石原都知事の同性愛者差別発言を受けて23●石川大我さん●「人のために思いを馳せる想像力」が足りない #ishihara_kougi

1月14日(金)開催「石原都知事の同性愛者差別発言、なにが問題か?」の映像公開第7弾は、石川大我さんのお話です。
石川大我さんはNPO法人ピアフレンズにて、10代・20代のゲイのための友だち探しイベントを主催。著書には、『ボクの彼氏はどこにいる?』 (講談社文庫)
●石原都知事の同性愛者差別発言、なにが問題か?07●石川大我さん
■YOUTUBE「石原都知事の同性愛者差別発言、なにが問題か?」PLAYLIST
島田暁(司会)
はい、それでは第一部最後の方となります石川大我さんです。石川さんはですね、NPO法人「ピアフレンズ」という団体でですね、10代や20代のゲイのための友達探しイベントというのを約10年間続けてらっしゃる・・・
石川大我(NPO法人ピアフレンズ)
そうです、2002年からですね。

はい、8年9年続いてらっしゃいました。そしてですね、著書『僕の彼氏はどこにいる』ですとか『「好き」の?が分かる本』など、どちらもターゲットとしては若者を中心とした著書などを書かれているんですけれども、そうした活動とですね、実際、国に対しての働きかけを行う活動などをだんだん行い始めているということですので、若者支援の現場から実際にそういうことを施策として反映していく、そこで得たものを反映して行くというのはどのような活動をなさっているのか、そのことをお話いただければと思います。
石川大我
はい、わかりました。皆さんこんばんは。NPO法人「ピアフレンズ」の石川大我と申します。皆さんお気づきじゃないと思いますけれでも、このスケジュールがですね、実はゼロ分押しで今僕のところにやってきているんですね。島田さんの見事なタイムチェックにビビっていますけれども(笑)。ぴったりで来ているんですよ、実は僕のところまで。こんだけ人数がいるんだから絶対に押すだろうというふうにずっと思って、最後の僕はどんだけ縮めないといけないんだろうとヒヤヒヤしていたんですが、ゼロ分押しで来ているという奇跡的な・・・
島田暁
たっぷりしゃべって下さい。(笑)
石川大我
・・・達成できるかがかかっていますから頑張りたいと思いますが。NPO法人「ピアフレンズ」はですね、10代20代の孤立するゲイユースのための友達作りイベントを2002年から開始しております。そして、僕自身は千葉県の人権施策推進委員会というところの委員としてですね、千葉県の人権指針を点検して改訂して行く。僕がいる前には作るということもやっていたんですけれども、そういったところにも関わっています。そしてまた、今日も何人かいらっしゃいますけれども、NHK教育テレビの「ハートをつなごう」のゲイ・レズビアン・LGBTの特集なんかにも出演しているという経験から今回の石原発言をとらえていきたいなと思っております。

島田暁
そっか。あと、いたとして美輪さんとか・・・
石川大我
とか色々考えたりするわけですね。それで本当に自分がいろんなところでしゃべったり、いろいろ活動しているわけですけれども。自分と同じ存在、ゲイのいわゆる一般的にいるゲイの当事者と出会うまでに生まれてから26年・・・26歳の時だったんですね。かなり遅咲きな僕だったりするんですけれども。つまりなんで26年かかったかというと、自分と同じ当事者に出会うという事が凄く怖いと思っていたし、それはつまり自分の中に差別意識というか、ホモフォビア(同性愛嫌悪)が中にあったという事なんだと思うんですけれども、
島田暁
後から振り返ると避けてたという事なんですか?

