akaboshiコラム007●YouTubeとの連動開始2周年を、再生回数でふりかえる。
気がついたら今日でYouTubeに「akaboshi07アカウント」を作ってから2年が経過した。
第1号の映像は2006年の10月18日に公開。第1回の関西レインボーパレードの立ち上げの様子を「映画として記録したい」という欲望を持ち、大阪に通っていた際に共同代表の岡亜沙美さんのお宅で、インタビューのついでに撮影したものだった。
初掲載映像。
●関西レインボーパレード2006 岡亜沙美さんのメッセージ
2006年10月18日公開。再生回数: 13800回 公開時の記事はこちら。
「関西レインボーパレード2006」全映像PLAYLIST
当時の自分の意識としては、カメラを廻しているのはあくまでも「自主制作映画の撮影のため」であり、まさかその後、これほどまでに「ブログでのYouTube公開」にハマって行くことになるとは想像すらしていなかった。しかし、パレードに多くの人々が集まり無事に成功したことを多くの人に早く知らせたい一心で当日の夜、風船が空に舞い上がる映像を大阪の宿から公開した。この時、「何か」が僕の中で始まってしまった。
●関西レインボーパレード2006 風船カウントダウン
2006年10月22日公開 再生回数:6320回 公開時の記事はこちら。
「取材者」であるはずなのに、いつの間にか状況に関与して「参加者」になってしまっているのはきっと、まぎれもなく僕がセクシュアル・マイノリティ当事者だという意識があるからだろう。客観性なんて保てない。公平・中立だなんていう「神のようなまやかしの態度」を取ることは出来ない。そういうスタンスでこそ撮れるものがあるのではないか?。自分が追及していくべき方向性が見えてきたような気がした。
この2年間で全映像の再生回数は226万5048回、公開した映像の数は855個(2008年10月18日現在)。僕は商売でこれをやっているわけではなく、基本的に「自分が公開したいものを公開している」ので、結果としてどれだけの数の人に見られたのかは問題ではない。しかし時折、恐ろしいほどの勢いで大勢の人々に見られるようになる「お化け映像」が出現して驚かされたりすることがある。
YouTubeは今のところ、映像の中身よりも「タイトル」や「タグ」に、どのような言葉を使用するかによって他の映像との親和性が増し、再生回数に影響しやすい仕組みであるようだ。そこで今回はYouTubeというメディア環境の分析も兼ねながら、akaboshi07アカウント内の映像の中で「最も多く再生された映像」ベスト10をカウントダウン方式で振り返り、ネットユーザーのニーズやYouTubeというメディアについても考えてみたい。
第10位
●これからの多様な性&家族&ライフスタイル●14 上川あやさん01●泣き寝入りはイヤだった
再生回数:23539回 2006年12月13日公開。初公開時の記事はこちら。
これからの多様な性&家族&ライフスタイル PLAYLIST
2006年12月9日に及川健二さんの主催でアテネ・フランセで開催されたトークショー。宮台真司さんや石坂わたるさん、赤杉康伸さん、大河原雅子さんらが出席し、多様なライフスタイルを志向するようになった世の中に、なかなか対応しきれていない政治の世界に対する問題提起が行われた。
載せた直後から、あちこちのサイトにリンクされ、特に上川あやさんの映像は当初から急激に再生回数の伸びが早く、その後もメールやコメントで反響が多々寄せられた。当時はまだYouTube自体がそれほど一般化していなかった時期であり、コンテンツも今ほど雑多なものが入り乱れてはおらず、こうした「セクシュアル・マイノリティ主体」の映像が、エロ以外の情報として出ていくことが「珍しいこと」として受け入れられたのかもしれない。
上川さん本人のところにも、この映像をきっかけに事務所を訪れて選挙を手伝うようになった若者が居たらしい。要点を端的にまとめて物語のように語ることのできる彼女の持ち味は、1クリップ10分以内という制約があり、面白くなかったら一瞬にして他の映像に乗り換えられてしまうYouTube映像には、向いているのかもしれない。(ちなみにこの映像の話の続きはこちら。)
第9位
●パフナイト★知ってたつもり!?「ゲイ」「ビアン」02●マルチ・オーガニズム???
