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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2023-06
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メディアと性的マイノリティ12●「オカマ」は差別でもある~ゲイ視点からだけで「オカマ」を肯定する問題点



 2010年10月17日(日)に開催されたメディアと性的マイノリティについて考えるディスカッション。(主催:dislocate。会場:「3331 Arts Chiyoda」

 今回は、2001年に起こった『「オカマ」は差別か論争』に関連して、三橋順子さんからの問題提起が行われます。伊藤悟さんが同論争後初めて、公開の記録される場で論争について語るという貴重な機会にもなりました。(予定されていなかったことなので、かなりドキドキしましたが。)

★『「オカマ」は差別か論争』とは

・週刊金曜日』に掲載された、東郷健のルポ「伝説のオカマ」のタイトルが差別かどうかをめぐって起こった論争。差別の判定を当事者に限ることに初めて当事者が異論を展開した。(Amazon書籍解説より)

・東郷健をルポした「伝説のオカマ愛欲と反逆に燃えたぎる」は差別なのか? 差別の判定は被差別者だけのものでいいのか、という視点にたって、2001年9月に開催されたシンポジウムの記録や、様々な意見をまとめる。(Amazon書籍解説より)

伏見憲明、 野口勝三、黒川宣之、及川健二、松沢呉一、山中登志子『「オカマ」は差別か 『週刊金曜日』の「差別表現」事件―反差別論の再構築へ』

12●ゲイ視点だけでオカマを肯定する問題点
 
パネリスト
伊藤悟さん(すこたんソーシャルサービス)/三橋順子さん(女装家・性社会史研究者)/akaboshi(島田暁/ブログ「フツーに生きてるGAYの日常」)
メディアと性的マイノリティ~「ジェンダーとセクシュアリティの媒介」PLAYLIST

こちらの記事からの続きになります。

三橋順子

 『週刊金曜日』という雑誌が、東郷(健)さんのロングインタビューを載せた。なんだっけ、何を載せたんだっけ?

伊藤悟

 うん。

akaboshi

 人物記というかルポルタージュを・・・

伊藤悟

 ルポルタージュですね。

三橋順子

 ルポルタージュか。それの題に?

伊藤悟

 「」なしに「オカマの東郷健さん」というのがタイトルにあって。

三橋順子

 それの使用が・・・。『週刊金曜日』というのはやっぱり一応ね、一応、人権的な雑誌だという風になっていたのに、それを、そういう使い方をするということに関して、伊藤さんを始めとする方たちが抗議をして。ところが、それを受けて今度は、あるゲイの人たちが、「いやそれでいいんだ」っていうか。「構わないんだ」っていう。要するに「オカマって言葉をメディアの禁止用語にする必要は無いんだ」と。なぜならば「オカマ・アイデンティティを持っている私たちが居るんだから」っていう論法で、まぁ、「いいんだ。」ということにしちゃったんですよね、あれ結局。

akaboshi

 言葉の使用範囲が拡大されて、いわゆる「体を売っている」ということの記号ではなく「オカマ」っていうのを、もう少し広い、軽い感覚で使う人たちが増え始めていたということを示してはいるんですね。

三橋順子

 で、たとえば「差別的文脈でなければ使っていい」と。たとえば「オカマさん」とか。「オカマちゃん」とか。敬称付ければいいんですか?。じゃあ、さっき言った放送禁止になってる視覚障害や聴覚障害の方々の3文字言葉に「さん」や「ちゃん」を付ければ差別性は無いんですか?。あるいは、部落差別関係の差別用語に「さん」や「ちゃん」を付ければ許されるんですか?ってことですよ。だけど、女装で有名な某高校の先生なんかは「オカマの留美ちゃんと呼ばれたい」というようなことを平気で言う。

 その時に私、すごく違和感があったのはゲイの方たちがやっぱり「オカマでいいんだ」。だけど、ゲイの人たちっていうのは道を歩いてて「あ、ゲイだ。オカマだ」とは言われないんですよ。視覚的に・・・

akaboshi

 言わなければわかりにくい。

三橋順子

 視覚的に見てもわからないから。見て、いちばんわかりやすくて、いちばん指さされて「あ、オカマだ」って言われるのはトランス(ジェンダー)なんですよ、私らなんですよ。どうして、私らがこれだけ嫌な思いをしてきて・・・。私ちゃんと調べたんですけど、1948年の段階で、昭和23年の段階で、上野の男娼たち、女装男娼たちが、「オカマ」って言われることに対してその時点で差別性を感じて「オカマ」じゃない言葉を自分たちで一生懸命、自分たちで考えようとしてるっていう位、差別性がある言葉なんですよ。

