フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2018-02
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大学時代、ゲイを演じることになり・・・完結

ハプニングを乗り越え、カーテンコールも終了し、初日の公演は無事終了。観客を送り出すために役者達は入口に並びます。
観終わったばかりの上気した観客たちが出てくるのを「ありがとうございました~」と見送るわけですが、そこに両親の姿があるのを見つけて驚きました。なぜならこの公演のことは、教えた覚えがなかったからです。

公演の直前というのは準備で大忙しになり、朝早くから出かけ、帰りは深夜になります。学校に泊り込んだりもしていたので顔を合わせにくくなっていたということもあるのですが・・・。僕の心の中で両親に知らせることへのためらいが無かったと言えば嘘になります。
しかし両親は、「この忙しさは公演前に違いない」と気づいていたらしく、僕の留守中に、用事があって電話してきた演劇部の同級生から、ちゃっかりと公演日程を聞いていたのでした。

僕は恥ずかしいので気付かぬ振りして、友人たちに「ありがとう~」と話しかけていたのですが、両親はそんな気も知らずに寄って来ます。
「なんで知らせないのよ。」
母が言います。
「忙しかったから。」
そっけなく応える僕。
「身体に気をつけろよ。」
父はそう言ってさっさと行ってしまったのですが、その時母が屈託ない笑顔で言いました。
「こういう内容だから知らせなかったの?」
うわっ!来た!・・・と焦った僕は
「いや・・・べつに。」
とはぐらかします。
「ちゃんと知らせなさいよ。お父さん、楽しみにしてるんだから。じゃあね。」
それ以上話を発展させず、母も帰って行きました。自分の気持ちを「誰かが言っている」という風に表現するのが母親の常套手段。そして、思ったことをストレートに言って来るのもこの母親。深い意味を込めて言っている訳ではなさそうだったのですが、真意の程はいまだに定かではありません。

お客さんが皆帰ったあと、先輩はすぐに僕の所に飛んで来て
「本当にゴメンなぁ。真っ白になっちゃって、とりあえずキスしてりゃあ誰かが何とかしてくれるだろうと開き直っちゃったよ~。」
と手を合わせて必死に謝ります。
「苦しかったけど嬉しかったです(笑)。
明日もヨロシク。」
と、とりあえずジョークの中に本音を含ませて応えておく僕。それを聞いていた先輩の彼女役の人がすかさず、
「ホント最悪だよね~。あたしあの時、マジでムカついたからカバンをおもいっきり叩きつけちゃった。」
と、機転を利かせたのではなくキレたのだということを明かします。たしかに、ものすごい音がしたことは確かです。・・・やってくれます(笑)。

反省会で演出家は
「まったくヒヤヒヤさせるわね~。あたしのつまらない脚本への挑戦状?」
と笑いながら毒をまぶしてきました。
「まあでも成立してたから許すけど。明日こそは初日が出るようにヨロシクね、じゃ、お疲れ。」
そう言って例の如くクールに帰っていきました。

「初日が出る」というのは演劇の現場で演出家がよく使う言葉。
彼女がこういう言い方をしたということは、演出家としてはこの初日の公演には納得が行かなかったということを意味します。
根が真面目な先輩はこの言われ方が気になったらしく「もう二度と繰り返したくないから」と、翌日この3人だけで自主稽古をしようと提案しました。

翌日、劇場の鍵が開く前に建物の裏口前で集合した3人は、野外の駐車場の片隅でその場面の反復稽古をしました。もちろん本物のキス付きで。
僕は一度目のキスよりも、この時の感覚の方をよく憶えています。
野外で、気の知れた仲間しか見ていないという安心感の中だったので、十二分にキスの感触を楽しむことが出来ました。
先輩は「一度しちゃうと、けっこう平気になるもんだね~。」と言いながら、僕を使って何度もキスの稽古をしてきます。彼女役の人は「もうちょっとこうしなさいよ。」と、ニヤニヤしながらキスの形を指導します。僕は二人に任せ、されるがままに何度も先輩のやわらかい唇を楽しみました。
もちろん表向きは「あんまりやると感動しなくなるね~。」と二人には言っておきましたが・・・内心では幸せにひたっていました(笑)。

思えば、僕の「ファースト・キス」だからとぶっつけ本番を提案してくれた先輩ですが、実は役者として不安だったんだと思います。そのやさしさに気付いた時、ますます先輩を尊敬し、好きになって行きました。彼女がいるのは知っていたし、そんな度胸も無かったので告白はしませんでしたが、公演期間中は本当に大好きでした。本番が幸せでした。
いつも彼女を公演に呼ぶ先輩ですが、この時は呼ばなかったと後で聞きました。

7回の公演は一応好評だったらしく、回数を重ねるたびにお客さんは増えて行ったようです。
小さな会場だったので満席になり、千秋楽の頃には入れないお客さんが出たほどでした。
終演後友だちに会うと、皆一様にキスシーンの事に触れてきます。
「ショックだったよ~」とか「どんな感じだった?」とか。
一人、毒舌で有名な女の子が
「キスのとき異常に生き生きとしてたね。自然だった。」と言い残して帰ったのには、さらなる冷や汗をかかせてもらいました(笑)。

