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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2023-10
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「ゲイのみなさん、こんばんは」

 前回の記事で紹介した劇団フライングステージの「ムーンリバー」という舞台では、物語のポイントとしてラジオの音声が使われています。
 1979年当時「スネークマンショー」という深夜番組で、大塚隆史さんが「ゲイとして」パーソナリティーを努めたという先駆的な番組の音声。ラジカセから流れてくる語り口は柔らかくて温かみがあって、とても印象に残る音声でした。

 舞台として設定されている70年代当時はインターネットなんてなかったわけだし、ゲイが「自分がゲイである」ことに気付いた時、それを自分が受け止めるためには今よりもずっと大きな孤独と戦わなければならなかったはずです。そんなたくさんのゲイたちにとっては、パーソナリティーが「ゲイである」ことを実名で公表し、「ゲイのみなさん、こんばんは」という挨拶と共にゲイに関する情報をゲイに向けて発信するラジオ番組が週に一度流れていただなんて、どれだけの精神的な安らぎをもたらしたことでしょう。もし僕が当時を中・高生として過ごしたならばきっと、ものすごい情熱で「こっそり」聴いていただろうし、女の子を好きになることが出来ない自分のことを、もう少し自然な形で受け入れられたのかもしれないと思います。

 「ムーンリバー」では、当時を中学生として過ごしたゲイの主人公が男性に初恋をする甘酸っぱい感情とか、彼以外にも「ゲイなのかもしれない」=セクシュアリティーに「揺らぎ」のある人たちが複数出てきます。彼ら/彼女らの一人一人が時代状況の中で孤独と向き合い、でも「したたかに」生き抜こうとする姿が温かく、かつシビアな視点から描かれています。

 そして、人と人とが繋がり合うこととは、どういうことなのか。別れて行くこととは、どういうことなのか。さらには、本当に人と人とを結びつけるメディアのあり方って、どういうものなのか。そんなことについても大いなる示唆を与えてくれる素敵な舞台だと感じました。

 僕はゲイとして生まれ、ゲイである自分を受け入れたから、こういう舞台と出会うことができました。そして、こういうことを考える機会を与えてもらってもいるのです。リスペクトすべき多くの先人たちの存在とか、精神のあり方も徐々に知りつつあります。それは実は、とても豊かなことなのかもしれません。

 今、そのことに本当に感謝しています。

劇団フライングステージ公式サイト
大塚隆史さんの経営するゲイバー「タックスノット(Tac's Knot)」
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劇団フライングステージ「ムーンリバー」●PLAYレビュー
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コメント

この記事へのコメント

せつない

こんばんは お元気ですか?

こういう話しをきくと、自分もサバイバーなんだあと実感します。
(田舎の現実は、未だにサバイバー状態?)
沈黙と沈潜の毎日を選んでいるわけではないはずだけど、選んでいるのかな?
人生の有り様を考えてしまします。

お久しぶりです。

akaboshiさん、こんにちは。
今回の公演は観ていませんが、フライングステージの舞台は、過去何回か観たことがあります。
タック(大塚隆史)さんの名前が出て来ましたから、古い記事ですが、TBしておきます。
ちなみに彼とは、『ブロークバック・マウンテン』についても大激論してるんです(笑)。
今日、若い友達が九州から出てくるので、ちょうどタックスノットに行ってみようかなと思ってたとこでした♪

そんなラジオ番組があったんだ!

ビックリですね。
そんなラジオが中学生時代にあったらなあ・・・。
僕は中学の時、ユーミンのラジオにゲイが投稿してくる
ハガキ読まれるだけでドキドキしたものです。
何だか甘酸っぱい舞台だったみたいですね。

「クローゼット」の隙間から

はじめまして、HumansBeingと申します。
いわゆる「クローゼット」のゲイです。

先ほど、ムーンリバーを観てきたところです。私はゲイのコミュニティーとは離れたところで生活している人間ですが、昨日(11日)の夜、akaboshiさんのこの舞台に関する記事を拝見して、感銘を受けたらそして今日、「エイ、ヤァーッ」という感じ(?)で中野ザ・ポケットへ足を向けました。不倫旅行に行く人達ってこんな感じなのかな?誰かに見つかっちゃぁまずいけど、心はお祭り気分・・・(笑)。なんてバカなことを考えながらも、観覧した今、ほっこりとしたあたたかい気分でいます。

akaboshiさんの記事を拝見しなければ、この舞台のことは知らないままだったですし、ましてや自ら足を運ぶなんてことはありませんでした。本当にありがとうございます。

私は感想を話したりレビューを書いたりするのが苦手な達なんですが、今日の経験(この舞台に出会えたことはもちろん、ゲイが集まる公の場に、自ら足を運んだということも!)に関しては、近々自分のブログでも所感をのようなものを書こうかと思っています。その際はトラックバックさせて頂きますね。

akaboshiさんに感謝!!

●nobaraさん。

こんばんは。お返事遅くなってすみません。
僕は最近、自分でもどうしちゃったのかと思う位、元気です(笑)。
「サバイバー」的な感性を持ち、したたかに生きることによって
さまざまな濃厚な感情を味わい、自分の糧にするのならば
けっして悪いことではないのではないかと舞台を見ていて感じました。

●lunatiqueさん。

お久しぶりです。
「メゾン・ド・ヒミコ」に熱を上げている頃には、お世話になりました。
ニアミスがあったもののその後、結局会えていませんね(笑)。

タックスノット、実はまだ行ったことがないんですよ。
かつて、外からこっそり覗いてみたことはあるのですが・・・
人がぎっしりとひしめきあっていたので入るのを躊躇してしまいました。
とても興味があるお店なので、ぜひ今度連れて行ってください~。
lunatiqueさんに会ってみたいです(←ただし、論争はほどほどに。笑)。

●Kazuccineさん。

今でも、あって欲しいですよね。
「ゲイの皆さん、こんばんは」って語りかけてくれるラジオ番組。

●HumansBeingさん。

はじめまして。
僕の書いたものがきっかけで・・・それは素直に嬉しいです。
こちらこそ、ありがとうございます。
そうしたことを伝えていただけると、僕の体験も無駄ではなかったんだなぁと感じますから。

「エイ、ヤァーッ」
↑・・・この感覚、今でもしょっちゅう繰り返してますよ。
パレードを見に行ったのも、「エイ、ヤァーッ」だったし
その翌日にも、「エイ、ヤァーッ」という感じで勉強会に行ったりしました。

「ムーンリバー」の感想、楽しみにしてますね。
僕も改めて書こうと思っています。
何日か経ってから思い返すことの方が、記憶が熟成する感じがして僕は好きです。

とある本

今、とある本を校正・編集しているのですが、その本が公刊されたら、たぶん出版記念会か開かれると思います(10月くらいかな?)。その際にはまたご連絡させていただきますが、ぜひご参加ください。
今日はその本の帯のことでちょっと打ち合わせをして、最近爆笑問題と対談集を出したNさんに文章を寄せてもらうことにしました。akaboshiさん、みなさん、お楽しみに♪

●lunatiqueさん。

「とある本」とは、どんな本なのか気になりますが、ぜひ出版の際にはお知らせくださいね。
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