 それを言われるのは私たち。だけど、それを私らがいくらメディアに「それはやめてくれ」と、「オカマ」って言葉はやめてくれと言っても、一方で、ゲイのある部分の人たちに「いや、それでいいんだ」と言われちゃうと、これは直らないんです。

 おすぎさんやピーコさんが「私はおかまだから」って言うのはしょうがないにしても、「オカマ・アイデンティティ」も存在すれば尊重されなければいけないけど、少なくとも、そうじゃない芸人、ヘテロセクシュアルの芸人が面白がって「オカマ」って言うようなバラエティ番組はもうやめてくれということを言っても、やっぱり、意思統一がされてないんですよね。

 向こうにしてみれば「だって『オカマでいい』って言うオカマが山ほどいるじゃないか」という風に言われちゃうわけですよ。そこらへんの、メディアへの対応の足並みの不揃いみたいなものは、つくづくこの15年間感じ続けましたね。

 やっぱり、メディア側も変えたくないですからね。「どんな酷い馬鹿にされてもテレビに出られれば嬉しいです」という人が居れば、やっぱり変わらないんですよ。「オカマだろうがなんだろうが出してくれりゃあOKです」ってなっちゃう。

akaboshi

 僕はゲイですが、「オカマ」という風に言われた経験や、それで傷ついて自分が生きていくのが辛いとかいうふうな経験が自分に無いので、たぶん三橋さんが同じ言葉を受けた時に感じられる、自分の奥深いところから沸き上がってくる感情ですとか、今まで積み重ねてきた記憶の厚みっていうのを共有は出来ないんですよ。でも、確実にそういう人がいて、同じ「セクシュアル・マイノリティ」のコミュ二ティという形で情報を共有し合ったりとか交流し合ったりしてる中に確実に居る。で、「オカマ(は差別か)論争」のことも文献で見たりして思ったんですけれども、「確実にそういう人たちが居る」ということの視点を、もう少し持った上での発言というのを、発言力のある人はしていかなきゃいけないと思います。

三橋順子

 伊藤さんがさっきおっしゃった「らしい人」?。メディアが求めてる「○○らしい人」。要するにメディアが持ってる「オカマ像」に適合する人だけが、メディアに出てくる。それによってまた「オカマイメージ」が再生産されて行く。私が『週刊金曜日』で(書いたことですが)、なんで日本のメディアはゲイのタレントさんをあれだけ使いながら、ほとんど全部がいわゆる『おネエ系』と言われる、女性的な面を強調するゲイの人ばっかりなのか。ハードゲイは偽者が出てきたけれども本物は出てこないんです。

akaboshi

 レイザーラモンHG。

三橋順子

 レイザーラモンHGは偽者で、あれもとんでもない話だと思いますけども。なぜ、普通レベルに男性的なゲイの人がメディアに出ないのか。出られないのか、出ないのか。

akaboshi

 実際、出ていてもカミングアウト出来ないのか。

三橋順子

 出てるんですよ絶対に。だけどカミングアウト出来ない。だから当然、イメージはまさに「オカマイメージの再生産」が延々続けられる。その問題ですよね。

伊藤悟

 だから、あの時自分の中にあったのは、視野に入ってたのはゲイだけじゃないんですね。それは後に、さらにそういう気持ちは強いんですけれども。まぁ、当時自分の主張の仕方が良かったかどうかという検証は必要ですけれども。たとえば今、私も大学の非常勤講師をして教育原理、教職の科目をやっているので、自分のライフヒストリーを見直すとかっていう授業をやると、明らかに異性愛と思われる人でもやっぱり、ちょっと女性的である男性が「オカマ」と言われて、それがすごく辛かったというのが、たとえば今200人の学生さんを相手にしてて、毎年必ずいます。それも一人じゃないですね。4~5人は出てくるというか。

 今、聞いて「なるほど」と思ったのは、80年代位から、学校の子どもたちの間で、男らしくない男の子を「オカマ」と言うのは当たり前になってるんですね。ちょっと中学校に一日いればわかります、間違いなく。必ずそういう子が1クラスに1人くらいいて、「あの子オカマでさぁ」みたいな話を。これはたぶん教職経験とか、実際に教室に居てみるとわかるんですよ。だから別にゲイだけの問題じゃないですよね。あの時はゲイだけの問題に矮小化されたような感じというのは持っていて・・・。

三橋順子

 ヘテロセクシュアルでもなんとなく女性っぽい人は全部「オカマ」なんですよ。

伊藤悟

 そうそうそう。

三橋順子

 その位、拡大使用されている。

akaboshi

 その言葉を使う背景には要するに「男なのに」っていう。「男であらなきゃいけない」「男なら男らしく、男っぽくあらなきゃいけないのに、あいつは外れてる」っていう、もう既に蔑視があるんですよね。

