伏見憲明「欲望問題」●BOOKレビュー 一章を読んで

選び抜かれた言葉たち。著者の血の滲むような精神の戦いの日々の青臭さを、そっと包み込んだり突き放したり。現在の視点から過去の轍を振り返り、未来を見据えようとするその態度は過去への距離感が常に流動的で、なおかつ意識的であり繊細でもある。闇をまさぐりながら新たに解放されるべき地平を求め、必死に一条の光を見つけ出そうとする強靭な意志に圧倒され、読み始めたら止まらなかった。
●伏見憲明著「欲望問題―人は差別をなくすためだけに生きるのではない」
僕は今まで伏見憲明氏の著書を意識的に敬遠してきた。持ってはいるけど、あえて読もうとはしなかった。ゲイである自分を受け入れつつある過程において、「答え」のようなものが提示されてしまうのではないかと勝手に思い込んで怖れていた。自分は自分で自分のことや社会のことを考えてみたい。伏見氏の著書に触れると、その面白さを奪われるのではないかと思い込んでいた。
でもそれは杞憂だった。
伏見憲明氏は対話者だった。僕にとっても対話者だった。決して手の届かない「カリスマ」なんかではなく、震える裸の魂をもって僕という個人の魂に共振してくる音楽を奏でられる対話者だった。第一章「欲望問題」を読み終えた今、残り二章を読み進めるにあたって、久々に純粋な心で「読書の悦び」の渦中にある幸せを感じている。→FC2 同性愛Blog Ranking
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コメント
この記事へのコメント
答えなんてないんだよね。
ひとりひとりがひとりひとりの実存を生きている。
そのなかで、いろいろな欲望がぶつかりあっているのが社会なんだというのが、伏見さんの社会観だと思うんですよ。
その社会という欲望のせめぎあいの場を、正当なせめぎあいの場として担保することこそが大切なんだろうね。
個々のプレイヤーは、それぞれに伏見さんと同じように個々の欲望問題を生きるわけで、その答えはどこにもないんですよね。やはり、個々のプレイヤーが生き抜くしかないんですよ。
そのなかで、いろいろな欲望がぶつかりあっているのが社会なんだというのが、伏見さんの社会観だと思うんですよ。
その社会という欲望のせめぎあいの場を、正当なせめぎあいの場として担保することこそが大切なんだろうね。
個々のプレイヤーは、それぞれに伏見さんと同じように個々の欲望問題を生きるわけで、その答えはどこにもないんですよね。やはり、個々のプレイヤーが生き抜くしかないんですよ。
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