再生回数: 25443回 2007年10月07日公開。初公開時の記事はこちら。
パフナイト★知ってたつもり!?「ゲイ」「ビアン」PLAYLIST
2007年10月6日に開催されたパフナイト。当日のパフスペースの入場者数は30名ほどだったにも関わらず、YouTubeに公開するやいなや大人気に。しかも、このシリーズの全映像はいまだにコンスタントに再生回数が伸び続けている。原因はきっと、トークの冒頭から水月モニカさんが大暴走し、「あ、そんなに飛ばしちゃっていいんだ」と安心したパネリストたちが「ぶっちゃけトーク」を心から楽しんだところにあるだろう。下世話な会話の中にこそ真の「人間らしさ」が潜んでいることを教えられたトークだった。
エロ関係用語もバンバン出てきたので、タイトルやタグに容赦なくそれらの用語を散りばめた。結果として、YouTubeで圧倒的な人気を誇る数々の「エロ動画」との親和性が高くなり、より不特定多数の人々の目に偶然触れやすい映像として今でも成長し続けているようだ。また、「エロ」絡みの話こそは人としての「普遍性」に通じるものであり、いつまでも「古びない」という特性を持っていることも発見した。
先日、関西方面に旅をした時に「なにをやっている人なんですか?」と聞かれた際、「YouTubeにセクシュアル・マイノリティ絡みの映像出したりしてます。」と言ったら「あ、パフナイトのですか?」と言われて驚いた。しかもその人は『知ってたつもり!?「ゲイ」「ビアン」』の映像を人づてに紹介されて見てみたところ、嫉妬心を抱くくらいに「自分がこれから追及して行きたい路線」が実践されていることに衝撃を受けたのだそうだ。
「性は生であり、主流よりも反主流。ミックスで語り合うこと」に意義を見出しているというその人は、神戸で「かぐや王子saki中田」という名前で「メゾンdeかぐやのごちゃ会MIX」という集まりを、月に一度開催し続けているという。そのまま朝まで話が尽きることなく語り合い、こうした方向性を追求することにより見えてくる新たな地平に思いを馳せた。
第8位
●早稲田祭2006「尾辻かな子講演会」06「日活ロマンポルノと違いますぅ~」
再生回数::27794回 2006年11月13日公開。 初公開時の記事はこちら。
尾辻かな子さん早稲田祭講演会 PLAYLIST
2006年11月5日(日)に早稲田祭で収録。主催は早稲田大学セクシュアル・マイノリティサークル「GLOW」。僕にとっては、大学での講演風景を初めて撮影したという点で印象深い映像だ。この映像だけ突出して見られているのはきっと、「日活ロマンポルノ」を検索する人が多いからではなかろうか。
第7位
●第6回東京プライドパレード●フロート【7】みんなで!あゆフロート~walking proud~そうこれが 僕の選んだ道
再生回数::31702回 2007年08月19日公開。 初公開時の記事はこちら。
第6回東京プライドパレード2007 PLAYLIST
2007年8月11日(日)に開催された第6回東京プライドパレードで撮影。とにかくこの日は暑くて暑くて、外でなにもせずに居るだけでも滝のような汗が出て熱中症になりそうで大変だった。意識が朦朧としながら撮っていたことを憶えているのだが、ちょうどアップテンポの曲でフロート参加者が盛り上がっている瞬間に出くわしたのはラッキーだった。かなり「突き抜けた感じ」の映像になり、自分でも気に入っている。そういえばYouTubeのこの映像に付けられたコメントに、こんなのがあった。
第6位
●Deep東京Love~中村中ライブのある景色in葛飾
再生回数::40673回 2006年11月27日公開。 初公開時の記事はこちら。
歌手の中村中さんがメジャーデビューしたての頃。2曲目の『友達の詩』に狂気を感じて好きになり、 「中村中の歌世界」というカテゴリーを書き連ねていた時期がある。メディア露出における「性同一性障害歌手」のレッテル貼りに反抗している頃の「尖った感じ」と「不安定な精神状態を隠し切れていない感じ」が大好きで、ミニライブや握手会にわざわざ出かけたほどだ。この映像は2006年10月28日に葛飾区で行われたキャンペーン活動のステージを、「もしかしたら撮影できるのかも」と期待してカメラを持って行った時のもの。実際には撮影は叶わず、「葛飾区産業フェア」の様子を遊びで撮って編集するしかなかったのだが、どうやらYouTube上では「本人が映っているかもしれない」という期待で多くの人に見られてしまったようである・・・。申し訳ない。(爆)
