石原都知事の同性愛者差別発言を受けて07●東京都の公聴システムの実態~基準がなく巧妙に無視されやすい「都民の声」

12月3日と7日の石原都知事の「同性愛者差別発言」を受けて有志が緊急に呼びかけ13日(月)に開催された「石原都知事の同性愛者差別発言に抗議する有志の会」第1回会合の模様。前回からの続きです。
上川あやさんが当日の映写用にと用意してくださったPDFファイルの画像と共に御覧ください。今回のテーマは以下の通りです。
■これまでの石原都知事のさまざまな差別発言は許されて来たのか?
■誰でも出来る、日弁連への人権救済申し立て
■都行政の「公聴システム」を考える。(世田谷区との比較で)
う~む。やっぱり都の公聴システムって、ぜんぜん信用ならないものなのかもしれない!ということが浮き彫りになっておりますよ。いくら「マンモス自治体」だからって酷すぎやしないか?と言いたくもなります、これでは。
02●東京都の公聴システムの実態
■石原都知事の同性愛者差別発言を受けて PLAYLIST
上川あや
世田谷で区議会議員をしています上川です。おそらく多くの人は御存知だと思いますけど、私も「LGBT」の一つ、トランスジェンダーの一人ということで、男性から女性に性別を越境したことを公表して7年前から区議会議員をしています。今回の石原発言が、夜、新聞に報じられたのをTwitterでチラッと見た瞬間に、私も周りにゲイ・レズビアンの友人が居る立場なので、非常に怒り心頭というか血が逆流するくらい「なんていうことなんだ」と思って。
それも、12月4日から10日までは全国で法務省人権擁護局が音頭をとって「人権週間」ということをやってまして、東京都も御他聞に漏れず4日~10日は東京都人権週間ということで、数年前から法務省人権擁護局が掲げている「16の人権の強調事項」には「性的指向に対する差別をなくそう」というのと、「性同一性障害に対する差別をなくそう」という2つ入ってるんですね。
当然、都知事というのはどういった立場なのかと言うと、彼は1200万都民のサービスを扱う行政府の執行権の長です。ですので、そういった方が本当は音頭を取っている、東京都ですと総務局人権部というところが、その窓口として人権行政を扱っていて、その中でも最も重要な場面の一つが、この4日からの人権週間ということだったんですけれども、その人権週間にぴったり合わせるかのように、今回、こういう暴言が繰り返されました。
皆さんも、石原都知事の発言に関してはこれまでも注視している向きはあるかなと思うのですけれども、たとえば過去の「ババア発言」。あるいは、障害を持っているお子さんに対して「こういう人には人格があるのか」と言って口を滑らせたことが問題になったり。「三国人発言」だったり。思い出せばキリがないくらい、人種とか性的なありようとか、様々な場面で差別的な発言を繰り返して来ています。

たとえば、これまでの差別発言は許されて来たのか?。これは一つ検証に値すると思っているんですね。石原都知事の差別発言をめぐっては、たとえば代表的なところでは「ババア発言」。世の中の半分は女性ですから、女性の多くは非常に憤慨しまして。その中ではオピニオン・リーダー層みたいな方々も、そのことについては「問題発言だ」というふうにシュプレヒ・コールを上げました。
代表的なことの一つは、法的に、東京都知事の発言を相手取って損害賠償を求める裁判を起こしたグループがあった。あともう一つは、日本弁護士連合会に人権救済の申し立てをしたグループがありました。まず、知事を訴えた裁判の方はどうなったかというと、今、最高裁までもつれ込んでいますが、ただ、「損害賠償」という金銭の問題としては賠償責任は認めずに、裁判所の判断としては、「それは適切とは言えない発言である」ということの主旨が裁判の中で示されたということで、これを争っていたグループ方々の中では、「都知事の発言の非を認めさせる」ということが目標でしたから、「原則、自分達にとっては勝利だ」という言い方をしていました。

