フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2017-08
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大島渚『愛と希望の街』●MOVIEレビュー

 持つ者と持たざる者の間に流れる深い河

  『愛と希望の街』・・・ってタイトルだけだと、どんだけ崇高で清く正しく美しい映画かと思ってしまうが、これは大島渚の監督デビュー作。まったく真逆のショックを受けるだろう映画である。フィルムセンターで開催中の特集上映に行ってきた。

 本当は『鳩を売る少年』というタイトルで発表したかったらしいのだが、1959年といえば国を挙げての「皇太子ご成婚パレード」が賑々しく行われるなど、戦後復興を「清く正しく美しく」テレビを通じて全国民に喧伝すべく国策が発動していた頃。「鳩」と言えば平和の象徴であり、神聖にして犯すべからずなのである。戦後的なイデオロギーが色濃かった時代であり、松竹映画においては刺激的なタイトルでのロードショー公開は敬遠されたらしい。そして、内容とは全く裏腹な、こんな陳腐なタイトルが付けられることになった。

 でも、それがかえって「愛も希望も本当にあるの??」と呆然自失してしまいたくなるような、貧富の差が歴然と開いた格差社会を鋭く抉った作品の内容を際立たせており、つまりダブルミーニングになっているわけだから結果的には成功だったのかも。「愛」だの「希望」だのという言葉が、とても空疎で薄っぺらく安直な響きを帯びて感じられるのだ、この映画を観てしまったら。

 それにしても、50年前の映画なのに、なんて「現在性」を帯びた作品なのだろう。人の世の根本的な構造は、何一つ変わっていないのではないかと慄然としてしまう。

 持たざる者や、声の小さい者にも人としての尊厳はある。いくら生活に困っているからといって、そう易々と他人に助けを乞うたり金をせびることは、プライドが許さない。それは当たり前の感情だろう。ホームレスや貧困問題の根本には、そうした「人としての尊厳」の感情が密接に関係している。

 しかし。

 「持てる者、声の大きい者」たちには、その気持ちがわからない。強者の論理で、「困っているなら素直に助けを求めればいいじゃないの」と責め立てる。問題は、そこで「素直になれない」気持ちこそが人間を人間たらしめている根源的な感情だったりするわけなのに、鈍感な輩には想像も付かないところにあるのではなかろうか。つまり、そこには乗り越えがたい差別意識があるわけなのだ。

 昨今の「勝ち組」「負け組」だの、勝間和代VS香山リカ論争だのといったものの背景にあるものが、見事に象徴されている鋭い緊迫感に溢れた62分の映像だった。

 こんなものを新人監督に衝きつけられたら、そりゃ~ビビっただろうなぁ、当時の「松竹大船調」を愛していた上層部。こうして旧来の価値観や枠組みに反旗を翻してばかりいたものだから大手資本からは干されてしまい、60年代の大島渚は独立プロでの制作を余儀なくされるわけだけども、ちゃんとその制作姿勢を愛してくれるブレーンやファンが居て、以後、30本近くも制作できたわけだからやはりスゴイし尊敬に値する、と、デビュー作の尖りぶりを見て改めて確認したのだった。



『愛と希望の街』 [DVD]
(62分・35mm・白黒)
 「鳩を売る少年」の題で書かれたシナリオを、当時新人だった大島渚が監督・脚本を手掛けて映画化。ある小都市の駅前。お金のために鳩を売る少年に出会った令嬢・京子は、同情から鳩を購入する。しかし、それは少年による巧みな罠だった。階級の断絶を象徴する有名なラスト・シーンとともに、旧来の「松竹大船調」の枠組みを踏み越えた記念碑的作品。FC2 同性愛 Blog Ranking
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コメント

この記事へのコメント

Akaboshiさん貴ブログはひごろ拝見はしているのですが、久し振りに書き込みます。
大島渚監督の映画は、私の大学祭で特集上映をしたくらい、60年代後半には若者に愛されました。あえて言うと思想性が勝ちすぎてエロティックな表現に難があるような気がするのですが、この作品はタイトル自体で強烈な批判を浴びせていますね。

●Biancaさん。

そうですか、大学祭でこの映画を上映というのは、なかなか主催者の熱と気迫の感じられる企画ですね。大島渚監督の60年代の表現は、学生運動の大きな挫折を経て、どう「次」を生きて行くのかを模索しているようなところがありますから、リアルタイムで共感出来る人が多かったのでしょうね。

でも一連の作品を観ていて感じるのですが、今の僕でも共感できたり反発したりと、引っかかりをたくさんもたらしてくれるところが凄いなぁと感じます。きっと、監督がその時々を生きるための「必然」として、真剣に創っていたからなんだろうと思います。
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