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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2023-10
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たかがテレビ075●「ゲイ」をアウティングさせたり自殺させたり・・・。主役を引き立てるために他の役の描き方が杜撰で安易すぎる『素直になれなくて』がもたらす弊害

 今日、時間があったのでフジテレビ系ドラマ『素直になれなくて』の第10話を録画で見たのですが・・・「なにこれ~っ!」といった感じで開いた口が塞がらなかったです。

 こちらの記事でも触れましたが前回の第9話では、「リンダ」(玉山鉄二)が、ナカジ(瑛太)への恋心を抑えきれずに頬ずりしているところを見られたショックで自殺未遂を図り、ナカジがそれを発見して「さぁどうなる?」というところで終わったのですが。

 たぶん自殺未遂ということで終わるんじゃないかと期待してたんですよ。なぜなら「リンダ」を演じる玉山鉄二氏が、おそらくドラマ収録期間中に行われたと思われる『ザ・テレビジョン』でのインタビュー「自分に対する罪悪感が強いリンダが壊れていくさまや、それを修復してまた5人でうまくやっていけるのかに注目してください」と語っており、暗に「5人の関係は修復していくのではないか?」と期待させていたから。

 それに、有名な脚本家の北川悦吏子さんともあろう人が、ドラマティックに盛り上げて視聴率を稼ぎたいからと、2010年の東京での若者風俗を描く際に旧来のパターンどおりにゲイに「不幸」のイメージを着せ、安易に殺したりなんかしないだろうなぁとも思っていたからです。脚本家というのはドラマの登場人物を生かしも殺しもできる「神様」のような人ですからねぇ。ところが・・・。

 僕が考えていた中でも最悪の展開に行ってしまいましたよ、6月17日に放送された第10話では。

 リンダは救急病院に運び込まれた後、意識を回復してTwitter仲間からの見舞いを受けたりして次第に元気になっていきます。Twitter仲間たちは順番にリンダに付き添うわけですが、ハル(上野樹里)と二人きりの時にリンダは「ナカジが今回のことで自分のことを責めるだろうけどサポートしてあげて」といった感じで、ナカジのことを思うがあまりに恋敵にエールを送るわけですね。(二人は本心ではナカジを好いているという意味で恋敵なんです。)

 愛してる割には割り切りが早いというか、菩薩のような人格というか、腐女子が喜びそうな非現実的な人物設定というか・・・(ありえねぇ~!と心が叫びながら見てしまいましたよ。爆)

★このあたりの人物描写の不可思議さについては、ブログ『Lの世界:Laraララが一番☆』さんの「セクマイとドラマ」というコラムでも触れられています。『ラストフレンズ』などにも鋭く言及されています。

 その時点ではハルは、その言葉の真意を知らないわけですが。

 その後、第9話で放送された場面でリンダから相談を受けており、リンダがゲイであることを知っていた唯一の人物「ピーち」(関めぐみ)からハル(上野樹里)は、「リンダはナカジのことを『そういう意味で』好き」だから自殺未遂したのだという事実を聞かされます。

 ちょっと待った!これってつまりアウティングじゃないですかぁ~っ!!。本人の同意を得ずに、第三者に「○○は同性愛者である」と告げてしまうことを「アウティング」と言いまして、それをすることは「とても無神経な振る舞いである」と感じる当事者が多いのですよ。したがって、この場面が無邪気に放送されていること自体、かなり問題があるなぁと思いました。

 しかも。

 このままリンダは回復するのかと思いきや、ナカジ(瑛太)が付き添う日になっていきなり容態が急変。死を悟ったリンダは、ナカジの手を握りながら「(自殺未遂した後に)泣いてくれてありがとう、嬉しかったぁ~」と満面の笑みを浮かべながら告げ、どう反応していいかうろたえて引いてしまっているナカジの驚愕の表情を見ながら死んでいきます。(けなげすぎる。そして残酷すぎる・・・)

 またしてもリンダからの求愛を受け止めきれず「どうしていいのかわからなかった」ナカジは、屋上で一人泣くわけですが、事情を知っているハル(上野樹里)はそんなナカジの傍に行き、泣いている背中に手を当てて一緒の時を過ごします。

 実はハルは本心ではナカジが好きなのにも関わらず、韓国人である「ドクター」(パク・ソンス)と付き合っており、教員採用試験の失敗などもあって憂さを晴らしたいからか、「ドクター」と一緒に韓国に行くことを決めます。それを知ったナカジ(瑛太)は本心では行って欲しくないと思っているわけですが、ドラマのタイトルどおり「素直になれなくて」思いを言葉に出来ません。

 そんな頃。

 亡くなったリンダが死ぬまで大切に握り締めていたというiPhoneを、リンダの母親がナカジに渡しに来ます。リンダが病床でTwitter仲間それぞれにメッセージを打っており、未送信のまま残っていたので「皆さんで見て欲しい」とのこと。ナカジ宛には、以下のようなメッセージが遺されていました。

