フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2017-11
« 123456789101112131415161718192021222324252627282930 »

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

田中泯・砂に踊る「兵士の物語」●PLAYレビュー(TV)

音楽VS言葉の物語

NHK教育テレビで1/3(火)に放送された、田中泯・砂に踊る「兵士の物語」。
ストラヴィンスキーが劇場用音楽として作った曲を、舞踊家と作曲家とテレビ演出家とのコラボレーションで映像化したもので、とても見ごたえがありました。なにより、「言葉」と「音楽」を対比させるという、この物語に込められたメッセージの深さに惹かれました。


悪魔に魂を売り渡し、巨万の富を得る男

登場人物は兵士と悪魔の二人。
休暇をもらって戦場から帰ってきた兵士が、河原でヴァオリンを弾いて休んでいます。兵士は音楽家であり、音楽は彼の魂。純粋に音楽を楽しむ彼。

そこへ悪魔が登場し、「お前のヴァイオリンと引き換えに、未来の事が何でもわかる本をやろう」と告げます。悪魔が言うには、その本には未来の出来事が為替レートからなにからすべて記されているというのです。
兵士は悪魔の誘惑に乗り、ヴァイオリン(=音楽=魂)を手放してしまいます。

巨万の富は、心を砂漠にするだけだった

兵士は故郷の村へ帰りますが、誰も兵士の姿に気付きません。魂を売り渡してしまったので、もう「生きている人たち」と交流が出来なくなってしまったのです。
亡霊となって彷徨いながらも、未来の事が書かれている本によって兵士は巨万の富を得ます。しかし、心は乾いて行くばかりなのでした。


音楽の喜びを取りもどす

そんなある日。
兵士は、城に眠る王女に恋をします。しかし眠っている彼女を目覚めさせるには、音楽の力が必要らしいのです。
そこで兵士は再び悪魔に会い、せっかく築いた巨万の富と粗末なヴァイオリンを交換します。

兵士が必死で奏でる魂の音楽は、王女の心に届いて目覚めさせ、二人はめでたく結ばれることになりました。
やがて兵士が手放した預言書は朽ちて行きます。兵士はもう、未来の事を知ることが出来なくなりました。その代わり、「生きる」ことを取り戻しました。

悪魔は不滅である

一方、悪魔が死ぬことはありません。
また次の機会を狙って虎視眈々と目を光らせ続ける悪魔の踊りで、物語は幕を閉じます。・・・このように、「兵士の物語」は一見単純な寓話形式ではありますが、そこに込められた世界観は、まるで20世紀の世界史を暗喩しているかのようです。「言葉」のもたらした「理想」や「大義」に翻弄され、「現在の喜び」を見失った果てに、数々のジェノサイドが引き起こされました。そして、いまでも悪魔は簡単に人々の心に忍び込み、心の砂漠化は進行中です。とても現代性のある物語であり、人間の普遍的な愚かしさを鋭く衝いている傑作だと思いました。

田中泯という表現者

田中泯さんは悪魔を演じていたのですが、飄々とした風貌がピッタリでした(笑)。何よりも、その軽やかな動きの自由さに目が引き付けられます。踊っているのに踊っているように見えない。抽象表現をしているはずなのに、そんな風に感じられないから不思議です。
番組内で語られていた、田中泯さんの舞踊論を紹介します。