中村中さんはその後、みごと紅白歌合戦で真っ赤なドレスで『友達の詩』を披露するまでになり、すっかり自らの使命を自覚し引き受けたかのようだ。しかしそうやって存在に「安定感」が感じられるようになると、僕の「ファン熱」は途端に冷めてしまう。基本的に「あまのじゃく」気質なのだからしょうがない。(だからこそ工藤静香ファン歴は長く続いているのだとも言える。←自虐ネタ。爆)
第5位
●セクシュアリティと政治18●性同一性障害と同性愛。連帯するには01
再生回数:50214回 2007年03月13日公開。 初公開時の記事はこちら。
セクシュアリティと政治 PLAYLIST
なぜこのように真面目なトーク映像が突出して5万人に見られているのか謎ではあるのだが、おそらくタイトルの「性同一性障害」と「同性愛」が他のエロ系あるいは人気の高い映像との親和性が高く、偶然見る人の率が高くなっているのだと思われる。この映像は02と03に続くのだが、そちらの再生回数はそれほど伸びているわけではない。したがって結果的にはYouTubeのサイト内で「看板」のような役割を担い、孤軍奮闘してくれているようだ。
2007年の「選挙イヤー」の一連の動きが始まる直前に行われた、「石坂わたると多様性のある中野を作る会」の主催で行われたこの会は、告知が直前だったにしては30名を超える人々が集まった。そして、たしかに現場には「これから時代が急激に変わるのかもしれない」という期待がもたらす熱気があった。この時期の映像には、その頃に特有の「空気」が濃厚に詰まっているような気がする。
第4位
●尾辻かな子さん・木村真紀さん同性結婚式(同性婚)01★NLGR2007
再生回数::51237回 2007年06月08日公開。 初掲載時の記事はこちら。
NLGR2007 PLAYLIST
一連の「選挙の頃」の映像を見返すと、結果が残念だっただけに様々に複雑な感情が湧いてくるのを今でも抑えることが出来ない。おそらく、あの頃のことを冷静に振り返るには、僕にとってはもう少し時間が必要なのかもしれない。しかし、一生に一時期だけでもあれだけ「熱中したこと」があったということは、いつまでも「誇り」のようなものとして残り続けることだろう。
NLGRでのこのイベントは、「同性婚」あるいは「同性パートナー」というものを「わかりやすくイメージ化」してマスメディアの報道に乗せていくというところに狙いがあったのだろう。結果、数々のメディアによって報道されたわけだが・・・当事者間には逆に誤解や分断を生み出してしまった面もあるような気がする。単純化とは真逆のベクトルに向かって進化している「コミュニティの多様性」は、だからこそ選挙のような時には一筋縄では動かないものなのだ。
なお、今でもこの「ウエディングドレス姿の女性2人」のイメージは、強烈なインパクトを伴ってYouTube上に存在し続けており、コンスタントに毎日100名近くの人々に新たに「見られ続けている」。
第3位
●伊藤文学さん「開運!なんでも鑑定団」9月11日放送分・収録風景
再生回数:66651回 2007年09月09日公開。 初掲載時の記事はこちら。
2007年7月30日未明に尾辻さんの選挙結果がわかった翌日の7月31日。下北沢で行われたテレビ番組の収録風景を撮影した。この日の僕は頭の中がシフトチェンジできずにボーっとしていたのだが、伊藤文学さんの「楽しみながら生きる術を知っている」ような大らかな人柄に触れているだけで、ずいぶんと助けられた。この時に番組に出品して高値の鑑定を得た壷は結局まだ買い手が現れないままだが、文学さんは生活苦の中でも屈せずに相変わらず楽しみながら、執筆活動や孫や奥さんとの日常を生き抜いている。下北沢に行けば、いつも文学さんがこの調子で居てくれるというだけで、心が安らぐ。
☆当ブログ発信・伊藤文学さん関連映像PLAYLIST
●薔薇族城落城
●伊藤文学の談話室「祭」@邪宗門
●伊藤文学・薔薇族創刊の頃を語る
●伊藤文学さん薔薇族394号トーク
●伊藤文学さんのところにゲイ雑誌「バディ」の取材がっ!