ナカジへ。
俺はナカジが好きだ。あんなことをしてしまったけど、あの時、ナカジが俺のために泣いてくれた。幸せだったよ。ナカジはやさしいから、先回りして人のことを考えてしまうところがあるけど、自分の気持ちに正直に生きて欲しい。人を傷つけることを恐れるな。自分が傷つくことを恐れるな。ナカジ。勇気を出して。本当に大切なものと、ちゃんと向き合ってくれ。

 この言葉に感化されたナカジは空港まで一目散に走り、韓国に飛び立とうとゲートをくぐろうとしているハルに向かって「好きだ!」と告げるのでした・・・。

 このドラマは基本的に、ハル(上野樹里)とナカジ(瑛太)が好き合っているのに、いろいろ他人に気を使いすぎて「素直に向き合っていない」ことから巻き起こる擦れ違いやトラブルを描き出しており、自分に素直にならないことが結果的に、いかに他者と自分を傷つけてしまうのかを描きたいようです。

 こういうテーマを教訓として若年層に届けたいという脚本家やプロデューサー、演出家らの志(?)はたしかに「立派」なのかもしれませんが、テーマの中心軸を描き出すために、その周辺に置かれている(主人公以外の)人物設定や描き方が、あまりにも乱雑すぎる点がものすごく気になります。つまり「杜撰」なのですね。特に、このドラマで玉山鉄二氏が演じた「リンダ」役の設定や生活環境、振る舞いなどを見ていると「これは本当に現在の東京に暮らすゲイの姿なのか?」と疑いたくなります。

 そもそも、iPhoneを使ってTwitterを使いこなすほどのネット・ヘビーユーザーなのにも関わらず、同性への恋心に気付いたときにインターネットで「ゲイ検索」などをしてコミュニティ系・出会い系などの情報に触れたりしている形跡がまったく描かれていないこと自体が、とても「非現実的」なことのように思えます。都会生活者、しかも雑誌編集者という情報を扱う職業柄、他のゲイやゲイに関する情報には触れやすい環境なのではないかと想定されます。そういった人物が、明らかに「ノンケ」だとわかっている相手に対して、ここまで熱狂的に執着してしまうということ自体も、なんだか「旧時代的に」思えてしまいます。(あくまでも僕の場合ですが、相手が「ノンケ」だと知った途端に思いが冷めていった経験が複数回あります。)

 このドラマは思春期の中・高生あたりが視聴者層としてのターゲットの中心なのでしょうし、その頃の年代というのは、こういうテーマに非常に敏感に感情的に同化します。そういった影響力のあるドラマにおいて、このように「ゲイをアウティングすること」を無邪気に行ってしまう場面が放送されたり、旧時代的でナンセンスにも思える人物設定のままのゲイ描写が行われて不幸でなおかつ崇高な(非現実的な)イメージが増幅されてしまったことは・・・「弊害」だったのではないかという意見を、僕は表明する立場を取ろうと思います。

 なによりも解せないのは、物語も登場人物たちも、リンダが何故、自殺に追いやられたのかの「真の原因の深さ」については無頓着なままだったこと。「ゲイで生まれ付いたら不幸」→「死んでもしょうがない」というイメージの再生産は、もう要らないんじゃないでしょうか?

 ゲイが「素直になる=死」の悲劇性を思いこみで強調した挙句、お涙頂戴で視聴率稼ぐなんて、冗談じゃないですよ!マジでっ!FC2 同性愛 Blog Ranking
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コメント

この記事へのコメント

おひさしぶりです

なんだかずいぶん安易にドラマって作られるんですね。
けどそれで簡単に感動しちゃう視聴者もたくさんいるし、どっちも感受性を疑いたくなる話。この安易さは罪ですよ。どちらも簡単すぎる。

この俳優さんは、ドラマの役のためというより
放送後のご自身のイメージを守りたい風じゃないですかね。
器の小ささが目立って逆効果だろうと思うんだけど。実際演じきれてないです。
ホモ・ヘテロ関係なく、普通に視聴者をバカにしてる。
まぁ、よくいえばこの人は正直なんだろうけど。
器ちいさすぎる。あまり魅力的にみえないですよ、ヘテロの私から見てもね。

ていうか、最近のテレビは本当につまんない。
そういう路線で盛り上げようとするしかもう方法無いんですかね。

偏った思考は怖いですよ、本当に。
男だから、女だから、っていう考え、ほんとにウンザリ。皆びっくりするほど視野狭いですからね。

これはゲイの話ではないよ

このドラマは、石田ひかりさん主演でヒットした、「あすなろ白書」を基にしたドラマで、主人公達の性格も設定も全く一緒でした。(大笑い)
だから、リンダは、男性をチョット好きになったがかと言って、ゲイではないし、ただ始めから死ぬキャラクターだっただけだと思います。
ドラマの質は、完全に、あすなろ白書より、脚本内容ががた落ちでしたし、ジェジュンさんの起用は、日本語が、おぼつかず演技以前の問題でした。
上野樹里さんや瑛太さんの主演するドラマなら、もっと他に作れただろうに、何でこんなものを作ったか・・・?
不思議です!
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