フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2017-11
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アン・リー「ブロークバック・マウンテン」●MOVIEレビュー


どんどん息苦しくなる。
歳をとるほどに日常が硬くなり、暗く重々しくなって行く。

その代わり
若い頃ほんの一時でも
自分を解き放つことのできた素晴らしき日々の記憶が、
ますます輝きを増して胸を締めつける。

「生きる」ということは、なんと残酷で滑稽なことなのだろう。

エニスは不幸だ。素直な自分を愛せない。
他人に自分を受け入れてもらうことが
本能的に出来ないのだ。
自分の本性に「罪悪感」を感じてしまうような
育ち方をしてしまった。

厳格な保守思想の持ち主である父親との確執。
愛されるべき人に「恐怖」を抱きながら育った不幸。
「父性」に親しむことが出来なかった分、
ぽっかりと空いた精神的な欠落を封じ込め
見ないように、触れないようにして生きてきた。

彼は受け入れられることが怖いのだ。
拒絶されることに慣れていたから。
しかし怖いからこそ、なおさら人は、そのことを求めてしまうものなのだ。

エニスにとってジャックとの出会いはどんなに嬉しかっただろう。
二人きりで過ごす山中での生活は、
彼の心の裡の鋼鉄のような氷山をゆっくり優しく溶かしはじめた。
人目を気にする必要がないから、
ありのままの自分でいることを覚えはじめた。
子どものように無邪気に笑い合ううちに、
エニスの「核」が、ジャックと共鳴し合うようになった。

それが意識化されるのは時間の問題だった。

彼らのいた山の中は「社会」ではなかった。
「既成」の様々な道徳や戒律による「規制」が張り巡らされ、
常に他人の目を気にしながら自分を「規定」し続けなければ生きられない
ホモフォビアの蔓延する「社会」ではなかった。

エニスは知った。
「自分の全てが求めること」を、自分の全てで受け入れる悦びを。
エニスは知った。
「自分の全てが求めること」を、全身で受けとめてくれる人と出会えた悦びを。

それは奇跡的な出会いだった。
しかし奇跡に気付いていながらも結局、エニスは素直になれなかった。
「悦び」をもとに人生を設計できなかった。
ジャックと別れ、人知れず流した涙から素直に学ぶことが出来なかった。

そして自分だけでなく、多くの人を裏切り傷つけることになってしまった。

時を重ねるにつれ
どんどん息苦しくなるかのような
映画の空気圧に押し潰されそうになりながら僕は
あの時代、あのようにしか生きざるを得なかった数多くのゲイたちの
語られなかった人生に思いを馳せた。

そして思った。
僕は決して、エニスにはならない。

 
連載記事
ブロークバック・マウンテンで見る世界

公式サイト
Brokeback Mountain ブロークバック・マウンテン

DVD「ブロークバック・マウンテン」
オリジナル・サウンドトラック
Annie Proulx「Brokeback Mountain:Story to Screenplay」
アニー・プルー「ブロークバック・マウンテン」

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コメント

この記事へのコメント

こんにちは。
akaboshiさんの「ブロークバック~」のレビューの集大成といった感じでしょうか?
読みながら、あの作品を思い出し、涙が出て来ちゃいました。(近頃、涙もろくていけません)
ゲイの方たちがみんな幸せな生き方ができますように。
みんながみんな、「自分らしく」生きられる世界になりますように。。。

「トランスアメリカ」観てきやした^^ とってもよかったでーす。

今日6日の東京新聞朝刊の記事

今日の東京新聞「特報」の田原拓治さんの記事に、北丸さんの名前もあがっていますが、
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20060906/mng_____tokuho__000.shtml

なーんだ、それなら、田原さんに聞けばよかったのです、今回のTLGPについて。日本のメディアのなかで、とくにGID特例法と政治家のかかわりについて一番よく知ってる方ですよ。わたしがなぜ政治家の名前に神経質になったかもわかるでしょう。

●chobiさん。

あくまでも「現時点での」集大成ではありますね。
でも、また観たとしたら全然違う感想を持ちそうな映画です。
いろんな「余白」がたくさんあって、観客が作品の中に介入して行くことのできる
稀有な映画でもありますね。

●tさん。

北丸さんが載っている記事を教えてくださって助かりました。ありがとうございます。

はじめまして。
もうひとつの記事とともに大変興味深く読ませて頂きました。
私は普通の恋愛映画としてみてしまったのであまり楽しめませんでした。
ですがイニスからのみの視点で観た場合また違った感情がこみ上げてきました。
同性愛者では無いものにとっては恋愛の方に焦点がいってしまいこの頃の同性愛者に対する差別にあまり目がいかなかったのは残念だったかもしれません。
最後の1行にぐっときました。。
わたしもそうでありたいと思っています。
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