それでもう一つの方。日弁連の方への人権救済の申し立てって、どなたでも出来ますけれども。この「ババア発言」を巡って行われた人権救済の申し立てには日弁連が都知事に警告を出しました。「これは人権問題として評価する時には、許されざる発言である」ということで警告を発しましたが、ただ、ご承知の通り石原都知事はその後も選挙で選ばれておりますし、裁判をやっても代理人である弁護士の方がそこに立って議論をすることはあっても、都知事がその場で証言を求められるというわけではないので、「多勢に影響が無い」と言うべきなのか、傍目に見ると都知事は馬耳東風ですよね。右から左へ受け流して「そんなものは構っちゃおれん」と言わんばかりの風に、私には見えていました。

先ほどakaboshiさんがお話をした中で、東京都が『都民の声』というものを設けていて、FAXでもEメールでも手紙でも葉書でもなんでも、都民の方・・・これは都民でなくても出せると思いますけれども、自分達の要望や意見や提案を出せると。で、私、迂闊に調べもしないでつぶやいたので、ちょっと御迷惑をおかけしたかと思うのですが。ちなみに世田谷区も同じように「地方政府」ですから、主権者は市民。世田谷区で言うと区民であると。「主権者の意向にしたがって行政はサービスを提供する」という立場ですから、区民の意見が基本原理。それを「聞く」ということが求められるということは道義的には間違いが無いことです。

当然、「都」そのものも広報公聴の窓口を持っていますから、世田谷区も同様です。じゃあ世田谷区は何をやっているのかというと。今回、調べたところ以前から、区民から提案なり要望があった時に返答を求められた時には、4営業日(正確には4開庁日)で、区民が要望しているのであれば、その人に「お応えを返す」というのが世田谷区のルール。東京最大の自治体・世田谷区では4営業日で返すので、基本的には一週間もすると公式な答弁、自分達が求めていることに対してどう考えるかを、責任ある回答として出すと。
彼らは、「たとえば幼稚園の問題で要望書を出しました。メールを書きました」といっても、幼稚園の担当部署の係長とかが一人で鉛筆を舐めて回答できるわけではありませんから、そこで出される結論というのは、7000人が働いている世田谷区の公共セクターの総意としての見解を必ず示すんですね。ですので、一つ一つ重要な案件については「これでいいんですね」ということをちゃんと審議を通して、「誰が応えても同じ回答を市民に返します」ということを踏襲してやるわけです。
皆さん関連することだと思うので、ちょっと細かく言うと、原則、「申し立て人(意見を書いた人)の住所・氏名が明らかにされているものに対しては、お応えをする」というのが、『区民の声取扱要領』という、内部で全職員がそれに沿って業務をしなければならない文書で決まっていました。電子メールは別枠でもう一個ありまして、「電子メールによる回答を希望し、申し立て人の住所・氏名・正しい電子メールが記載されている『区民の声』は、電子メールにて返信することができる」という「できる規定」なんですけれども、今日、担当課長とお話をしたら、基本的にはこういうふうには書いてありますけれども、「ご本人が本名を書いているのだと思えるものであるならば、基本的には返答を返しています」ということをおっしゃっていました。
で、それを下敷きに、東京都も当然、都民から寄せられる声、一般の市民、有権者から寄せられる声、出される声に対しては反応するものではないかと思ってTwitterにその旨つぶやきました。(しかし)東京都がどういうふうに対応しているのかを「政務調査です」と称して電話しまして、担当の課長補佐と電話でお話をして確認しました。
「東京都に寄せられた要望に関しては、基本的には、取扱に関しての統一的な基準というものは都では設けていない」という驚くべき回答でした。「したがって、統一的な基準は作っていませんから『要綱』という文章で統一的なルールを明文化していない。都としては、匿名でのご提案ご意見ご要望も受け付けており、その数は膨大なので・・・云々」ということをおっしゃっていました。

