フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2017-07
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メゾン・ド・ヒミコで未知との遭遇014●ギンレイホールで再上映中

3回以上の鑑賞にも堪える映画

昨日から飯田橋ギンレイホールでの上映が始まった「メゾン・ド・ヒミコ」。さっそく見に行って来たのですが、昨年度の映画賞を多数受賞した影響でしょうか、立ち見が出るほどの大盛況。場内では笑い声もよく起こり、映画館ならではの一体感のもとで堪能できました。
ちなみに僕が見たのはこれで3回目なのですが、まだまだ新鮮な感覚で楽しめたことに驚きました。

僕は、自分にとっていい映画かどうかを判断する時に「3回以上の鑑賞に堪えられるかどうか」というのを基準にしています。2回見たくなる映画ならばよくあるし、実際に見ることも多いのですが、大体はそれで作品を消化してしまい、それ以上見ようとは思いません。しかしこの映画はまだまだ・・・あと4、5回は見られる位に、僕にとっては新鮮であり続けることでしょう。

吟味され、凝縮された台詞たち

その一番の理由はきっと、一言一言の台詞が選び抜かれて洗練されているからだと思います。物語を説明するための説明的な台詞が極度に抑えられていて、なによりも言葉選びが「素直じゃない」ところがいいのです。

人というのは日常において、なかなか「本音」を口には出さないものです。強がってしまったり、わざと遠回しに牽制して言ってしまったり、思っていることとは逆のことを口走ってしまったり・・・。それが人間の滑稽さでもあり哀れさでもあります。

この映画の登場人物たちは、多くの場面においてそうした「本音とはうらはら」の言葉を発し、自分の内面に秘められた「本音」とのギャップに苦しみます。だからこそリアルだし、台詞ですべてを語らないからこそ、見るたびに観客が新しい意味を発見できるのです。

口から発せられる言葉なんてものは所詮は、心の中の複雑な思いを表現するための「氷山の一角」。この映画の脚本家や監督、出演者達はそのことにとても意識的であり、表現者として撮影現場でちゃんと苦しんだからこそ、これだけのレベルに表現が昇華しているのだと思います。

父娘対決の凄み

特に後半の、沙織(柴咲コウ)とヒミコ(田中泯)の父娘対決の場面などは絶品です。ヒリヒリとした緊張感のもとで、互いに譲れないプライドを抱えながら、ぶつかりあう二人。娘のキツイ質問に対して、ついには父親から「あまりにも無防備な本音」が投げかけられます。この時ばかりは不意を突かれ、娘は戸惑いのあまり固まってしまいます。

ここの柴咲コウさんの演技は本物です。小賢しい計算からは解放された、本当に役を生きている奇跡的な瞬間がフィルムに定着されていました。しばらく固まった後、「・・・なによそれ。」としか言い返すことの出来ない彼女の思い。
・・・何度も見ているはずなのに、僕は今回ここでホロっときました(笑)。

安易な情緒に流れない冷徹な「映画的センス」

この映画には一人も「善人」はいません。皆、どこかが欠けていて飢えています。
しかし「悪人」もいません。他者と繋がりあおうとして無意識のうちにもがいている人ばかりです。
そしてどの場面でも常に「善」と「悪」が同居し合っています。
こんな冷徹なセンスで物語を紡ぎながら、エンターテインメントとしてもちゃんと成立させられる監督さんは、なかなかいないんじゃないでしょうか。複雑な人間存在そのものを虚飾で飾らずにちゃんと見つめ、甘ったるい情緒で安っぽくごまかそうとしない表現者としての姿勢は、見事だと思います。

汚れて生きるのが人間さっ!

そして、ここがいちばん大事なところ。
「男」だとか「女」だとか「ゲイ」だとか「老人」だとか「若者」だとか・・・そんなアホらしいカテゴライズの窮屈さに捉われながら生きる我々の滑稽さを冷徹に笑いとばし、次第にそれらが混ざり合って混沌としはじめる「武装解除の空間」を一瞬だけでも実現させているこの映画は、やはりタダモノではないでしょう。かといってそこで安易な理想主義や啓蒙主義にも走らずに落とすところは落とし、現実の冷たさの中で汚れながら生きて行くことこそ人間であるということをちゃんと描き出す。これぞ、本当の意味での人間賛歌だと思います。

やはり・・・僕の人生にとってこの映画は、とても大きな出会いの一つでありました。


飯田橋ギンレイホールでは
1/27日(金)まで
11:25/3:45/8:05~の上映です。
(同時上映「八月のクリスマス」←見たけど・・・「メゾン・ド・ヒミコ」とは対極にある、甘ったる~い映画。比較の意味では楽しめるかも。)
・・・ちなみに僕はここの年間パスポート(\10,000でフリーパス)を持っているので、まだ何度も見に行く予定(笑)

DVDが3/3に発売されるという情報をキャッチ!

