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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2011-03
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メディアと性的マイノリティ16●レズビアン・ゲイの世界っていうのは、90年代に持ってた「社会性」「社会的な働きかけ性」みたいなものを、どうして失って行ってしまったのか? #ishihara_kougi



 2010年10月17日(日)に開催されたメディアと性的マイノリティについて考えるディスカッション。(主催:dislocate。会場:「3331 Arts Chiyoda」

 性同一性障害関連の活動家に比べ、ゲイ・レズビアン等の活動家あるいは「社会に働きかけよう」という運動が、停滞してしまっているように感じられるという三橋さん。その話に関連して僕は、2007年の尾辻選挙での経験を思わず「トラウマ」と表現してしまったわけですが・・・現在の石原都知事の同性愛者差別発言に抗議する有志の会などに繋がる貴重な体験だったと、今の時点からは肯定的に振り返ることができます。

 石原発言の「以前」と「以後」では、ものすごく大きな意識変革が今、僕の中で起きていることに気付きます。この時に三橋さんに発破をかけられたことも、少なからず影響しているような気もしています。

メディアと性的マイノリティ16●レズビアン・ゲイの世界っていうのはなぜ


パネリスト
伊藤悟さん(すこたんソーシャルサービス)/三橋順子さん(性社会・文化史研究者)/akaboshi(島田暁/ブログ「フツーに生きてるGAYの日常」)

メディアと性的マイノリティ~「ジェンダーとセクシュアリティの媒介」PLAYLIST

こちらの記事からの続きになります。

三橋順子

 以前ゲイの方でけっこうそれ(メディアチェック)小まめにやってらした方いらっしゃいましたよね。

島田暁

 あの方関西の方ですよね、馬場(英行)さん。亡くなられちゃいました。

三橋順子

 やっぱり亡くなられたんだ。私、あれが切れちゃったのがやっぱりすごく残念だったんですよね。

島田暁

 90年代ですか?馬場さんがやられてたのは。

伊藤悟

 90年代の後半、ずっとチェックして。すごく本格的に。

三橋順子

 けっこう細かくね、(メディアを)チェックされて。いちいちその問題点を指摘されてた。

島田暁

 インターネットのわりと初期の頃に『ゲイと政治』というタイトルでサイトを作り、そこに発表されてたんですよね。

★関連記事
LGBT可視化に向けて050●LGBTの家族と友人をつなぐ会・初参加(2007年1月17日)

伊藤悟

 そうですね。

三橋順子

 ああいうことっていうのはやっぱり手間暇を惜しまず、それぞれ番組を観て気付いた人がやらないといけないと思うんです。

島田暁

 その方も関連してると思うんですけど、その頃「G-FRONT関西」という名前で今もある、「ゲイフロント関西」と当時言っていた活動団体が、先ほど伊藤さんのお話にも出てきましたし、僕がトラウマを抱えた元凶である日本テレビの「解禁テレビ」というところで放送された、二丁目のゲイカップルをまるで犯罪者のように扱った番組があったんですけれども。

 『週刊金曜日』の過去の資料を見たところ、6ページくらい、それに関する後日談ような特集が組まれていて、そのうち伊藤さんが書かれている部分もあるんですけれども、「ゲイ・フロント関西」の当時わりと活発に活動されていた方が、どこをどうおかしいと思ってどういうふうに抗議して、結果的にそれは番組のプロデューサーとかに謝罪をさせることに繋がっていて。きっとそれが影響してその後、同じようなタイトルのものがなかなか放送されにくくなることに繋がっていたりとかしてますので。

 当時は「こういうことをやりました」という情報が載るのはやっぱり紙媒体がメインだった。けれども今は誰でもブログとかにも出せますし、それをTwitterで「広めてください」とやれば広まる可能性とかもあるので、どんどんそういうことをやるといいんじゃないかなと思います。

三橋順子

 あのね。前から思ってるんだけど、これはオフレコなのかもしれないけど。テレビ業界なんて、ゲイの人すごく多いはずなんです。

伊藤悟

うん。

三橋順子

 少なくとも私が得てる情報的には多いと思う。

伊藤悟

 多いと思う。はい。


三橋順子

 その人たちがなにも仕事場でカミングアウトする必要は無いんだけど、ゲイのネットワークの中で、そういう人たちを動かすようなことって出来ないのかな?

島田暁

 動いてないですよねぇ・・・。

三橋順子

 逆に自分がゲイだから余計にそういうものには関わらないような姿勢を取っちゃうのかな?

