FC2ブログ

フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2019-11
« 123456789101112131415161718192021222324252627282930 »

LGBT可視化に向けて008●尾辻かな子さん講演会「虹色の社会をめざして」聴講記③ 自分へのカミングアウト

 私の問題ではなく、社会の問題だと思う

 尾辻かな子さんはどうやって、自分がレズビアンであることを受け入れたのだろう。自分の性的指向を長い間、なかなか受け入れることの出来なかった僕は、やはりそこが一番気になります。LGBTにとっては、「自分を受け入れる」ことが人生において、まずは大きな難関だと思うからです。

 1974年に大阪で生まれた彼女は、父・母・そしてお兄さんがいる家族で育ちます。女の子としての遊びよりも男の子と一緒に遊ぶことを好んだ彼女は、中学校の時に「尾辻は中性」という言葉でいじめられ傷付きます。そして、周りの目を常に窺いながら「人と違ってはいけない」という思いを抱いて生きるようになってしまったそうです。

 18歳の時、自分が「女性に惹かれている」事をはっきりと自覚した彼女がまず思ったことは「自分の人生はどうなってしまうんだろう」ということ。 

 多くの人は、はじめて人を好きになったらまずは、相手に思いを伝えられるかどうかで悩むのだと思いますが、同性愛者の場合は「自分の異常さ」に悩みがちです。「この気持ちを認めたら大変なことになる。とにかくこれは隠さなければならない。隠さなければ人生がとんでもないことになってしまう。」そう思った彼女が取った手段は、「都会へ行こう」ということ。 
 高知の大学に入学していた彼女は大学を休学し、「仲間に出会えるかもしれないから」と神戸の実家に戻ってフリーター生活をするようになります。そして神戸で阪神大震災に被災。九死に一生を得て「いつ死ぬかわからない。後悔したくない」という思いを強烈に抱くようになったそうです。しかしなかなか向き合えない日々は続きます。

 23歳の時に、サークルの先輩に「友情ではない思い」を抱き、自分がレズビアンであることに、はじめて向き合うようになりました。そして半年悩んだ末、同じようなLGBTの仲間達が集まるイベント等へ積極的に参加するようになり、やっと自分を受け入れるようになったそうです。その時期の大きな変革のことを彼女は「自分へのカミングアウト」という風に表現しています。

 「自分へのカミングアウト」・・・これが本当に難関です。僕は彼女よりもさらに遅く28歳でようやく自分がゲイだと認めたのですが、「自分へのカミングアウト」が怖くて逃げつづけた間は、常に自分を異常に忙しい状態に置いて「物をゆっくり考えないように」していました。主に演劇活動に没頭していたのですが、そのことによって「恋愛」だとか「誰かを好きになる」「誰かと付き合う」ということを自分から遠ざけていました。恋愛に生きている人を、醜いひがみ根性から軽蔑していましたし、自分には関係ないことなんだと思い続けてきました。ですからその間、誰とも付き合っていません。

 彼女も自分を直視できない時期は、テコンドーでオリンピックを目指したり、何かに熱中することを自分の支えにしていたようです。・・・テコンドーっていうのが格好いいですね(笑)。LGBTのイベントに関わり仲間達と接する中で自分を受け入れるようになった彼女は、ものすごい勢いで知識を吸収し、「これは私たちの問題じゃなく、社会の問題なんじゃないのか?」という思いを強く持つようになったそうです。そして社会を変える手段として政治に興味を持ち、議員インターンを経験。2003年4月に堺市で立候補。府議会議員に初当選します。「政治の世界に入ったのは、同性愛者だからなんです」と、きっぱりと言っていました。

 しかし選挙運動中は苦しかったようです。同性愛者だからこそ立候補したのに、そのことが公表できない。選挙の作戦上、周囲との協議で断念せざるを得なかったそうです。それでも周囲の数名には本当のことを告げながら、選挙のイメージカラーを「レインボーカラー」にすることで「わかる人にはわかってほしい」という作戦を取るしかなかったようです。なぜならやはり、その頃はまだ誰も「同性愛者」を公表する議員がいなかったわけで、依然として「偏見を持っている」有権者はたくさんいます。支持を表明している人々にも、カミングアウトしたらどう態度を変えられるかわかりません。

