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フツーに生きてるGAYの日常

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2023-06
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ウォンビン兵役報道に思う002●国防省のインタビューと写真公開される

以前「ウォンビン兵役報道に思う」を書いた際にはたくさんの反響をありがとうございました。その後新しい動きがありましたのでお知らせします。2月10日、ウォンビン(元彬)の最新の動向が韓国と日本のマスコミで報道されたのです。

情報源は韓国の国防機関紙「国防日報」。軍隊内部で活動するウォンビンのインタビューや写真が配信されました。閉鎖空間の中にいる国民的スターの動向に飢えている韓国マスコミは、国防省の狙い通りにこぞって取り上げたようです。朝鮮日報のサイトから、インタビューの様子を引用します。

ウォンビンはこのインタビューで
「軍生活の間はスターのウォンビンではない。当分の間、一切の写真撮影やインタビュー、ファンへのサインはしない考え。ただ平凡な軍人として軍生活を送ることに専念したい」とし、
「軍での生活が自分に対する自信につながると思う」とした。
 また、「一緒に服務している部隊員たちが人生の目標を持って軍生活をしているように、僕も人生の目標に向かって軍生活に最善を尽くしている」とし、「2年後に成長した姿でファンの方々に会いたい」とした。

中央日報のサイトでは彼の任務状況を以下のように伝えています。

ウォンビンは、江原道華川7師団隷下のサンスン連隊GOP(地上観測所)大隊・18警戒所で勤務中。04年11月に設けられた新しいテントで、7人の戦友と同じ部屋を使っている。小隊員数は約30人。ウォンビンは小隊の2番手として毎晩鉄さくの警戒に当たっている。7日には、夜間警戒勤務のうち最も厳しいと言われる深夜0時から未明までの勤務組に編成された。同未明、華川付近の体感温度は氷点下20~25度で、強風のなか雪まで降った。

この情報は日本では産経新聞、サンケイスポーツ、スポーツニッポン、スポーツ報知で報道されました。以前からそうなのですが、韓国の兵役に関する報道を最も積極的に欠かさず行っているのは「フジ・サンケイグループ」発行媒体のようです。今回は他のマスコミ各社は報道を見送ったようですが、この情報は明らかに韓国国防省のプロパガンダ色が強いため、賢明な選択だったのではないでしょうか。
「軍での生活が自分に対する自信につながると思う」
「僕も人生の目標に向かって軍生活に最善を尽くしている」
・・・これこそが、韓国社会における模範的な男子に求められる発言なのでしょう。
しかし模範的な「オモテ」の奇麗事の裏には必ず「裏」があるものです。前回の記事のコメント欄に「みどる」さんが寄せてくださった発言を紹介します。

韓流が浸透する中で兵役について色々知りましたが、どうやら兵役を務め上げることは社会的な責任を果たし、一人前の男として認められるために不可欠とのこと。言い換えれば、女性は同じような形で社会的名誉を得たくとも兵役を務める手立てが無いわけで。強制的に軍隊へ送られる韓国人の男性が可哀想な面もありますが、この男性だけの兵役義務は女性差別でもあると思います。

ホモソーシャルな韓国社会

「一人前の男」という言葉が象徴するとおり、韓国社会というものは、軍隊生活を立派に勤め上げることによって生まれる「男性同士の連帯感」(=ホモソーシャルな関係)が非常に濃厚であり、重用視される社会であるようです。
軍隊での過酷で厳しい生活を共有し、同じ苦労を経験したということでの理屈を超えた部分での同士愛=男同士の感情的な結びつき。

当然、女性はその輪の中に入れません。いくら女性たちが社会人として頑張ったとしても「所詮は女。軍隊生活も経験していないくせに。」という感情を、男性たちはきっと、本音の部分で抱えていることでしょう。

また、男性の中にもその輪の中に入れない人が出てくると思います。体力的な理由や、集団生活での人間関係のもつれ等で精神的に追い詰められたりして軍隊生活を「健全に」全う出来なかった男性は「男として失格」の烙印を押されるということでしょうから。
イ・チャンドン監督が映画「ペパーミント・キャンディー」で描いた主人公は、そうした「不器用な」男性でした。元来、気が弱く集団行動ではモタモタしてしまうような、どこにでもいるような普通の人。個人の資質や性格には関係なく兵士として訓練されるので、ちょっとした事故や気の緩みから、取り返しようのないトラウマを抱えるかもしれない危険と、常に隣り合わせの生活を強いられるのです。

軍隊というのは人間を、ある一定の正解=国防のために効率よく動ける人間へと「矯正」する機関です。
しかし当然、人間には「向き」「不向き」があります。国の求める正解を正解だとは思わない人だっています。
「自分には軍隊が向いている」と思う人が選択肢の一つとして選んで入隊するのならわかるのですが、明らかに自分には「不向き」だと感じている者までが強制される制度というのは、いかがなものでしょうか。
ましてや「男性的に」振る舞うことに抵抗を覚えるタイプの人たちやLGBTの存在など、最初から全く無視した制度であると言えるでしょう。

女性たちにとっても、「女性である」という理由で入隊できないというのは、軍隊生活が社会的ステイタスと密接に関係しているのならなおさら不平等です。女性たちの可能性を最初から不条理に規定してしまっているのではないでしょうか。

ウォンビンは国防省のインタビューに「当分の間、一切の写真撮影やインタビュー、ファンへのサインはしない」と発言しているようですが、今後も軍隊内部で彼が模範的に行動し成果を挙げるたびに、国防省の広報部から都合よく情報がリークされ続けるでしょう。きっと本人の意志とは関係なく。結果として、若者たちが本音の部分では抱えているだろう不満や制度矛盾への「毒消し」の役割が、彼に期待されていることは明らかです。

今後、ウォンビンがどのように報道され続けるのか。注目しつづけるために記事をシリーズ化することにしました。今後も、「韓国の徴兵制」についてご存知のことや、周りの友人たちの話などをお寄せいただけると嬉しいです。
この問題に関する僕の最大の興味は、韓国のLGBTたちの本音。表立っては語られないけれど、確実に苦しんでいるだろう彼らの生活について、もっと想像力を持ちたいのです。

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コメント

この記事へのコメント

問題提起が多いですね

「一人前」の人間って何なんだろう、と考えました。
兵役制度のない日本では、感覚的にわからないことも多いですね。
私は体も弱いし、精神も弱いし、間違いなく兵役は無理のような気がします。
韓国に生まれていたらどうなっていたことか。
同性愛には、特に男性同士のそれには、女性蔑視とか女性排除の傾向があると思うんですけど、
韓国の場合、その傾向が強いのかもしれませんね。
うーむむ、色々なことが頭に浮かんできます。

●kazuccineさん。

社会から要請される「一人前」って、
国や時代が違えば変わるものなんですよね。
そのことを素直に受け入れられない人として生まれついてしまったので(笑)
だったらとことん、「なんで素直に受け入れられないのか」
考え続けようと思ってます。
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