考えないでおこうと思ってました。大人になったらこれは治っていく、変わっていくから、とりあえず今は何も言わないで自分の中にしまっておこうと思っていたんですね。こうした孤立とか否定的な感情というものが影響して、例えばゲイの当事者の自殺企図率、自殺を試みる率が非常に高いんですよね。ですので、こうした孤立するゲイの当事者に対して同じ仲間として「ピアカウンセリング」という名前がありますが、ピアサポートとしてのピアフレンズなんですけれども、ピアサポートとして何かできないだろうかと皆で考えた時にですね、こうしたイベントをやりましょうと思いました。
このイベントというのはキーワードというのが3つありまして。「昼間」に「お酒抜き」で「公共の施設でやる」と。つまり、新宿二丁目というは同性愛者の街とされますけれども、どうしてもお酒を介してのコミュニケーションになってしまうんですね。でも思春期に自分が同性に向くっていうときに、やっぱり中学生・高校生はお酒の場に行く事ができませんから自分と同じ仲間に出会うのは困難なんですね。で、やっぱり自分と同じ存在である事によって、「自分はいてもいい存在なんだ」と肯定的に自分の事をとらえられるわけですけれども。そういったプロセスが圧倒的に不足している。
それどころか学校の現場を見てみるとですね、同性が好きである事が非常にネガティブに否定的に語られる場合が多いのですね。「ホモ」といった差別語に象徴されるように男同士でくっついていると「お前らホモか」と言ってヤジが飛んで来る。家に帰ってみるとテレビでは同性が好きである事をお笑いのネタに使っている番組を見る。それに対して自分は隣で笑っている。家族も笑っている。自分も仕方なく。自分は隣に座っていて笑っている家族を見て自分も合わせて笑わなければいけない。というところで、自己否定がどんどん繰り返されて行く訳ですよね。

よく行政の担当者とか教育機関の人に言ったりすると、同性愛者の悩みを言ったりすると「いや、同性愛者の悩みって無いと思います。なぜなら自分のとこにはそういった悩みは来てないし、行政の中でもそういった声は上がりませんから、そういった問題は無いんだと思います。」とよく言われてしまう事があるんですけれども。実は当事者はこうやって、言う事が出来ない。
島田暁
相談員が理解してなかったら、傷ついて逆にまた被害を受けてしまいますからね。「足りない」とか言われちゃったりね。「すぐ治るよ」とか言われちゃったりね。(笑)
石川大我
そうですね、はい。それでですね、「足りない」というそのキーワードなんですけれども、一つは石原慎太郎氏には「想像力」が足りないという風に思うんですね。もっと詳しく言えば「人のために思いを馳せる想像力」だと思うんですね。つまりどういったことに傷つき、そして行政にどうして欲しいかというのは当事者がいちばんよく知っていると思うんですけれども。例えば政治家や職員が全て自分が当事者として対応する事は出来ない、という時に、やっぱりそれは想像力だというふうに思うんですね。その「想像力」がやっぱり彼には欠けていると思っております。

島田暁
家族と一緒に見る事が出来ないから?
石川大我
そうですね。親にカミングアウトをしていない。自分がゲイでることを隠しているから居間のテレビではなくて自分の部屋のワンセグで見ている。といったような反応が返ってきて本当にピアフレンズの参加者がわっと増えたんですよね。で、つまりそういった事の真逆の事をやはり石原氏はしていると思います。一人の作家としてではなくて、やはり日本の首相の次に影響力があるなんて最近は・・・。
島田暁
都知事はね。
石川大我
はい、言われていますけれども。都知事としての発言ですから責任は大きいなというふうに思います。で、2つ目の「足りない」ですけれども。日本にはアニタ・ブライアントが足りないと思っていて、石原氏はアニタ・ブライアントとしては非常に足りている存在であったと思っている。なぜなら差別的だからということなんですけれども。