初日以外は段取り的なミスはなく全日程は終了。打ち上げはカラオケで盛り上がるのが恒例でした。
僕は「飲み」の場が苦手でいつもおとなしくしていたのですが、この時、後輩の誰かが「キスシーンがちゃんと見たい」と言い出しました。稽古場では本物のキスを控えていたため、その場面に出ている3人以外の役者は、楽屋にいたのでその場面を見ていないのです。
突然「キス」の連呼が始まり、なぜかデュエットで女役を歌わされ、間奏でキスをさせられました。

その頃の僕は普段おとなしいイメージで通っていたので一応「いやがる」そぶりで照れながら応じたのですが、内心では「ラッキーッ!」と有頂天。酒が入っているので先輩はかなりエキサイトしています。本番の何倍も大げさに力強く僕を抱擁し、激しくキスをしてくれました。
先輩が大胆にやってくれるので僕も大胆に抱きつき返し、その場は大いに盛り上がります。
「付き合っちゃえば~?」と声がかかり、
「俺、目覚めちゃおっかな~(笑)」
とサービス満点に応える先輩。
でも、それはあくまでも「役」を与えられた上での束の間の出来事。
翌日からは「役」を脱ぎ捨て、なんでもない日常がはじまってしまいます。
僕はそのことに思いを馳せ、悲しみがこみ上げてくるのをグッと我慢しながら、何度も皆にサービスする先輩に応じました。

この夜は、僕にしてはめずらしく酔いつぶれました。
若さによる勢いと、セクシャリティーの自覚の中途半端さと。
その微妙なバランスが拮抗していた時期だからこそ味わえた、不思議だけれども
あたたかい、大切な思い出です。

<終わり>

長期にわたる不定期連載におつき合いいただき、ありがとうございました。
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コメント

この記事へのコメント

お疲れ様でした。いろんなことを考えながら読ませてもらいました。
振返る過去よりも、前に広がる未来、そこへ踏み出す現在の方が、素敵だと、信じています!

なんかいろんな事が混じっている期間だったんですね。お祭りみたいなファーストキスですね。桃のは、あまりロマンチックなファーストキスじゃなかったなぁ~と思い出します。
打ち上げも含めて完全燃焼した舞台ですね!!

結果的にファーストはいい思い出じゃないですか~☆しかも切ない恋の相手としちゃった訳ですからね~(笑)ほんとラッキーって思える気持ちは僕も十分過ぎるほどよくわかります(笑)てか羨ましい!
まさに青春!なお話で楽しかったです!

このお芝居を生で見たかったです。
青春の甘酸っぱいような味?匂い?がします。
このファーストキスは素敵な思い出ですよね?
そして長編のピリオド。お疲れ様でした。愛読者満足です。

●RYUくん。
思えば連載の初回からほぼ毎回のようにコメントくれて
ズボラな僕を急かしてくれてありがとう(笑)。
思えばこの2ヶ月以上の連載中、僕自身に思いも寄らぬ急展開があって
しばらくは過去を振り返るどころではなくなってしまった。
うれしい誤算だった。
人は、現在に満たされない時や、心が休みたがっている時に
過去を振り返りたくなるのかもしれない。
僕も若い頃は「過去を振り返ることよりも未来だ!」とは思っていたんだけど
近頃、すこし弱りかけていたのかもしれない。
このブログをなんとなく始めてみた時、動機の一つは
自分の未整理な過去を振り返って誰かに聞いてもらいたいという衝動だった。
結果としては、やって良かったと思う。
いろんな人との関わりの中で、実はたくさんの愛情だったり友情だったり
人からの思いやりを受けたから、今の僕があるということを再発見できた。
これからの僕にとってこの発見は間違いなく、エネルギーになると思う。
未来から振り返って、そういう風に思える過去を、
これからもたくさん作って生きて行きたい。素敵な出会いを大切にして。

●桃さん。
そうなんです、打ち上げは完全燃焼でした。
あとにもさきにも、この時ほど酔っぱらったことはありません。
カラオケ終わって外に出たらもう明るくなっていて、
そのまま大学に戻って片づけを一日中やって・・・。
「もう終わっちゃったんだな・・・」と、
理屈だけではなく身体でも実感して行くような感じでした。
先輩への思いは、しばらく引きずりましたが
次の公演の稽古がはじまり、先輩が彼女を連れて来るようになってからは
いつの間にか薄れて冷静になっていったように思います。

●SHIN'YAさん。
そうだね、いい思い出だったみたい。
おかしなことに、これを書きながらそのことに自分で気が付いて行きました(笑)。
あいまいなままでしばらく放っておいた記憶だったんですが・・・。
振り返るのがちょっと怖かったのかもしれませんね。臆病だから。

● jyubonさん。
こんな、いつ掲載されるかわからないわがまま連載におつき合いいただき
本当にありがとうございました。
皆さんからコメントをいただく事で触発されて
どんどん細部を思い出すことができて嬉しかったです。
SHIN'YAさんも使ってたけど「青春」って、こういうことを言うのでしょうか。
ああ、まだ使うのに抵抗を感じる言葉だな~(笑)。
僕の本当の青春は、遅ればせながらはじまったばかりだから(←遅すぎ。笑)

