前田健さんの小説「それでも花は咲いていく」は、読みだしたら止まらない。

『それでも花は咲いていく』
見つけたとき。装丁にも心惹かれました。明るさの押しつけでもなく、暗さの強調でもなく、柔らかくも固くもなく。そのどれとも取れるように、多義的な印象をもたらすことを計算したかのような繊細さに、世界観や思想性が滲み出ているような気がしたからです。帯の部分には、次のような言葉が記されていました。
目次をめくると、花の名前が記されています。エーデルワイス、ダリア、ヒヤシンス、デイジー、ミモザ、リリー、パンジー、カーネーション、サンフラワー。さらに裏表紙には、このような言葉も。神様―。 僕は病気ですか?
僕はゴミのように 燃えてなくなれば いいですか?
たとえ人は変態と言おうが、
それでも花は咲いていくのだ。
九つの花に託された九人の人間、
それぞれの衝撃的な性的魂の行方とは!?
・・・もう、これは「買い」でしょう!。迷うことなくレジに持って行きましたよ。そんでもってファミレスでドリンクバー頼んで読み始めてみたら止まんなくなってしまって、一気に9編すべてを読んでしまいました。2時間近く居座って。すっごく面白いんですもん。心のいろんなところが抉られたし、掻き回されました。主人公たちの「弱さ」が人間っぽくて愛おしくなり、放っておけなくなるんです。だから途中で本を綴じられなかったのかもしれません。ロリコン、
ニンフォマニア、
二次元コンプレックス、
マザコン、
ホモセクシャル、
アセクシャル、
マゾ、
老け専・・・・・・。
自分自身に正直であるが故に、
さまざまな哀しい
出来ごとに遭遇する彼ら。
しかし、たとえどんなことがあっても、
どんな目にあっても、花は咲き、
そして、いったん枯れようが、
それでも花は咲き続けていく。
その姿は、この上なく美しい。
人がいくら変態と言おうとも。
文章のあちこちから垣間見られる人間観察力・洞察力の細かさと深さには圧倒されますし、しかもそれが、わりと平易でわかりやすい文体を貫きながら表現されているんです。つまりエンターテインメントとして成立させながらも、ちゃんと内容が深いんです。相当本気で書いたはずですよ、これ。きちんと推敲されてますし無駄がないです。びっくりしました。
個人的には、ラストの「サンフラワー」に出てくる、ゲイのボクサーの生き様に、力づけられるものがありました。なんだか前田健さんの「人生の決意表明」のようにも感じられました。彼はこの小説を書くために、ちゃんと何度も血を流したんだろうと思います。心の血を。あちこちから鮮血が流れ出してます、この本。→★前田健『それでも花は咲いていく』
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よく、「テレビでは相変わらずおネエタレントしか見かけない」と決まり文句のように語られたりしますが、そんな風に単純に語っていれば済むような時代は過去のものになりました。セクマイ公言タレントたちは皆、独自の方法論で切り拓いていると思いますし、中でも前田健さんのメディアでの露出方法や活動には、独自の「気骨」を感じます。もっともっと活躍を期待したいですし、今回の本を読んだことで、小説家としての次回作も本当に楽しみになりました。
ちゃんとした感想は、また改めて書こうと思います。とりあえず「すごくいい本が出てますよ」と、とにかく知らせたかったんです。皆さんもぜひ読んでみてください!→FC2 同性愛 Blog Ranking
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