フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2017-09
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メディアと性的マイノリティ04●「期待されるゲイカップル像」に自分達が合わせようとしているということに、ある時期から気が付いた。



 2010年10月17日(日)に開催されたメディアと性的マイノリティについて考えるディスカッション。(主催:dislocate。会場:「3331 Arts Chiyoda」

 伊藤悟さんのお話が前回から続くわけですが、90年代、マスメディアに多数出演した際につい、「期待されるゲイカップル像」を演じている自分達がいることに気付いたそうです。その経験を現在の伊藤さんは、どのように振り返られるのでしょうか。

04●「期待されるゲイカップル像」
 
パネリスト
伊藤悟さん(すこたんソーシャルサービス)/三橋順子さん(女装家・性社会史研究者)/akaboshi(島田暁/ブログ「フツーに生きてるGAYの日常」)
メディアと性的マイノリティ~「ジェンダーとセクシュアリティの媒介」PLAYLIST

★以下、こちらの記事からの続きになります。

伊藤悟

 『ナビゲーター97』という30分のドキュメンタリー番組の、フリーのワンマンディレクターで渡辺さんという有名な方だったんですが、テレビ東京の『ナビゲーター97』をどういうプログラムで毎週作るかという企画会議が月1回あるわけですけど、その人と複数のディレクターで企画を出して作るわけですけど。

 半分作っている渡辺さんの企画書というのは欠席しててもノータイムで通るというような状態だったらしいんですけれども、たまたま渡辺さんは胸騒ぎがして。用事があって欠席しようかと思ってたんだけれども、我々の『すこたん企画』のドキュメンタリーを出した日に、サボりたいのに無理をして出たら案の定で、みんな大反対で。「こんなのをやれるのか!」というのが97年の状況だったわけですね。

 まぁ無事にやれたんですけれども。逆にそれで渡辺ディレクターが真剣になってくれて。「こんなに大変なことだったんだ、自分はわからなかった」ということで、それまで私たちのうまく歯車が噛み合っていなかったのが、その「企画会議事件」で渡辺さんが事の深刻さを感じて私たちと真剣にコミュニケーションをしてくれたので、納得の行くドキュメンタリーにはなったんですけれども。なかなかきちんと、メディアに自分達の情報を伝えようと思っても、それが出来ないという状況をすごく、しみじみと感じるようになります。

 ですから、自分達としても「どういうふうに表現して行こうか」ということで、これはやっぱり、すごく気負いがありまして。本を出した後に、『すこたん企画』というNPOを立ち上げるのが1994年なんですけれども。私が今、代表ではあるんですけれども、パートナーの梁瀬が言い出したものなんですね。もともとの原点は、たとえば欧米では性教育の中に充分に・・・これは「欧米」と言っても難しいんですね、国や州によって違うんですけれども、「欧米の進んだところ」と正確には言わなくてはならないんですけどね。欧米の進んだ国や州では、性教育の中にきちんとLGBT、セクシュアルマイノリティズのプログラムが入っているところがあるわけです。

 たとえば小中学校にゲイやレズビアンのカップル、あるいはゲイ一人、レズビアン一人とか・・・という形で、話に行って直接、リアルに交流することによって、いろんな人間が居るということがわかる。そういう教育プログラムというのがあって。梁瀬は、そういうのを日本でも出来ないかねぇということで『すこたん企画』を作り始めて。ですから最初は性教育の団体とつるみながら、色々な場所で、学校の先生、時には中学生、高校生、大学生に話をするという活動を中心にしていたのですが。

 性教育がですね、実は、文部科学省がいったん90年代のゲイブームと機を一にしてですね、「性教育推進」という、非常に短い時間なんですけれども、文部省が性教育を推進した時期があるんですよ、驚くことなかれ。それで結局、性教育なんてやったこともなかった先生たちが「文科省が推進するなら」ということで性教育ブームというのが起きたんです。実はゲイブームの裏に性教育ブームというのがあって。

 その時にまず、どこからかというと同性愛からだったんですけれど、今だったらたぶん性同一性障害からになるんじゃないかと思うんですけれども。当時は「同性愛から」ということで性教育に関わってきたんですが、これが反動でちょうど2000年にですね、厚生省が作った性教育の性感染症予防のパンフレットが過激すぎるという質問を、現在は自民党の某議員がして以来、性教育に関する逆行が始まりまして。それに最も乗っかった人が某東京都知事で。東京都の性教育は現在、2000年以来壊滅状態で。性教育をするためには校長に内容を全部詳しく届け出なければいけないと。

