パフナイト★68●カミングアウト・レターズ06●カミングアウトの多様性

「この本を作ってみての発見」はなんですか?・・・こういう単純すぎる質問ほど応えるのは難しいのかもしれませんが、イジワルにもぶつけてしまいました。そしたら、この本の豊かさを形成している「核」になっている重要なポイントが浮かびあがって来ました。
07●カミングアウトの多様性
砂川秀樹さんの発言を書き出しておきます。
「カミングアウトの受容には、正しい知識というのは必ずしも必要な条件でもないし、十分な条件でもない。正しい知識を持っているから受容できるわけでもないし、正しい知識がないから受容できないというわけでもないというのを凄く感じたんですね。
中には、なんとなくゲイについて誤解しているかなぁみたいなことを書いていらっしゃる親御さんもいるんですけども、そういうのはたぶん(そのパターンにおいては)関係なくて、その子が自分の変わらない子であるというところに意識があること。で、そこから正しい知識の習得がはじまる、みたいな。そういう流れがあると思うんですよね。
もちろん、必ずしもそうではなくて正しい知識によって受容の土台が作られたり、受容が促進されるということはもちろんあるんですけども、必ずしも『これが、受容されるためには絶対に必要だ』とか、『これさえあれば受容出来るんだ』というものではやっぱり無いんだなと。それぞれのやりとりの中で複雑で、それぞれの関係性においてしか受容の形はなくて。だからカミングアウトいうのは一般化できるものではないんだなぁというのを、とっても感じましたね。すごくバラバラっていうか、それぞれなんだ。それぞれの数の形なんだ。」

多様性の尊重というのは「複雑さを複雑さとして、ありのままに見る」ことではないかと思います。しかし、なんとなく「カミングアウト」という言葉や、その使われ方には、そうした「複雑さ」よりも「単純にオープンにして行くこと」というイメージが付きまとってしまっていて、気の強い人たちが決死の覚悟で行っていることであるかのように、敷居が高く感じられている側面があるような気がします。
この本は結果的に、そこにメスを入れたのではないかと思います。この本には、いわゆる「偉人」は出て来ません。それぞれに複雑な「カミングアウトの多様性」を、「一冊の本」という世界の中で、スタイルとしても読者に提示することに成功しているのです。しかも、カミングアウトを経た家族や友人との関係は、登場人物それぞれに「現在進行形」であり、けっして「終わった(解決した)問題なんかではない」ということを感じさせてくれるのです。つまり、ある「答え」に到達した人たちの遠い話ではなく、身近な「生きたエピソード」として感じられるのです。
そこに、この本ならではの革新性があるのではないでしょうか。だからこそ、柔らかく深く心に浸透してくる「リアリティー」を獲得出来ているのではないでしょうか。→FC2同性愛 Blog Ranking
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