ですから結果論から言えば、返答するかどうか、それぞれの部局に関わる事務に関して、要望なり意見なり抗議があった時に返答するかどうかは、「各所管局の自主的な判断による」ということで、その総元締めというのが、総務局の『都民の声課」なんですけれども、声課の方では「お宅の方が担当だね」といって分類して渡すんだけれども、その結果がどうなったというのは個別に「これは問題だろう」という事故とかの事案、特別に注意を払わなければならないようなものに関して以外は、その後はトレーシングをして追いかけてはいないという回答でした。ちょっとびっくり。
akaboshi
リアルな『都民の声課』というのもありますよね、今日、都庁に別件で行ったんですけどありました。でっかいところが。
上川あや
はい。他にも担当課の課長補佐、2番目の人と話をしたんですけれども。東京都の場合ですと、基本的には公聴システムとして2段構えでありまして。基本的に総合的な窓口として『都民の声総合窓口』というところと、たとえば障害者福祉といったら保健福祉局という局だったり、今回、人権問題だったら総務局というところだったり、それぞれ、区で言ったら「部」みたいなところなんですけれども、部長クラスのところが自分達で自主的に設けている窓口と2つあるんだそうです。

総合窓口だけでも年間1万8000件で、他のを合わせると10数万件なので、他の自治体と比べると2桁件数が多いので、それを全て義務化するのは難しいというような・・・。まあ、正当化なのかなという声が聴こえてきました。おっしゃっていたのは、一方で大阪府では「全件公表」というルールで、寄せられた声で、回答したことに対しての公表のルールがあるということもおっしゃっていたので、やっぱり自治体の姿勢が問われるんだろうというふうにも思いました。
で、これによらず何ができるんだろうということで・・・<つづく>→FC2 同性愛 Blog Ranking
シリーズ記事へのリンク
05●「都民の声」は無化される?
07●東京都の公聴システムの実態~基準がなく巧妙に無視されやすい「都民の声」
08●怒りをぶちまけずに浪花節での請願・陳情。誰でもどこからでも出来る方法とは?
09●議員を「使う」ために考えること
10●さまざまな方法で見解を問う

『しみじみと歩いてる』上映会
1月10日(祝)13:00
パフ★シネマにて上映(トーク付き1200円)
会場:パフスペース
監督:島田暁/2010年制作 77分
制作:akaboshi企画
『関西レインボーパレード』で出会ったレズビアン、ゲイ、MtFトランスジェンダー、FtMトランスジェンダーそれぞれの日常生活、それぞれの違い、家族へのカミングアウト、仕事場や人間関係における葛藤や喜びを描いたドキュメンタリー。ゲイである監督の視点からまとめました。上映後には1年ぶりに大阪から綾さんが上京して「Ronとakaboshiの直撃トーク005」を開催します。(→昨年、開催した時の映像はこちら。)どうぞお楽しみに!
石原都知事の発言を受けて06●LGBTの家族と友人をつなぐ会から、石原都知事にメッセージ

