フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2017-11
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「yes」創刊の波紋010●僕を泣かせた記事のこと

 「ブロークバック・マウンテン」を見た人
 必読のレビューが掲載されています。


 昨日、食堂で「yes vol.2」を読んでいたら、自分でも予期せぬ事態に戸惑いました。
 「ブロークバック・マウンテン」に関する特集を読んでいたら、突然泣いてしまったのです。(もちろん声は抑えましたが。)しかも同じ記事を読みながら3回も。そんな自分に、自分で驚きました。
 その罪な記事とは、P.10~11に掲載されている「クローゼットの闇に迷い込まないための、ブロークバック山の案内図」という記事。
 すごいです、これ。・・・映画を観た後に読むと、かなりハマってしまう文章です。

 この映画に関するレビューはこれまでにもたくさん書かれているし、日本のメディアのものは僕も探してたくさん読んだけど、これほど胸をグッと鷲づかみにされた事はありませんでした。それはやはり、この記事が「ゲイ」の視点から率直に書かれているからだと思います。

 他のメディアがこれまで取り上げてきた、この映画に関する言説というのは総じて異性愛者(「ストレート」)からの言葉でした。もしかしてLGBTの人が書いたものもあったのかもしれませんが文章上は「ストレート」を装っています。そして読者としても「ストレート」の人たちを想定して書かれています。

 だから、ゲイの僕が感じた事とはだいぶ離れている印象を持つことが多かったし、僕としてもそれらの文章を読みながら
「ストレートはこういう風に感じるんだ・・・。」
「ストレートの人たちに向けて、こういう書き方で宣伝されるんだ・・・。」
ということを気にしながら、チェックするような気持ちで読んでいたように思います。どれを読んでも、この映画が果たした成果を本当の部分ではわかっていないのに、わかったつもりで格好付けて書かれているような感じだったし、曇ったフィルターがかかっているような感じもしていました。

 だけど「ブロークバック山の案内図」は違います。ゲイの筆者が、ゲイの読者向けに書いています。たったこれだけのことなのに、こんなにも大きな違いがあるのかと驚いたし、その分、予想もしていなかった強度で僕の胸に言葉が飛び込んできました。どうやらあまりにも無防備にそれに触れてしまったので、ショックで嗚咽してしまったみたいです。もともと理由がわかって流す涙などありませんが、後から「あの涙の意味」を必死で分析してみたところ、どうやらそういうことだったみたいです。

 この記事の中で、僕が特に強く印象に残ったのは、次の言葉でした。 

 映画は「これはゲイのカウボーイの話ではない。もっと普遍的な愛の物語だ」と宣伝されるが、これが「ゲイ」をプロモートしていないならば何だというのか。
 いやそれはしかし、右派の文脈での物言いである。これは「プロモート」ではない。
これはむしろ、汚名の返上なのである。「同性愛」というものに塗りたくられた歴史的文化的宗教的なスティグマを熨斗(のし)を付けてお返しする。これは実は頬かむりした確信犯の仕業なのである。

 こんなことをはっきりと言う文章、今まで出会いませんでした。そして僕自身も言う勇気を持てませんでした。「ストレート」側からの言説の嵐に飲まれ、それに対する抵抗感や違和感を、いつもの癖で押し込めてしまっていた自分の弱さに気が付きました。そして、現状のメディアがいかに「ストレート」側の言説に溢れているかということを痛感したし、なおさらLGBTの視点から発せられるしっかりとした言説に触れられるメディアの必要性に気がつきました。

 「ブロークバック・マウンテン」について、ゲイの視点から発せられるレビューが日本の一般メディアには今のところ「全く」掲載されていないという事実。それがこの国のLGBT言説の現状です。だからこそ、この雑誌の存在意義があるのです。そして、もっと力を持った媒体に育って行くべきなのです。

 「開かれた」そして「日常的な」LGBTメディアの必要性

 僕ら日本のLGBTはまだ、日常的に「自分たちの視点や感性」で発せられるマスメディアに接することが出来ません。相変わらず「ストレート」が常識とされる価値観で覆われたマスメディアばかりの中で、知らず知らずのうちにストレスを溜め込みながら生活しています。
 (たとえば僕の場合、「男らしさ」とか「女らしさ」を喧伝するテレビのCMを見ているだけでも違和感を感じるし、「男女交際」という風にしか恋愛が語られない場面で疎外感を感じます。・・・「自分は当てはまらないなぁ~っ」と思って変換作業をしてはいますが。笑)

