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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2023-06
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メディアと性的マイノリティ03●伊藤悟さん「NHKには同性愛番組の企画書が死屍累々」



 2010年10月17日(日)に開催されたメディアと性的マイノリティについて考えるディスカッション。(主催:dislocate。会場:「3331 Arts Chiyoda」

 伊藤悟さんの自己紹介、そして三橋順子さんとakaboshiの自己紹介に続いては、90年代前半からゲイ当事者としての著書を多数出版され、「すこたん企画」の活動を始められた伊藤悟さん(すこたんソーシャルサービス)のメディアとの付き合い体験談を語っていただきました。今回、言及されている90年代前半の記事・番組名・媒体名は以下の通りです。ビックリ仰天エピソードが満載!なわけですが、なぜ僕が「ビックリ仰天」と感じるのか、その思いを共有できない人がまだ少なからず、マスメディア従事者の中に居るような気もして怖かったりして・・・。

●『女性セブン』掲載「姑感激!ゲイの花嫁」(1993年)
●フジテレビ『おはよう!ナイスデイ』での「奇妙な夫婦生活」(1993年)
●日本テレビ連続ドラマ『同窓会』(1993年10月20日~12月22日放送)
●日本テレビ「解禁テレビ」での『怖くて行けない所・第二弾 男がオトコを愛する交差点』(1995年6月9日放送)

03●NHKには同性愛番組の企画書が死屍累々
 
メディアと性的マイノリティ~「ジェンダーとセクシュアリティの媒介」PLAYLIST

★以下、こちらの記事からの続きになります。
★映像の中で、伊藤悟さんがドラマ『同窓会』出演者を「城島(茂)」と発言されていますが、正しくは「国分(太一)」となります。以下の文字起こしでは訂正してありますのでご承知おきください。

伊藤悟

 先ほどakaboshiさんから紹介していただいた『男ふたり暮らし』という本から話は始まります。

 この本は、私のパートナーであるところの梁瀬竜太の協力を得てまず、自分の、今、その時の時点で、ゲイとして、ゲイ男性としてどういう気持ちで生活しているか、どんな生活をしているか、「書いてみないか」というお話がありまして。それで、かなりこの時は気負っていまして。

 やっぱり自分の個人史というのがあるので、90年代の伊藤悟と2000年代でだいぶ違うところもあるのですが、かなりこの時は自分が、「同性愛のことが世の中に知られていない」「それで自分は苦労してきた」ということに対して凄い苛立ちや、あるいは「訴えたい」という、そういう気持ちが最も強くなっていた時期ですから、「本を書きませんか」という話が人脈を伝って来たときに、1も2もなく引き受けて、そしてパートナーも途中から、本当に私以上に本を出すプロジェクトにエネルギーを注いでくれたわけですね。

 それで、今、恥ずかしくて読めないです、この本。自分達の生活を、ものすごい些細なことで喧嘩をしたこととか、まんまそのまんまの言葉で書いてあったりとか、ふたりで甘えているところなんかの描写もあるんですが、ちょっと、ふたりとも恥ずかしくて読めない、まだ読めない。10年以上経ってもまだ読めない、17年経ってまだ読めないんですが、20年経てば読めるかなと思ってるんです。

 この本を出したことでいろんな取材があったのですが、最初は非常に無防備に取材を受けました。無防備というのはどういうことかと言うと、とにかく「取材をしたい」というメディアがあったら、もう、ノータイムでOKという姿勢で、はじめは始めたんですね。ところがこれが非常に失敗しまして。

 まずいちばん始めに飛んできたのがですね、『女性セブン』という雑誌でした。『女性セブン』に、若い女性のライター・・・編集者ではなくて、出版界というのはたくさんの下請けがありますがフリーランスのライターさんが来て。その時はまだ出版の仕組みもまだよくわかっていなかった面もありますが、取材は非常にフレンドリーで、理解を示してくれて、原稿も読ませてもらってOKを出したのですけれども、ところが実際に出て。『女性セブン』ですから電車の吊り革広告にも出るわけですが、そのタイトルを見てビックリしたんですね。

 タイトルを付けるところまでチェックしてなかったら「姑感激!ゲイの花嫁」なんて凄いタイトルが付いていまして。「花嫁」という概念で語られてしまうんだけれども。別に家事分担に関しては対等でやっているわけですから、まぁ対等と言ってもそこには喧嘩もあったんですけども、「花嫁」というのとはちょっとまるで当たることではなく。さっそく電話をしてみると、ライターは平謝りで、結局ライターも使われている身分だから謝るしかなくて。デスクが、編集長が面白おかしくするために付けたんだからしょうがないということがあって。