島田暁

 立場を追われること、リスクを・・・

三橋順子

 立場を追われることが嫌なんで・・・

島田暁

 リスクを考える率が高いから動いて無いんじゃないでしょうか。

伊藤悟

 だから、実際に「男社会」ですからテレビ業界は。たとえば「ゲイに関心がある」と言っただけで「お前はホモか」みたいなツッコミというのは今だにあるから、それで・・・

三橋順子

 徹底的に隠さなきゃいけないから逆にまったく動けないんだね。

伊藤悟

 っていうこと。それと、たとえばさっき馬場さんという単語が出て、ここもオフレコになるのかな、わからないけど。馬場さんはすごくテレビのメディアチェックをしてた方なんですけど、ゲイの中で馬場さんが評価されてないことが私は非常に残念なんですね。「ただ抗議だけをしてた人」というイメージを持たれてるんですよ、コミュニティに。でも「抗議だけ」って言ってもその中身は充実していたものがある。もちろん行き過ぎていた面もあるけれども。

 なんか今、「抗議」とかいったもの、そういうのは一切よろしからぬものというような雰囲気があって。その中で馬場さんが地道にテレビの中の問題点をやってきたことっていうのが評価されてないと。その辺がさっき「LGが今、どうして?」というのは、そういう内部的な問題もたぶんあって、なにかそういう「活動的なことをすること」に対する拒否感が行き過ぎているのではないかなと思うところもあるんですよね。

三橋順子

 だからそこが結構私は知りたい部分で。トランスジェンダーのコミュニティっていうのは、特に性同一性障害の人たちの影響を受けたからなのかもしれないですが。以前はね、まあ自分たちの世界だけで好き勝手やってればそれでハッピーだというような感覚があったんだけど。やっぱり世の中に出て行こうと思った場合には、いろいろ厄介なことがあるわけじゃないですか。それを実感するから「なんとかしよう」っていう動きはあって、けっこう社会性が出来てきてるんですよ、この10年間で。

 だけど逆にレズビアン・ゲイの世界っていうのは、90年代に持ってた「社会性」「社会的な働きかけ性」みたいなものを、どうして失って行ってしまったのか。コミュニティの中で希薄化して行っちゃったのか。それがすごく不思議。

島田暁

 聞きながら耳が痛いんですけども(苦笑)。あのー、僕もちょっと活動的なことに、あまりにも真っ直ぐに行くことにすごく抵抗を感じた時期があって。今はまたそこから抜けて来ているんですけど。それは僕の場合は尾辻かな子さんの選挙に関わって、撮影とか、キャンペーンとかにも関わった成果が実らなかったことのトラウマで、自分を責める気持ちも混じりながら・・・というのがあったんです。当時やっぱりすごくバッシングされたんですよ。そういうことをやっていることに。

三橋順子

 だからね、選挙の話あんまりするのもあれなんですけど。選挙の規模が違うわけですよ、世田谷区議会議員と参議院議員とでは。だけど、上川が5000票?で、尾辻さんが6万票?

島田暁

 いや、えーっと、3万9000とか、4万近く。

三橋順子

 4万票?・・・だからもっとマズいよね。なんで世田谷区で5000票取れて、全国で4万票?。それはないだろうと、私は尾辻さんの選挙の後の自分のブログに書いたんだけど。それってやっぱりなんなの?っていう。それはやはり、尾辻さん側の思惑も外れたんだよね。たとえば日本中に100人に数人ゲイ・レズビアンが居て、そのうちの100人に1人が投票しても充分通るはずなんだよ。

島田暁

 そうですね。

三橋順子

 全員が投票したら大変なトップ当選になるわけだけどさ、そんなことはあり得ないわけだけど。それすら無かったというのはなんだったんだろう。私はやっぱり、すごくそれが不思議で。

島田暁

 いろーんな原因が絡まってて一言では言えないんですが。

三橋順子

 今そういう場じゃないからアレだけど。

島田暁

 僕、いま一つ言えることは、「カミングアウト推奨選挙」になってしまっていた。「カミングアウト啓蒙選挙」になっていたことも一つの原因かなとは思います。「レズビアン、国会へ一撃!」と選挙のポスターや葉書の全てに「レズビアン」ってかなり目立つ所に入れていたので、今までの話にも何度も出てきたんですけれども、いわゆる性的マイノリティのことを取り上げるとか、それを人に薦める=「あなたがそうなの?」って言われることに関して、すごくまだためらいを覚える当事者が多いこの日本社会の中において、あれをやるっていうのは、進めた選挙対策本部自体に、「これをやることによって、更なる可視化を進めていこう。だから選挙に関わって尾辻かな子さんを人に薦めるという、当事者達の自己開示に繋げていこうという目論見が無かったと言えば、嘘になると重います。

