業が次々と進める中、「感情的な安全」という意味では非常に切迫して来ている(ように感じられる)今日このごろ。なにかを社会にアピールするときの「戦略性の洗練度」は、ますます問われるようになっていると言えるでしょうね。

●28 宮台真司さんの回答~感情的な安全をどう確保できるのか
  

 この発言も印象的。性の多様性やセクシュアル・マイノリティに関して「好き・嫌いという実存の問題」と「社会的にどう遇するか」は、一緒になるべきなのではなく、むしろ「分かれていることが大事」という指摘。確かに。そこがごっちゃになってると、広がりにくいもんねぇ。

 「好きになって頂戴!」っていくら言っても、片思いは片思い。両思いになることもたまにはあるけども、人の「好き・嫌い」はそんなに安易には変えられないもんだからねぇ。恋愛と一緒で。そう考えると、なにかが楽になるような気がします。FC2 同性愛 Blog Ranking

ガス・ヴァン・サント「ミルク」で見る世界004●70年代のゲイコミュニティーの熱気を再現したかった。

 さてさて。いよいよ公開開始が4月18日(土)に迫ってきた映画「MILK」ですが、3月と4月は雑誌や新聞等で「これでもか」という位の露出ラッシュが続いています。ちゃんと「ゲイ」や「同性愛」などの言葉が見出しに大きく載っている場合が多いので、やっぱり嬉しくなります。 

 配給会社がここまで堂々と、「ゲイ」や「同性愛」などの言葉を前面に押し出して大規模なキャンペーンを繰り広げたのは、おそらく日本の歴史上、はじめてのことではないかと思います。(たとえば2006年の「ブロークバック・マウンテン」の時には、それらの言葉は巧妙に隠されている場合が多かったですから。)現在、テレビCMも流されていて、ナレーションは小泉今日子さんが担当しているそうです。

 この大露出を全部チェックするなんてことは至難の業ではありますが、出来るだけ拾ってみたいと思って奮闘中です(爆)。そんな中、4月13日(月)の朝日新聞夕刊に、「伝説のゲイ活動家 軌跡追う」という見出し付きで、監督であるガス・ヴァン・サントのインタビュー記事が載っているのを発見しました。そのうち、監督の発言部分を抜粋します。

 「政治家がたまたまゲイだったのではない。彼は時代の体現者、ゲイコミュニティーが生んだ"作品”だと思う。だから、彼の足跡とともに、時代の空気の再現にも力を入れた。」

 「男くさくきまじめなショーンと陽気なミルクは対極の存在。大きな賭けだったが、見事にやってのけてくれた。」

 「撮影はオバマが候補になる前だから、全く意識していなかった。でも、編集中に現実がどんどん映画と重なってきた。サラ・ペイリンなんて、映画の保守派論客とそっくりで驚いた。実際、オバマとミルクを生んだ背景には共通するものもある。平等や変革、よりよい未来を求める思いが、響きあっているのだと思う。」

・・・「ゲイコミュニティーが生んだ”作品”だ」という表現が、なんとも印象的な記事でした。
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ガス・ヴァン・サント「ミルク」で見る世界003●TV Taroにショーン・ペンのインタビュー掲載

 コンビニで月刊テレビ雑誌『TV Taro』の表紙にショーン・ペンの名前を見かけたのでめくってみたら、映画『ミルク』に関連したインタビューが掲載されていました。そこではまず、半端ではないレベルの役作りへの情熱が語られています。

 「役作りのため『ハーヴェイ・ミルク』('84年制作のドキュメンタリー)を何度も見た。何度もっていうのは、毎日あの映画のDVDをリピート・モードにしてかけっぱなしにしておいたんだ。ハーヴェイの振る舞いが僕の潜在意識に定着するのではないかと思ってね。同じ音楽を何度も聴いていると、そのうち聴いてない時でも自分で歌いだしたり踊り出したりするのと同じだよ」