第2位
●尾辻かな子さん法政大学講義14●同性愛=SEXという短絡
再生回数: 231948回 2007年07月11日追加。 初公開時の記事はこちら。
尾辻かな子さん法政大学講義 PLAYLIST
この桁外れの23万Viewという数字はなんなのか、こちらの場合は簡単に推理できる。いかにYouTubeで「SEX」を検索する人が多いかということの証明だろう。さらに「同性愛」と結びついて検索されれば、かなりこの映像に出会う確率が高くなっているらしい。結果、ホットな身体をクールダウンさせることになっているのかもしれないが、そういう形で不特定多数の人々と出会ってこそのYouTube。この雑多で猥雑な混ざり具合が素敵だ。
第1位
●神戸LGBTIQプライドマーチL.T.mini04●GOGOBOYショー~K-Ci&GUY
再生回数::342708回 2007年05月26日公開。 初公開時の記事はこちら。
神戸LGBTIQプライドマーチ PLAYLIST
そしてやっぱり第1位は、akaboshi07アカウントでも例外なく「エロス」が強かった。2007年の神戸LGBTIQプライドマーチのアフターイベントで撮影したGOGO BOYのショーが、あれよあれよという間に世界中の人々から「お気に入り」登録され、この映像をきっかけにしてakaboshi07アカウントの他の映像の視聴に繋がったり、YouTube上でゆるやかに繋がり合うことになった人がたくさん居る。今でもたまに、英語や知らない言語からのメッセージがこの映像あてに寄せられるのだが、面倒くさいので対応しきれていない。
しかしこの映像、2008年3月頃から「アダルト指定」に登録されてしまい、YouTubeのサイト内ではアカウントを持たなければ見ることが出来なくなってしまった。それでも日々、未だに数百人の人々が見続けている「お化け映像」であることは確か。エロスは国境を超える!ってのは本当の話。
こうしたことを卑しいことであるかのように捉えるのは了見が狭すぎるし頭でっかちというものだ。むしろ積極的な意味で捉え返さないと、人間の不可思議さや面白さを全体像として捉えることは出来ないだろう。この映像を未見でどうしても見たい方はぜひ、YouTubeにアカウントの作成を。(「子どもも見るから」という表向きの理由で結果的にはエロスを囲い込むことで会員を増やそうというのが、YouTube側のしたたかな戦略なのだろうが。)
こうして振り返ってみると、再生回数が多い映像だからといってネットユーザーの「ニーズ」を満たしているのかと言えば、「そうとも言えるし、そうでないとも言える」という微妙な感慨を持たざるを得ない。興味の無かった分野の映像に偶然出会い、新たな知見を得るきっかけが生まれやすいYouTubeというメディア環境は、「ニーズ」とはまた別の予見不可能性を伴って人々を吸引し続けている。そこが面白い。
旧来のマーケティング的発想では「儲からない」という理由で「世の中に出る前に市場原理でストップがかかっていた情報」が、こうした表現の場が出来たことにより広まりやすくなったことは確かである。また、時間の制限もなければ地域の縛りもなく、国境すらたやすく超えてしまうのがYouTube映像の魅力でもある。その恩恵はたっぷりと受けようと思う。
akaboshi07アカウントとこのブログでは、今後もYouTubeやブログというメディアの特性を生かして「力まずに」楽しみながら映像を公開し続けて行きたい。そのうち過去が過去として蓄積し、新たな見方を提供してくれる日が来るかもしれない。その地平が見てみたいのだ。
こうした活動はとにかく「長く続けて蓄積していくこと」が大事であり、過去と現在を関連させた上でこそ、真の意味で未来が展望出来るのではないかと思う。そのためには蓄積こそが必要であり、簡単にその情報にアクセスできる環境こそが必要なのだ。インターネットはこれから「歴史性」を帯び始め、そうした機能をも持ち始めることになるだろう。その役割の一角を、僕は映像で担いたい。
モチベーションは枯れるどころか継続したままで、3年目に突入できることを嬉しく思う。→FC2 同性愛Blog Ranking
第1号の映像は2006年の10月18日に公開。第1回の関西レインボーパレードの立ち上げの様子を「映画として記録したい」という欲望を持ち、大阪に通っていた際に共同代表の岡亜沙美さんのお宅で、インタビューのついでに撮影したものだった。
初掲載映像。
●関西レインボーパレード2006 岡亜沙美さんのメッセージ
2006年10月18日公開。再生回数: 13800回 公開時の記事はこちら。
「関西レインボーパレード2006」全映像PLAYLIST
当時の自分の意識としては、カメラを廻しているのはあくまでも「自主制作映画の撮影のため」であり、まさかその後、これほどまでに「ブログでのYouTube公開」にハマって行くことになるとは想像すらしていなかった。しかし、パレードに多くの人々が集まり無事に成功したことを多くの人に早く知らせたい一心で当日の夜、風船が空に舞い上がる映像を大阪の宿から公開した。この時、「何か」が僕の中で始まってしまった。
●関西レインボーパレード2006 風船カウントダウン
2006年10月22日公開 再生回数:6320回 公開時の記事はこちら。
