フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2018-05
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増村保造「曽根崎心中」●MOVIEレビュー(ATG)

「この人となら死ねる。」

・・・そんな情熱に身を焦がしてみたい。
これって、古今東西に渡る人間としての夢、あるいはファンタジーなのかもしれない。

現実には、情熱なんて長続きはしないものだし、人って結局はエゴイスト。
他人を死ぬほど愛するだなんて疲れるし、そんなことは、ほぼあり得ない。
だからこそ、それを実現してしまった二人をうらやみ、伝説化するのだ。
数々の芝居や映画で繰り返し描かれてきたお初と徳兵衛の心中行。
この二人は、時代を越えて人々に夢を託され続けてきた「スター」であると言えるだろう。

心中とは快楽である

前回紹介したATG映画「音楽」と同じ増村保造監督による、これまた濃厚な情熱の世界。
梶芽衣子と宇崎竜童が「死ぬしかない運命」にある恋人同士を体当たりで演じている。
表現としてこの二人の心中を描く時には、封建制の悲劇や金の亡者に成り下がった人間の悪など、社会批判的な視点の当て方は様々に考えられる。しかしこの映画は、社会批判にはあまり興味がないようである。登場人物たちは鬼気迫るテンションで物事を進め、ほとんど全力疾走である。

強固な逆境の中にあればあるほど、人としての「ロック魂」は燃え盛るものだ。
この映画は、心中というものを安易に、「不幸で可愛そうな出来事」としては描かない。
「社会の不条理」を啓蒙主義的に観客に教え諭そうともしない。
心中というものの持つ「快楽」としての側面を描き、観客に放り投げてくる。そんな映画だ。

役者・宇崎竜童の変貌に注目

この映画でいちばん気になったのが、徳兵衛を演じる宇崎竜童氏の演技の不安定感(失礼。)当時、「ダウンタウン・ブギウギバンド」がブレイクし、いわゆる「アイドル・スター」として名を馳せていた上での起用なのだろうが、増村保造監督の要求する演出に、彼がなかなか・・・ハマラない(率直に言ってしまえば、「下手」なのである)。

相手役の梶芽衣子と言えば、「女囚さそり」シリーズなどの任侠もので一世を風靡した映画界の大スター。そつなく無難に、イメージ通りに「お初」を演じている。そのほか、脇を固める俳優人も映画界で活躍するベテラン揃い。
そんな中で彼にとっては2本目の映画出演。荷が重かったのだろう。
特に前半部分では無理やりに「芝居がかった」台詞を言っているため、目が死んでいる。内実が伴っていないために「演技をやらされている」不安定な心情がそのままフィルムに定着されてしまっているのだ。
この映画ではテンポ良く台詞を言う事が求められるし、次から次へと「修羅場」が設定されているので高度な演技的技術が要求される。明らかに彼は、こなしきれていない。

そんな宇崎氏も撮影が進むにつれて役を「我が物」とし始める。池に落っことされたり友の裏切りに対して怒りを露わにする場面などで、だんだん目が輝きはじめるのだ。最後の心中場面では完全に彼本人と役がシンクロして見えそうな所まで、なんとか到達する。
上手い役者の中にいると、下手な役者は成長できる。この映画は、宇崎竜童氏が「役者」として開眼する貴重な瞬間まで収められた「ドキュメンタリー」として観る事も可能である。彼のその後の活躍は、言うまでもない。

左幸子の強欲ババアっぷりに感動っ!

深作欣二監督の「軍旗はためく下に」での名演技を見てから大好きになった女優・左幸子さんがこの映画にも登場していて嬉しかった。しかも徳兵衛(宇崎竜童)の母親役だ。
継母として、女手一人で徳兵衛を育て上げたのだが、徳兵衛にとっては不本意な結婚の契約金を受け取ってしまう。それを返して欲しいと徳兵衛が頼み込むのだが、なかなか返そうとしない。
愛する息子よりも、目の前の金。
そんな強欲ババアの存在感を、これほどリアルに感じさせる演技もめずらしい。本当の悪役に徹しているのだ。
宇崎竜童の不安定でオドオドした演技と、左幸子のどっしりとした貫禄いっぱいの演技。
その対決は、役の人物の性格とうまくマッチして見えるからスリル満点。残酷なまでに両者の実力の違いを浮かび上がらせてもいるが、観客としては逆に、宇崎氏の不安定だけれども一生懸命な演技を、ハラハラしながら応援したくもなってきてしまうから不思議である(笑)。
彼女の登場でやっと、この映画は「生き物」として動き始める。
女優・左幸子の実力に乾杯っ!

