尾辻かな子さんWe're OK!118●新たな出会いと繋がりをつくり、事務所クロージングイベント終了。

クロージングイベントにも関わらず悲壮感とは全く無縁。むしろ笑顔あふれる楽しい時間でした。4月29日に開催された、新宿2丁目の「尾辻かな子事務所クロージングイベント」には、入れ替わり立ち替わり70名ほどが訪れ、久々の再開に湧いたり、あの空間との「別れ」を実感したりしました。

当日は開始時刻の16時の時点で事務所には47人が来場。シークレットゲストの伏見憲明さんが、30分間にわたってスピーチ「先人たちの思いに寄せて」を行ってくださいました。新宿2丁目という「場」で聴くことにより、歴史の縦のつながりが波となってゴーッと音を立てながら、「今」に向かって押し寄せてくるような感じがしました。来場した方々にはスペシャルな体験だったのではないでしょうか。→伏見憲明公式サイトにてテキスト・音声を公開中。
16時半からは、ハーヴィー・ミルクを暗殺した人として知られるダン・ホワイトを主人公にしたアメリカのテレビドラマ『EXECUTION OF JUSTICE』(破滅の銃弾 ハーヴェイ・ミルク殺人事件)をスクリーン上映。彼があの行動に至るまでに、どんな日常を過ごし、どんな問題にぶつかったのか。当時の風俗も含めて丁寧に描き出した見応えのあるドラマ。歴史を様々な角度から「立体的に検証する」ことにより、世界というものの複雑さや奥深さ、面白さが感じられるような作品でした。

造形作家であるタックさんが画かれた、「尾辻かな子事務所」のある新宿2丁目の風景画だったのです。このサプライズに不意を突かれた尾辻さん、こっそり涙を流していました。暮れゆくオレンジ色の空のもと、「尾辻かな子事務所」の看板が煌々と照っているカラフルな風景。いや、あれはもしかしたら「明けゆく空」なのかもしれない。心のこもった最高のプレゼントを、人知れずこっそり渡すタックさんって、なんて粋な人なんだろうと思いました。
さまざまな話題で盛り上がったり、「カミングアウトという言葉についての論議」がくり広げられたりと、今後さらに詰めて考えてみたいと思わされる話題も提出されたトークが終わり、最後には、会場を訪れた有志が記入した「寄せ書き」を、事務所スタッフとして重要な任を担い、この日も司会を担当した後藤純一さんが代表する形で尾辻さんにプレゼント。終了後も人々はなかなか事務所を去ろうとせず、あちこちでワイワイと語り合う光景が続きました。
すべて終了し、片付けもひと段落して。主催メンバーは近所のゲイバー「メゾフォルテ」に行きました。ここは、パネリストとしても参加して下さった福島光生さんの経営する店なのですが、水曜日は伏見憲明さんが担当する「エフメゾ」が行われています。そこに、な、なんと!。あの伝説の人、南定四郎さんがいらっしゃったのです!なんでも、伏見さんが企画したイベントの日程を一週間違えていらしていたのだとか。近年は新宿2丁目や、いわゆる「ゲイ・コミュニティー」とは距離を置かれていた南さんですが、なんとこの日12年ぶりに訪れたとのこと。それがちょうど、尾辻事務所のクロージングイベントの日であり、日本の、いわゆる「ゲイリブ」を担ってきた歴代の人たちが多く揃っているタイミングだったということに、「運命のいたずら」のようなものを感じました。
日本で初めてレズビアン&ゲイパレードを開催することを提案し、実行したのは南さん。その他、現在に繋がる様々な活動の歴史をたどると、多岐にわたる分野で「はじまりは南さんだった」という事実に付きあたります。77歳というのが信じられないほど背筋がピーンと伸び、お酒もたくさん嗜まれ、大きな声で「かつてのいろんなエピソード」を、たくさんたくさん聴かせてくれました。「いやぁ~。まさか今、活動している君たちにこうして出会える日が来るとは、夢にも思わなかったよ・・・」と、何度も口にしていました。
尾辻かな子事務所のクロージングは、こうして人々に「新たな出会いと繋がり」をたくさんもたらして、無事、終了したのでした。→FC2 同性愛 Blog Ranking
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