fc2ブログ

フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2023-09
« 123456789101112131415161718192021222324252627282930 »

三島由紀夫とつきあってみる。011●霊に導かれた死・・・!?<後>

「どう死を乗り越え、志を継いだらいいのか」

本多さんは三島由紀夫の亡き後、悩みながらも半年後には就職。翌年には結婚をし、サラリーマン生活をしながら楯の会の活動も継続しました。他のメンバーも皆、サラリーマンになったそうです。

真面目な人柄である本多さんにとって「元・楯の会ナンバー2」という過去は、その後の人生において良くも悪くも、ずっと肩にのしかかり続けたことでしょう。そして、どうして自分が決起のメンバーに選ばれなかったのかという疑問も、くすぶり続けたことでしょう。



三島氏の自決から22年目にしてようやく彼は自分のやりたいことを見つけます。それは現在の仕事。非営利団体「グリーンプラネット」という団体の理事として活躍する姿が紹介されます。

飲料水を変え、排水を清め、河川や海を浄化することを市民活動として進める仕事に没頭する本多さん。
「緑の惑星に、元に戻そうということですね」
「楯の会は外からの敵に対して戦っていたわけですが、今は、敵は私たちの内側に潜んでいると気が付きました。」



ここでイメージショットとして街を歩く本多さんの姿と共に、三島由紀夫の小説『英霊の聲』から次の部分が、三島氏自身が朗読したレコードの音声で紹介されます。


大ビルは建てども 大義は崩壊し
その窓々は 欲求不満の蛍光灯に輝き渡り
朝な朝な上る陽は スモッグに曇り
感情は鈍磨し 鋭覚は摩滅し
激しきもの 雄々しき魂は地を払う





楯の会の素顔

三島氏は「楯の会」の活動の大義として「昭和維新」を掲げていました。ニ・ニ六事件をモデルに「維新草案」と名づけた憲法草案を作成し、天皇を中心にして日本の伝統・歴史・文化がしっかりと守られることを目指したものだったそうです。
テレビの前に初公開されたその草案は原稿用紙に手書きであり、「憲法論議よりも訓練の方が楽しい」などという冗談も書き込まれていました。本多さんは言います。



「これがそのまま実現できるだろうなぁとは誰も考えなかったでしょうし、まあ、最初の議論が始まった時でもね、私どもは別に、法律について格別勉強した人間ではない者ばっかりが集まってますから、まあ、議論は最初の一回か二回かな・・・先生も参加されてて・・・まあ、頭を抱えてたと(笑)。この程度のレベルかと(笑)。」

「私たちにとっては、憲法草案も、楯の会の制服も、今となってはただ懐かしいばかりの青春の思い出です。それ以上でも、それ以下でもありません。」


三島由紀夫研究者やファンの中には、楯の会の活動や憲法草案について必要以上に「神聖視」し、自らの政治的主張を補完することに利用する人も少なくないのですが、本多さんのこのコメントからは、そうした余計な意味付けを払拭してしまうかのような痛快さを感じます。


なぜか霊媒師のもとへ・・・。

今年の11月25日。
三島氏の35回目の命日「憂国忌」。
本多さんは一人で霊媒師のところへ行き、霊媒師の口を通じて語られた三島氏の声をカセットテープに録音してきました。(本多さんが自ら望んで行ったのか、番組スタッフにやらされたのかは定かではありません。)

カメラの前でテープを再生してみせる本多さん。神妙な顔つきで聴いているようですが・・・


特に心を揺さぶられることも無さそうに、無表情に聴き入る本多さんの顔は正直でした。彼の表情の変化を劇的に撮ろうとアップで待ち構えていたカメラマンのもくろみは、見事にスカされてしまったのではないでしょうか。

テープから聴こえてくる(インチキ臭い)霊媒師の声・・・。

「すまなかった。私の分まで生きて、日本を支えて欲しい。」



ラストシーンとしては、
テープを胸に、長い廊下を歩き去る本多さんの後姿がイメージショットとして撮影されていました。
???
・・・なんだかな~。
どうやら制作者達は、番組をドラマティックに盛り上げるべく様々な仕掛けを施したようですが、後半の展開はその「わざとらしさ」が前面に立ってしまい、はっきりいって興ざめしてしまいました。前半がミステリアスな展開でグイグイと引き込まれる展開だった分、番組としての最後の着地点があまりにも凡庸であるように感じられ、もったいなかったと思います。
しかし、主人公である本多さんの飄々とした真っ直ぐなキャラクターが、そんなテレビ的な仕掛けをものともせず、まるで「付き合ってあげている」かのよう(笑)。
番組スタッフの注文に色々と応えつつも、見事に「枠」からはみ出すエネルギーを発していて、人間的にとても魅力的でした。

次回は、この番組を通して考えた「三島由紀夫の死」について、現在の僕の見解を書こうと思います。(つづく)
FC2 同性愛Blog Ranking



スポンサーサイト



コメント

この記事へのコメント

福島次郎

雑誌「薔薇族」の元編集長の伊藤文学さんのブログで作家の福島次郎氏が2月22日に亡くなったことを知りました。
akaboshiさんはこの人の名前を聞いたことがありますか?
伊藤さんのブログを読むとわかると思いますが、彼は三島由紀夫との性的関係を書いた小説「三島由紀夫 剣と寒椿」を1998年に出版しました。しかし、三島から福島氏へ宛てた手紙を小説の中に引用したため、三島の家族から著作権侵害という理由で出版差し止めを受けてしまいました。

彼は「バスタオル」「蝶のかたみ」という小説で2度芥川賞候補にもなった優れた作家です。私は発禁になる前に「剣と寒椿」を読むことができました。
ゲイの話題を純文学として書いていたすばらしい作家だと思います。
もしご存知でなかったらぜひお読みください。

●だん兵衛さん。

福島次郎さんの「三島由紀夫 剣と寒椿」
実は・・・持ってます(笑)。彼が亡くなったニュースも知り、ショックでした。
ブログに書こうと思ったのですが・・・
「ブロークバック・マウンテン」に熱中するあまり、タイミングを逃しました(笑)。
この本についても、そのうち書こうと思います。
思い出させてくださってありがとうございます。
コメントを投稿する
管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

この記事のトラックバックURL

⇒ http://akaboshi07.blog44.fc2.com/tb.php/204-ead9e18c

この記事へのトラックバック

HOME |

無料ホームページ ブログ(blog)