名執たいすけ「一緒ネ!」●MOVIEレビュー

「青臭さ」という、かけがえのない宝物
はじめて撮るドキュメンタリー映画。そこには作者の初期衝動が、いっぱい詰まっているものだ。どんな映画になるのかわからない。でもとにかく撮りたい、撮らずにはいられない。自分がどうしてそれを撮りたいのか、考えながら悩みながら迷いながらの試行錯誤。
しかしそうしたピュアな情熱と言うものは、いつまでも続くものではない。もしかして、誰の人生にとってもそれは「一回きり」の情熱なのかもしれない。だから尊い。美しい。
名執たいすけ監督の第一回作品である『一緒ネ!』は、そんな「青臭さ」に満ちていた。東京メトロポリタンゲイフォーラムの二人を見つめることで、自身の内面も見つめ、映画を作りながら、やがて自身を解放して行ったのだろう。彼はとにかく見つめている。たとえカメラの前で出演者が黙っていても、ただただジーッと見つめ続けている。沈黙が生まれても、あえて放っておく。すると出演者は自分から語り出す。カメラはただ、その魔法の瞬間を記録する。

そのことで見事に浮かび上がった出演者の真実。隠されていた思い。語られていなかった愛情。ずっと一緒に寄り添い続けなければ明かされなかった真の心。涙。そして笑顔。
あっけらかんとしたユーモアの中から滲み出てくるのは、「そこに君がいればいい」という心からの思い。そんな素朴な愛情が交歓されていることを感じられる、豊かな人生の瞬間だった。
「一緒ネ!」という言葉の孕んでいる軽さ、明るさ、深さ、重さ。それを信じたり感じたり考えたりしたかったのは、他ならぬ監督自身だったのだろう。→FC2 同性愛Blog Ranking
●ドキュメンタリー映画「一緒ネ!」上映会
2/25(日)18:30開場 19:00開始(43分) 中野ゼロ 視聴覚ホール/500円
★「一緒ネ!」公式ブログに詳細あり。
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