 議員になってからも、2年間は公にすることが出来ず、機会を窺い続けたそうです。そしてやっと念願かなったのは昨年の8月。東京でのレズビアン&ゲイ・パレードの場でした。大阪府議会議員としての任期は4年間だそうですから彼女は来年で「任期切れ」を迎えます。
・・・そうなんです。彼女がいつまでも議員でいるという保証は、どこにもないのです。我々がサポートし続けない限りにおいては。 

 「ありのままでいい」 
 「おそれなくていいんだよ」
 とにかく、そのことを当事者に一番伝えたいそうです。そして、今でも「性的マイノリティー」に関する正しい情報が知られていないという現状を、何とかしたいと思っているそうです。

 「私の問題ではなく、正しい知識を持っていない社会の問題だと思う。」
 そのように、感じている当事者がはっきりと言うこと。そのためにも、当事者自身も社会問題に無関心ではなく「正しい知識」を持つことが大切。僕は、数日前までの自分の無自覚ぶりにいたく反省しながら、大いなる刺激を彼女から得ることが出来ました。

 次回は、彼女から学んだ基礎知識の中から、僕がちゃんと知らなかったことを中心に、触り程度ですが紹介しようと思います。 FC2 同性愛Blog Ranking


☆著書
「カミングアウト―自分らしさを見つける旅」
…彼女のライフヒストリーや政治家になった理由、これからの抱負がぎっしりと詰まった元気いっぱいの本です。僕は講演会場で買い、今日、読破しました!(笑)。
尾辻かな子さん公式サイト 
ブログ「尾辻かな子活動日記」
関連記事
LGBT可視化に向けて006●尾辻かな子さん講演会「虹色の社会をめざして」聴講記①
LGBT可視化に向けて007●尾辻かな子さん講演会「虹色の社会をめざして」聴講記② 表現者
スポンサーサイト



コメント

この記事へのコメント

本当に偶然なんですが…

僕は彼女の大学の後輩だったんですね・・・。
休学ということですので、卒業されたかどうかはわかりませんが。
なんか偶然体験多いなあ(笑)

「自分はどうなってしまうんだろう。」
私の場合、「いつになったら“治る”のかなあ。」を思っていました。
思春期すぎたら自然と異性に関心がむくようになる、とか
古い家庭の医学とか読んでそう信じていました。18のときに観念しましたが(笑)
彼女とは立場も違うし、同じ悩みではないけれど、
僕も教育者を志した理由の一つが「ゲイだから」っていうのがあったし、
職場でカムアウトできない自分に苛立ちを感じながら一年を過ごしました。
重さは違うかもしれないけれど、彼女とよく似た悩みを抱えてたんだなって思いました。

●Kazuccineさん。

えっ、そうだったんだ。おもしろい偶然だね。
尾辻さんはその後、韓国ソウル大学に留学して、帰国後は
同志社大学に行ったと本に書いてある。

「治る」っていう発想、しちゃうんだよね。
なにが正常なのか、答えなんてあるはずもないのに。
教育界も、特に教師の世界は最近とくに保守的な傾向にあるみたいだし
重圧強かっただろうね、大変だったね。
尾辻さんも、講演で語ってたけど「大阪府議会」は特に保守的な議会で
そういう重圧も、かなりあったみたいだよ。現在進行形かもしれないし。

でもこれから、いい方向に変えて行くのは僕らなんだと思う。
教育の中にも、LGBTに関する基礎知識が入って行くべきだと思うし。
そうしたら先生の中にLGBTがいることが、逆に重宝されるようになるだろうし。
現に今までもたくさんいるのに、「いないこと」になってるだけなんだよね。

ありがとう!

