フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2017-10
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木下惠介を辿る旅005●橋田寿賀子ドラマの「男」たちに光を当てたような

 17日は木下惠介『惜春鳥』を観に池袋の新文芸坐に行ったのですが、俳優の川津祐介さんのトークにも間に合いました。

 彼は木下監督作品『この天の虹』がデビュー作であり、その後も木下作品に呼ばれて出ることによって俳優としての地位を確立して行った人。本人は当初は俳優を続ける気があったわけではなかったようなのですが、いわば木下監督に「惚れられた俳優」だったのだということが伝わってくるトークでした。

川津祐介『三回死んでわかったこと 』(小学館文庫)

 今回上映された『この天の虹』にしても『惜春鳥』にしても、川津氏の輝くばかりの若さと肉体がカラー映像として鮮明に記録されています。しかも、両作品共に彼が着替えや入浴などで半裸になる場面が出てくるのですが・・・はっきり言って物語的にその裸が必要なのかと言えば疑問です。「つまりは脱がせたかったんだろうなぁ」と、勝手に監督の心情を想像してみたりしながら観てしまいました(笑)。

 しかも『この天の虹』もやはり主題は男同士の絆であり、特に川津祐介が演じる「弟のようなキャラ」の人物が、「兄」と慕う人物に対して、並々ならぬ熱意を持っている姿が描かれ続けます。しかも男たちがみんな、どこか弱くて情けない。そして女たちが先進的で強く逞しい。これこそが、木下恵介監督が好んで描いた世界観だったようです。

 そういえば「橋田寿賀子ドラマ」に出てくる男たちも弱くて情けない人ばかりですが、あちらは強く逞しい女性が主人公として描かれ、スポットが当てられます。しかし木下惠介の世界では、橋田ドラマでは隅に追いやられているタイプの男たちにこそ、スポットが当てられているのです。

 「女」の描き方がどこか突き放してあってシビアであり、グロテスクでもある一方、「男」の描き方には共感が込められ、弱さの中から醸し出される儚い美しさが愛でられている。それが監督の視点であり、生理だったんだろうなぁと感じました。

 今日で観るのが2回目だった『惜春鳥』に関しては、初めて観た時のように「誰がゲイなのか?」と探したりとか、監督があちこちに散りばめている「ゲイ的萌えポイント」にドキドキすることからは自分の視点が自由になりましたから、冷静に物語の筋を追うことができました。

 そして今回は、「この人物は確実にノンケだ」と、ノンケ探しをしながら観ていたという感じでもありました(笑)。その位、セクシュアリティが曖昧にボカされているキャラクターが多いんですよ、この映画。全体的によく練れてるドラマツルギーで、愛情込めて丁寧に作られた作品であることが確認されましたので、あと5回は飽きずに観れそうです。

 それにしても・・・やっぱり「風呂場の場面」は色っぽかった。前半と後半に2回出てくるのですが、若い役者の肉体の美しさを浮き立たせることに集中した演出とカメラアングルであり、何度見ても魅力的でした。そう、この映画、出てくる人たちがとにかく艶っぽくて色っぽいんですよ。

 時の流れとともに消え去るのは、若き日の純真な思いと関係性。素晴らしい時を過ごした記憶がまぶしいほどに、それがいつまでも続かないことの残酷が浮き彫りになる。それぞれの境遇の中で、それぞれに変わって行かざるを得ない人間性。すべての人物が痛みを感じながら、それでも生きていかなければならない。人間の根源的な孤独を描き出した秀作です。FC2 同性愛 Blog Ranking
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