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コメント

この記事へのコメント

皆、どこかが欠けていて飢えている。
聞きたくない言葉であったりしますが、私に関してはそうかもしれません。

性的なものを排除して生きようと思っても、それ以上の力で思いもよらない何ともない時間の中で突然それは現れたりするのです。(怖いよね。)

わたしは何なのか、解りません。

『メゾン・ド・ヒミコ』の言葉選び

Akaboshiさんの言う『メゾン・ド・ヒミコ』の言葉選びが洗練されているということ、私も大賛成です。
『メゾン・ド・ヒミコ』について私が書いた最後の方の記事をトラック・バックさせていただきましたが、偶然にも、オダギリジョーと一緒にことしのキネ旬主演女優賞を受賞した田中○子さんのことを書いてました(笑)。

●rioさん

性的な欲求は、排除して生きる種類のものではないのではないかと思います。
(偽善家は、とかく排除したがりますし、他人にもそれを要求しますが。)
むしろ自分の好みや無意識を操る「根っこ」に繋がるとても大切なものだと思うので
それを追求することこそ人生の楽しみの一つなのではないかと思いますよ。

●lunatiqueさん。

TB先の記事、とても面白かったです。
さすが同じトークショーを見ているだけありますね(笑)。
監督本人の人柄を実際に目撃すると、また映画の感じ方が深まりますよね。
僕は、この映画全体から感じるヒリヒリした感覚が好きです。

TBありがとう。

TBありがとう。この映画に関する関心が、ひしひしと伝わってくる、とても要領を得たblogですね。感心しました。それにしても、何度も何度も見ることができそうな映画に出会うということは、ひとつの幸せかもしれません。

それは実は解っていても自分には排除という方法しか思いつかないのです。好きでしょうがない人はゲイです。すごくいい友達でいますが、恋人にはなれません。
心と身体を同時に愛し合えるということは本当にうらやましくすばらしいことだと思います。

だけど無理な事なので、このままの関係を続けるには自分には「性的な事」を排除する事しか思いつかないのです。


↑rioさん、私の友人(外国人)は、やはり好きな人がゲイだったので、そのまま何年も付き合っていますよ。友情を越えて、家族みたいなんです。友人はよく、言うんですが「ゲイでも何でも構わない!好きな事は変わらない!」と。友人も、悩んだ時期もあったとは思いますが、いつまでも一緒にいたいのでしょう。そういうのも、一つの「愛」の形だと、最近になって私も解りました。どんな恋愛においても、辛いと思う事は在りますね~

●rioさん

僕も、今まで好きになってきた人は大体「ノンケ」の男性だったので
「性的なこと」をあきらめざるを得ない辛い気持ちはわかりますよ。

●kimionさん

何度も見たくなる映画は・・・20歳の頃はたくさんありすぎて困った位なんですが(笑)
たくさん見るにつれて少なくなりますね。
だからこそ出会うと本当に嬉しいです。

akaboshiさんのブログの中で自分のこと吐き出しちゃってすみませんでした。akaboshiさんの言葉にどうしようもなくなってしまい、書き込みしてしまいました。
seaさん、akaboshiさんありがとうございます。誰にも言えなかったのですこし楽になりました。

↑rioさんにお手紙書きましたので、読んでください。

「性的なことを諦めざるを得ない」という話で、
ちょっと内容は違いますが、
東京で観た 『欲望』 という映画を思い出しました。
事故で性的不能になった男性との恋愛を描いていて、
愛していても体で応えられない、
とてもせつない結末のストーリーでした。
恋愛の形は違っても、つらさは同じだと思ったので。。
横レスですみません。
この映画、男性が三島由紀夫に傾倒しているという設定です。
もう上映終わっちゃっいましたけど(^^;