一週間かかり、今日全部翻訳しましました。ちょっと疲れました。赤星さんの事をいろいろしっていましたが、どうもありがとうございました。
外国語としての日本語が自由に使うことができませんが、言いたい事がたくさんあり、でも現在まだいえません。というわけで、ただありがとういいましょう。
ゲイの言葉がお蔭様で、私のブログを読みに来た人は突然多くなりました。ちょっと驚く。でもね、真面目に読んだひとはあるかとうかぜんぜんわからない。残念。
これから、とても重要的な英語試験があります。じゃ、日本語のこと止まるつもりです。ごめん。試験が終わり後、また赤星さんのこの所にきましょう。失礼します。
誠にありがとうございます。

● wikaさん。
え・・・一週間かかって翻訳なさったんですか?
と、いうことは、あんなことやこんなことまですべて・・・ひえ~(笑)。
かなり好き勝手に書き散らしているので、お恥ずかしい限りです・・・。
試験、成功を祈ってますっ!

akaboshiさん

同性愛うんぬんではなく、私は、役者さんが演技でキスしたり、セックスしたりというのがすごく不思議です。どんな気分でやっているの?ものお話の場合、akabosiさんは相手のこと好きだったみたいだけど、そうじゃないケースとか、どんな気持ちなのでしょう?

●チュチュ姫さん。

演技をやってみるとわかるんですけど、
人間というのは本来的にとても柔軟性のある生き物でして、
「思い込む」ことで好きになることは出来るんです。
だから演技の上とは言え、「好き」になる演技をするときは、
演じている瞬間は「好き」になれます。
ただし、舞台が終われば途端に日常での人間関係に戻りますけど(笑)。

「高校時代」「大学時代」全部読みました~

おひさしぶりです。おそらく覚えていらっしゃらないと思いますが、BBM関連の記事に一度コメントしたことのあるかがみです。
「大学時代~」の連載、とても面白かったです(^□^)(←こういう顔文字が適切かどうか分かりませんが…)良質の恋愛(コメディ?)漫画を読んだときのような強烈なモダエ感…!!たまらん。先輩やお友達、みんな面白い方たちですね~。サークルに入ってないので、こういう人間関係をご存知なのがちょっとうらやましいですww

●かがみさん。

なつかしい記事を読んでくださってありがとうございます。
思えばこのブログ、最初の頃はこれを書くのがメインだったわけで(笑)。
モダエさせてしまいましたか。光栄です。
その後も「ゲイ自認」までのエピソードでかなりモダエさせられるネタがあるので
そのうち書くかもしれません(←と言って放置している企画もかなりあるブログですみません。)

実は

高校のとき総合学習(総合的な学習の時間とかいって一時期話題になったアレです)でインターセックスについて調べたことがあります(発表もしました)。これを読んでいるとき、そのときに出会ったハッシーさん(橋本秀雄さん)の本を思い出しました。「男でも女でもない性」という本です(今は完全版が出ています)。
ハッシーさんも思春期から、セクシャリティについての悩みをもっていて、恋愛関係などで苦しい思いをされたそうです。
よく「LGBT」といいますが、私は初めてこの言葉にあったとき、「あれ? I(インターセックス)は?」と思いました。「LGBIT」という言葉もあるそうです。インターセックスは、「男」「女」の、社会的のみならず生物学的な枠までもをぐらつかせる存在です。さまざまな人に知ってもらいたいなあ、と漠然と思っています。

●かがみさん。

最近、「LGBIT」という風に使われるようになってきましたね。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%8A%E9%99%B0%E9%99%BD
↑Wikipediaでの記述より・・・

「社会的には現在、半陰陽者は差別以前に日本ではほとんど認知されていない。明治以前には少なくとも「ふたなり」という単語が存在する程度にはそれを認知していた。

しかし、明治になって西洋式の考えが導入された時点で、生殖能力に欠ける事が多く「産めよ増やせよ地に満ちよ」のできない、あるいは難しい半陰陽者は社会から無視され、単純に先天的疾患と分類するようになってしまったとも指摘される。」

この部分が、同性愛とかなり共通してますね。
昔は自然なものとして認知されていたのに、明治以降の近代的な価値観によって
生殖に貢献しない異常なものとされてしまった点において。

すいません。昔取った杵柄があまり役に立たないと知ったかがみです。
よく知らないことについて適当に発言してはいけないなあ、と改めて思い知りました。
理由は…

「LGBT」に「I」を付けくわえること:インターセックスは LGBT 運動の一員なのか?
http://www.ipdx.org/japan/lgbti.html

用語とかカテゴライズって、本当に難しい問題です。
私個人の意見としていえるのは、セクシャルマイノリティ全体を表す言葉として、「LGBT」を使うべきではない、ということだけでしょう。

●かがみさん。

そのことに関しての見解は、
まだ僕は知識不足であり出せる段階にはありません。
リンクを紹介していただいたページはとても参考になる文章だと思いました。
ありがとうございます。
教えてくださったことに感謝します。
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