映画の撮影で18(土)~20(月)に関西方面に出かけてきたのですが、19日(日)に神戸で行われた「LGBTの家族と友人をつなぐ会」神戸ミーティングに参加してきました。
セクシュアル・マイノリティ当事者から「カミングアウトされた親や友人」が悩みを抱え、孤独に苛まれる現状をなんとかしたい。そんな思いで発足した同会も今年で5年目。毎月のようにミーティングや講演会への出演、パレード参加など活発な活動を続けているわけですが、この日はゲストスピーカーに日高庸晴氏を迎えて「セクシュアルマイノリティのメンタルヘルス」についての話を聞き、後半は参加者29名で輪になって自己紹介をし合ったり、近況を報告し合ったりして交流を深めました。
同会は12月13日に石原都知事に抗議文を送付したということで、その際に積極的に動かれた方々も来ていらっしゃったので、会の終了後にビデオコメントを撮影させていただきました。どうぞ御覧ください。
●LGBTの家族と友人をつなぐ会から石原都知事へのメッセージ
同会は石原都知事の他に「都民の声総合窓口」「東京都人権部」「東京都人権プラザ」「東京都男女平等参画課」「都庁記者クラブ」にも抗議文や基礎知識の書かれた文書を送付したとのこと。6団体名と32名の個人名を「連名」形式で送られたとのことです。
なお、先日のパフスペースでの上川あやさんのお話によると抗議文は「連名」で送れば効力が必ず増すかというとそうではなく、束になって送ると数としては「1」になってしまうので、むしろもったいない。連名で送ることと同時に、各団体や個人が個別に送ることも必要なのではないかと指摘を受けています。その際には、皆で同じ文章を送るよりも「自分の言葉で送る」こと。すなわち「人から人へ直接、思いを届けること」に注力すると、より効力が増す可能性があるとおっしゃってました。
この日、同会に参加されていた方々も今後再び、個別に送付することを計画するとのことです。→FC2 同性愛 Blog Ranking

『しみじみと歩いてる』上映会
1月10日(祝)13:00
パフ★シネマにて上映(トーク付き1200円)
会場:パフスペース
監督:島田暁/2010年制作 77分
制作:akaboshi企画
『関西レインボーパレード』で出会ったレズビアン、ゲイ、MtFトランスジェンダー、FtMトランスジェンダーそれぞれの日常生活、それぞれの違い、家族へのカミングアウト、仕事場や人間関係における葛藤や喜びを描いたドキュメンタリー。ゲイである監督の視点からまとめました。上映後には1年ぶりに大阪から綾さんが上京して「Ronとakaboshiの直撃トーク005」を開催します。(→昨年、開催した時の映像はこちら。)どうぞお楽しみに!
石原都知事の発言を受けて05●「都民の声」は無化される?