それにしても『メゾン・ド・ヒミコ』、最初の公開は夏頃でしたよね?
こう長く上映されるというのは、それだけ反響も大きいということなんでしょうね。
『ブロークバック~』も、早く観たいです。

●rioさん。

また何かを吐き出したくなったら遠慮なくこの場を活用してくださいね。
僕もこんなに・・・吐き出しまくってますから(笑)。

●kajukajuさん。

「欲望」って、林真理子さん原作の映画ですよね。
あ~、見たかった(笑)。
性的不能の男性が三島由紀夫に傾倒・・・とても興味をそそられます。
あ・・・そろそろ「音楽の魔」の連載第二回を書かなくては。
一回目の記事(http://akaboshi07.blog44.fc2.com/blog-entry-191.html)から
そろそろ3ヶ月・・・。本当に身勝手ブログですみません(笑)

小池真理子さんでした。。。惜しい!(笑)
ほんと、せつなかったですよ~。
ネタバレしていいかどうかわからないので、
あえて結末は言いませんが。。。
いろいろ考えさせられました。

そうそう、やっと『音楽』読みましたよ(^^;
第2回、楽しみにしてます^^

はじめまして。
最初に公開した時に見逃してしまって、DVDを待つしかないのかなと諦めていたこの作品を、此方のブログで今公開していると知って先日見て来ました。
この映画には善人はいないけれど悪人もいない。
私もそう感じました。しかし、一般的な『善人』で定義されているのって、大半が偽善者だったりするんじゃないのかなって思うんです。
心からの善意であっても受け取る側からすれば悪意のように感じられてしまうこともある。
多くの人に善だと受け取られるような言葉は、人間の奥底から生まれてきた言葉に修正を入れなければ吐けないのではないかと。
この映画の登場人物が紡ぎだす台詞は、受け取り方によっては善にも悪にもなるものばかりだったように思います。(現に私はサオリの台詞に本気で苛立ったりしましたし)
だからこそ、むき出しの感情が其処に乗っかっているのかな、なんて。
そんな事を感じてしまう映画でした。


後、勝手ながらこの記事にTBさせていただきました。
事後報告になってしまって申し訳ありません。

●kajukajuさん

お~っと、小池真理子さんでしたか(大違いですね・・・笑)。
よかった~。完全に「林真理子原作」だと思い込んでました(笑)。

「音楽」読破なさったんですね。
あの小説はいろんな意味でドロドロしているし
三島由紀夫氏の文体としても、いい感じで完成度が低いので(笑)
よけいに生々しくて、僕は好きです。

●CODAさん。

はじめまして。ギンレイホールのお近くなんですね。
あそこは「ビデオを見る感覚(料金)で」いい作品をどんどん見られるので
1万円の年間パスポートで毎週のように通ってます。
年間50本上映するから、1本あたり250円で見られるわけで・・・
経営は大丈夫なのかと余計な心配をしてしまいますが(笑)。
上映作品の傾向としては、単館ロードショー系の作品が多く、
公開から半年遅れで取り上げることが多いです。
「興行性」と「質」のバランスの取れた、なかなか良心的な映画館ですよ。

CODAさんのこの言葉、するどいですね。
「多くの人に善だと受け取られるような言葉は、
人間の奥底から生まれてきた言葉に修正を入れなければ吐けないのではないかと。」

・・・僕も、そういう風に感じることがあります。
そういう風に言葉を「変換」してしまえる人の内面には、
「そういうことが言える自分の素晴らしさ」を喧伝し、
権威を高めたいという欲求が潜んでいるのだと思います。
社会のためを思っているのではなく、結局は自分のため。だから「偽善者」。
教師や牧師、学者、政治家やワイドショーのコメンテーターに多いですね。
だから、そうではない教師や学者に出会うとかえって感動してしまいます(笑)。

作家の中にも、そういう「うそ臭い言葉」を何のためらいもなく使えてしまう方がいますね。
ドラマ「金八先生」などはその代表格。
僕はあの体質が気持ち悪くて、一分たりとも見ていられません。
他人に説教できる人って基本的に「エゴイスト」だと僕は思います。

TBありがとうございました。今後もぜひ、気軽に遊びに来てくださいね。
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