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2019-11
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LGBT可視化に向けて007●尾辻かな子さん講演会「虹色の社会をめざして」聴講記② 表現者

 時代の変化を感じた挙手

 講演ではまず「性的マイノリティに関する基礎知識」の説明がありました。スクリーンにテキストを映しながら様々な用語の説明が行なわれます。

 正直、当事者である僕としても、これまでの人生で何処かで教えられたわけではないので、わかっていない部分もたくさんあります。僕らは自分たちのことを、独学で学ばなければならないのです。

 よし。この際だからしっかり聴いておかなくっちゃとメモを取りまくりました。自分が本当に関心のあることだから、学ぶことが「楽しい」と思えます。

 「身近な人に、LGBTであることをカミングアウトされた人、どの位いらっしゃいますか?」

 尾辻さんが会場に向かって質問しました。これはなかなか興味深い質問。僕は自分が手を挙げるのをすっかり忘れて会場を見回しました。
 するとどうでしょう。なんと約半数の人が手を挙げているではありませんか。いや、もっといたかもしれません。一斉にたくさん挙げられた手の数を見て、尾辻さんも一瞬ひるんだ様子でした。
「おっ、けっこういらっしゃるんですね。すごい。」
 声が弾んでいました。

 この講演会はLGBT問題に関心のある人や、LGBT当事者もかなり集まっていたようなので比率が高いのはある意味当然なのですが、会場の大半を埋め尽くした国際基督教大学の学生達も、かなりたくさん手を挙げていたのには驚きました。この大学では普段から活発なサークル活動や講義が行なわれているようですし、恐らくオープンに振る舞っている学生がキャンパス内に何人もいるのでしょう。僕は、自分が大学生だった10年前には考えられなかったその光景に驚くと同時に、心の底から嬉しさが込み上げて来るのを感じました。すごいぞICU!時代は変わって来てるんだ!

 同世代としての共感

 実は・・・尾辻かな子さんと僕、同世代なんです。彼女の講演で語られた「ライフヒストリー」を聴いていたら、なにかと時代的な共通点が多く親近感を抱きました。

 尾辻さんも講演で発言していたように、僕らが大学生の頃はインターネットは普及していませんでした。パソコンですら、やっと普及し始めた頃。ノートパソコンが出始めた頃かも(笑)。「これからはパソコンを使えなきゃ駄目だ」ということで大学の授業で「ワープロ」を「一太郎」で習っていた記憶があります。(その頃は「Word」よりも普及してたんですね~。笑)。しかもクラスのほとんどの人たちが「パソコン初心者」であり、皆でひぃひぃ言いながら苦労してキーボードを叩いていたことを憶えています。

 その時代と今とでは、同性愛者を取り巻く精神環境もかなり変化しています。現在では同性愛者は、その気になれば簡単に「自分と同じ仲間がいる」ことを知ることが出来ますし、ブログやmixiを通して交流も計れます。きっと今では小学生や中学生でも思春期に「自分が同性を好きになった」ことに気付いたとき、それがどういうことなのか、親に相談できなくてもネットから情報を得ることが出来るのでしょう。家族や友人とは分かり合えなくても、ネット上の精神的な家族の一員になることは出来ます。そう考えてみるとこの10年の情報環境の変化は革命的です。

 ネットに親しむことが出来ない思春期を過ごした「最後の世代」である尾辻さんや僕は、同性愛者であることに最初に気付いた時、そんな自分をどう処理していいのかわからず、一人で抱え込んでしまって強烈に鬱屈した最後の世代と言うことも出来るのかもしれません。
 もちろん今でも「周囲の人に対して言いにくい」状態に悩み、同じように鬱屈する小・中学生はたくさんいるでしょう。しかし少なくともネットを見れば「同じような人たちがいる」という精神的な安息を得ることは出来ますし、ゲイ雑誌や同性愛絡みの書籍をネットで購入することも出来ます。

 僕がなにを言いたいのかというと、「尾辻かな子」という政治家が誕生した背景には、そうした時代環境の中で強烈に鬱屈した思いが、確実に原動力になっているだろうということです。もし彼女が「ネット普及後」に思春期を過ごしたのだとしたら、ここまでパワフルにエネルギッシュに活動する政治家になることは、なかったのかもしれません。彼女はいわば、僕らの世代の落とし子。同じ時代を同性愛者として生きてきた僕には、彼女の根源にあるものが、自分と似たような感覚として理解できるんです。

 彼女を動かすエネルギー

 彼女の根源にあるのはきっと「怒り」なんです。不当に鬱屈せざるを得なかった過去の自分を取り巻いた社会環境に対しての怒り。そして、その怒りの炎を前向きなエネルギーに変え、彼女は政治家と言う道を選択したのです。

