薔薇族は生きている068●香山リカさん×本間真夫さんトーク ~内藤ルネさんについて

10月28日(水)20時から、原宿のマヌエラカフェで開催されたトークショー「香山リカ×本間真夫さんトークショー」に行ってきました。観客は35人ほどで満員になる大きさのスペース。ギャラリー兼喫茶もできる店で「内藤ルネお言葉展」が開催されているのに合わせたトークショーです。
本間真夫さんと言えば、『薔薇族』の初期から中期を引っ張った伝説の編集者=藤田竜氏のこと。この貴重な機会、見逃してはなるまいと情報を知り次第すぐ申し込み、楽しみにして出かけました。

杖をついているけれども背筋はピーンと伸び、笑顔がよく似合う柔らかい表情と語り口で、内藤ルネさんについての思い出話を語ってくださいました。本間さんのサービス精神旺盛な話しぶりに、客席からはしょっちゅう笑い声が上がっていました。僕はいちばん前の席に座ったのですが、手を伸ばせばすぐに触れてしまう距離に2人が居るという現実に、ちょっとクラクラしながらもトークを聴きました。

2人が長く一緒に過ごして来られた秘訣として本間さんが挙げていた理由で印象的だったのは、「色んな事に関する感覚が一緒だった」ということです。そして、「出会うべくして出会った」という風にもおっしゃっていました。照れずに真顔でそれが言えるって、凄いことだよなぁと思います。

昔気質の人らしく、基本的にはストレートな物言いはあまりしませんでしたし、わざと毒を吐きながらのトークではありましたが、言葉や表情の端々から、ルネさんとの関係はこの人にとって「人生そのもの」だったんだろうなぁということが伝わってきました。

ゲイ絡みの話はなかなか出て来なかったのですが、香山リカさんがふと、ルネさんが夜中に「伯爵の絵」を描くことを好んでいたという方面に話を振った時、「それはつまり少年を裸にしてどうこうするという絵なんですけどもね」と本間さんが応じたことで、広がって行きました。

現在においても「少女絵」の分野での「内藤ルネ」という名前は一人歩きを続けており、各地の百貨店から展覧会の引き合いがものすごく、若い女性を中心にブームが続いているようですが、ともするとそこで「かわいい」ルネさんに触れている人たちは、ルネさんのもう一つの顔を知らないのかもしれません。

ともかく、これまで書物の中や、昔の『薔薇族』誌面での「藤田竜」という架空の存在としてしか知らなかった本間さんの実像が、こうして見られたことは心躍る体験でした。僕はルネさんにはかろうじて、亡くなる半年くらい前に上野の松坂屋で開催されていた「内藤ルネ展」を見に行った時に著書にサインを描いてもらった際に喋ることが出来たんですね。「人」って、やっぱり直接会ってみないとわからない雰囲気とか、存在の独自性とか、発しているオーラとかがありますよね。今日、「肌」で感じたこの感覚は、大切に記憶しておこうと思います。
本間さんは伊豆・修善寺での生活は既に切り上げ、現在は東京に住んでいるそうです。
■『内藤ルネ自伝 すべてを失くして―転落のあとに』

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