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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2020-09
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豊田四郎「夕凪」●映画レビュー

前回「男性飼育法」を観て淡島千景さんのファンになったため(笑)、再び豊田四郎監督の特集上映に行ってきた。
僕は、サバサバと早口でしゃべる姉御肌の女性が好きなので、この頃の淡島千景さんはまさに理想どおり(笑)。更に、まだ駆け出しの頃の若尾文子さんが娘役で出ていて、すでに妙な色気も漂わせているではないか。
これぞ夢の母娘競演っ!!を充分に堪能できた・・・。シアワセ~。

母娘再会シーンの濃厚さは、エロ寸前っ!

4年間のアメリカ留学から娘が帰ってくる。母親役の淡島さんは嬉しそうにソワソワ。湘南の海が見える立派な大邸宅で、母娘は抱き合って再会を喜ぶ。
実はこの再会の表現が・・・「えっ、そこまでやるの?」と思うくらい濃厚でドキドキさせられる。
立派に卒業して帰って来た娘を愛おしむあまり、母は娘を抱いたままベッドにもつれ込む。そして「ほんのちょっと前まではアタシのオッパイをちょうだいちょうだいって触ってたのにねえ・・」と言いながら娘に胸を触らせる。嬉しそうに触る娘。親子の情愛の表現として素直に見ればいいのだが、かなり長く丁寧に描くので、それ以上の色気まで感じてきてしまう。だって大人の女性同士だし・・・(笑)。
きっと監督はこの表現に命を賭けたに違いない。その後の展開が悲惨なだけになおさら。
この映画の中でも最も美しく、ジーンと胸に迫る素敵な場面になっていた。
親と子がここまで素直に愛の感情を表現し抱き合えるなんて、うらやましいなぁ~。
こんな風に、友達同士のようなイチャイチャした関係を親子が築けたとしたら
・・・それこそが「シアワセ」っていうんだろうなぁ。
淡島さんのアッケラカンとした明るさがそんな母親像にちゃんとリアリティーを持たせていて
・・・気付いたら、ちょっと涙が出てました。いいです、この場面本当に。

実は荒んでいた母。受け入れられない純真な娘。

そんなシアワセの絶頂を描いた後は、期待を裏切らずに(笑)この二人の関係は崩壊へ。
当たり前だ。女一人で普通に稼いでいたんでは、大邸宅に住み娘をアメリカ留学へ出せる資金など調達できるはずもないのだ。実は母親はキャバレーを経営し、田舎から出てくる女たちに売春をさせて稼いでいたのである。
母親の本当の姿を知り、うろたえる娘。
そして、娘が恋をした男・池部良との交際を反対する母。
それは恋愛が許されない関係だったからなのだ。(詳しくは映画をご覧あれ。)
荒んだ母親の二面性。
クライマックスではこの母娘が対決する。とても見ごたえのある演技対決にもなっている。

売春が社会問題化した年、1957年。

終戦から12年目。搾取するものと搾取されるものの貧富の差が、ますます顕在化して来た世の中。高度経済成長前夜の「拝金主義」が、いよいよ芽生えてきた社会というものを風刺してもいる作品。
この頃は女性の地位向上といっても、本質的に男に頼らざるを得ない現実だったらしい。結局女性は「女」を武器にしなければ、競争社会を這い上がることはできなかった。売春はかなり広く行われていて、売春業者もたくさんあった時代なのだ。そんな、生きるためにギラギラせざるを得なかった女たちがたくさん出てくるのもこの映画の特徴。
たとえ娘に軽蔑されようが、そうした道を選んでしまった女の業。そのやるせなさを、淡島千景さんが「汚れ演技」で見事に表現した。
品の悪さの中に見え隠れする弱さ。ズルさ。母としての強さ。エゴ。
いろんな顔を持ち、肩肘張っている強欲な女。
ついには最愛の娘に去られても変われない女・・・悲しすぎる。
彼女の行く末に待つものは、どんな結末なんだろう・・・。

この映画の結末は、一つの答えを押し付けない。
だから観終わっても観客は、心の中でこの映画を育て続けられる。
そして、淡島千景ファンなら絶対に見逃せない、隠れた名作である。



「夕凪」1957.09.15公開
製作=宝塚映画 配給=東宝

製作 ................  佐藤一郎 垣内田鶴
監督 ................  豊田四郎
脚本 ................  八住利雄
撮影 ................  安本淳
音楽 ................  芥川也寸志
美術 ................  伊藤憙朔
録音 ................  山之内樹一
照明 ................  高島利雄
スチール ............. 秦大三 岩井隆志

出演
淡島千景 若尾文子 志村喬 池部良
千石規子 市原悦子

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コメント

この記事へのコメント

う~ん・・じっくり読ませていただきました。
淡島千景さんも若尾文子さんも大好きなので、
この映画ぜひみたいです。
今私は森繁さんに夢中なんですけどね!(笑)

●森繁さんは、淡島千景さんとよく競演してますよね。
この二人が組むと、早口でズバズバ言い合うさまが最高です。
だいたい淡島さんの方が強くて、
森繁さんが情けないというパターンですけど(笑)。

へええ、この映画の前年、淡島さんと池部さんは小津の「早春」で夫婦役で共演してますよね。その翌年に母親と娘の恋人役とは!!
この若尾文子さんと池部さん、とくに歳の離れた恋人って設定ではないんですよね?

つづけてすみません、自分の上の疑問、Akaboshiさんが上の記事で濁していらっしゃるところ(「許されない関係」)に鍵があるのかな?ひょっとすると、わかったかも!

淡島千景ファンなら・・・って
akaboshi07さんの文章は淡島千景に限らず、
ファンじゃない人間をファンに引き込む力がありますよね。
愛かな。

●nicoさん、お詳しいですね。「早春」はこの前年でしたか。
この頃は人気のある俳優さんは引っ張りだこだったんですね。
まさに日本映画の黄金期。
「許されない関係」・・・わかりましたか?。
でも、それほど年の離れた設定という感じではなかったように思いました。
●じゃみ(ぃ)さん。
ズバリ愛です(笑)。
愛してしまうと、とことん熱中してしまいます。
そんな自分に、たまに疲れます(笑)。
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