 同時進行だった『おはよう!ナイスデイ』(フジテレビ)というテレビでも同じことがありまして。そこでは一応なんとかそれを踏まえて急いで「気をつけてください」と言ったんですが間に合わず、これも「奇妙な夫婦生活」という題が付けられて。それがず~っとテロップで出ている。その2つの体験ですね。『女性セブン』と『おはよう!ナイスデイ』の番組の中で、勝手に「ゲイの花嫁」だの「奇妙な夫婦生活」なんてのはどうも違うし。正確に表現してくれてないということで、すごく、自分達としてはこれは、かなりしっかりしないと間違ったイメージで世の中に出てしまうということになるのは如何なものかということで凄く、それからは非常に慎重になりました。

 企画書をちゃんと書いてもらって、メディアから。そして、ある程度きちんとしたものでないと、お断りをする。断る勇気というのをその後、持つようになりました。メディアっていうのは不思議なもので・・・余談ですけれども、最初のその2つを自分達の経験として断るようになったんですけれども、「断るのが信じられない」というメディアの人が居るんですね。これにはびっくりしました。「お断りします」って言ったら粘るわけですね。「いやでも、テレビに出ると言ったら断った方、いないんですけど」みたいなそういう感じで。

 その若いディレクターはたぶん、「テレビに出してやる」と言ったらみんな喜んで出るという、そういう考え方をどうやら持っているみたいで。かなり面倒くさい議論をしなければならなかったんですけれども。あっさり断って終わりにならなくて面倒くさかったんですが。「テレビに出してやるぞ」という感覚がどうもこの頃からテレビ局側にあるなということは薄々というよりは、はっきりとわかるようになりまして。

 そして特にテレビは編集によって映像を処理することによってイメージを如何様にも変えることができる。これは自分も編集にたまに立ち会わせてもらうとそういうのがわかるんですね。白を黒と言うことが出来てしまう。たとえば今こうやって私が喋ってますけれども、akaboshiさんが偉いのは全部カットせずにそのまま載せるわけですけど。下手な切り方をすると逆の意見を言ってるように聴こえることがあるんですね。

 たとえば自分の批判することをバーっと喋ってるところで批判の部分を取ると賛成しているように編集することもできる。テレビなんか本当に上手ですから、ものすごくテレビって加工ができるんだなって思いを、そのプロセスでいっぱい持ちましたし、メディアに関わる人間がたくさんの偏見を持っているんだなぁということも凄くわかりましたし、とにかく今でもそうですけれども、面白ければいい、ウケればいい、というのが第一であるということ。ですから、その頃からメディアに対していろいろと注目して見るようになって行くと。

 ちょうど1993年に本が出て、同時に取材がラッシュになるわけですけれども、「ゲイブーム」というのもその少し前から『CREA』にゲイ特集をしたことから始まって、ある種、「新しい隣人」なんていう言われ方をしたこともありますけれども、要はゲイ・レズビアンについて、同性愛者についてということをメディアが急にブームのように取り上げることになったわけです。今にして思うと本当に「ブーム」ということで、それが中身の薄いものだったなぁということは思いますけども。

 たとえば『同窓会』というようなドラマが作られました。これは実はつい最近もですね、日本テレビの番組だったんですが24時間テレビで、はるな愛さんがマラソンしたんですね。その時に、TOKIOの国分と山口がその『同窓会』に出ていて、ビデオが流されて「会場大笑い」みたいな。はるなさんが走ってる時に会場でそんなことしてていいんだろうかというような感じの放送がされたというか。そういう有名な番組でもあるんですね。それがなんとミスチル(Mr.Children)がブレイクしたんです主題歌を歌ってね。ミスチルのブレイクした番組としても有名だったりするんですが。

●YouTubeより~crossroad(日本テレビ系連続ドラマ『同窓会』主題歌。1993年)
 
『同窓会 DVD-BOX』

 ストーリーはかなりめちゃくちゃで、性同一性障害と同性愛がごっちゃになったりなんかしてまして。ゲイだと思ってた国分君がですね、「僕は愛する男性のためにモロッコに行って女性になって来る」って・・・。ゲイじゃないの?ってちょっと・・・

三橋順子

 その頃、もうモロッコにはお医者さんいないんですけどね。

伊藤悟

 ねえ。その頃モロッコなんてなんか古いですよね。台本書く人も90年代にモロッコって・・・。

三橋順子

 ブロー先生死んでますもん。

伊藤悟

 だから、あり得ないくらいで。それから、よくあるんですけれども、ハリウッドからずっとそうなんですけれども、ハッピーエンドにしてもらえない症候群というのがありまして。別にハッピーエンドにならなきゃいけないなんて、そんなことは表現ですから色んな終わり方があればいいんですけれども、ハッピーエンドになるものが少なかったんですね、当時はね。『同窓会』も、要するに国分と山口がゲイの役をやったわけですけれども、ハッピーエンドかと思いきや最終回でなんかいきなりですね、公園を歩いていると誰かが放った流れ矢に当たって死んでしまうというですね。殺し方も凄いですね、公園で流れ矢に当たって死ぬんですかね?、よくわからないんですけれども。