「取材者」であるはずなのに、いつの間にか状況に関与して「参加者」になってしまっているのはきっと、まぎれもなく僕がセクシュアル・マイノリティ当事者だという意識があるからだろう。客観性なんて保てない。公平・中立だなんていう「神のようなまやかしの態度」を取ることは出来ない。そういうスタンスでこそ撮れるものがあるのではないか?。自分が追及していくべき方向性が見えてきたような気がした。
この2年間で全映像の再生回数は226万5048回、公開した映像の数は855個(2008年10月18日現在)。僕は商売でこれをやっているわけではなく、基本的に「自分が公開したいものを公開している」ので、結果としてどれだけの数の人に見られたのかは問題ではない。しかし時折、恐ろしいほどの勢いで大勢の人々に見られるようになる「お化け映像」が出現して驚かされたりすることがある。
YouTubeは今のところ、映像の中身よりも「タイトル」や「タグ」に、どのような言葉を使用するかによって他の映像との親和性が増し、再生回数に影響しやすい仕組みであるようだ。そこで今回はYouTubeというメディア環境の分析も兼ねながら、akaboshi07アカウント内の映像の中で「最も多く再生された映像」ベスト10をカウントダウン方式で振り返り、ネットユーザーのニーズやYouTubeというメディアについても考えてみたい。
第10位
●これからの多様な性&家族&ライフスタイル●14 上川あやさん01●泣き寝入りはイヤだった
再生回数:23539回 2006年12月13日公開。初公開時の記事はこちら。
これからの多様な性&家族&ライフスタイル PLAYLIST
2006年12月9日に及川健二さんの主催でアテネ・フランセで開催されたトークショー。宮台真司さんや石坂わたるさん、赤杉康伸さん、大河原雅子さんらが出席し、多様なライフスタイルを志向するようになった世の中に、なかなか対応しきれていない政治の世界に対する問題提起が行われた。
載せた直後から、あちこちのサイトにリンクされ、特に上川あやさんの映像は当初から急激に再生回数の伸びが早く、その後もメールやコメントで反響が多々寄せられた。当時はまだYouTube自体がそれほど一般化していなかった時期であり、コンテンツも今ほど雑多なものが入り乱れてはおらず、こうした「セクシュアル・マイノリティ主体」の映像が、エロ以外の情報として出ていくことが「珍しいこと」として受け入れられたのかもしれない。
上川さん本人のところにも、この映像をきっかけに事務所を訪れて選挙を手伝うようになった若者が居たらしい。要点を端的にまとめて物語のように語ることのできる彼女の持ち味は、1クリップ10分以内という制約があり、面白くなかったら一瞬にして他の映像に乗り換えられてしまうYouTube映像には、向いているのかもしれない。(ちなみにこの映像の話の続きはこちら。)
第9位
●パフナイト★知ってたつもり!?「ゲイ」「ビアン」02●マルチ・オーガニズム???
再生回数: 25443回 2007年10月07日公開。初公開時の記事はこちら。
パフナイト★知ってたつもり!?「ゲイ」「ビアン」PLAYLIST
2007年10月6日に開催されたパフナイト。当日のパフスペースの入場者数は30名ほどだったにも関わらず、YouTubeに公開するやいなや大人気に。しかも、このシリーズの全映像はいまだにコンスタントに再生回数が伸び続けている。原因はきっと、トークの冒頭から水月モニカさんが大暴走し、「あ、そんなに飛ばしちゃっていいんだ」と安心したパネリストたちが「ぶっちゃけトーク」を心から楽しんだところにあるだろう。下世話な会話の中にこそ真の「人間らしさ」が潜んでいることを教えられたトークだった。
エロ関係用語もバンバン出てきたので、タイトルやタグに容赦なくそれらの用語を散りばめた。結果として、YouTubeで圧倒的な人気を誇る数々の「エロ動画」との親和性が高くなり、より不特定多数の人々の目に偶然触れやすい映像として今でも成長し続けているようだ。また、「エロ」絡みの話こそは人としての「普遍性」に通じるものであり、いつまでも「古びない」という特性を持っていることも発見した。
先日、関西方面に旅をした時に「なにをやっている人なんですか?」と聞かれた際、「YouTubeにセクシュアル・マイノリティ絡みの映像出したりしてます。」と言ったら「あ、パフナイトのですか?」と言われて驚いた。しかもその人は『知ってたつもり!?「ゲイ」「ビアン」』の映像を人づてに紹介されて見てみたところ、嫉妬心を抱くくらいに「自分がこれから追及して行きたい路線」が実践されていることに衝撃を受けたのだそうだ。
「性は生であり、主流よりも反主流。ミックスで語り合うこと」に意義を見出しているというその人は、神戸で「かぐや王子saki中田」という名前で「メゾンdeかぐやのごちゃ会MIX」という集まりを、月に一度開催し続けているという。そのまま朝まで話が尽きることなく語り合い、こうした方向性を追求することにより見えてくる新たな地平に思いを馳せた。
第8位
●早稲田祭2006「尾辻かな子講演会」06「日活ロマンポルノと違いますぅ~」
再生回数::27794回 2006年11月13日公開。 初公開時の記事はこちら。
尾辻かな子さん早稲田祭講演会 PLAYLIST