 また、同記事には「同性愛者の権利に反対してるのは、真の信仰を持ってない人たちなんだ」という見出しが付けられており、次のような発言も紹介されています。 

 「ゲイの権利が問題になるってこと自体がおかしいと思う。それが問題になるのはゲイだって人間だということが分かってないからに他ならない」

 「重要なのは、キリスト教徒の全員が反対しているのではなく、真の信仰を持ってない人たちだけが反対しているってことだ。神とか愛とかとは全く関係ない人たちだ。偽善者たちの憎悪に過ぎないんだよ」

 かつてはマドンナとも結婚していたことがあるというショーン・ペン。つまり「ゲイ」というアイデンティティを持っている人ではないわけですが、こういう風にインタビューの場で堂々と発言できる態度は尊敬に値します。これまで、数々の「ゲイ」を演じてきた俳優が、必要以上に自分はノンケであることをアピールしたり、「これは人間愛だ」と言って問題をボカしてきた態度とは雲泥の差。 『ブロークバック・マウンテン』のヒース・レジャーにしろ、一流の俳優として評価される人はやはり、役柄の精神までもきちんと自らの内面で咀嚼した上で演じるからこそ、観る者の心を打つことができるんですね。早くこういう態度のとれる大物俳優さんが、日本でも出てきてほしいです。

 さて先日のアカデミー賞で最優秀主演男優賞を獲得したショーン・ペンですが、授賞式の場で述べたスピーチの英文が、2月24日付のSankei Expressに掲載されていました。 

I think that it is a good time for those who voted for the ban against gay marriage to sit and reflect and anticipate their great shame. We've got to have equal rights for everyone.

 同性愛者の結婚に反対の票を投じた人たちがじっくりと考えるのにいい機会だと思います。彼らはきっと大変な恥を感じることでしょう。誰にとっても権利は等しくあるべきなのです。

 予想通りアカデミー賞翌日の日本の大手新聞は皆、『おくりびと』『つみきのいえ』の「日本人受賞フィーバー」に沸いており、ショーン・ペンのスピーチまでを詳しく紹介していたのはSankei Expressのみでした。産経系の新聞って「保守的」というイメージがありますが、海外のエンタメ情報記事においては、こうして最も充実した報道を行うことがよくあります。(『ブロークバック・マウンテン』のアカデミー賞レースの頃からそうでした。)国内では保守派の論客の論調を優先的に掲載しておきながら、海外エンタメコーナーではたとえ「同性愛ネタ」でも詳細に報じ、先進性を打ち出す。そんな二極分化したメディアのあり方が、時に面白く感じられます。たぶん産経系を読んでる人たちの方が実は、海外の同性愛関連ニュースには詳しくなっているんじゃないかと思います。

 なんにせよ、今年は映画『MILK』の公開とショーン・ペンという素敵な主演者に恵まれ、これから公開が迫るにつれて日本の一般マスメディアでも盛んに、こうした発言が紹介されることでしょう。超ラッキ~♪FC2 同性愛 Blog Ranking

ガス・ヴァン・サント「ミルク」で見る世界002●アカデミー賞W受賞 主演男優賞&脚本賞

 なんだかんだ言って映画関連の賞レースにおいてインパクト&宣伝効果が絶大なアカデミー賞。本日行われた授賞式において、ガス・ヴァン・サント監督の『MILK』がW受賞。ショーン・ペンさんが主演男優賞、ダスティン・ランス・ブラックさんが脚本賞を受賞するという結果になりました。

 ところでショーン・ベンさん。授賞式のスピーチにおいて、次のような発言をしたそうです。

「同性同士の結婚について反対していた人は恥を感じるべきだ。人々にとって平等の権利がある」
★『毎日jp』2009年2月23日付

 すっげ~。これをあんなに注目を集めている表舞台で言ったのかよ!。また、こちらのサイトでは次のように報じています。

 主演男優賞は、「ミルク」のショーン・ペンが受賞。場内はスタンディング・オベーション。それでも名優気取りにならないペンは、「君たち、共産主義のホモ好きなんだね」と反骨精神旺盛な彼らしいジョークでスピーチを開始。