 雑誌「yes」はLGBTの感じる感性から情報が発信されているので、少なくともこの雑誌を読んでいる間は、自分の感性に何の疑問も感じなくて良いので精神が解放されます。そして、LGBTであるプロのライターが熱意を込めて記事を書いてくれているので、僕らが本当に必要としている情報に接することが出来ます。(「マス」メディアとしては、今までこのような事はありませんでした。)

 さらにこの雑誌の画期的なことは、門戸を全ての人々に対して開いているということです。一般書店で他の雑誌と堂々と肩を並べているのですから、不特定多数の人が手に取る可能性があるでしょう。それこそが大事なのです。開いて、他者と出会ってぶつかり合っていかなければ、違う感性で生きている者がいることの存在すら知られないだろうし、世の中の本質的な発展というものは起こらないでしょうから。

 ちなみに、「ブロークバック山の案内図」を書いたのは、このブログでもあちこちの記事で紹介させていただいている、NY在住のジャーナリスト北丸雄二さんです。こんな文章が書けるなんて本当にスゴイと思うし、特にこの記事は最高の仕事だと思います。
 「yes vol.2」に載っていた経歴によると北丸さんはかつて、文芸誌「ユリイカ」に太宰治や島尾敏男のクイアリーディング分析なども執筆したことがあるらしいので、ぜひ読んでみようと思います。
 尊敬すべき文筆家に出会った興奮が、喜びに変わりつつあります。

☆このブログ内で、北丸雄二さんを紹介させていただいた記事一覧
    「yes」創刊の波紋001●フツーの感覚で買えるGAY雑誌の衝撃
    「yes」創刊の波紋004●アメリカのゲイTV局「Logo」のフツーっぷり
    ブロークバック・マウンテンで見る世界003●UAEでも上映禁止
    「yes」創刊の波紋006●「vol.2」の購入を前に

●「yes vol.2」
●「yes」オフィシャル・サイト
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コメント

この記事へのコメント

どうもです

yesをまだ買ってないんですが、ぜひ記事を読んでみます。オレはずっとギモンなんですが、アニー・プルーはゲイですか?オレは彼女はストレ8だと思っててどうしてこんな短編を書けたのだろうか?と正直ずっと引っかかってます。ゲイの男性がゲイとして書いた短編なら簡単に理解したんですが、原作の場合、女性が書いた、または描いたホモセクシュアルなので、映画のスクリプトにどこまでゲイが関わってゲイの本質らしく作り上げたのか?興味あります。この映画のホモセクシュアルに関するコメントや記事が様々な立場や角度からされていて、どのようにこの映画を受け止めたのか?(ゲイもストレ8も女性も)そしてアカデミー賞の獲得数の件についてもいろいろなコメントがありさらにこの映画の深みにハマって行くようでおもしろくないですか?すいません、オレはなにやら不謹慎で。

な、泣いちゃいましたか。。。結構感情的にリンクするところがあったんですね。私は映画観てる途中で結構泣いてましたが。特に書いている当人の主観性や政治性が入るとやっぱり文の中身も変わり感じるツボ?が出てくる気がします。

翻訳本

こんばんわ。ご存知の方も多いとは思いますが、北丸雄二氏は英米小説の翻訳もされていて、それらの本の「訳者あとがき」は、その小説に関してだけではなく、過去から出版時点までの、その国のゲイ(LGBT)の人々をとりまく社会的状況の概説などを含んだもので、非常に興味深く、教えられること、考えさせられることが多いです。訳出小説に関しては、もともとの作品自体どれも素晴らしいものなのですが、訳文に関するこだわりも強く感じられ、またそれがうまく作用していると思います。北丸氏が別の小説を訳されているアラン・ホリングハーストの、2004年のブッカー賞受賞作"The Line of Beauty"も、氏の訳で出版されないものだろうか……と思っています。

●kenjikenjiさん。

アニー・プルーさんは「女性」だからゲイではありません。
作家というのは本人の性別に関係なく、
登場人物としての男性の気持ちも女性の気持ちも書けるものだろうし、
世の中の作品のほとんどは、そういった構造で成り立ってます。
他人に対してそういう想像力を持てる人が、作家になるんだと思う。
だから、この映画にゲイがどの程度関わって・・・云々という点に関しては
僕は興味がないし、考える必要のないことだと思う。
作品自体を観れば、「他者」を想像する能力のある人たちが集まって作られたことは
十分伝わってくるから。