12月3日と7日の石原都知事の「同性愛者差別発言」を受けて有志が緊急に呼びかけ13日(月)に開催された第1回会合には43人が集まり、上川あやさんを交えて「なにが出来るのか」のアイデアを出し合いました。
当日の模様を録画しましたので、公開可能な場面のみですが御紹介します。ぜひ、この問題に関心のある方々での情報共有に御活用ください。
まずは、会合を呼びかけたakaboshiから、毎日新聞で石原都知事発言を報じて再質問を行った真野記者と電話で話してわかった情報や、東京都人権週間イベントでの都職員との会話を報告。そしてRonさんから、東京法務局とのやりとりなどが語られました。
01●「都民の声」は無化される?
■石原都知事の同性愛者差別発言を受けて PLAYLIST
akaboshi
今日の集まりは石原都知事の報道された発言を受けて、何が出来るかということで。表立って動き出す団体というのが把握できなかったので、Ronさんと「何か起きないと、明らかにこれはおかしいよねぇ」ということで、パフスペースがたまたま空いているということで緊急に始めました。全然これは組織とかそういうことではなくて、有志で集まりたい人が集まって、どういうふうにこれからやって行こうかという、それ自体を今日、話し合うという場になると思います。
簡単に「報道された経緯」について説明させていただきます。僕は報道した記者に話を聞いたりしたので、その話も含めて共有したいんですけれども。
石原都知事がまず、一連の同性愛者への蔑視発言をしたのは最近ですね、12月の3日に、毎日新聞が報じたところによりますと、都青少年健全育成条例を改正して欲しいという要望書をPTA団体が提出した席で、マスメディアがそれを取材しているところで「子供だけじゃなくて、テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になりすぎている。使命感を持ってやります」というふうに発言しました。
この日、都庁の記者クラブに属している大手メディアは皆、これを取材していたのですけれども、この発言を報じたのは翌日の12月4日付けの毎日新聞(東京都内版)だけでした。これはインターネットにも掲載された記事でしたので、東京都内だけではなく全国からインターネットで検索でき、Googleニュースの「同性愛検索」等で見つける人が多くなり、ネット上で騒ぎが起きたというか、当然、騒がれて然るべきだと思います。
それから4日後の12月7日に次の発言を石原都知事がして、それに関してはそのまた翌日に載ったわけですが。新聞記事からだと「どういう状況だったのか」がわかりにくかったので、毎日新聞の真野記者に電話して聞いたところによると、真野さんが単独で取材に行って(都知事が)応えていたのかと思っていたらそうではなくて、また都庁の記者クラブの各マスメディアがいる目の前での発言。質問したのは真野さんなんです。最初の記事を書いたということもあり、「同性愛者に関する発言の真意を問い質す」みたいな感じで質問をしたみたいなんですね。「問題になってきている」という感じでたぶん言ったんだと思うんですけど。
そうすると(同性愛者について)「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」。あと、ゲイパレードを海外で見た経験として、「ゲイのパレードを見ましたけど、見てて本当に気の毒だと思った。男のペア、女のペアあるけど、どこかやっぱり足りない感じがする」というふうに、真野さんだけではなく各社の都庁記者クラブに詰めている記者達の目の前で、これを言いました。
これは、毎日新聞だけが報じていたのではなく、インターネットに載っていたのが毎日新聞だけなんですけれども、他に朝日新聞と東京新聞が、この日の発言を報じています。朝日新聞に関しては東京都内版で紙媒体だけにしか載っていないんですけれども載せました。東京新聞も、この日の発言を載せているのですが、東京新聞は「テレビニ同性愛者が平気で出ている。日本は野放図~」発言を8日の時点で載せたので、(3日の発言か7日の発言か)どっちのことを取材して載せたのか、わからないんですが、東京新聞も8日の時点で紙媒体の『こちら特報部』という特集コーナーで、都条例のことを扱っている記事のいちばん最後の方に、「都知事がこういう発言をした」というふうに報じました。
結果的に、インターネットには毎日新聞しか載せていないので、(この問題に関心を持っている)ほぼ大多数の人はこの毎日新聞の報じているものしか目にしていないというような。紙媒体が弱くなってきているという現状が見えているんですけれども。
Ron
この件に関して私がやったことというのは、まず東京法務局に電話をかけました。それは人権相談という形で「石原都知事がこういう発言をしたんですけれども、いったいどういうふうな行動を取ればいいでしょうか」という質問として電話をかけました。その時に、東京都の『都民の声』のホームぺージとFAX番号と、あとは、この話を法務省の人権擁護局の方に上げてくれるという話をされたんですけれども。それを信じてたんですけれども、この2~3日後のTwitterで、どうも法務省の人権擁護局の主任さんに会ったという人から「そういう話は全然上がって来てません」っていうのをツイートで読んで、全然話が通じてなかったんだ・・・というショックを受けたのと。
あと、『都民の声』も、akaboshiさんが東京都の方に聞いたんですよね。それで「あんまり効果がない」みたいな感じだったので。
akaboshi
それを説明すると、東京都の人権週間というのが12月4日~10日まで行われていて、この石原都知事の発言はほぼ、その期間内に行われたという・・・それもまた大問題なんですけれども。そのことが疑問だったので、人権週間のイベント(12月9日)に、たまたま仕事が空いていた時間だったので北区の「北とぴあ」というところでやっているイベントに行きました。
