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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2023-05
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「クイア」を学び切り拓く002●“夫々”と“婦々”に寛容な国、フランス

 前回に引き続いて「論座10月号」に掲載されたSEXUAL MINORITY特集から御紹介。

 いや~ぶったまげますよフランスのLGBT事情の先進ぶりっ!政治の世界での「可視化」が進んでいるフランスでは、驚く位にLGBTの権利が保障され始めています。その様子を「“夫々”と“婦々”に寛容な国、フランス」というタイトルでレポートしたのは、フランス留学中の及川健二氏。1980年生まれで20代の彼はノンケということですが(笑)、すごくLGBTフレンドリーな執筆活動を展開している素敵な人です。フレーフレー及川さんっ!

パリ市長は有名なゲイ

 パリの市長が同性愛者なのは知ってますよね?ベルトラン=ドラノエという人で、1997年に地方の市長をしているときに「ゲイであること」をカミングアウトしたらしい。

 彼(ドラノエ氏)が一貫して続けているのは反差別という政治姿勢だ。女性差別、ユダヤ人差別、人種差別、イスラム教徒への差別といった問題にパリ市議・国政議員として取り組んできた。生まれ、幼少の頃を過ごしたのがチュニジアというイスラム圏の国であることから、政界の中でもイスラム教にかなり理解のある政治家として知られている。

 そんなドラノエ氏の中央でのカミングアウトは1998年にテレビ番組「Zone Interdite」に出演した時だそう。

「そう、私はホモセクシュアルです。今日(この場で)おこなっている議論の重大さを私は承知しています。しかし、私はもう48歳なのです。自分の信念を持って生きなければならない。自分のキャリアなど、私にとっては最も重要なことではない」

 政治生命が絶たれるかもしれないリスクも予想される発言だったわけですが、見事3年後の2001年にはパリ市長選挙に当選。パリ市庁舎前には多くのLGBTが集まり、歓喜の雰囲気で包まれたそうです。彼は今では、フランスで最も有名なゲイであり国民からも支持が高い政治家として有名なんだとか。す・・・すごいです~!

 「PACS法」という、擬似結婚制度

 そんなフランスでは「TÊTU」というゲイ&レズビアン向けの総合月刊誌がキオスクや街の書店で普通の女性誌・男性誌と並んで売られているそうです。ポルノを載せない同性愛者向けの雑誌として1995年に創刊され、すでに現在115号まで発行。なんと大統領や首相がインタビューに応えたりすることもあり、無視出来ないマス媒体として成長しているというのだから恐れいります。
「TÊTU」の公式サイト

 また、同性愛者向けのテレビ局「ピンクTV」が2004年に開局したりと、「同性愛」が普段からあちこちで「見えるものになっている」というから感動的ですね~(涙)。
Pink TVの公式サイト

 それに、1999年にはパクス(連帯民事契約)制度が施行され、結婚よりもゆるい擬似結婚制度として活用する人が増えているそう。パクスと結婚を比較すると、こうなるそうです。

●結婚は男女カップルのみに限定されるがパクスは同性カップルも締結できる。
●結婚は原則として両者の合意があって解消されるが、パクスは片方の意思だけで解消できる。
●結婚には貞操義務があるが、パクスにはない。

他に、パクスならではの特色はこちら。

●財産を一方から他方へ贈与するなどして共有の形にすることができる。
●別れるときは財産を分けることになり、一方が亡くなった場合は残った者が財産を譲りうけることも可能。

・・・「パクス法」が施行される前には、フランスで国民的な議論が沸騰。そのおかげで今ではすっかり「同性愛」はタブーではなくなったということです。「私たちはパクスする」という言葉が日常的に使われる言葉として浸透し、テレビドラマなどでも使われているというのです。

 「パクス以降、同性カップルは自分たちの性的指向を隠さずにすむようになり、道で手をつないで歩くというようなことも当たり前になりました。同性愛者であることを両親や友人に公言できるようになったということは、解放と認知という効果があったということを示します。これまで差別され、戦時中には迫害さえされてきた人々が、パクスによって人間としての尊厳を取り戻すことができたのです。」(条文を作成した社会党のパトリック=ブローシュ国民議会議員の発言)

 男性同士の結婚式が大注目!

 さらには「パクスでは不十分だ」とする人もいて、ノエル=マメール国民議会議員は2004年4月、自身が市長も兼任するベグル市役所に結婚式を申し込んだところ受理されます。つまり「同性カップルの結婚は前例がなく民法では認められない」という通説がくつがえったのです。

 しかし6月5日の結婚式当日は市役所前に賛成派・反対派が大挙して押し寄せ大混乱。反対派の中には「これは結婚ではない、公然わいせつだ」「ホモを強制収容所へ」と叫ぶ人もいたとか。

 そんな騒ぎの中、11時15分に市役所内で結婚が市によって正式に宣言されます。マメール氏が感動のあまり涙ぐむ場面がテレビで全国に流れたそうです。その後、内務大臣がマメール市に1ヶ月の停職処分を命じ、この騒動は終結。・・・たくましい政治家がこうして次々に道を切り拓いたからこそ、世の中が実際に変化したのですね。

 2007年大統領選挙では「同性婚」が争点に

 こうしてタブーではなくなった「同性カップルの結婚合法化」は、いよいよ次期大統領選挙の争点の一つにもなりそうな気配だというから驚きです。

 世論調査でも「合法化に賛成」する人の率が多くなってきており、社会党の大統領候補セゴレーヌ=ロワイヤル議員は、LGBT雑誌「TÊTU」のインタビューで「社会党は平等と相互尊重の名の下に同性愛者の結婚を合法化するでしょう」と発言。つまり彼女が大統領になれば、合法化が実現する可能性が高いのです。

 現在、同性カップルの結婚が合法化されているのはスペイン、カナダ、ベルギー、オランダの4カ国。5番目の国にフランスがなるのかどうか要注目ですね。(日本はいったい何番目になることやら・・・笑)。

・・・ここでは記事の概略を紹介してきましたが、もっと詳しくフランスの事情を知りたいという方は、10月23日に発売される及川健二氏の著書『沸騰するフランス』。さらには10月25日に発売される『ゲイ@パリ』を読みましょう~。僕ももちろん両方買います。すっごく楽しみです~っ!FC2 同性愛Blog Ranking

及川健二著「ゲイ@パリ~現代フランス同性愛事情」(長崎出版)

ブログ「及川健二のパリ修行日記」
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コメント

この記事へのコメント

さすがフランスだなあ・・・

これからは「Go West」じゃなくて「Go France」かもね・・・。
もちろん国民性も、LGBTに関する歴史も、何から何まで日本とは
違う国なんだろうけど、逆行現象ばかりおきてる日本とは大違いですよね。
うーん、でも日本もきっといい方向に向っていけるはず!
もちろん、それにはみんなが行動起こしていかなければいけないんだろうけどね。

●kazuccineさん。

こういう海外の情報を、わかりやすく丁寧に伝えてくれる人の存在って
すごく大きいですよね。アメリカの北丸雄二さんとか、フランスの及川健二さんとか。
この情報がじわじわと浸透して、当事者たちが「あきらめ」の感情から抜け出せた時、
大きな「うねり」が起こるんだろうね。
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