 そして、性教育の内容が不適切であれば全部やれないという形で、東京の中の性教育というのは小・中・高と、ほとんど全ての公立の学校では性教育を自由には出来ないという状態になってしまいました。それと共に、私たちも活動するということが非常に難しくなってくる。同時に、ちょっと反省もしたんですね。

 やっぱり気負いすぎるところもあって。メディアっていうのは怖いんですね。メディアに出ているうちに、自分達の主張を伝えたいと。自分達の主張というよりは、私たちの場合は「思い」ですよね、思い。だから「偏見を持たないで欲しい」とか、「生身の人間である、ゲイもレズビアンも」という。そういう思いを伝えたかったんだけど、メディアに出ていると「期待されるゲイカップル像」というのが別にあるんですね。

 さっきの偏見とは別に、「期待されるゲイカップル像」というのに自分達が合わせようとしているということに、ある時期から気が付くんです。それはやっぱり、「出来るだけ素敵なカップルとして出ないといけない」みたいなね。せっかく、スタートで本を書いた時には、本当に自分たちの生活を「ドーン!」と明からさまに書いて。「私たちはこういう風に生活しています」と言ってたのに。やっぱりメディアに出て行くうちに自分達も勘違いをする部分があって。「メディア向けに、格好いい、素敵なカップル」として振舞わなければいけないんじゃないかというような思いというのが出てくるし。

 また、そういうのをメディアだけではなくて、たとえば講演、性教育の現場の先生方というのがまたそうなんですね。「教員」というのはまた、なにか理想像みたいなものを生むので、教員というのもちょっと話が生活観のある話になると、若干引いてしまわれたりするので、ついつい場に合った話をするようになって行った自分たちというのも、すごく反省しました。

 その辺から『すこたん』のやる路線というのも変わって、もう少し原点に帰って。社会に向けて訴えるというよりは、少し内側を固めたいというとオーバーですけれども。やっぱり我々同性愛者・・・「我々」という言葉を使うのも良くないと時々言われるんで気をつけないといけないですね。「我々と一くくりにするな」といつも怒られるんで。「私たち」「われわれ」という言葉は言っちゃいけない。「私」と一人称で語らないといけないと。はい。つい今、ポロッと出てしまいましたが。

 「私」はですね、と、梁瀬は、同性愛者の人たちが、もう少し生活、人生の中で希望を持ち、自分を受け入れて生きられる、その辺をヘルプするような活動にシフトして行こうということで今では、最初に言いましたとおりワークショップとか、昼間アルコールが不得意な人でも参加できるような出会いのイベントとか、そういう一味違った地道なワークショップを毎月何回も開催するという方向に行ったわけですけれども。

 そろそろ時間ですね。それで、私自身はメディアっていうものの怖さというものも凄く感じていまして。それは今でもそうだと思うのですが、メディアがポーンと誰かを、いい人、素晴らしい人、または悪人という風に持ち上げると、みんなそれを信じてしまうというか、本当にメディアというものに対して「簡単に信じてしまう」というような状況が更に作られていって、メディアの影響力というのは凄くあるなと思うんですね。これは後で、大学の経験を三橋さんがお話してくださると思うのですが。本当にメディアというものが「イメージ」を作ってきて。

 私は今、90年代のお話をしたわけですけれども、いったんは性教育ブーム、ゲイブームというものがあったけれども、そこで作られたイメージというのは、かなり興味本位なものも多かったので。本当はね、いちばん何を伝えたいかというと。

 我々もハマっちゃった部分があるんですね、「格好いいカップル」でなくちゃいけないと。本当に伝えなきゃいけないのは、ゲイであれレズビアンであれトランスジェンダーの人であれ、そういう少数派の人であれ、いろんな人間が居るんですね。たとえばゲイ男性でも、真面目な人もいれば、ちゃらんぽらんな人もいるし、怖そうな人もいれば優しそうな人もいる。いろんな人がいる。それこそ、ジェンダーの揺らぎについても様々だと思うんですね。

 ところが、メディアというのは何かイメージを一つに決めたがる。「こういうものだ」と。「ゲイは○○だ」と。これはいつの時代も「○○」が変わるだけで、未知のものに対してはですね、決めつける。一つのイメージで全部見えるように、映像を編集してしまう。そういう傾向があって、たとえばゲイブームの最中でも、一方では超プラスすぎるイメージもね。たとえば「芸術的センスあふれるゲイ」とかね。それも「いや私、芸術ちょっと・・・」というところもあって。持ち上げる「プラス」の方も、「全部がそうだ」みたいな決め付けになっちゃうんですね。だから「ゲイは芸術的センスがあるんですか?」っていまだに聞かれますしね。

