「クイア」を学び切り拓く005●砂川秀樹著「パレード」

東京では1994年に第一回のパレードが開催されたものの、90年代の後半は大規模なパレードの開催は途切れてしまっていました。同時期に札幌でのパレードは連続開催されていて、どんどん発展し続けていたのに、なぜか東京は・・・。
空白期間が長引く中、「そろそろ復活させたい」という気運が人々の間で高まり、実行委員を引き受けるという有志たちが集まって準備が始まります。そして・・・苦労してなんとか、4年ぶりに大規模なパレードを復活させたのです。その当時の盛り上がりとか、関係者たちの感激とか、苦労したエピソード等がぎっしりと溢れんばかりに詰まっていて、はちきれそうな勢いの感じられる本です。

また、いまやパレードと同時期に開催されることが恒例になっている「二丁目のレインボーまつり」も、この時がはじめての開催だったそうです。それまでは「パレード」といういわゆる社会的な「活動」と、二丁目の「商業的な部分」が東京で連携しあうことはありませんでした。しかし、そこをなんとか結びつけて大きなムーブメントを巻き起こしたわけですから、2000年の活動家たちの功績は本当に大きいと思います。
やっぱり、何事も楽しくなければ続きませんよね。参加者たちが楽しめて商業的な活性化にも繋がるというスタイルは、2000年の成功によって定着しました。東京でこれからも安定して毎年夏に「パレード」と「祭り」が同時開催され続けることは、こうした動きを他の地域でも根付かせて行くための重要なモデルケースとなり続けることでしょう。

現に10月22日の大阪には、全国のあちこちからパレードを成功させるために同志たちが集まっていました。2000年の「復活ムーブメント」を牽引した砂川さんをはじめ、本当にたくさんの「パレード経験者」の方々が楽しそうに歩いている姿を見かけました。実行委員会の打ち上げの席にも多くの方が訪れ、いろんな話を聞くことができました。
そうした人たちの思いが次へ次へと繋がって行く。そして新たな人々を巻き込んで大きな流れを作って行く。僕は今年の夏からやっと、こうした活動に参加しはじめたばかりですが、知り合う人々の中に「体験の豊かな蓄積」が確実にあるのだということを感じ、嬉しくなることが多いです。

2000年の「熱さ」を、その数分の一でも追体験したような気持ちにさせてもらえる本でした。「思い」を記録してくださっていて、本当にありがとうございました。
●砂川秀樹監修・編集「パレード―東京レズビアン&ゲイパレード2000の記録」
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