●flowfreeさん。

泣いちゃいました。
僕も映画を観ながら、けっこう来ましたよ(笑)。
でもなぜか、その時よりもさらに激しくこの文章には泣かされました。
・・・びっくりです。

●石公さん。

北丸さんの情報ありがとうございます。
歴史的な背景とか、社会の状況を知った上で作品に触れると
さらに感じ方が深くなりますよね。
「ブロークバックマウンテン」に関しても、あの時代の様々な背景を知った上で
また何回か観てみようと思っています。

akaboshiさん、こんにちは。
「メーキング・ラブ」のことでレス頂いてたんですね、こちらにまとめてしまします、すみません。
「メーキング・ラブ」は拙ブログにも書きましたが、82年にあんな話(結婚後にゲイであることに気づき妻と話し合って離婚、そして男の恋人と同棲)が映画化されたことで、私はアメリカ映画界がヨーロッパ並みに開けているんだと思い込んでましたが、「BBM」まで20年以上、暗黒時代が続きましたね。

北丸さんの「yes」2号の記事は、そうですねー、なんだかんだいっても「BBM」は男二人の愛の物語。特にアメリカ映画界で、カウボーイでありゲイであるという映画は御法度だったわけで。
支離滅裂ですが、とにかく「yes」は今後もプッシュさせていただきますね。

私が拙ブログをはじめた頃、「BBM」に関してゲイの意見も聞いてみたかったけど、女がしゃしゃり出てどう思われるか、と心配でした。「女に男の気持ちがわかるはずがない」と言われてはそれまでですし。でも、akaboshiさん、kenjikenjiさんがコメント寄せてくださり、うれしい限りです。

「BBM]原作のプルー、脚本化に積極的だったダイアナ・オサナ。共に女性ですね。彼女たちがいなかったら映画「BBM」も生まれなかったと思うと感無量です。

メディア、社会のあり方

まだYES読んでいないんですが、akaboshiさんの
記事を読んだだけで色々考えることが多いです。
メディアもそうなんだけど、学校現場でも、
LGBTを語る時、「いないもの」として語られていることが多いんですよね。
同和教育でも、性教育でも一応は触れられるけど…。
大げさにいうと、私が教員になったのも、
LGBTを「いるもの」として捉えて、教育を少しでも変えていきたかったから、
というのがあるんです。
ブログやってるのもそうですね。
LGBTという「自分」が何かを伝えたかったからです。

ありがとう

物書き冥利に尽きます。

>びあんこさん

わたしの尊敬する師はパトリシア・ネル・ウォレンという女性作家です。そう、あの「ザ・フロント・ランナー」を書いたひと。ゲイを書いて秀でたのは、アニー・プルーとあわせて奇しくもアメリカでも2人の女性作家です。足を向けて寝られません。

>石公さん

いろいろご紹介いただき恐縮です。
ありがとうございます。

お久しぶりです。昨日某大手書店で、"yes"を見つけましたよ。「メンズファッション」の棚にありました。表紙の感じから、そのコーナーが馴染むんでしょうが、「メンズファッション」・・・ファッションかー・・・ファッションねー・・・と何とも言えない気分になりました。中身は読んでおりません。(がっちりビニールがかかってたので)

>きたまるさん
はじめまして、コメントありがとうございます。
「フロント・ランナー」の作者も女性なんですね。パトリシアだからそうに決まってるのに、アニー・プルー、ダイアナ・オサナのときと同様、男性だと思い込んでおりました。
「フロント・ランナー」はポール・ニューマンが映画化しそうだったのに流れて残念でした。あれから30年以上たちます。これからでも映画になると嬉しいのですが。

●びあんこさん。

「メーキング・ラブ」について追記ありがとうございます。
妻と「話し合って」離婚というのが、なかなか見かけないタイプのゲイ映画ですね。
「メゾン・ド・ヒミコ」と状況は似ていますが、「話し合う」場面は出てきませんし、
その後の父と娘の屈折した思いがぶつかり合うことに焦点を当てた映画でしたから。