2006年11月5日(日)に早稲田祭で収録。主催は早稲田大学セクシュアル・マイノリティサークル「GLOW」。僕にとっては、大学での講演風景を初めて撮影したという点で印象深い映像だ。この映像だけ突出して見られているのはきっと、「日活ロマンポルノ」を検索する人が多いからではなかろうか。
第7位
●第6回東京プライドパレード●フロート【7】みんなで!あゆフロート~walking proud~そうこれが 僕の選んだ道
再生回数::31702回 2007年08月19日公開。 初公開時の記事はこちら。
第6回東京プライドパレード2007 PLAYLIST
2007年8月11日(日)に開催された第6回東京プライドパレードで撮影。とにかくこの日は暑くて暑くて、外でなにもせずに居るだけでも滝のような汗が出て熱中症になりそうで大変だった。意識が朦朧としながら撮っていたことを憶えているのだが、ちょうどアップテンポの曲でフロート参加者が盛り上がっている瞬間に出くわしたのはラッキーだった。かなり「突き抜けた感じ」の映像になり、自分でも気に入っている。そういえばYouTubeのこの映像に付けられたコメントに、こんなのがあった。
なるほど「同じものを好き同士」って、理屈を超えた部分で通じ合えるし仲良くなりやすいものだ。「ゲイ」だの「レズビアン」だの「同性愛」だの「異性愛」だのといったレッテル貼りによる垣根は、案外こういう方面から簡単に切り崩せてしまうものなのかもしれない。「皆さんイキイキしてらっしゃいますね!!ayuの曲を通して多くの人が同じものを見つめることができたら 素敵ですね。同じayuファンとして応援しています。」
第6位
●Deep東京Love~中村中ライブのある景色in葛飾
再生回数::40673回 2006年11月27日公開。 初公開時の記事はこちら。
歌手の中村中さんがメジャーデビューしたての頃。2曲目の『友達の詩』に狂気を感じて好きになり、 「中村中の歌世界」というカテゴリーを書き連ねていた時期がある。メディア露出における「性同一性障害歌手」のレッテル貼りに反抗している頃の「尖った感じ」と「不安定な精神状態を隠し切れていない感じ」が大好きで、ミニライブや握手会にわざわざ出かけたほどだ。この映像は2006年10月28日に葛飾区で行われたキャンペーン活動のステージを、「もしかしたら撮影できるのかも」と期待してカメラを持って行った時のもの。実際には撮影は叶わず、「葛飾区産業フェア」の様子を遊びで撮って編集するしかなかったのだが、どうやらYouTube上では「本人が映っているかもしれない」という期待で多くの人に見られてしまったようである・・・。申し訳ない。(爆)
中村中さんはその後、みごと紅白歌合戦で真っ赤なドレスで『友達の詩』を披露するまでになり、すっかり自らの使命を自覚し引き受けたかのようだ。しかしそうやって存在に「安定感」が感じられるようになると、僕の「ファン熱」は途端に冷めてしまう。基本的に「あまのじゃく」気質なのだからしょうがない。(だからこそ工藤静香ファン歴は長く続いているのだとも言える。←自虐ネタ。爆)
第5位
●セクシュアリティと政治18●性同一性障害と同性愛。連帯するには01
再生回数:50214回 2007年03月13日公開。 初公開時の記事はこちら。
セクシュアリティと政治 PLAYLIST
なぜこのように真面目なトーク映像が突出して5万人に見られているのか謎ではあるのだが、おそらくタイトルの「性同一性障害」と「同性愛」が他のエロ系あるいは人気の高い映像との親和性が高く、偶然見る人の率が高くなっているのだと思われる。この映像は02と03に続くのだが、そちらの再生回数はそれほど伸びているわけではない。したがって結果的にはYouTubeのサイト内で「看板」のような役割を担い、孤軍奮闘してくれているようだ。
2007年の「選挙イヤー」の一連の動きが始まる直前に行われた、「石坂わたると多様性のある中野を作る会」の主催で行われたこの会は、告知が直前だったにしては30名を超える人々が集まった。そして、たしかに現場には「これから時代が急激に変わるのかもしれない」という期待がもたらす熱気があった。この時期の映像には、その頃に特有の「空気」が濃厚に詰まっているような気がする。
第4位
●尾辻かな子さん・木村真紀さん同性結婚式(同性婚)01★NLGR2007
再生回数::51237回 2007年06月08日公開。 初掲載時の記事はこちら。
NLGR2007 PLAYLIST
一連の「選挙の頃」の映像を見返すと、結果が残念だっただけに様々に複雑な感情が湧いてくるのを今でも抑えることが出来ない。おそらく、あの頃のことを冷静に振り返るには、僕にとってはもう少し時間が必要なのかもしれない。しかし、一生に一時期だけでもあれだけ「熱中したこと」があったということは、いつまでも「誇り」のようなものとして残り続けることだろう。
NLGRでのこのイベントは、「同性婚」あるいは「同性パートナー」というものを「わかりやすくイメージ化」してマスメディアの報道に乗せていくというところに狙いがあったのだろう。結果、数々のメディアによって報道されたわけだが・・・当事者間には逆に誤解や分断を生み出してしまった面もあるような気がする。単純化とは真逆のベクトルに向かって進化している「コミュニティの多様性」は、だからこそ選挙のような時には一筋縄では動かないものなのだ。