 彼女が面白い発言をしました。

「私は政治家になるために政治家になったのではなく、世の中を変えたいから政治家になったのです。」

 いい言葉だと思いました。多くの政治家は、自分の中に切実な炎を抱えることもなく、世の中に訴えたいことも大して無いまま、有権者の顔色を窺ってコロコロと政策を変える「ポリシーのない人たち」です。「自分が何をしたいのか」よりも「票になるのかどうか」を優先させて動く政治家の、なんと多いことか。特に、かなりの割合で存在する「世襲議員」の行動を見ていると「政治家になるために政治家になった」かのような印象を持ちます。そんな政界において、彼女のような人は本当に貴重です。彼女のような人こそ、真の政治家として存在しなければならないと思います。まだLGBTの法的権利が整っていない現代においては特に。

 「怒り」というのは、人が何かを表現をしたり、行動をする際にエネルギーとなる原動力。表現者というのは必ず、胸の内に「怒りの炎」を隠し持っているものです。

 「尾辻かな子」は政治家であるのと同時に表現者であり、本物の魂を持っている。
 僕はそのことを発見した時に、ものすごく嬉しかった。そして、同じLGBTの中からこういう人が出てきたのだという嬉しさで全身にゾクゾクするものを感じながら、その後の講演を聴き続けました。彼女の飾らない語り口に、自然と引き込まれながら。 FC2 同性愛Blog Ranking


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コメント

この記事へのコメント

政治家というのは、

本来、怒りから生まれるのでしょうね。同和問題への怒り、女性の賃金格差への怒り、LGBTの権利が認められない怒り。尾辻かな子さんのなさろうとしている事は、まだ世間の目に触れていない、問題にもなっていないために、大変な茨の道だと思います。非常に長い運動になるのでしょうね。
akaboshiさんの報告を読んで、尾辻さんは、大変丁寧にわかりやすく話される方だと、察せられます。「××をせよ!」的な檄文をちらしで配られたら、考えた事もない人は、引きます。ですから、とても上手い方法をお取りになったと、いたく感心いたしました。
私も、専門用語は朦朧としか理解できていないので、尾辻さんの講演を聴きたくなりました。HPも本も出してらっしゃるとのことですが、なかなかに魅力的な人柄と伺いますので、都合がつけば、是非一度、お会いしてみたいですね。

偶然ですが

尾辻さん、うちの兄と同い年でした。
と、いうことはakaboshiさんもうちの兄と同世代なんですね。
いや~、ブラコンでその年代が好きな私としてはうれしいな 笑(←何言っとるんだ!)
ICUの件ですが、彼らに近い年代の自分としてはなるほどなあって
感じです。学生時代にカムアウトしたことは前にも書きましたが、
それ以前からLGBTの友達が周りにいたっていう人も多かったんですよ。
そういう意味では、ゲイであることなどが、かなりカジュアルになった世代だと思うんです。
これ、いいことのように思える反面、差別や偏見の存在に疎くなる
可能性もあるのではないか、とも思います。
見えなくなったのに、確実に存在しつづけることが実は一番怖いこと。

●秋さん。

とても丁寧に、わかりやすい資料とともに語ってくれたので
まわりの学生たちも真剣に聞いてましたよ。
当事者を見たことがあると、また「食いつき方」も違ってくるみたいです。
やっぱり、友達に関係があることとなると、他人事ではなくなりますからね。

講演会ぜひ行ってみてください。
・・・秋さんって、どの地方の人なんだろう。
尾辻さんは6月に、関西方面での大学で講演を行うみたいですよ。
http://blog.so-net.ne.jp/otsuji/2006-05-29-3
もしお近くならぜひ。(ぜんぜん違う地方だったりして。笑)。

●Kazuccineさん。

そうみたいだね。
今の大学生の世代にとって、僕らの頃よりもずっと「身近」な存在になってきたみたい。
この世代が社会の中心で活躍するようになればどんどん
世の中も変わって行くのかもしれない。楽観的な観測では。

それと同時に、やっぱり制度を整えるべく引っ張る力も必要なわけで。
僕らの世代は、その役割を果たさなくちゃいけないんだと思う。
鬱積が根深い分、プラスの方向に燃焼させて(笑)。

僕らが大学生のときは、まだ日本で同性愛が「病気」扱いされてたらしい(!)
当時は知らなかった・・・自分が「ゲイ」だと思ってなかったから(爆)。

残念です・・・

私は生まれも住まいも東京なんです。
6月の講演には行けないけど、いつか機会は巡ってくると思います。じっと待ちますよ?笑

●秋さん。

東京で講演があるときには、ぜひ行ってみてくださいね~。
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