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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2019-11
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たかがテレビ018●「プリズン・ガール」のレズビアン描写

 かっこいいマフィアの男を恋人にしたばかりに金づるとして利用され、共謀剤で刑務所に送られた日本の女の子。
 4/18に放送されたDRAMA COMPLEX「プリズン・ガール」は、普通の日本の女の子が突然アメリカ連邦刑務所に収監され、様々な「凶悪犯たち」と一緒に過ごした633日を描いていました。

 僕としては新聞のサブタイトルに書かれていた「性転換のオカマ」がどのように描かれるのかに注目したのですが、実際に放送されたドラマでは「性転換者」の説明がなかったことを前回、問題視しました。視聴者を掴むための「ダシ」として言葉の持つインパクトが利用されたのではないかと思ったからです。

 今回は、ドラマの中でどのように「レズビアン」が登場し、あるいは「性転換者」と思われる人物が描かれていたのかを、振り返ってみようと思います。

 裁判所で判決を言い渡された主人公・朋美(安倍なつみ)は、全裸の身体検査等を経て、まずは鉄格子で覆われた独居房に入れられます。周囲の囚人たちの凶暴な怒鳴り声に怯えながら恐怖の時間を過ごす彼女。ハリウッドのサスペンス映画ばりに、おどろおどろしい音楽が常にBGMとして使われており、視聴者としては次第に「どんな凶悪犯がこれから出てくるのか」という期待を膨らまして行きます。いわば「怖いもの見たさ」という感覚が刺激されるのです。

 三日目にやっと独居房から出ることを許され、相部屋をあてがわれた朋美。ルームメイトと挨拶し、一人で部屋を出た時に突然、屈強で大柄な黒人の女性が現れ「ガシッ」と肩をつかまれ身動きが取れなくなります。
「おはよう新米。俺はルピータ。行こうぜ。」
 そのまま力ずくでルピータに刑務所内を連れ廻される朋美。小柄な朋美は抵抗できず、されるがまま。
「ほら見ろよ。みんな女同士で付き合ってんだ。」
 そう言ってルピータが指差した空間ではたしかに、すべての女性がカップルであるかのように親密に寄り添い語り合っています。

 やがて屋外にある、フェンスで囲まれた空間に案内される朋美。ルピータはそこにいる皆に紹介します。
「よお。俺の新しい彼女どうよ。」
 そこにもカップルらしき女性たちがたくさんいて、ルピータを囃したてます。
「よおルピータ。さすがに手が早いねぇ。」
 朋美に馴れ馴れしく顔を近づけるルピータ。
「こいつは俺のもんだ。・・・怖いだろ。ん?」
 朋美は怯えながら、あるカップルに助けを求めます。
「助けてください!」
 しかしそのカップルはしかめっ面で「なんか用かよ」と言ったかと思うと、朋美を見つめながらいきなり見せびらかすかのようにキスをします。驚いた表情の朋美のアップ。ルピータは、フェンスの隅へ朋美を連れて行きます。
「へっへ。おいで、こっちへ。ほ~ら。オレらも楽しもうぜ。」
 壁際に押し付けられる朋美。
「可愛い顔だね。ほ~ら、いいだろ。」
 ルピータは顔を近づけます。ついに朋美の唇が奪われるのかと思ったその時・・・
「おい、ルピータ放しな。」と呼び止める声。のちに友人となる韓国人(ユンソナ)が、危機一髪のところを助けてくれるのです。
「その子は、私のだよ。」
「何だよ、そうなのかよ。ちッ」
 ルピータは去ります。

 このルピータは女性の俳優が演じており、テロップやナレーションでも説明がないのでどう見ても「性転換者」には見えません。しかし、このドラマの中では最もその可能性が高い人物ではあります。男言葉で力まかせに朋美を連れまわし、強引にキスをしようとする「男らしい女」として描かれているわけですから。

 レズビアンらしき人々が描写されるのは、2分足らずのこの場面だけなのですが、ドラマ全体の中でこの場面に課された役割は「うわ~、刑務所ってこわ~い。」ということを視聴者に印象付けて、さらに今後のドロドロした展開への期待を高めることなのでしょう。この場面のバックにも、常に恐怖心を煽る音楽が付けられていましたし、見せびらかすようにキスをする醜悪なカップルなどがいて、主人公が「力ずくで犯されてしまうかもしれない」という恐怖と期待を視聴者に抱かせるための演出が満載だったからです。

 しかもこの場面に辿りつくまでに、すでに視聴者はさんざん恐怖心と好奇心を煽り立てられています。オープニングの番組説明やCM前の繋ぎテロップなどで「30人以上殺した殺人鬼」「子どもを殺した母」「一家全員がギャング」「5人の頭を斧でかち割った凶悪犯」の登場がセンセーショナルな言葉として示されているのですから。そこで満を持して最初に登場するのが、同性愛関係にあることが暗示された鬱屈した女性たち。「女しかいない閉鎖された空間だから、女同士が関係を持っている」という印象で描かれる人たちなのです。ここでは「入所前から、もともとレズビアンだった人たち」の存在はまったくと言っていいほど意識させられません。

