関西レインボーパレード応援記064●いつか必要だったジンクス崩壊を体験できたということ

悪条件の中で事故が起こらず無事に終わったことを、まずは喜ぶべきではないかと思いましたよ。実行委員の方々がボランティアで何ヶ月もかけて準備してきた成果が、もたらした結果なのではないでしょうか。まずはそのことに感謝!。
また、これまで事あるごとに語られ信じられてきた「セクシュアル・マイノリティのパレードでは雨は絶対に降らない」というジンクスが崩壊したことにもなったわけですが、必要なことだったのではないかと思います。運営側の実行委員の経験値として「雨が本当に降った場合の対処法」がプラスされたという意味で。
僕は映画『しみじみと歩いてる』続編のシリーズ撮影を続行している関係で、今年も実行委員であるMtFトランスジェンダーの綾さん宅に泊めてもらったので当日朝は2トントラックのレンタルから資材の積み込み、運搬、集合地でのセッティングに同行することになったのですが、共に綾さん宅に前夜から泊まった実行委員のみっちさんらが「雨が本降りのままパレード開始時刻になった場合」の安全な運営方法についての意思決定を出す姿を間近で目撃し、その思いを強く持ちました。
今年の集合地点はたまたま高速の高架下だったので雨がしのげました。 朝9:30頃より始まった実行委員とボランティアスタッフによる風船ふくらましやBrass Mixとエイサーの練習などは、周囲がどんなに豪雨だろうが行うことが出来たのです。しかし、ただでさえコースを踏破するのに1時間30分以上はかかる関西レインボーパレード。楽器を演奏しながら、土砂降りの中を歩くことには物質面でも身体的にも様々なリスクが想定されます。
各団体と実行委員スタッフとの最初の協議の結果、Brass Mixでは「楽器を演奏しながら歩くかどうかは個人の判断で」という指示が出されたわけですが、メンバーは全国さまざまな地域から、このために重い楽器を運んできたということもあり、気持ちも高揚しているわけですから断念するという決断を下す人は、ほぼ居なかったようです。楽器をビニールでくるむなどの防水対策をそれぞれが施し始めたわけですが、その状態で演奏を強行した場合「楽器生命に関わる」ことにもなりかねず、人によっては数十万円の損害が発生する恐れが出始めました。
オープニングイベント開始の12:30が徐々に近づき、参加者が集まり始めた頃。いったん小康状態だった雨は再び激しくなりはじめ、誰が見ても「これは雨中のパレード決行だな」と思わざるを得ない状態になってしまいます。本当に、この中を演奏やパフォーマンスをして歩くのか?。各団体代表者と実行委員が再び集まり協議した結果、行進しながらの演奏とパフォーマンスは中止。そのかわり、オープニングイベントの開催時間を伸ばして両団体には用意していた演奏やパフォーマンスを全てやってもらうという判断を、実行委員会側が出すことになりました。
この経過を見ていて僕が学んだのは、「参加者の安全と健康を最優先するための決断」は、参加団体や参加者の自由意志に委ねると基本的に「強行する」ことを意味してしまうのだということ。つまり様々な状況を鑑みて「ストップをかける」のは主催側の実行委員会以外にあり得ないのだということでした。
実行委員側に悪天候時の予定変更のための意思決定方法やリスク想定が事前にどの程度、現実味を帯びた形で行われていたのかどうか。雨天でのパレードを実際に経験したことで今後は現実味を帯びた形で事前にシミュレーションできるわけですから、「セクマイパレード晴天ジンクス」から解放されたことはむしろ喜ばしいことだと感じました。
そういったこと以外にも、「予想外の事態が次から次へと襲い来るのかもしれない」という意味では正直、ワクワクドキドキの初体験ならではの魅力も味わえた雨中パレードでした。これもいい経験。皆さんおつかれさまでした!→FC2 同性愛 Blog Ranking
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