 逆に「怖くていけないところ」が二丁目とか、そういう風になったりするわけで。その時に「本当にこれは自分が気をつけなきゃいけないな」と、自分もそうならないようにしないとな、と思うのは、「一つの視点だけで決め付けない」ということは、すごく学びましたね。プラスであれマイナスであれ、ゲイブームの中で、いろんなメディアがそれぞれの立場で「ゲイは○○である」という決め付けをですね、たくさん作ったのが90年代だと思います。

 その後、急に90年代というのからブームが冷めると、ほとんど扱われなくなってしまっているというんですが、今でもやっぱり「ゲイは○○である」という名残なんかがありまして。一つだけ余談を言うと、もう5年前か6年前になりますかね。『すこたんソーシャルサービス』の事務所が一応あることはあるんですが、深夜電話がかかってきまして、異性愛の方からの単純な素朴な問い合わせで、簡単にお答えして切ったんですけども、すぐ後にメールが来て、「先ほどは深夜失礼しました」って書いてあって丁寧な人だなと思ったらその後の一言がすごくて、「ゲイの方は夜更かしだと思ったので」って書いてあって。

 その後はその人とコンタクトは無かったし、わざわざ「どうしてですか」ってメールを出すのもなんですから、いまだにスタッフの間では「すこたん笑い話」として都市伝説化しているんですが、なぜゲイは夜更かしなのかという、とても謎なメッセージを残された方がいまして。「ゲイは○○だ」というような決めつけというのは、いろんな形でメディアの影響もあっていろんな人に残っているんだなぁと思わせられましたね。なぜ「夜更かし」なんでしょうね?そんなこともこの後でまた改めて考えられたらと思います。以上でバトンタッチします。ありがとうございました。

akaboshi

 はい。伊藤さんありがとうございました。

 伊藤さんの話にも出てきたんですけれども、日本は90年代前半に「ゲイブーム」と言われる、女性誌からはじまった、メディアがゲイをたくさん取り上げるブームというのが起こり、それでコミュニティがいろいろ発展し盛んになって行き、ゲイパレードが行われるようになったり、レズビアン&ゲイ映画祭が開催されるようになったり、今「コミュニティ活動」という風に言われるものの原型が、「ゲイブーム」に後押しされるような形で活発化されました。90年代前半から中盤あたりはかなり、レズビアンとゲイがメディアに載ることが多かったんですけれども、そこからだんだん、さらに細分化されて行くというか、また違う状況が生まれて来ます。そこのあたりを三橋さんに引き続きお話していただきます。よろしくお願いします。(続く)FC2 同性愛 Blog Ranking





●伊藤悟さんの「マスメディアとの付き合い」に関するインタビュー掲載書

竜超『消える「新宿二丁目」―異端文化の花園の命脈を断つのは誰だ?』
・・・巻末にかなり詳細なインタビューが掲載されています。このディスカッションの際にも参考にしました。

●伊藤悟さん関連書籍

『男ふたり暮らし―ぼくのゲイ・プライド宣言』
『ゲイ・カップル 男と男の恋愛ノート―恋と暮らしと仕事のパートナーシップ』
『同性愛者として生きる』
『ひょっこりひょうたん島熱中ノート』
『ひょうたん島から明日が見える―ガバチョと未来が変えられる10のヒント』



ゲイ・カップルをゲストに迎えて
『しみじみと歩いてる』第2回東京上映会


11月23日(祝)14:00上映(トーク付き1300円)
会場:なかのZERO視聴覚ホール
監督:島田暁/2010年制作 77分
制作:akaboshi企画

 『関西レインボーパレード』で出会ったレズビアン、ゲイ、MtFトランスジェンダー、FtMトランスジェンダーそれぞれの日常生活、それぞれの違い、家族へのカミングアウト、仕事場や人間関係における葛藤や喜びを描いたドキュメンタリー。ゲイである監督の視点からまとめました。今回は映画に出演している九州のゲイ・カップルをゲストに向かえて「地方に暮らすセクシュアルマイノリティとして思うこと」を上映後にトーク。ぜひお越しください!上映会の詳細はこちら。
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