「ブロークバック・マウンテン」は、アニー・プルーさんとか、ダイアナ・オサナさんら
女性達によって生み出された「力」が社会現象を巻き起こして、
世の中に大きな影響力を与えたわけですね。
女性的な感性の一つに「融和能力」があると思うのですが、
まさにそこから生み出された作品だと言えるでしょう。
・・・「男たち」は、カッコつけてばかりでホント、駄目ですね(笑)。

●kazuccineさん。

その姿勢、スゴイと思います。本当に応援してますよ。
「いないもの」とされたり、「存在を認められてない」と感じることほど
人の心の中に憎悪を生むものは無いと思います。
これはLGBT問題に限らず、世界中で起きているあらゆる「争いごと」に当てはめて
言えることだと思う。

●きたまるさん。

再度お越しいただきありがとうございます。
僕の気持ちが伝わったというだけでも、すごく嬉しいです。
僕はこのブログを始めた事で、LGBTの歴史だとか文化の変遷に
とても興味が湧いてきました。北丸さんの著作も読もうと思います。
今後も精力的にご活躍ください!

●凪さん。

どうもお久しぶりです~。
FC2にブログを移されたんですね。今後もヨロシクです。
「yes」、袋とじにされてましたか。
LGBT雑誌だと気付かずに買ってしまう人が続出しそうですね(笑)。
中味を見ると、ゲイの話題ばかりではなく、レズビアン向けの記事もありましたから
ぜひ、買ってみてください~(・・・完全にセールスマンと化してますね。笑)

こんばんは☆彡

TBありがとうございます。
『yes』は新宿のタワレコで買いました。
日本で誰でも気軽に買えるようになるなんていい時代ですね☆
私はまだ全部は目を通していないけれどakaboshiさんのブログを読んでもう少し深く理解しようと思いました。

●mizuyuriさん。

発売日の頃は、あちこちで売ってるのを見かけてやはり感動しました。
内容も盛りだくさんで字もぎっしりだから、実はまだ全部読み終えていません(笑)。
まだ紹介したくなる記事がたくさん出てくると思います。

はじめまして

akeboshiさま、みなさま初めまして。GSと申します。私は現在まではストレートの♀です。どうか書き込みを、それもみなさまに遅れること1ヶ月以上ですが、どうぞお許しください。
私もこの北丸さまの寄稿を読み、涙した者です。上のakeboshiさまの文を読み、また涙の二次被害?です。北丸さまのあの文は、あの映画の真髄、構造、インパクトを見事に暴いて見せた(勿論いい意味で)、BBM関連における(日本は勿論、世界的にも)最高のレビューだと思います。ここに北丸さまがおいでになっているのにも驚き、感激しております。プルーの原作の翻訳も、できれば北丸さまであったならと正直なところ思います。
映画BBMを見て、私は感動するとか心を揺さ振られるとかをはるかに超えて、いやおうなく自分が変わらざるを得ませんでした。一番認めたくなかったこと~性的に欲求不満であること、自分の限界など~を、自然と認める気持になりました。こんな告白ができる自分が不思議にも思えます。BBM前に比べBBM後の今、実に正直で楽でいられるのです。
自分語りなどして申し訳ございませんでした。こちらは以前から楽しく拝見しております。
akeboshiさまのご活躍を心から楽しみにしております。

失礼いたしました

akaboshiさまです。akeboshiさまではありません。大変失礼いたしました。お詫びいたします。

●GSさん。

僕も北丸さんの「ブロークバック山の案内図」には計り知れない衝撃を受け、
しばらくショック状態が治まりませんでした(笑)。
将来きっと、「僕の人生を変えた文章」として振り返ることになるのではと確信しています。
そう出来るかどうかは、これからの僕にかかっているんだと思います。

ありがとうございます

さっそくのお返事、大感激です。私も、北丸さまの珠玉の言葉が体を一度通り抜けたこれからが、大切になると思っております。本当にありがとうございました。
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ブロークバック・マウンテン関連の雑誌買いました

今日はここ1週間で買った雑誌のこと書きます。タワレコで去年創刊された雑誌yesのVol.2が発売されました。この雑誌は日本では珍しくLGBTの方々向けの情報ばかりの載せていてとても進歩的なんですよね{/face_yaho/}前は僕の恋、彼の秘密に主演していたトニー・ヤンが表紙だっ

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