 だからそこがちょっと、広げられなかった。家族とか友人とか「誰に投票するかわからない人」っていうのは、友人から薦められたから、家族から薦められたから「だから登場しよう」っていうのは、一定数いるらしいんですね。だから4万人が投票したとして、一人にでも広げられていたら8万人になっていたわけで、そうすると当選ラインに入ってるんですよ。だから、そこの壁ってやっぱり高かった。選挙運動員になりきれない・・・。「なる」=自分がセクシュアル・マイノリティであることを開示するということのハードルが高かったということが見えていたのかなと、僕は思います。それだけではないですけれどもね。

三橋順子

 選挙好きなのでついね。私ももちろん、尾辻さんに入れて。まぁ正直に言って「当選はつらいかな」。だけども、当選ラインのすぐ下くらいには来るかな?要するに繰り上げ当選があれば入るくらいのところに来るかなぁなんて、けっこう自信を持って予想してたら、私の予想の半分の票だったんです。そのくらいから・・・えっとあれは何年でしたっけ?

島田暁

 えっと、2007年です。

三橋順子

 そのくらいから、「社会運動」なんて大げさじゃなくていいから、「社会に関わること」の抵抗感というか、あんまりやりたがらない傾向が、どうも隣り村はあるんじゃないかな、と思ってて。

島田暁

 でも、そろそろそれがまた抜けてきてる・・・

三橋順子

 抜けて来て欲しいんです。

島田暁

 なって来てると感じますね。同性婚・同性パートナー法のネット署名がすごい早く集まってたり。

三橋順子

 わかりやすく言うと性同一性障害の人たちが戸籍の性別変更を制度化して、かつ最初は「子なし要件」の制約がきつかったのを、万全じゃないですけど運動をやって、だいぶ弛めて。次に残ってくるのが、順番はどっちかわからないけど手術要件か婚姻要件なんですよ。婚姻要件に関しては完全に同性婚の問題で引っかかってるわけだから、それをやろうとすると、いよいよトランスジェンダーの方も、同性パートナーシップなり同性婚の法制化ってことを求めざるを得ない。

 だけどそれは本来、トランスジェンダーや性同一性障害が本気で運動することではなくて、同性愛の人たちが本気で運動すべきことだと思う。だけど、いつまで経っても動かないんだと、やっぱりこっちが本気でやらざるを得ない状況になってくる。今年、来年あたりが本当に「分かれ目」になるかもしれないです。

 やっぱりいろんなショックがあるんだけど、学術論文調べてて、ゲイで研究者で社会学者の方が「同性婚反対」の論文を出しちゃってるんですね。もちろん学術的にはそれは意味のあることかもしれないけれども、運動的にはやっぱり、どうなんだろうなぁと思ったりね。うん。まあ、隣り村が複雑だってことはわかってるんですけれども。

島田暁

(苦笑)

三橋順子

 もうちょっと、なんかな、というのが今日の本音です。

島田暁

 はい、ありがとうございました。FC2 同性愛 Blog Ranking





☆三橋順子さんイベント出演情報・・・3月5日(土)19時開催
『石原発言とメディア ~日本のマスメディアはなぜ、あの発言を許すのか?』
詳細はこちら。


座・高円寺ドキュメンタリーフェスティバル奨励賞ありがとうございます。

『しみじみと歩いてる』
 
★3月に東京で自主上映会を開催します。

3月21日(祝)13:20/15:20(2回上映入替制/1200円)
会場:なかのZERO視聴覚ホール
監督:島田暁/2010年制作 77分■制作:akaboshi企画

 2006年10月から、大阪の御堂筋を性的マイノリティとその友人たちが歩く『関西レインボーパレード』に通いながら出会ったレズビアン、ゲイ、MtFトランスジェンダー、FtMトランスジェンダーそれぞれの日常生活、それぞれの違い、家族へのカミングアウト、仕事場や人間関係における葛藤、苦しみ、そして喜びを描いたドキュメンタリー。ゲイである監督の視点からまとめました。
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