映画の上映と一緒に、猿回し師の次郎さんの奥さん(栗原美和子氏・フジテレビプロデューサー)が、被差別部落出身者であることのカミングアウトを旦那がすることについての話をして、とても感動的なことだったんですけれども、そこで都庁の人権週間の担当責任者の人がロビーに居たので話すことができたんですけれども。
「都民の声」というのは都庁の場合は「返信の義務は無い」というふうにおっしゃっていました。で、上川さんから、割と行政というのは声を届けると、しかもちゃんと「返信をください」と求めると、返信の義務があるというふうに聞いていたので、都はどうなんだろうと確認したら「ない」と。で、たくさん寄せられれば寄せられるほどたぶん、対応する事務能力が追いつかなくなってしまうだろうから無視される可能性が高いんだろうなと、話しながら感じました。
しかも今、都条例(反対)の活動をやってる人たちもみんな「都民の声に寄せてください」とTwitterでバーと広がっているので、両方が今、一斉に行っているところなので「また来たわ、また来たわ」と流されてるんだろうと。せっかく私たちが真面目に、真剣な思いを込めて書いた、魂を込めた言葉がたぶん無化されているという現実を知りました。
Ron
なんか、電話をかけたっていう人から聞いたんだけど、すごい弱々しい声で「ゲイの方ですか」って聞かれて(笑)、あんまり対応が芳しくないような感じだったとか。いろいろ電話かけたっていう人から聞いてます。
akaboshi
あと僕、都の職員と喋っていて思ったのが、そういうふうにはっきりと言っていたわけではなく話していて僕が感じたことなんですけれども、チラッとその都の職員の人が「・・・とは言っても石原都知事って皆さんがお選びになった方ですよね」みたいなことを言ったんですよ(笑)。しかも、これも言いましたね。「私たち都の職員というのは官僚みたいなもので」と言ったんですね。
だから、よく世で言われてるように、大臣が突然来て、官僚たちはそれをしょうがないから相手しているみたいなことがよく言われるじゃないですか。まったく同じ意識で都知事というのを見ていて、都知事がああいう発言をしても、しかも人権週間中に言っても「まぁ、都知事だからねぇ」と、かなり他者化してる。切り離して考えちゃってるっていう。
でもそういう内部事情というのはうちらには全然関係ないじゃないですか。両方とも「都」なんですから。しかも「都の顔」として石原都知事って居るわけですから。「すっごい矛盾した正反対のメッセージが同時に発せられているというのを、どう考えてるんですか?」というのを声を荒げて言ってしまったんですけれども。「私たちは粛々と、決まったことをやるだけですから」的な発言を、ニコニコされながら言われてしまいました。びっくりしました(苦笑)。
要するに「石原都知事」という立場があって、そのヒエラルキーの下から「なんとかしてください」というふうに行政の人たちを動かすことは難しい、あるいは、ほぼ絶望的と見た方が。なにも効果がなく流されるだろうということがわかったというか。Ronさんが法務局に言ったのは、石原都知事よりも少し「上」なんじゃないかという?
Ron
まぁそうですね。東京法務局の人が、「法務省の人権擁護局に上げて、石原都知事の発言の内容を精査して本当に差別発言があったというふうに見做したら、それは人権擁護局が石原都知事に対して注意するということは出来ますよ」というふうにおっしゃったので。正直そこまでは無理だろうなとは思ったんですけれども、そういうふうに言われたので、そういう方法もあるんじゃないかとは思ったんですけど・・・あんまり伝わってないということがわかったので、それもちょっと・・・。
akaboshi
完全に「石原都知事というキャラクター」というふうに引き離されて考えられている部分というのがあると思って。たぶんこの同性愛者蔑視発言に関しても、当事者間でも「まぁ、あの人だからああいうふうに言うのはしょうがないよ」的な反応というのも実際に起きているし。それはそういう反応はあるんだろうなとは思うけれども。僕は個人的に、結果的にあの発言が出て、しかも報じられてメディアに載ってネット上にも乗っかっていて、かなり大問題になって知られている以上、やっぱりそれに関して、その言葉の向けられた先であると感じている人たちで、「ちょっと黙っていられない」という人たちが「何か行動を起こした」ということを結果的に残さないと・・・。「これを見過ごした」という歴史を残すことが、僕としては我慢がならないと思い、そこでRonさんと意志が統一できたので。
Twitterとか見てても「(抗議する)団体はないのか」みたいな声をよく聞いたので。そんなに詳しくは無いですけれども、ある程度「活動界隈」のことを知っているところから見ると、今の現代の日本って、90年代とちょっと違って、ストレートに「活動」とか「抗議」をする活動団体というのが、実際問題無いということが、このことで見えたという。育っていないという言い方はわからないけれども、90年代はかなりバリバリやっていたところはあったのに、今はちょっと、そこの連携は難しいし、大きな動きを動かすところがないということがわかりました。
Ron
ぜんぜん聴こえてこないですからね。
さて次回は上川あやさんのお話です。たくさんの知識や実践的な方法を語ってくださったので、タメになる話が満載です。→FC2 同性愛 Blog Ranking
シリーズ記事へのリンク
05●「都民の声」は無化される?
07●東京都の公聴システムの実態~基準がなく巧妙に無視されやすい「都民の声」
08●怒りをぶちまけずに浪花節での請願・陳情。誰でもどこからでも出来る方法とは?
09●議員を「使う」ために考えること
10●さまざまな方法で見解を問う

