劇団フライングステージ「ミッシング・ハーフ」●PLAYレビュー

前日に見た「ジェラシー~夢の虜」と同じ場面設定=20世紀初頭の上海にある一室が舞台。今日はそこの住人であるマリーさんの8年後の姿が描かれていた。
このマリーさんってのが、かつて映画が無声映画だった時代に女形として活躍していた人なのだが、トーキーになったとたんに女形は皆、お払い箱になってしまい、上海に流れて宦官になり(つまり性転換して)女優になるチャンスを窺いながらも、なかなかチャンスに恵まれずに街娼をしているという設定。
映画がトーキーになった時に活動弁士が不要になったのは知ってたけど、リアリティが求められるようになって女優が活躍するようになり、女形の仕事が奪われたというのは知らなかった。
こういうところに注目して作劇するっていうのが、さすがは関根氏。劇団フライングステージでこれまで書いてきた脚本では、歴史とか文学の名作の「クィア・リーディング」がたくさん行われている。つまり、あまり語られることのなかった「セクマイ的な視点」から、歴史を捉え直しているわけであり、本当に貴重な仕事を続けているんだなぁと尊敬。
今回は昨晩の舞台よりももっと濃厚に、マリーさんの恋愛模様とか人生が描かれていて、感じ入ることが多かった。昨晩は川島芳子に惚れたが、今日は関根マリーに惚れた(笑)。
こうして「いい舞台」を見ると思う。「人間を描く」ということは、綺麗事だけではなくその人物の醜い部分とか隠したいと思ってる部分とかにもスポットを当てることであり、醜悪でグロテスクな行為でもあるわけだ。それがあってこそ、その人物にとっての夢や理想が対比的に浮かび上がり、表現としての立体感が増す。
光は、影があるからこそより光として輝く。
影は、光があるところには必ず存在する。
・・・これ大事。
それにしてもマリーさんはやはり、ある意味では関根氏の分身なんだろうなぁと思う。ものすごく役柄に愛情を持っていることが伝わってきたし、これから年を重ねることでこの役を彼がまたどんなふうに咀嚼して新たな生命を宿らせ続けていくのかを、ファンとしてず~っと追跡していきたいと思った。
関根信一氏にはこれからも、好き勝手に我が道を進み続けてほしい。「自分でなければ出来ないこと」見つけられている人って、本当に幸運だと思うから。→FC2 同性愛 Blog Ranking
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