フツーに生きてるGAYの日常

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2017-08
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ガス・ヴァン・サント「ラストデイズ」●MOVIEレビュー

 自死を想像することの不可能をそのままに

 ゲイの映画監督であるガス・ヴァン・サント監督の作品。1994年に自ら命を絶ったニルヴァーナのボーカリスト、カート・コパーンの「最期の二日間」を、彼なりに想像して描き出した、シンプルな描写が冴える映画だ。

 人が自殺をした時。テレビのニュースやワイドショーでは、「なぜ彼は自殺した?」「なにが原因で?」と騒ぎ立てる。センセーショナルでドラマティックな物語を勝手に想像し、勝手に意味を捏造する。今や我々は誰かの自殺すらも、一時の好奇心を気まぐれに満たす娯楽として消費してしまうようになってしまった。「テレビ的」な表層的な想像力で満足してしまう癖を身につけてしまった。

 この映画では「ドラマ」は全く描かれない。主人公が他者との交流を拒み、独りで殻に閉じこもって彷徨う姿をただ映し出す。どこか孤独を楽しんでいるかのような彼の風情。観客は静謐な時空間を、ただ一緒に味わうだけだ。

 繊細な感性で彼と寄り添うカメラの態度は、主人公を突き放しているようでいて、実はあたたかく包み込むようでもある。その絶妙な距離感が最もスリリングで、この映画の最大の見所である。

 「なぜ彼は死んだのか?」 
 「なにが原因で?」
 原因も結果も提示しない。答えを示すことなどそもそも不可能。安易な正解は人を着地させるだけ。着地してしまった思考と想像力は歩みを止めてしまう。映画は、頑なな態度で着地を拒む。強靭で強固な意志が全体を支配する。

 描かれるのはただ、主人公の現在。観客は彼の生きた空気を吸い、彼と一緒に森をさまよい、彼と一緒に大自然と戯れる。その快楽を共有すればいい。彼に刺さる棘と毒の味を、ほんの少しでも共有できればいい。

 共有し、結局は断絶を突きつけられる。彼は逝ってしまったのだから。

 たくさんの矛盾の中で、観客は宙空へ放り投げられる。
 激しい混乱と混沌の渦に呑まれそうになる。
 しかし、映画が終れば自らの足で歩き出す。またいつもの日常へ。
 自分を必要としてくれる人がいるのだと
 信じられる幸せを噛みしめながら。


「ラストデイズ」(LAST DAYS)
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:マイケル・ピット  他
LASTDAYS公式サイト…全国順次公開中

ガス・ヴァン・サント「ラストデイズ」

●ガス・ヴァン・サント監督は、アメリカでゲイを公表している著名な映画監督。2003年には「エレファント」がカンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞。今年のカンヌ映画祭ではホモセクシュアルを扱ったデビュー作『Mala Noche』が、「監督週間」部門で特別上映されました。
FLIX MOVIE SITE「名匠ガス・ヴァン・サント監督に拍手!」

●このブログで以前紹介したゲイ映画「ターネーション」(ジョナサン・カウエット監督)のエグゼクティブ・プロデューサーでもあります。

ガス・ヴァン・サント監督ロングインタビュー(アメリカを知る19本)

 ニルヴァーナと言えばやっぱ「NEVERMIND」でしょう!

 赤ん坊が札束めがけて両手を広げているジャケットを見た途端、衝動的に「ジャケ買い」してしまったNIRVANAの「NEVERMIND」。
 なによりもヴォーカルの声がいいっ!透き通ってて耳に心地良く、麻薬性があるんです。サウンドはハードなパンクロックなのですが、彼の天性の声の魅力と、実はしっかりと構築されているメロディラインが多くの人に支持された秘密でしょう。彼は「ポップ」とは何かを心得た、すごく頭のいい人だったんだと思います。
Nirvana「Nevermind」

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コメント

この記事へのコメント

自殺をとりあつかった映画

以前自分のブログでも書いたんですが、昨年近親者を
自殺で亡くしているんですよ。私。
今もなお、残された人たちを苦しめるのは、なぜ彼を止めることが
出来なかったのか、ということなんです。
死んでも今もなお、どこかで彼をとめようとしているんだろう。
まずは彼を理解しなくっちゃいけなかったんだろうに。
彼と同じ空気を吸い、彼と同じ時間を過ごしていたなら…。
そんなことを感じました。

●Kazuccineさん。

ガス・ヴァン・サントもこの映画に、
そういった切実な思いを込めたのかもしれない。
突き放しているようでいながら、すごく愛情込めて人物を造形している。
彼の感性をリスペクトしていたからこそ、
本当に大事に描き出したかったんだろうなぁと思う。
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