『しみじみと歩いてる』上映会
1月10日(祝)13:00
パフ★シネマにて上映(トーク付き1200円)
会場:パフスペース
監督:島田暁/2010年制作 77分
制作:akaboshi企画
『関西レインボーパレード』で出会ったレズビアン、ゲイ、MtFトランスジェンダー、FtMトランスジェンダーそれぞれの日常生活、それぞれの違い、家族へのカミングアウト、仕事場や人間関係における葛藤や喜びを描いたドキュメンタリー。ゲイである監督の視点からまとめました。上映後には1年ぶりに大阪から綾さんが上京して「Ronとakaboshiの直撃トーク005」を開催します。お楽しみに!
石原都知事の発言を受けて04●「何かしたい人プロジェクト」の始動準備本格化。20日(月)に会合があります。

その後、15日にRonさんと打ち合わせと作業を行い、13日のミーティングで提案された方法のうち、まずは以下のようなチームで、それぞれ「出来ることから行動していく」ことを始めようということになりました。
●東京都議会ロビイングチーム
都議会で何をお願いするか、議員は誰から接触すればいいかなどを調査し、実際にロビイングするチーム。
●請願・陳情チーム
請願・陳情の仕方を調べてブログに紹介するための文章を考えるチーム。
●集会・シンポジウムチーム
マスコミに注目してもらうためにシンポジウムを開催する。
●デモの可能性を探るチーム
文字通り、デモのような街頭アクションなどの可能性を探ってみる。
●外圧チーム
パリ市長やベルリン市長に送るメールの文案を考える。
●メディア投書チーム
本や雑誌などのメディアの投書場所を探して投書したり、プレスリリースを送付する。
●ブログ管理チーム
ブログを管理する。体裁を整えたり投稿を行なう。
●メール担当チーム
ブログから投書されたメールを管理し、対応するチーム。
外国語で来たメールに対しては、翻訳チームに回し、解読して対応する。
●翻訳チーム
ブログの文章を英語(他の言語ができれば尚可)に訳すことや、
外国から来たメールを翻訳するチーム。
●twitterチーム
ブログの最新情報がアップされたり、情報を広げたいことがあったら自由にツイートするチーム。
上記のようなチームに分かれ、同時多発的に各方面から働きかけなり、アクションを起こしていくことが出来ればと思っています。「何かしたいけれども、個人ではどうしていいかわからない」という方がいらっしゃいましたら、まずは御連絡ください。
■お問い合わせ先
ishiharakougi@gmail.com
上記のチームのうちどれかへの参加表明でもいいですし、「それ以外にこういうことが出来ると思う」というアイデア等でもかまいません。ご興味があります方はぜひ、一緒になにかをやっていきましょう。
■第2回ミーティング&作業を行います。
12月20日(月)19:00~21:30、中野ZERO美術工芸室にて。
→中野ZEROへの行き方はこちら。
各チームごとの顔合わせや、全体で1月中旬に「なにか大きなイベント」をやってみようというアイデアも出ているので、それらについて検討したりします。初めての方ももちろん大歓迎です!→FC2 同性愛 Blog Ranking