なお、今でもこの「ウエディングドレス姿の女性2人」のイメージは、強烈なインパクトを伴ってYouTube上に存在し続けており、コンスタントに毎日100名近くの人々に新たに「見られ続けている」。
第3位
●伊藤文学さん「開運!なんでも鑑定団」9月11日放送分・収録風景
再生回数:66651回 2007年09月09日公開。 初掲載時の記事はこちら。
2007年7月30日未明に尾辻さんの選挙結果がわかった翌日の7月31日。下北沢で行われたテレビ番組の収録風景を撮影した。この日の僕は頭の中がシフトチェンジできずにボーっとしていたのだが、伊藤文学さんの「楽しみながら生きる術を知っている」ような大らかな人柄に触れているだけで、ずいぶんと助けられた。この時に番組に出品して高値の鑑定を得た壷は結局まだ買い手が現れないままだが、文学さんは生活苦の中でも屈せずに相変わらず楽しみながら、執筆活動や孫や奥さんとの日常を生き抜いている。下北沢に行けば、いつも文学さんがこの調子で居てくれるというだけで、心が安らぐ。
☆当ブログ発信・伊藤文学さん関連映像PLAYLIST
●薔薇族城落城
●伊藤文学の談話室「祭」@邪宗門
●伊藤文学・薔薇族創刊の頃を語る
●伊藤文学さん薔薇族394号トーク
●伊藤文学さんのところにゲイ雑誌「バディ」の取材がっ!
第2位
●尾辻かな子さん法政大学講義14●同性愛=SEXという短絡
再生回数: 231948回 2007年07月11日追加。 初公開時の記事はこちら。
尾辻かな子さん法政大学講義 PLAYLIST
この桁外れの23万Viewという数字はなんなのか、こちらの場合は簡単に推理できる。いかにYouTubeで「SEX」を検索する人が多いかということの証明だろう。さらに「同性愛」と結びついて検索されれば、かなりこの映像に出会う確率が高くなっているらしい。結果、ホットな身体をクールダウンさせることになっているのかもしれないが、そういう形で不特定多数の人々と出会ってこそのYouTube。この雑多で猥雑な混ざり具合が素敵だ。
第1位
●神戸LGBTIQプライドマーチL.T.mini04●GOGOBOYショー~K-Ci&GUY
再生回数::342708回 2007年05月26日公開。 初公開時の記事はこちら。
神戸LGBTIQプライドマーチ PLAYLIST
そしてやっぱり第1位は、akaboshi07アカウントでも例外なく「エロス」が強かった。2007年の神戸LGBTIQプライドマーチのアフターイベントで撮影したGOGO BOYのショーが、あれよあれよという間に世界中の人々から「お気に入り」登録され、この映像をきっかけにしてakaboshi07アカウントの他の映像の視聴に繋がったり、YouTube上でゆるやかに繋がり合うことになった人がたくさん居る。今でもたまに、英語や知らない言語からのメッセージがこの映像あてに寄せられるのだが、面倒くさいので対応しきれていない。
しかしこの映像、2008年3月頃から「アダルト指定」に登録されてしまい、YouTubeのサイト内ではアカウントを持たなければ見ることが出来なくなってしまった。それでも日々、未だに数百人の人々が見続けている「お化け映像」であることは確か。エロスは国境を超える!ってのは本当の話。
こうしたことを卑しいことであるかのように捉えるのは了見が狭すぎるし頭でっかちというものだ。むしろ積極的な意味で捉え返さないと、人間の不可思議さや面白さを全体像として捉えることは出来ないだろう。この映像を未見でどうしても見たい方はぜひ、YouTubeにアカウントの作成を。(「子どもも見るから」という表向きの理由で結果的にはエロスを囲い込むことで会員を増やそうというのが、YouTube側のしたたかな戦略なのだろうが。)
こうして振り返ってみると、再生回数が多い映像だからといってネットユーザーの「ニーズ」を満たしているのかと言えば、「そうとも言えるし、そうでないとも言える」という微妙な感慨を持たざるを得ない。興味の無かった分野の映像に偶然出会い、新たな知見を得るきっかけが生まれやすいYouTubeというメディア環境は、「ニーズ」とはまた別の予見不可能性を伴って人々を吸引し続けている。そこが面白い。
旧来のマーケティング的発想では「儲からない」という理由で「世の中に出る前に市場原理でストップがかかっていた情報」が、こうした表現の場が出来たことにより広まりやすくなったことは確かである。また、時間の制限もなければ地域の縛りもなく、国境すらたやすく超えてしまうのがYouTube映像の魅力でもある。その恩恵はたっぷりと受けようと思う。

こうした活動はとにかく「長く続けて蓄積していくこと」が大事であり、過去と現在を関連させた上でこそ、真の意味で未来が展望出来るのではないかと思う。そのためには蓄積こそが必要であり、簡単にその情報にアクセスできる環境こそが必要なのだ。インターネットはこれから「歴史性」を帯び始め、そうした機能をも持ち始めることになるだろう。その役割の一角を、僕は映像で担いたい。
モチベーションは枯れるどころか継続したままで、3年目に突入できることを嬉しく思う。→FC2 同性愛Blog Ranking
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コメント
この記事へのコメント
楽しかったです!!