三橋順子

 男らしい女の子は、けっこう「格好いい」とか言われたりして、いじめられるケースもありますけれども、必ずしもいじめられない。だけども、「女っぽい男」ってのは「女の子以下」なんですよ。これはニューハーフの人たちの語りを、学校時代の思い出を集めて。私の論文の中でいちばん読まれない『トランスジェンダーと学校教育』という論文を書いたんですけれども。

 まず悲惨ですよ。いじめどころじゃない。性的暴力の世界ですから。クラス中で本当に男の子に性的な悪戯をされてる。酷いときにはそれに先生が加わる。そういう事すらあるわけで。書いてて本当に辛いような話があるんですよね。

akaboshi

 それ、してる人たちは罪悪感を持たずに「オカマだから」と。

三橋順子

 「オカマだからそれはしょうがない」と。

akaboshi

 正当化されるわけですね。自分たちの加害性が。

三橋順子

 だから「オカマ」っていう言葉の背景には、そういう問題が全部あるんだっていうことを考えないと。メディアはあれだけ「差別はいけない」「人は差別しちゃいけない」ってことを言いながら、性的マイノリティだけは別なんですよね。

 「オカマだけは別」なんですよ。最後の差別カテゴリー。メディアにおける最後の差別カテゴリー。身体障害の方、部落関係の方、国籍の・・・在日の方、ともかく「ありとあらゆる差別はいかん。それを示すような言葉は出来るだけ使わない」。だけど「オカマだけは使っていいんだ」ってのが日本のテレビメディアの態度なんですよ。それはやっぱり日本の性的マイノリティは、もっと深刻に受け止めるべきだと私は思うんですけどね。

akaboshi

 今、聞いてて思ったのは「私たちオカマだから、自分ってオカマだから」って自分発信で積極的に言える人っていうのは、セクシュアル・マイノリティである自分を結構肯定できていて、周りとの関係がわりと充実していて、たとえば東京近郊に住んでいて新宿二丁目によく出て行ける、ゲイバーで飲み歩ける、そういう、ある意味特権的な立場にいる人たちだと思うんですよ。でも日本って東京近郊だけではなく、東京近郊の人口は10分の1で、あとの90%はそうではない地域に住んでいるとか、都会と田舎における性的マイノリティの生きやすさの問題とかも絡んでる問題だと思うので。「オカマ」という言葉をどう感じるかという時にね。

三橋順子

 東京で考えちゃ本当にいけないんですよね。昔からね、とにかく田舎では生きにくい、だから東京に出てくる。そうするとますます地方にはそういう人は居ないことになっちゃう。実際には居るんですよ、全員が東京に来られるわけじゃない。居ないことになっちゃう。差別の中でも怖いことっていうのは、「居てもいない」。<つづく>FC2 同性愛 Blog Ranking





★『「オカマ」は差別か論争』については、ぜひ関連書籍を読み、過去の議論を知った上で誰に言われたことでもない、あなた自身の見解をお持ちください。大切なのは何に関しても「タブー視せずに再検証し、個々が自分の見解を持つこと」だと思います。

伏見憲明、 野口勝三、黒川宣之、及川健二、松沢呉一、山中登志子『「オカマ」は差別か 『週刊金曜日』の「差別表現」事件―反差別論の再構築へ』

★今回の三橋さんのお話を聞き、映画『しみじみと歩いてる』2010年1月のRonとakaboshiの直撃トークに出演したMtFレズビアンの綾さんのエピソードを思い出しました。シビアな話ですが再掲載します。

06●男子校の修学旅行で集団で
 
綾さんに聞く!MtFレズビアンな恋バナ&SEX PLAYLIST
初出ブログ記事(2010-04-16)


パフ★シネマ『ココデナイドコカ』上映会

 セクシュアルマイノリティである主人公の日常を、その姉が丁寧に撮影しながら制作された日本のドキュメンタリー映画の上映と、監督の中川あゆみさん、主人公のリョウさんをお迎えしてトークを開催。
■12月11日(土)開場18:30/開映19:00
詳細はこちら。

Ronとakaboshiの直撃トーク 004
「ジャンジさんに聞く!パフォーマンスとHIV/AIDS」


 女性のドラァグ・クイーンとして数々のパフォーマンスや映画等に出演し、新宿二丁目のcommunity center aktaでHIV/AIDSに関する活動をしているマダムボンジュール・ジャンジさんをゲストに迎え、Ronとakaboshiがパフォーマンスの秘密とHIV/AIDSの現状について直撃トーク!
■12月18日(土)13:30開場/14:00開始
パフスペースにて。
詳細はこちら。
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