それで終わりかなと思ってたら、その次のシーンが凄いんですね。実は山口が、一回ヤケになって、たった一回だけ女性と寝てしまったことがあって。その時に子どもが出来ていたという設定になっていて。これも御都合主義的で。そんな簡単に子どもが産まれるのかって。その後は、山口の最愛の男性とは暮らせなかったけれども、山口の子どもは別に居て生きているっていう。その子の赤ちゃんのアップで終わるっていう。よくわからない最終回で。

 でもですね。あの当時、ゲイタウン・新宿二丁目等では番組を見るために店が空っぽになったりとかね。またはテレビのある店に集まったりっていうね、注目はされたんですが、なかなかとても、あり得ない話が多かった。『ロマンス』とかその他にもドラマがありましたが。たいてい主人公が不幸のうちに終わる。それも唐突に不幸にさせられるというところが・・・。ちゃんとね、リアルなストーリーがあって不幸になるのではないところが、どうも納得行かなかったですね。

 そこの話をしててもキリがないんで。一つだけいちばん凄かったのは同じ日本テレビですね。『怖くて行けない所』という。これはドキュメンタリーなんですけれども、新宿二丁目をですね、スタッフが探りに行くんですけれども。マイク片手に「これから、新宿二丁目の・・・に入りたいと思います」みたいな感じで、おどろおどろしい。音楽もそういう感じでしたね。あとでakaboshiさんが、若きakaboshiさんが見たそうですから感想も後で伺いたいんですけども。とにかくですね、怖いもの、異形のもの、あるいはちょっと不思議なもの、「怖いもの見たさ」っていう演出が存分にされていまして。

 新宿二丁目にある公園でですね、男性と男性が知り合って、ホテルに行くシーンが全部、顔モザイクで映されるんですけど。これは見ている人だけでなく当事者である私達、特に、まだ若くてゲイの状況がどうなっているかわからない若い世代も見てね、怖くなると。ゲイってこんななのかなと。公園で出会ってすぐホテルに行っちゃう人ばっかりなのかなとか、二丁目に行くとみんな怖いのかなとか、そういうような過剰な演出がされまして。そういう番組も多くて。

 メディアというよりも人間の問題もありまして。全体として偏見があり、そして視聴率第一主義だとしても、時にはまともな番組を作ろうとするディレクターも居るんですね。たとえば、NHKで私の知り合いであるディレクターが同性愛をドキュメンタリーにするという企画を、もう随分前から、90年代になるかならないかぐらいから、ずっと出していたんですね。80年代から彼は出していたのかな。

 ところがずっと「同性愛はダメだ」と言って切られていると。つい最近に『ハートをつなごう』という番組がNHKでも放送されましたけれども、同性愛をきちんと扱うに至るまで、ものすごく・・・。他にも居たんです。だから死屍累々と同性愛に関するドキュメンタリーの企画書を書いたディレクターの、企画書のボツの山はこのくらいあるんじゃないですかね、NHKの中でね。そういうようなこともあって。今日、夜やる映画でもその一つのお話がされると思いますが。

 たとえば、その中で1回だけ、まともなディレクターと組んでテレビ東京の『ナビゲーター97』という番組で、30分間の「すこたん企画」のドキュメンタリーというのを作ってもらったことがあります。(続く)FC2 同性愛 Blog Ranking





●伊藤悟さんの「マスメディアとの付き合い」に関するインタビュー掲載書

竜超『消える「新宿二丁目」―異端文化の花園の命脈を断つのは誰だ?』
・・・巻末にかなり詳細なインタビューが掲載されています。このディスカッションの際にも参考にしました。




●「90年代ゲイブーム」の頃を知るための関連映像

『日本初のレズビアン&ゲイパレード発祥の地を特捜!竜超の文化特捜学院』
 
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『竜超の現代狂養講座 同性愛とテレビジョン』(冒頭部分抜粋)
 


ゲイ・カップルをゲストに迎えて
『しみじみと歩いてる』第2回東京上映会


11月23日(祝)14:00上映(トーク付き1300円)
会場:なかのZERO視聴覚ホール
監督:島田暁/2010年制作 77分
制作:akaboshi企画

 『関西レインボーパレード』で出会ったレズビアン、ゲイ、MtFトランスジェンダー、FtMトランスジェンダーそれぞれの日常生活、それぞれの違い、家族へのカミングアウト、仕事場や人間関係における葛藤や喜びを描いたドキュメンタリー。ゲイである監督の視点からまとめました。今回は映画に出演している九州のゲイ・カップルをゲストに向かえて「地方に暮らすセクシュアルマイノリティとして思うこと」を上映後にトーク。ぜひお越しください!上映会の詳細はこちら。
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