「曽根崎心中」
製作:行動社・木村プロ・ATG 
1978.04.29公開 112分 カラー

監督 : 増村保造
製作 : 藤井浩明/ 木村元保/ 西村隆平
原作 : 近松門左衛門
脚本 : 白坂依志夫/ 増村保造
撮影 : 小林節雄
音楽 : 宇崎竜童
美術 : 間野重雄
編集 : 中静達治
出演 : 梶芽衣子、宇崎竜童、井川比佐志、左幸子、橋本功 他

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コメント

この記事へのコメント

よく通りますよ、お初天神。
もちろん曽根崎にあるんですけど、仕事場から梅田に歩いていく時に通り抜けて行きます。
近くに「夕霧」というめちゃめちゃ旨い蕎麦屋があるのでたまに食べに行くんですけど、蕎麦を食べた後も通り抜けます。
ってか、通り抜けてばっかなんですがw
で、曽根崎心中自体は一度も観たことがないので、話は全く知らないんですけど、「曽根崎心中」という単語に反応して書きこみしてしまいました。
けど、俺は心中はヤですねぇ。
一緒に死んでもいいぐらいの人と出会えた事自体はとっても幸せなんだけど、そんなに好きなら、その相手の命を絶つなんてことはしたくないと思うのです。
むー。

左幸子の女優魂ってすごいものを感じます。男を狂わせたり、欲望の亡者になったりする、あの眼が印象的。
「五弁の椿」で淫蕩な母親を演じているのを最近見ました。出番が少ないのですが、若き岩下志麻相手に貫禄勝ち。
増村保造監督の作品は、レトロスペクティブとかなんとかいわれて、ちやほやされると興がなくなる性向もあり、本作品は未見です。

● shizukame0414さん。
お初天神って・・・天神様になってるんですか。その周囲は観光地化してたりして。
「心中はヤですねぇ。」
↑これがフツーの感覚ですよね。
僕も、心中を「美しいもの」としてことさらに美談にしたり
そこに「人間の崇高さ」を感じ取って涙を流すような感覚には付いていけません。
人間らしくて滑稽で、醜くくもあるもの・・・
そういうものとして描かれているのであれば、納得します。
だってそれが人間本来の姿なわけだから。
そういう意味でも、この映画の中での左幸子さんの演技は別格です。
おそらく増村保造監督が描きたかった世界観を
唯一、演技として体現できていたのでは彼女なのではないかと思いました。

●cafenoirさん。
数年前に増村監督のレトロスペクティブが大々的に行なわれましたね。
それ以降、いわゆる「ブランド」としての評価は高まったようですが。
この監督はけっこう「下世話」な感じで「勢い」で描くことを得意としているみたいです。
僕が見た映画は大体、主人公は台詞をがなりたてて、眼光をギラギラさせています。
まるで大劇場での舞台演技をする時のようにデフォルメした演技を要求される。
そういう「大芝居」に対応できる役者さんだったら光り輝くのでしょうが
・・・映画界の中ではなかなか難しかったようですね。

イメージでしかないんですけど、増村保造監督には、遊びの部分や、ユーモアとか諧謔とか色気とか、が感じられないんですよ。カタイというかマジメというか真っ直ぐというか。。。
職人肌じゃなくて、学者肌?
あくまでも印象なので、実は、そうでもないんでしょうね。
ちなみに、好きな方は、市川崑、川島雄三、成瀬巳喜男、小津安二郎、岡本喜八、山中貞雄あたり。

●cafenoirさん。
ユーモアには欠けるかもしれませんが、色気はかなり濃厚です。
「色気」といってもいろいろありますが、彼なりの「美」を頑固に追求し
俳優にそれを強いるというパワーが並外れていたのだと思います。
「勢いで疾走するから、お前ら(観客)は見終わってから考えろ」
「映画は、見ながら考えるものじゃない。感じるものだ」
・・・こんな風に怒鳴りつけられているような気分になる映画でした。

ふむふむ、なるほでねぇ、少しは食わず嫌いを直してみるかな。
食べてみないとわからないものね。
もしかすると、旨い!!と思うかもしれないものね。

●cafenoirさん。
かなり名作をたくさん残された監督さんですよね。
若尾文子さんとのコンビは、かなり有名です。
僕は次は三島由紀夫の「からっ風野郎」を再見しようと思ってます。
以前、映画館で観たけど、つまんなくて寝たなぁ~。
もう一回見て、本当につまんないか確認しようと思います(笑)。
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