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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2018-09
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イ・チャンドン「ペパーミント・キャンディー」●MOVIEレビュー

人生をさかのぼる列車に乗って

妻子と別れた。会社も解雇された。今では河原でホームレスとしての生活。いわゆる「社会から落ちこぼれて」しまった主人公ヨンホ。
ピストルを手に入れ自殺しようとするものの、やはり出来ない。だったら自分の人生を狂わせた裏切り者を殺してから死のうとするが、それも出来ない。

そこへ、見知らぬ中年男が訪ねてくる。ヨンホの初恋相手であるユン・スニムの現在の旦那。なんとユン・スニムが事故で瀕死の状態になり、ヨンホにしきりに会いたがっているという。病院に駆けつける途中でヨンホは「ペパーミント・キャンディー(はっか飴)」を買う。かつて軍隊にいた時、手紙と一緒にいつも一粒ずつ彼女が入れてくれた飴。せめて、叶わなかった恋の思い出話でもしようかと思ったのだが、時すでに遅し。彼女の意識は戻らなかった。

ペパーミント・キャンディーという「物」から連想され、過去の記憶が次々と呼び覚まされる、いわば「記憶の旅」。過去へ過去へと掘り進む過程に浮かび上がるのは、すぐに情緒不安定で暴力的になり、人間関係を壊してきてしまったヨンホの哀しい道のり。彼はいつからそんな性質を持つようになってしまったのか。

特に刑事として民主化運動をする学生たちを弾圧して取り調べる際に、彼の暴力性は遺憾なく発揮される。他人に暴力を振るうとき、間違いなくそれは自分の痛みとしても蓄積される。なぜそんなことを繰り返してしまうのか。

記憶を辿ったその先に出現した過去は、彼をこの世に踏みとどまらせることの不可能性を物語っていた。

最近「ウォンビン兵役報道に思う」という記事を書いた時にこの映画を思い出し、グッドタイミングで新文芸坐での上映があったので、5年ぶりにスクリーンで再見した。

5年前には感激のあまり2回見たので今回で3回目になるのだが、やはりよく出来ている。
特に、何度も挟み込まれる印象的な線路の風景は、韓国の牧歌的な田園風景を美しく映し出しながら実は「逆廻し」であり、この映画全体を象徴する秀逸なイメージショットになっている。このイメージの持つものすごい吸引力で、一気に映画の世界に引き込まれるのだ。映画は、一つでもいいから「その映画全体を象徴する画」を獲得した時に、間違いなく成功する。

未来から過去へと時系列を逆に辿る構成であるため、一度見ただけでは細部が繋がりにくい部分がある。だからこそ何度も見たくなるし、見るたびに主人公の心の闇への理解が増す。なにより、映画では説明されないその「本当の原因」について、観客の自発的な思考を促す節度を保っているところがいい。
主演俳優ソル・ギョングの繊細かつ大胆な演技と、イ・チャンドン監督の中に静かに燻る韓国という国の持つ偽善的側面への反逆精神が呼応し合い、奇跡的な成果を上げた。このコンビで3年後に制作された「オアシス」も、さらに過激に進化した素晴らしい映画だった。
長年いがみ合ってきた日韓の最初の文化的共同事業が、こんなに素晴らしい映画だったという原点を忘れてはならないと思う。
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コメント

この記事へのコメント

お家で鑑賞

こんにちわ。文芸座で公開だったんですよね。1日限りで残念です。平日でしたし足を運ぶことができなかったのでレンタルビデオショップにいきました。(何故かDVDがなくってビデオ・・ありゃりゃ)
まだ全部観ていないので、上の記事はまだ読んでいません。w 『オアシス』のDVDはジャケットだけみたのですが、(上の記事の写真にもありましたね!)それだけでも同じ俳優さんじゃないみたいで驚きました。お二人ともすごーく実力派な俳優さんみたいですね。観るのが楽しみです。

う~ん私に重ひかな?

なぜか連投。主人公はとってもブッキーな男性なんだなーというのが第一印象。最後のピクニックのときの主人公の芋な感じwあれは髪型とかメイクだけによるものなのでしょうか・・。凄いですね。ザ日活という感じ。でも彼の人生は『美しい』とは言い難い。
時代と彼の気質といろいろからみあった、何か宿命みたいなものを感じる作品でした。こういうのもある種『運命-プロミス-』とでもいうのかにゃ?

もう5年なんですね。この映画は長かったように思えたし、とにかくソル・ギョングの熱意が怖いくらいに弾けすぎてて終わったあとちょっと疲労感とすげー。。。っていう放心状態。また見に行ったのはさすがだなあ。もう一本の方の女優さんも凄そう。ソル・ギョングの相手役にぴったりですねえ。是非観たいです。

●すぷさん。

不器用な人が排斥されてしまって世の中が均一化することに
イ・チャンドン監督は怒りを感じて映画を作ってるんだと思います。
人というのは一人で生きているのではないし、誰の人生も自分と繋がっている。
それを運命という言葉で片付けてしまうのは、なんだか寂しいですね。

●flowfreeさん。

僕も最初に見たときには、ものすごく疲労しましたが、ショックもデカかったです。
今回見直してみたら、ちょっとエネルギーが発散されすぎのような気もするので
本当に「背景」を理解した上で見なければ、ただのおかしな人の話なんだと捉えられそう。
特に日本では。
「オアシス」の方が、よりクリアーに監督の風刺精神が映画に込められていて
作品としての完成度は高まっているように感じました。
機会があったらぜひ、見てみてください。
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