「たぶん私たちは、重力から逃れないことを選んだ・・・っていう風にも言えるわけですね。だから、重力そのものが本当は愉快なものなんだと思ってもいいんじゃないかなっていう気がするんです。そのことを本当に認めきった時に、とても愉快なこととして、僕なんかには感じられるんですね。用意周到に、大変な労力を使って準備を重ねて、そしてそれが一瞬・・・本当に短い一瞬かもしれないんですけども・・・いや、長い一瞬かもしれません・・・その一瞬に、フッと自分に訪れてきた時の、楽しさ。愉快さみたいなものっていうのは、僕はとってもわかるような気がします。」
田中泯さんの舞踊は、いわゆる「ショーダンス」ではないので「派手さ」や「わかりやすさ」とは無縁なのですが、一つ一つの動きに「他者との関係性」や「自己の内面」や「音楽との葛藤」が複雑に絡まり合っていて深みがあるのです。しかもそれを理屈(言葉)ではなく魂(音楽)として表現できる方法を、彼は体得しているのでしょう。
たとえ映像として切り取られてもその強度は死なずに、見る者を充分、惹き付ける力を持っていました。ぜひ今度、生で舞台を見てみたいと思います。
●田中泯さん舞台情報
桃花村舞踊公演「重力と愉快」(田中泯公式サイトより)
新国立劇場・小劇場にて
2006. 1/21 sat 19:30, 22 sun 16:00, 23 mon 19:30
構成・演出=田中泯
出演=玉井康成、夏井秀和、菊島延幸、原田悠士、石原志保、松尾彩子、伊藤菜起、渡辺奏、田中泯
◎入場料(全自由席・日付指定)前売¥3,000 当日 ¥3,500
FC2 同性愛Blog Ranking
スポンサーサイト

コメント

この記事へのコメント

私も観ました。11月の三軒茶屋の舞台とは違った魅力に溢れていて、同じ『静』でも、哲学的な雰囲気を感じました。
芸術家ですね~
ライトの光と、何トンもの砂の光がかもし出す宇宙の様な空間は、奥が深いのに、シュールな感じがして不思議です。
ミンさんの存在感というのは、空間に溶け込みすぎていて解らなくなる時があって、現在or未来or過去と時間を飛び越えてしまっているように思います。

見ていただけてよかったです。
以前お知らせしたBSと同じものでした。
「赤光」「透体脱落」の演出・出演の評価で
田中泯さんが朝日舞台芸術賞を受賞しましたね。
「がんばれよと言われたようでうれしい」という
田中泯さんに拍手を送ります。
先日、ギエムのボレロを見たのですが筋肉標本のような
無駄のない肉体で息もつかせないほど美しいのでした。
一流の表現者となると田中泯さんもですが性というものを
超越しているように思われます。求道者なんでしょうね。

●seaさん。
そういえば砂の存在が映像ではイマイチ伝わりませんでしたね。
砂時計のようなインサート映像が入れられていましたけど苦肉の策という感じで。
やはりああいう表現は生で、砂埃で実際に「むせながら」見るべきかも(笑)。

●mitiruさん。
今日、新聞に載ってましたね。
現在の舞踊家では、いつの間にかトップを走る人になったようです。
僕が10年くらい前に舞台を見たときは「異端の人」というイメージだったのですが
近年、急激に評価が高まりましたね。

レポートどうもありがとう。それに放映のお知らせまで。これからも是非載せて下さい!だって、私せっかくakaboshiさんが親切にお知らせしてくれてるのにその親切心をモノにできなかったんです!日本にいた、ってえのに!!もうぱかやろうです。大反省です。ショックで結構落ち込みました。でもakaboshiさんに頼るということより私も同じように色々と提供して人のためになる記事もかきたい、と思ってきました。色々みれたのあったんだろう

●flowfreeさん。

いや、親切心だなんておこがましい・・・
実はあの放送予告は、放送の2時間30分前に偶然気付いて
慌てて書いたものであり・・・むしろ間に合うほうが奇跡(笑)。
これしきのことで落ち込まないでください~。
・・・っていうか、そんなに悔しがるflowfreeさんが面白い(笑)
コメントを投稿する
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL

⇒ http://akaboshi07.blog44.fc2.com/tb.php/218-2941b3c0

この記事へのトラックバック

日本にいたらakaboshiさんのブログ!

これを日本にいるときの自分のモットーにしたい。だって、だって、田中みんさんの番組とか私全然チェックしてなかった。。。後悔、という文字は私の辞書にはないはずなんだけども、こればっかりは悔すい~!!(悔しい)私の馬鹿!アホ!調子乗ってるだろ!!日本にいるから

HOME |

無料ホームページ ブログ(blog)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。