 その後で、友人や彼をサポートしてきた人々、「ミルク」の製作スタッフ、そして監督のガス・ヴァン・サントに謝辞をおくった。政治意識の高いペンらしく、最後は、同性愛者の結婚を禁じるカリフォルニアの条例を支持した人々を非難すると共に、素晴らしい大統領を選んだことを祝福するメッセージでスピーチをしめくくった。(文:荻原順子)
★『ハリウッドチャンネル』~「【アカデミー賞】主演男優賞を獲得したショーン・ペン、政治色の強いスピーチ」

 アメリカの俳優さんって自らの政治的な立場を公の場で表明することへの敷居が低いんですね~。さっそくYouTubeに授賞式の様子がアップされているのを発見しましたのでご紹介。

●Sean Penn - Best Actor (81st Academy Awards)
  

 なんか「最優秀賞」の発表前なのにも関わらず、最後のところであまり「溜め」がなく、さっさと(スッキリと!?)発表されたところにズッコケました(笑)。しかも発表された直後(数秒後!)に、こんな気の利いたスピーチが出来るなんて・・・すごい心臓の持ち主。謙遜してるけど、実は自信があったのかもしれませんね。

 さてさて。おそらく日本のマスメディアでは、こういう時に「日本人がっ!」と大騒ぎするのが定番ですから、外国語映画賞を受賞した『おくりびと』と短編映画賞を受賞した『つみきのいえ』でしばらく話題は持ちきりになることでしょうが、GWの日本公開に向けて、『ミルク』の日本での配給会社は「これ以上ないほどの」宣伝材料&「箔」を手にすることができたわけですね。さてヒットに結びつきますかどうか。FC2 同性愛 Blog Ranking

ガス・ヴァン・サント「ミルク」で見る世界001●日本公開はGWに決定



 かつて当ブログでは「ブロークバック・マウンテンで見る世界」というシリーズ記事を連載していたのですが、2009年の今年はどうやら、「ミルク」について書くことが多くなりそうです。

 アメリカで2008年11月26日に公開され、12月にはニューヨーク映画批評家協会賞などを受賞して話題となっている、ガス・ヴァン・サント監督の「Milk」。いよいよGWに日本で公開されるようです。

 元旦は映画の日なので新宿バルト9に行って来たのですが、ロビーに立てられていたパネルに「2009年GW公開!」と書かれているのを発見しました。邦題等はまだ決まっていないようですが、そろそろ日本向けのキャンペーンが始まるのではないかと思われます。こちらのサイトによると、既にシネマライズ、シネカノン、新宿バルト9、吉祥寺バウスシアターなどでの上映が決定している模様。アメリカでは「大ヒット」しているらしいですし、既に発表されている映画館から判断しても「ミニシアター系」の主だったところを網羅しているので、これにシネコン系列が加わって全国に上映が広がれば、日本でも「ヒット」する可能性がありそうなのですが、果たしてどうなりますことか。

 この映画は、1970年代に、いわゆる「ゲイだとカミングアウトをした後ではじめて当選」し、サンフランシスコの市政執行委員となった政治家ハーヴェイ・ミルクの生涯を劇映画として描いたものらしいです。すでにドキュメンタリー映画としては、「セルロイド・クローゼット」の共同監督の1人としても知られるロブ・エプスタインによって、1984年に実写を含めた伝記映画が制作されています。

 僕の個人的見解としては、ロブ・エプスタインの映画は活動的なプロパガンダ色が強く感じられるので、そうした目的意識で見る分にはいいのですが、「真の意味でのドキュメンタリー映画」としては深みに欠けているような気がしました。映画表現はテーマに従属してしまうと薄っぺらくなりますから。しかし今回の映画化は、最近でも『ラストデイズ』などで映像表現としての映画の可能性を切り拓くことに果敢に挑戦しているガス・ヴァン・サントが監督ということなので、期待しています。

 このシリーズではこれから、映画「ミルク」にまつわるメディア・チェックや日本での受容のされ方、あるいは反発のされ方などをリアルタイムで追跡して行こうと思います。3年前の「ブロークバック・マウンテン」の時にも感じたのですが、こうした映画が一般公開されるときというのは、賛同も反発も含めて普段は眠っていた様々な「人々の本音」や「感情」が表に出てきます。2009年の日本社会がどのようなリアクションを示すのか。とても興味深いですし公開が楽しみです。FC2 同性愛 Blog Ranking

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