講演会の様子詳しく知らせてくれてとても参考になります。
それに毎度うまい文章に興奮!唸りながら読んでますよ。
ここ最近の変化の状況も分かりやすくて、今一歩踏み出せずにいる
多くの人たちに凄い影響を与えていると思うよ。

俺は2,3歳上だと思いますがインターネットの無かった世代。
俺もその抑圧を受けた時の怒りが今のパワーを支えています。

10代の頃、情報に飢えていた、エッチな情報だって。
今ではネットで簡単に手に入ることで、欲望のエネルギーとか枯渇感が
失われているのかもしないなと思うことはあります。

でも、この状況を当たり前とする今の10代20代前半が、軽く(無意識的にも?)
ハードルを超えていっちゃうのだろうと、期待してます。

そのためにも俺たち世代で、今もちゃんと進めていかなくちゃいけないって思います。

「同志」社ってくらいだから

>僕は彼女の大学の後輩だったんですね・・・。

ま、「同志」社っていうくらいだからねえ。。。現代中国語で「同志」はgayのこと。
それはともかく、尾辻さんのほかにも笹野みちるやレイザーラモンも同窓だから、
その筋の有名人が集中してることはたしかですね(笑)

続・偶然

ちなみに尾辻さんがおられたのは農学部の森林学科だそうです。
昨年一年僕がいた高校で副担任していたクラスは森林学科でした。
って、ここまでくると偶然というよりこじつけかな(笑)
うちの大学は退学されて、同志社を卒業されたようですね。
でも、偉大な先輩にはかわりないと思うし、何らかの運命的なものを感じます。

人権教育でも、性教育でも、本当におざなりにされているのがLGBTの問題なんですよ。
意外に人権とかにうるさい先生も、この問題に関しては無視しているというか。
いかにいないものとして考えているかがわかりましたね。

>tnさん
僕は彼女が最初に行った大学の出身です。
でもおもしろいですね。「同志」か…(笑。

●ゲイリーマンさん。

おっ、ここにも同世代が(笑)。
今の30代前半のLGBTは、上の世代のように90年代初頭の「ゲイ・ブーム」とか
その後のゲイ・コミュニティーの様々な盛り上がりをあまり経験していないと言えるし、
下の世代のように「ネット世代」でもない。いわば過渡期に置かれた中途半端世代(笑)。
この中途半端さは、これから「鬱屈」を原動力にして行動するのには
実は有用なのかもしれない(笑)。まだ余力が十分残ってるから。

日本は、まだまだ制度面とか教育面での整備が行き届いていないから
正しい知識が一般に浸透していない。
われわれは「趣味で同性愛者になっている」と思われてるほどだし(笑)。
まず正しい知識を世の中に広めることが大事。
そのためには義務教育に「LGBTについて」の授業を組み込むべき。
当事者でさえ「独学」で学ばなければ自分らのことを誤解しがちであるという今の現状を、
まず変えるべき。

そのためにはまず、尾辻さんのやろうとしていることを本気でサポートすること。
彼女はコミュニティーの外に向かって
「現実的なやり方で」働きかけることが出来る立場だし
最終的に大きな力を持つことの出来る「政治」に関わっている。
そのことの大きさを認識し、活用するべきだと思う。

これから僕は、自分にできることから、どんどん関わっていこうと思う。

●tnさん。

中国語でgayは「同志」なのですか、知りませんでした。
HGはゲイではないから置いといて(笑)、笹野みちるさんもそうだったんですか。
そういえば、彼女はかなり前からオープンにしていましたよね。
1995年のことだったらしいです。
http://www.obu.to/~sasano/

1995年当時の僕は自分がゲイだということから逃げてた真っ最中だから、
報道で知ったときには「なんてチャレンジャーな人なんだっ!」と驚いたのを覚えてる。
「すごい」というよりは「大丈夫なの?大変だろうに・・・」という感覚。
今でも、当事者ではない(と思っている)人たちは、
カミングアウトする人たちに対して、そういう思いを抱くみたいですね。
ネットでそのように書かれているものを、いくつか見たことがあります。

・・・もちろん、今の僕は「すごい」と思うようになりましたよ。
コメントを投稿する
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL

⇒ http://akaboshi07.blog44.fc2.com/tb.php/356-03eba5b8

この記事へのトラックバック

HOME |

無料ホームページ ブログ(blog)