 ゲイに比べ、ただでさえ一般メディアで取り上げられることの少ないレズビアンの存在。日本ではレズビアンを「キャラ」にしているタレントすらも見かけることがありません。たま~に取り上げられたと思ったら、このドラマや あのドラマのようにやっぱり旧来のステレオタイプが補強されてばかり。一般マス・メディアのこの状況は、何とかならないものでしょうか。

有村朋美「プリズン・ガール―アメリカ女子刑務所での22か月」

 原作本を、やっと本屋で見つけて買いました。ドラマの反響が大きかったらしく、売り切れが続出していたようです。普通の感覚の女の子が、普通な目でアメリカの「めったに見れない」部分を目撃したという意味では、とても面白い本だと思います。
 日本テレビで放送されたドラマでは、最後に彼女が「刑務所中のスター」になったかのような表現がされていました。彼女の「ある能力」が皆の心を捉えたわけですが、だからといって彼女が出所する際に「お祭り騒ぎのように」皆から満面の笑顔で送り出されるというドラマティックな描写には、うそ臭さを感じます。一人一人違うはずの人間を「その他大勢」として一面的に群集として描いてしまうテレビドラマの安易な描き方は、本質を考えようとする視聴者の知的欲求を「えせヒューマニズム」による安っぽい感動で雲散霧消させてしまうのではないかと思います。なおさら、原作本で本人の書いた文章に触れてみたくなってしまいました。(←これも出版社とのタイアップ作戦か?笑)。
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コメント

この記事へのコメント

お久しぶりです

このドラマ見たんですよ。
当時(といっても数日前か)、アパートでは新聞をとっていなかったので、
このドラマのことや、ドラマのキャッチコピーも知らなかったので、
何となく観ていたんですが、「性転換したオカマ」が出ているとは知りませんでした。
同性愛的な描写があるなあ、とは思っていましたけど。
ドラマはそれなりに面白い部分もあり、でも全体的に浅いものを感じましたが、
なんといってもセンセーショナリズムがうしろに見え隠れしましたね。
レズビアンの人って、ゲイ以上に難しい部分があると思うんです。
ゲイのようにあまり語られないけど、レズビアンのポルノってすごい多いですよね。
たぶん、ゲイポルノより多いと思うんですが、(統計取ったわけじゃないからわかりません)
ゲイポルノを見るのが、主にゲイ男性自身なのに対し、レズビアンポルノって男性向けでしょう?
ストーリーは「結局男がいいんだろ」的な展開なものが多いというし。
安っぽい性的な興味の対象としてもてはやされる部分、ゲイ以上にまじめな問題として
語られない傾向があるように思うんです。

ってことはこの本原作ではない?(笑)ドラマの原作ってことかな。私も当人が書いたであろう本を読みたいな。だけどユンソナは嘘をついて自分のオンナ、にして助けてあげた、ってことなのかな。結局この二人付き合ったことになってないですよね、多分。

なんかレズビアンは怖い~みたいになってるなあ。マフィアの彼と付き合った人だったらそれぐらいで怖がらない気もするけど違うのかねえ。でもほんとハロプロとこのドラマ枠、契約してるっぽいですね。なんかこういった種類のドラマばかり演じらなくちゃいけない女優さん達も選択視がないようでちょっと可愛そうとも思えるなあ。

●Kazuccineさん。

レズビアンのポルノって見たことないけど、そんなに多いんですか。
(↑ゲイってやっぱ、男に目が行きがちだから。笑)

最終的には「結局男がいいんだろ」っていう、男性からの視線になっちゃうんですね。
男が嫌いだからレズビアンなんだっつーのに(笑)。
・・・そこら辺が男にしてみたら、なかなか受け入れられない事実なのかも。

●flowfreeさん。

原作は、今読んでいる最中なのですが、ドラマよりもずっと詳しく
本人の主張や、その当時の気持ちが細かく書かれていて面白いです。
ドラマが、いかにセンセーショナルに作られていたのかがわかりますね、逆に。
もっと丁寧に演出して、映画化した方がいいんじゃないかと思いました。

ユンソナさんの役は、同じアジア人だから助けてくれたということらしく、
この一件をきっかけにして、その後二人はものすごく仲良くなるんです。
でも彼女はレズビアンというわけではありません。

このドラマ、変な「恐怖の煽り方」だとかラストの単純な感動場面さえなければ
もっと面白いはずなのに。安倍なつみさんは、とてもハマリ役で上手に演じてたから
こんな演出では、すごくもったいないと思った。
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