島田暁
そう来たか。(笑)
石川大我
私達をこれだけ集めさせて、誰かが言わないとこれだけ集まらないと思うんですね。こんだけの人達が。
島田暁
石原都知事が足りなかった。
石川大我
はい。ヒール役が僕は足りなかったかな、と思っていて。ある意味僕は「石原慎太郎さん、ありがとう」というふうに言ってもいいんじゃないかなと言うふうに思っているんですね。ただ、これは本当に始まりの始まりだと思っていて。やっぱり具体的な獲得目標をきちっと設定して、ただ雄叫びをあげたというだけでは駄目だと思うんですね。
つまり我々が孤立して足りないものだらけだったというか、足りないというよりも社会的に「ない」というか「いない」存在。「た・り・な・い」というか「ない」存在だった私達だったと思うんですけれども、この10年間。僕もこの活動をして10年になりますけれども、パソコンが普及して急速に私達がつながり出している。ちょっと前までは、政府の人達、役人の人達に「私達同性愛者は何人います」と言うことすら中々困難で、「で、あなたが同性愛者だということは分かったけれども、じゃ果たして何人そういった同性愛者がいるんですか?」と聞かれた時に、結局日本に統計が何もない訳だから外国の文献に頼らざるを得なくて、そうすると「いやぁ、それは外国の話でしょ」という風に言われちゃっていたんですね。

例えば例をあげますと、海外の同性婚の時に必要な「婚姻要件具備証明書」というのがあるんですが、それはですね、ちょっと説明をすると海外の同性婚が出来るところがありますよね。そこに例えばイギリスなんかもあって、エルトン・ジョンさんなんかがいたりする訳ですけれども、僕がもしエルトン・ジョンさんと結婚が出来たとするとですね、ま、出来る事はないと思いますが(笑)。あの~婚姻要件具備証明書というもので、つまり「日本において石川大我という人間が結婚をする用件を満たしている」というのを証明しなければいけないんですね。重婚とかそういうことを避けるために。
で、その時の証明書というのに相手の性別欄というのがあって、その相手方の性別欄という所に、石川大我=男、相手方の性別欄に、エルトン・ジョン=男となると、それでその婚姻要件具備証明書というのを発券しないという不利益が、それに対してこれだと、実質的に法律上は海外で同性婚が認められているのに、あの~
島田暁
日本で持ち出す資料が出ない。

出ないから、日本人が国際結婚、海外で同性婚をすることが出来ない。それに対して行政との交渉の中で「独身証明書」という別の証明書を出すという形で解決をして行ったという例があるんです。だから、きちんとルートとか方法なんかを踏めば世の中は変えられるということを、だんだん私達がわかってきた。それをやはり成功体験って言うんですかね。その成功体験というのが私達は実はまだ足りないので、そういった成功体験をお互いに共有する事によって、やっぱりより良い社会が出来てくるんじゃないかなという風に思っております。4分も押してしまいました、すいません(笑)。ありがとうございました。
島田暁
ありがとうございました。→FC2 同性愛 Blog Ranking
当ブログ内 石川大我さん出演映像
●YOUTH TALK ABOUT JAPAN これからのパートナーシップ(2006年11月)
■YOUTH TALK ABOUT JAPAN これからのパートナーシップ PLAYLIST
●セクシュアルマイノリティを正しく理解する週間(2010年5月)
■セクシュアルマイノリティを正しく理解する週間 PLAYLIST

『しみじみと歩いてる』
★座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル「コンペティション部門」に入賞しました。
2月13日(日)10:00よりコンペ部門4作品連続上映。(当作品は12:30より上映)前売1000円/当日1200円。
審査委員長:田原総一朗、審査委員:吉岡忍、森達也、岩井真木子、佐藤信、橋本佳子。当日19:00よりコンペティション部門公開審査会(Ustream中継あり)。
→第2回 座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル公式サイト
★3月に東京で自主上映会を開催します。
3月21日(祝)13:20/15:20(2回上映入替制/1200円)
会場:なかのZERO視聴覚ホール
監督:島田暁/2010年制作 77分■制作:akaboshi企画
2006年10月から、大阪の御堂筋を性的マイノリティとその友人たちが歩く『関西レインボーパレード』に通いながら出会ったレズビアン、ゲイ、MtFトランスジェンダー、FtMトランスジェンダーそれぞれの日常生活、それぞれの違い、家族へのカミングアウト、仕事場や人間関係における葛藤、苦しみ、そして喜びを描いたドキュメンタリー。ゲイである監督の視点からまとめました。
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