国会でついに性的マイノリティの多様性が可視化●民主党・松浦大悟議員が質問 「自殺対策について」「国勢調査での同性カップルの扱いについて」

参議院の決算委員会にて民主党の松浦大悟議員が「自殺対策について」の質問を11:28から約30分間、菅直人首相や国務大臣、総務大臣に行ったわけですが、質問の後半部分において「自殺のハイリスク層」として性的マイノリティの存在に言及。さらに、国勢調査において同性カップルの存在が想定されておらず、配偶者として記入すると「誤記扱い」になる問題点等を指摘し、担当大臣から「今後検討していく」等の答弁を引き出しました。
これまで、日本の国会の場で性的マイノリティに関して行われた議論は、専ら「性同一性障害」に関してのものでした。特にセクシュアリティ(性的指向)が異性愛者ではない人(同性愛者・両性愛者等)の存在について議論されたことは、ほぼ「無かったに等しい」と僕は聞いています。つまり今回の松浦議員の質問は、国会の場で初めて「性的マイノリティの多様性」に言及された瞬間でもあったわけです。
なおこの決算委員会はNHK総合テレビとNHK衛星第1テレビで放送され、インターネットでも中継されていたわけですが、松浦議員の質問は午前中の部の最後だったということもあって総合テレビでの中継はニュースで11:54に中断されてしまい、性的マイノリティに言及した質問箇所を地上波で観ることができなかったのが、少し残念ではありました。(衛星放送とインターネットでは視聴できました。)
以下、関連場面のみですが文字起こししてみました。松浦大悟議員の「自殺対策について」の30分間の質問の後半約5分間の部分のみの抜粋です。

『さて、自殺のハイリスク層としましては、性的マイノリティの方々の問題があります。例えば、性的マイノリティの自殺未遂率は、異性愛者の6倍という調査結果も出ています。社会の中で自分は承認されていないという不安が、自殺に向かわせているのではないかと言われています。
こうした性的マイノリティの子どもたちにつきましては、自らの性的指向を自覚し始める思春期の教育が特に重要だと考えますが、岡崎大臣、こうした子どもたちへの支援は、どう考えていらっしゃるでしょうか。』

『お応えいたします。自殺対策につきましては、相談・支援体制の充実、これが大変重要だという風に考えておりますが、社会におきます自殺に対する偏見ですとか、あるいは精神疾患に対する偏見、こうしたものを除去していくことが、大変重要だという風に思っておりますのと、メンタルな面で、精神科・医療体制の充実ということが大変重要だという風に私たちも考えておりまして、こうした取り組みを総合的に行っていくことが大切だという風に思っております。
また、自殺の危険性の高い、いわゆるハイリスクの方の要因につきましては、きめ細かな対応が求められているという風に思います。こうした取り組み、アルコールに依存をしている、あるいは、農業・林業関係でうまく行っていない、あるいは主婦の方とか、いろいろな方々の悩みがあると思いますけれども、一体的にこうした取り組みを進めることによって、今おっしゃった性同一性障害ですとか、ハイリスクの皆さんたちに対して、様々な困難を抱えている、そういう方々に対する支援に、しっかりと手が届くようにして行きたいと考えております。』

『今年の7月23日に、菅総理が本部長の「子ども若者育成支援本部」が発表した「子ども若者ビジョン」の中には、性同一性障害や性的指向の問題についても書き込まれております。私のところにもこうした問題に悩み、苦しみ、時に自殺すら考えてしまう子どもや若者の声が届いております。このビジョンはそうした声を汲み取ったものだと理解しております。
ところで最近、性的マイノリティに対する理解がまだまだ進んでいないなと感じる出来事がございました。国勢調査について、性的マイノリティの方々から「回答をしにくい」というご意見をいただきまして、総務省の担当課長にお尋ねしたところ、「先生も御地元を抱えていらっしゃるんでしょう。こんな問題に興味を示すより、地元活動をされたらどうですか」と言われました。たいへん残念な思いがいたしました。「国勢調査では同性カップルをどう扱うのか」という質問をしたんですけれども、母国で正式に同性結婚をしている外国人で現在は日本に住んでいる方でもですね、別世帯として扱うんだそうです。
たとえ配偶者の欄に記入してもそれは誤記、誤って記されたものと処理をされるということでした。統計調査として同性カップルを項目に入れている国も多いわけですから、現実をしっかり把握するためには、私は「必要ではないか」と思っているのですが、総理はどうお考えになってるでしょうか。』

『国勢調査の記入内容につきましては今、委員のおっしゃったようなことでございます。これは、いわば記入の正確さを追及するなどの観点から、統計委員会に諮った上で決定して今回の実施に至ったものであります。今後のことにつきましては、これは、その、今委員がおっしゃったことも含めて、性的マイノリティの問題も含めて、今後の国勢調査のあり方をどうするかは、有識者の意見、それから統計委員会にまた諮ったりしながら、今後検討して行きたいと思っております。』
松浦大悟議員
『性的マイノリティであっても等しく国民であることに違いはないわけで、「あなたは想定外だ」と言われれば、誰だって、悲しむわけでございます。来年、次は5年後ですけれども、次の国勢調査のあり方についての審議会も立ち上がるということでございますので、こうした声があるということをしっかりと踏まえた上で対応がなされるものと期待したいと思います。』
現在、この質問の模様は参議院のホームページ「参議院インターネット審議中継」から見る事が出来ます。会議名「決算委員会」、発言者「松浦大悟」で検索すると「2010年10月18日決算委員会」のリンクが出てきますので、そこからストリーミング配信で「決算委員会(開会~休憩1)」という8時間以上ある映像を見る事ができます。松浦大悟議員の質問は2:24:20~2:54:00。性的マイノリティ関連の言葉が含まれた質問場面は、2:49:10~となっています。
さあ、国政の場で「性的指向」「同性カップル」「性的マイノリティ」という言葉が使われ首相や大臣、国会議員たちに(公的な場で)意識されましたよ。でもこれはまだスタートライン。松浦議員が質問し、大臣が答弁した内容が今後、ちゃんと施策に反映されていくのかどうかを注意深く見守り、必要とあらば声を届けていくことが必要になりますし、問題意識を共有している人は見ているだけではなく参画していくことが「これから」さらに大切になってくるのです。→FC2 同性愛 Blog Ranking

『しみじみと歩いてる』第2回東京上映会
11月23日(祝)14:00上映(トーク付き1300円)
会場:なかのZERO視聴覚ホール
監督:島田暁/2010年制作 77分
制作:akaboshi企画
『関西レインボーパレード』で出会ったレズビアン、ゲイ、MtFトランスジェンダー、FtMトランスジェンダーそれぞれの日常生活、それぞれの違い、家族へのカミングアウト、仕事場や人間関係における葛藤や喜びを描いたドキュメンタリー。ゲイである監督の視点からまとめました。今回は映画に出演している九州のゲイ・カップルをゲストに向かえて「地方に暮らすセクシュアルマイノリティとして思うこと」を上映後にトーク。ぜひお越しください!→上映会の詳細はこちら。
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コメント
この記事へのコメント
うるっときました
元気が出るニュースでした。
考えてくれている国会議員の方がいる、しかも国会で発言してくれた!と思うだけで、感動してうるっときます。
本文掲載ありがとうございました。
考えてくれている国会議員の方がいる、しかも国会で発言してくれた!と思うだけで、感動してうるっときます。
本文掲載ありがとうございました。
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