中村中の歌世界007●ただ人として恋愛していたし、人として人を見つめていた
現在発売中の「日経エンタテインメント!11月号」では「エンタ界を変える男と女の新モテ基準」という特集が組まれています。 その中で「男女の壁を超越する存在がブレイク!?」として、女性キャラを手に入れブレイクした芸能人たちが一覧表で羅列されて紹介。
美輪明宏、カルーセル麻紀、ピーコ、おすぎ、大高博幸、ピーター、假屋崎省吾、IKKO、KABA.ちゃん、山咲トオル、前田健、藤井隆、さかなクン、真島茂樹、植松晃士、坂井典夫ら「おネエキャラ」のタレントが、イロモロ的に利用されるだけではなくテレビ番組で重要な位置を占めるようになってきたと指摘。「例えば、美容院の接客係がそうであったり、デパートの化粧品売り場の販売員に男性が増えていたり、世の中は”おネエキャラ”を受け入れる素地ができている」というテレビ関係者の言葉が紹介されています。その流れを受け、日本テレビでは10月から、出演者のほとんどが「おネエキャラ」タレントで占められる新番組「おネエ★MANS」がスタートするそうです。(要するに番組宣伝記事ですね、これ。笑)
さらに記事はこう続きます。「04年7月に施行された性同一性障害特例法により、戸籍を女性に変更したアーティストらが、カミングアウトするようになったのだ。もはや男女の枠を飛び越えた存在はタブーではなく、新しいエンターテインメントを生み出す原動力になり始めた」。
その文脈で、中村中(あたる)さんのインタビューが2ページにわたって大きく紹介されているのですが・・・先日の 『僕らの音楽』での安藤優子さんとの対談の時にも垣間見られた通り、GIDであることと音楽表現が直結して捉えられることに対して中村さんが複雑な思いを抱えている様子が窺えるインタビューとなっています。その一部を紹介します。
−デビューのきっかけは?
●コンテストなど“大会ゴト”に何度か出たことからですね。
−コンテスト出場は男性として?女性として?
●性別表記が必要だったら男性として登録していたと思いますね。でもその先、どう見るかは見る人の自由だから。
−今だったら、誰がどう見ても女性じゃないですか。
●そうですか。うれしいな。
−だからこそ戸籍上は男性と聞くと、衝撃が大きいと思います。公表に踏み切った理由は?
●最初は、私が歌を歌っていく上で、公表するとかしないとかが、必要かどうかすら考えなかったんです。私の中では「朝起きて夜寝る」みたいに、普通のチャンネルにあることだから。それを使って商売しようとは考えなかったし、逆に隠そうとも思わなかった。だからさし当たって公表していなかったんですが、でもそれは隠していることになっちゃうんですよね。隠せるなら隠したかったという気持ちもあります。でも、歌で“真っ向勝負”をかけるときにそれはどうなのかなって。いちいちGIDについて言われるのはすごく面倒なことだけど、それよりも、自分が好きな音楽をウソついてやるほうが嫌だなって思ったんです。
−GIDであることを知った聴き手は、ほかの音楽と同じようには聴けなくなるかもしれません。
●それが一番の問題で、すごく邪魔だな、いらないことだなって思ったんですよね。残念ながら私は、100曲も書いてきて、GIDをテーマにした曲なんて2〜3曲しかないんです。『友達の詩』もよく聞かれるけど、これは性についての視点はみじんもない。15歳のときに自分がそのことで悩んで、ふっ切れてもいないのに、それをテーマに書けるわけないですよ。15歳の私は、ただ人として恋愛していたし、人として人を見つめていた。もっと普通に聴いてよって気持ちもありますね。
−ほかの音楽と同じように“普通に聴く”必要があるのか、ということもありますね。作り手が意図しなくても、深読みした状態で『友達の詩』を聴いたら、より心をつかまれるという側面もあります。
●それはうれしいし、ステキなことです。聴き方は自由だし音楽は娯楽でありたいから。音楽としてスタンダードでやっているだけなんです。だからもしGIDをテーマにして作ったときは、そういう歌ですってちゃんと言いますから(笑)。もちろん、性のことは随分悩みますけど、それを糧に曲をつくろうなんて、音楽様に失礼な態度は取れないですよ。
本人にとっては「普通のチャンネルにあること」が、周囲からは奇異の目で見られる。だからこそ本人は周囲の目と自分の価値観との違いに敏感になり、抵抗しがちになる。・・・こうした中村さんの発言を聴いていると僕は思います。ことさらに「歌とGIDは関係ない」と切り離そうとすることは、やっぱり不自然なのではないかと。本物の表現って自分の血肉を通して表に出るものだと思うから、どんな歌も必ず「中村中という人間のフィルターを濾過して」生み出されているはず。GIDであることは中村中にとって「朝起きて夜寝る」のと同じくらいに存在の根幹に関わることとして日常化し、血肉化していることは本人が自ら語っていること。だったら「関係ない」と突っぱねるのは、かえって不自然。それは中村中という存在にとって切っても切り離せない大切な一部分なのだから。このインタビューでも、インタビュアーがその辺をちょっと指摘しているのが印象的です。
今後もこうした質問は常にされ続けるのでしょうが、むしろ「関係あるかもしれないし、無いかもしれないです〜」と、やわらかくサラ〜っと受け答えしておく方が、本人にとっても、より「自然」なのではないかと僕には思われます。
突っ張る必要は無いと思いますよ、中村さん。多くの人たちは今回の「GID公表」であなたの音楽を知るし、『友達の詩』を「GID当事者の思い」として深読みして聴くのでしょうが、たとえ入り口がそこからだとしても大丈夫。音楽は勝手に聴き手の心の中で育って行きます。そして、あなたの音楽は「一色」の捉えられ方を確実に蹴散らすことの出来る豊かな魅力にあふれていますから。もっと自信を持ってください。
そんな風に声をかけたくなるインタビュー記事でした。→FC2 同性愛Blog Ranking
★日経エンタテインメント ! 2006年 11月号 [雑誌]
●You Tubeで「名唱」が見られます。→中村中「友達の詩」in 音楽戦士
→僕らの音楽 中村中×岩崎宏美「友達の詩」
●1st SINGLE「汚れた下着」
●2nd SINGLE「友達の詩」
●「友達の詩(1万枚限定生産盤)」
●岩崎宏美「Natural」
●中村中公式ホームページ
●ブログ「恋愛中毒」
NEWS!
●10月10日22:00〜日本テレビ系DRAMA COMPLEX「私が私であるために」で「心は女性だが身体は男性で生まれてきた1人の“女子大生”」が主人公のドラマ放送。中村中さんはミュージシャン役でドラマに初出演。
●10月14日・21日「友達の詩」リリースイベント・・・ラゾーナ川崎プラザ2Fグランドステージ
コメント
はじめまして
断ち切ることが
まだ二十歳そこそこの若者の危うさなのかな・・・と思ったりします。
でも、突っ張っちゃう気持ちも何だかわかるんだけどね。
中さん!!
声が良いし、演技も初々しさが光っていて良いなあと思いました。
私の好みです。
役柄や今までの人生経験もあるからかもしれませんが、すごくカッコいい人ですね。
●イフルさん。
すごく嬉しいです。ぜひぜひ、いろいろ語り合いましょう〜。
僕も最初に一人でじっくり聴いたときには、じわ〜っと来ましたよ。
これからも遠慮なく、いろんな記事に感想とか意見を書いてくださいね。
●Kazuccineさん。
中村さんはとても、真っ当なあり方をしている人だと思います。
●Rさん。
とにかく魅せられてしまいました。というより、それだけが見所だった(笑)。
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