akabosiさん こんばんは!
昨日のイベントに参加した者です
(最前列の赤いチェックのシャツで声をかけた奴です)
普段 改めて政治!と 実生活の事を引きつけて考える
事が希薄だったので(投票には欠かさず参加していましたが)
熱い議論に触れ 色々と考えさせられました!!
まずは 1人 1人の意識と行動ですよね!!
昨日のイベントに参加した者です
(最前列の赤いチェックのシャツで声をかけた奴です)
普段 改めて政治!と 実生活の事を引きつけて考える
事が希薄だったので(投票には欠かさず参加していましたが)
熱い議論に触れ 色々と考えさせられました!!
まずは 1人 1人の意識と行動ですよね!!
祝akaboshiO7二周年
何となく、このブログを読み進めていくうちに、1位の予想はついてたんだけど(笑)ラインナップの意外性は、akaboshiさんの分析を見てるとうなずける内容だと思います。
この2年、ほんとにお疲れ様でした。
1位の画像を観ると、昨年を懐かしく思い出します。
ドラァグのエルファ・ブリーズとあのごちゃ混ぜのイベントを38度4分の発熱にもかかわらず、やっつけ司会進行していた状況や、
某選挙公認前の空気、市民参加型パレード直後の高揚感もあいまって、
エロチックあり、お笑いあり、HIV・AIDSの話、選挙、映画祭、ブラス、サークル、クラブ、家族と友人、それこそ多様なセクシュアリティ…etc、
混沌としているようで、何かアツイものを俺には思い出させてくれる映像です。
好きなモノ、人、イベントなどこれからも、撮り続けて行って下さいね。
この2年、ほんとにお疲れ様でした。
1位の画像を観ると、昨年を懐かしく思い出します。
ドラァグのエルファ・ブリーズとあのごちゃ混ぜのイベントを38度4分の発熱にもかかわらず、やっつけ司会進行していた状況や、
某選挙公認前の空気、市民参加型パレード直後の高揚感もあいまって、
エロチックあり、お笑いあり、HIV・AIDSの話、選挙、映画祭、ブラス、サークル、クラブ、家族と友人、それこそ多様なセクシュアリティ…etc、
混沌としているようで、何かアツイものを俺には思い出させてくれる映像です。
好きなモノ、人、イベントなどこれからも、撮り続けて行って下さいね。
●アスカさん。
政治に関するトークだったにも関わらず「楽しかった」という感想が出るのって、主催した側にとっては何よりも嬉しいです。開催してよかったです。ご来場ありがとうございました。これからもぜひ!
●Leoponさん。
パレードではどうもでした。
あのとき、発熱してたんですか?ひぇ~。でもあのイベントの、次から次へと全く違うものがごちゃまぜに目の前でスピーディーに展開される構成、すごく好きでした。「こうでなくっちゃ!」と、ひとつのモデルケースを見たような気がします。録画しといて良かったです。何年か経って見返すと、いろんな楽しみ方ができるかもしれないですよね。
これからも連絡取り合いましょう!
あのとき、発熱してたんですか?ひぇ~。でもあのイベントの、次から次へと全く違うものがごちゃまぜに目の前でスピーディーに展開される構成、すごく好きでした。「こうでなくっちゃ!」と、ひとつのモデルケースを見たような気がします。録画しといて良かったです。何年か経って見返すと、いろんな楽しみ方ができるかもしれないですよね。
これからも連絡取り合いましょう!
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