『しみじみと歩いてる』上映会
1月10日(祝)13:00上映(トーク付き1200円)
会場:パフスペース
監督:島田暁/2010年制作 77分
制作:akaboshi企画
『関西レインボーパレード』で出会ったレズビアン、ゲイ、MtFトランスジェンダー、FtMトランスジェンダーそれぞれの日常生活、それぞれの違い、家族へのカミングアウト、仕事場や人間関係における葛藤や喜びを描いたドキュメンタリー。ゲイである監督の視点からまとめました。上映後には1年ぶりに大阪から綾さんが上京して「Ronとakaboshiの直撃トーク005」を開催します。お楽しみに!
石原都知事の発言を受けて03●社民党・福島みずほさんが反論

法務省が全国に呼びかけ、東京都も行っていた人権週間の期間中に繰り返された石原慎太郎都知事の「同性愛者差別発言」に対し、12月15日に福島みずほさんが反論しました。以下、ニュースリリースが送られてきましたので掲載します。
▼社民党・福島みずほ党首が石原発言に反論。
社民党の福島みずほ党首は、15日の定例記者会見で、ゲイ・レズビアンのブログやツイッターで問題になっている石原発言に言及した。
これは「東京都青少年健全育成条例」の改正案に関し、石原慎太郎知事が「子供だけじゃなくて、テレビなんかにも同性愛者が平気で出るでしょ。日本は野放図になり過ぎている。使命感を持ってやります」と述べたことや、その後も、同性愛者について「どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで
気の毒ですよ」「ゲイのパレードを見ましたけど、見てて本当に気の毒だと思った。男のペア、女のペアあるけど、どこかやっぱり足りない感じがする」と述べたことに関するもの。
福島党首は会見の中で、「東京都青少年健全育成条例の改正は表現の自由から問題がある」としたうえで、「社民党は、同性愛の人たちや性同一性障害の人たちの問題に取り組んできた。知事の発言に当事者のみなさんがたいへん怒り失望しており、この声は私のもとに伝わっている。『足りない』という発言は問題だ。同性愛者は足りな
いのではない。異性愛者と同性愛者が社会にいて、足りている、足りていない、という問題ではない。同性愛者は十全(じゅうぜん)に生きている」と話した。
また「私もゲイパレードや様々な活動に参加してきた。石原知事が人権週間にこうした同性愛のみなさんへの配慮に欠けた発言をするのは極めて問題だ。もし、思春期の悩んでいる子供が「足りない」と言われたら大変ショックを受けるのではないか。石原知事の発言は人権に対する配慮に全く欠けている。極めて問題であり強く抗議する」とも述べた。 福島さんに続いて、たくさんの政治家がこのような声を上げるのを望みます。私人が私的な場所で述べたのではなく、公人が公的な場所でメディアに報じられるのを意識しながら発した言葉です。その重要性・問題性に、より多くの人が気付いて声を上げて然るべきことだと思います。→FC2 同性愛 Blog Ranking

『しみじみと歩いてる』上映会
1月10日(祝)13:00上映(トーク付き1200円)
会場:パフスペース
監督:島田暁/2010年制作 77分
制作:akaboshi企画
『関西レインボーパレード』で出会ったレズビアン、ゲイ、MtFトランスジェンダー、FtMトランスジェンダーそれぞれの日常生活、それぞれの違い、家族へのカミングアウト、仕事場や人間関係における葛藤や喜びを描いたドキュメンタリー。ゲイである監督の視点からまとめました。上映後には1年ぶりに大阪から綾さんが上京して「Ronとakaboshiの直撃トーク005」を開催します。お楽しみに!