マルコ・S・プッチオーニ「あたたかな場所/Shelter(Riparo - Anis tra di noi)」●MOVIEレビュー

人は贅沢で滑稽な生き物だ。安住の地を見つけたと思った途端に、自らその環境をぶっ壊す。エゴを貫くために。
移民の少年が、ひょんなことからレズビアンカップル(アンナとマーラ)の家に居候することになった。アンナはその状況を積極的に楽しめるのだが、マーラは家に「男」が居るという現実を受け入れられない。光と影のコントラストを意識的に強調した画面作りが、登場人物の棘棘しい繊細な心のざわめきを描き出す。
●YouTubeより~"Riparo" trailer 90"
★第17回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で上映
7月12日(Sat) 18:40~ @新宿バルト9
7月20日(Sat) 13:45~ @スパイラルホール
【後援】イタリア文化会館 Endorsed by Italian Cultural Institute

真面目に働く少年。次第に明るさと元気を取り戻す。少年に対してなかなか心を開かなかったマーラも、次第に少年と心を通わせるようになり、新しい日常に慣れて行く。垣間見える希望。しかし、そのほんのひと時だけだったのかもしれない。この日常を「あたたかな場所」だと感じることが出来たのは。
少年はレズビアンのマーラに恋をした。
マーラが「レズビアン」だということが、なかなか理解できない少年は「君には癒やしてくれる男が必要だ。それは僕だ」と積極的に求愛する。押しの強さに辟易しながらも、次第に少年に惹かれて行くマーラ。そして2人は関係を持ってしまう。
その事実は、アンナにバレてしまう。もう「あたたかな場所」は戻らない。アンナの嫉妬により少年の就職口は奪われ、再び放浪生活に戻らざるを得なくなる。「移民」とは、なんという儚い立場なのだろう。
アンナとマーラが、その後どんな日常を過ごすことになるのか映画では描かれない。しかし、相も変わらず「退屈」を紛らせながら、2人で生きていくのだろう。

片や、安住しているはずなのに、実感できずに倦怠の沼に引きずり込まれているレズビアンカップル。
どちらも、浮ついて漂っていることには変わりない。「あたたかな場所」を求めつつも、掴んだならばすぐに捨て去りつつ。
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