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フツーに生きてるGAYの日常

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2023-12
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LGBTの紙媒体★掲載チェック35●訃報に書かれざる栗本薫 ボーイズラブ(同性愛小説)の教祖だった

 5月27日にお亡くなりになった栗本薫さん。主だったメディアでは「グイン・サーガシリーズなどで知られる作家」としての紹介が目立ちましたが、実は知る人ぞ知る「ボーイズラブ(BL)小説の元祖」でもあったそうです。週刊文春6月11日号で詳しく報じられていました。(以下、引用抜粋)

 『だが、その訃報で触れられなかった称号がある。それは「BLの教祖」だ。BLとは「ボーイズラブ」の略語で、男性の同性愛を描く、女性向けの小説や漫画を指す。

 その原点といえる小説『真夜中の天使』は1979年、26歳のときに小社から刊行されている。実は作家デビューのはるか前から、誰に見せるあてもなく書きためていた、実質的な処女作なのである。

 ジュリー(沢田研二)を髣髴とさせる美少年歌手、ジョニーこと今西良が、年長の男性たちによって、心身もろとも愛される―。こうした少年愛小説を世に出すことがいかに困難であったかは、同シリーズ続編『翼あるもの』の激烈な前書きにもうかがわれる。

<(前作を)理解して下さった方々にだけしか、決して読んでほしくないし、ベスト・セラーになること、批評にとりあげられることも望まない。むしろ、8割の男性読者には、なるべく読まないでくれるようお願いしたいほどだ>』

 こういう前書きをわざわざ書くということ自体、作家自身にとっての「本当に大切な領域」の表現であるということを示していますし、逆に「並々ならぬ決意」のようなものが感じ取れます。また、腐女子の存在がメディアによってクローズアップされている今とは違って、「ボーイズラブ」的な表現が市民権を得ていなかった時代背景も浮かび上がりますね。

 さらに記事では、同じく早い時期からBL漫画の元祖とも言える『風と木の詩 』を著した竹宮恵子さんの発言も紹介しています。

 「私たちの世代は戦後の男女平等教育を受けて育ちましたが、現実は違う。それに納得がいかない少女たちは自らの性に強い抑圧があって、そのなかで『風と木の詩』を書いたんです。少年同士なら、性差ではなく性格でどちらが受身になるかを決められる。彼らの緻密な関係を通じて少女の内界を描くことで、『何かが欠けた存在でもいいんだ』と読者を救ったと、河合隼雄先生が言ってくださったんです。中島(栗本)さんはテレビでこの作品を支持してくれました。私が『JUNE』創刊に関わったのも、彼女が参加すると聞いたからなんです。」

 『JUNE』とは、美少年の愛をテーマにした漫画が多数掲載され、1978年から発行されていた有名な雑誌のことです。記事ではさらに、竹宮さんの次のような発言も紹介しており、BL漫画というものの役割を考える上で、ハッとさせられる指摘ではないかと思いました。(「中島さん」とは、栗本薫さんのことです。)

「女性の中には男性同士の関係を通してしか恋愛を咀嚼できない人もいて、多分、中島さんもそうでした。私は読者のために『風と木の詩』を描きましたが、中島さんは自分のために今西良を書いた。たとえ無人島に流れ着いても、彼女は書いたでしょう」

 たとえば三島由紀夫が、たとえ無人島に流れ着いても『愛の処刑』(変名で同性愛雑誌に掲載された同性愛小説)を書いただろうと同じように、栗本さんも自らの根幹から湧き出る源泉を、どうしても作品として定着させたかったのではないでしょうか。

 それはまさしく、並々ならぬ情熱と覚悟で行われたことでしょう。しかし残念なことに、そうした「作家の魂の根幹」に関わるものが、いわゆる「異性愛規範」から外れる場合、今回のように作家の業績を語る際に無視されたり重要視されなかったりすることが、多々あるのが現実です。

 これこそが「偏見」というもの。もっと透明で自由なフィルターを通して、作品世界を楽しめたり作家分析ができたりすると、いいですよね。FC2 同性愛 Blog Ranking
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