第23回東京国際映画祭2010、セクマイ登場3作品上映あり●『愛に関するすべてのこと』『ドッグ・スウェット』『カメリア』

今年は六本木を中心としたエリアで開催されるようですが、「アジア作品でも観に行こっかなぁ~」と何気なく上映作品をチェックしていたら・・・説明文に明記されているだけでも3作品、セクシュアルマイノリティが描かれる映画が上映されるのを見つけました。
香港映画では女性同士のラブストーリー。イラン映画では見合い結婚を強いられるゲイ、そして韓国・タイ・日本合作映画ではトランスジェンダー(トランスヴェスタイト?)が登場するみたいです。不況の折、こうした映画が、かつてのようには「ミニシアター系」で上映される機会が少なくなってきていますので貴重な上映機会。どれもそれぞれに面白そう!

All About Love [ 得炒飯 ]監督:アン・ホイ(許鞍華)
■作品解説
『生きていく日々』『夜と霧』に続く円熟アン・ホイの新作は、女と女の軽やかなラブストーリー。“永遠の清純派”ヴィヴィアン・チョウと当代随一のコメディエンヌ、サンドラ・ン共演。アンジェリータ・リーの主題歌にも注目!
■あらすじ
アニタはインターネットで10代のマイクと知り合い、初めてのデートで思いがけなく妊娠してしまう。アニタは堕胎するか、出産するべきかを悩む。弁護士のメイシーはバイ・セクシュアルで、人と深く関わることを恐れている。ロバートはメイシーの事務所の隣で会社を経営している。メイシーは、自分がロバートの赤ん坊を身籠っていることを知る。そしてメイシーとアニタは、“母親の選択”カウンセリング・コースを申し込む時に再会する。12年も離れ離れになっていたのに、ふたりは互いの情熱を甦らせる。ふたりは赤ん坊を中絶するのか、それとも出産するのだろうか?
●上映:10/27 11:20- 10/29 18:20-
●公式サイト作品解説ページ

Dog Sweat [ ARAGH SAGEE ]
監督:ホセイン・ケシャワルズ
■作品解説
テヘランに暮らす若い男女6人を描いた新感覚イラン映画。既婚男性と恋に落ちるフェミニスト女性、見合い結婚を強いられるゲイの青年、苦闘する女性ポップス歌手など、現代イランの若者像が等身大のまま浮かび上がる。
■あらすじ
現代のイランに住む6人の若者を、切迫感のあるドキュメンタリー・タッチで描写する。既婚男性と不倫をしているフェミニスト、肉体的に親密になれる場所を求める恋人たち、見合い結婚を余儀なくされる同性愛の男性、摘発の危険にさらされる女性ポップ・シンガー、イスラム原理主義者を激しく非難し悲しみに暮れる息子。テヘラン各地でひそかに撮影された本作は、イランの若者の生活を深く洞察する。
●上映:10/24 14:15- 10/27 16:30-
●公式サイト作品解説ページ

Camellia [ 카멜리아 ]
監督:ウィシット・サーサナティアン 『アイアン・プッシー』 行定 勲 『かもめ』 チャン・ジュヌァン(장준환) 『ラブ・フォー・セール』
■作品解説
釜山国際映画祭製作の3話オムニバス。ウィシット・サーサナティアン"アイアン・プッシー"(タイ)、行定勲"かもめ"(日本)、チャン・ジュヌァン"ラブ・フォー・セール"(韓国)が港町釜山の過去・現在・未来を描き分ける。
■あらすじ
本作は、釜山の現在、過去、未来を舞台にした3つのラブストーリーで構成されている。過去を描いた"アイアン・プッシー"は、タイの服装倒錯者で秘密情報員のアイアン・プッシーがスパイとして派遣され、正体不明の韓国人男性と恋に落ちる物語。現在を描いた"かもめ"は、映画を撮影中の韓国人が、時間と空間を超越しながら若い女性と恋に落ちる物語。"ラブ・フォー・セール"は、愛の記憶が商品のように売買されている未来の釜山を舞台に、記憶を盗んだ人物を追いかける男性を描く、運命的なラブストーリーだ。
●上映:10/25 20:00-
●公式サイト作品解説ページ
この他にも気になる作品が、特に「アジアの風」特集に多いなぁと感じました。これは通ってしまうことになるかも。→FC2 同性愛 Blog Ranking
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セクマイ系★紙媒体掲載チェック052●Tokyo graffiti#073 「ふたり暮らし」特集にレズビアン&ゲイカップルも掲載

●『Tokyo graffiti #73』
「相思相愛レズビアンカップルat浦安」として紹介されている2人は、24歳のフリーターの方と、24歳のアパレル職の方で交際暦2年、同棲暦1年6ヶ月。インタビューでは「ふたりで暮らす上で一番大事なこと」「相手に約束していること」など、どのカップルにも共通した10個の質問が投げかけられているわけですが、僕が印象に残ったのは「将来結婚を考えている?」という質問への回答。
フリーターの方は「日本でできるなら、今すぐにでもしたいねって話しています。もう少し日本が、同性愛に理解があればいいなと思います。せめてパートナー制度とか・・・」と回答。アパレル勤務の方は、「もちろん!!国が認めてくれたら今すぐにでも。女の子同士でも結婚できる制度を導入してほしい。家族になって、残せるものを増やしたいから」と答えています。
「フリーSEX主義のゲイカップルat中野」として紹介されているのは、28歳の心理カウンセラーと29歳のフリーターの方で、交際暦7年、同棲暦7年。こちらで印象に残ったのは「ふたりで暮らしてわかった素敵なこと」への回答。
心理カウンセラーの方は「誰かと一緒に生きていくことの幸せや安心感が、自分に自身を持たせてくれたこと。この人は自分を見捨てないだろうっていう信頼関係を築けたのは、本当に嬉しいことです」と回答。フリーターの方は「家に帰ったら出迎えてくれる人がいて『ただいま』『おかえり』の挨拶があること。些細な幸せが増えていくって素敵だなぁって思う。あと、どちらかが先に起きるので、寝坊や遅刻が減りました」と答えています。
これらの質問は、他に15組掲載されているヘテロ・セクシュアルのカップルにも全く同じ文言で問いかけられており、結果的にそれぞれの暮らしぶりや感じ方、考え方の違いが浮かび上がることにも繋がっています。
この雑誌の特集にはこれまでにも#067「愛情表現のカタチ」にレズビアン&ゲイカップルが登場したり、#061「恋愛は自由!」にゲイ&レズビアン&トランス含むカップルが登場するなど、セクシュアル・マイノリティが何度も、ヘテロ・セクシュアルカップルの中に混ざる形で掲載されています。
ある意味、これって「至極当然あたりまえのこと」ではあるわけですが、その「当たり前のこと」が商業原理その他諸々の事情によってなかなか「当たり前」になっていないのが日本のメディア状況でもあるわけでして、こうしたことが「珍しいこと」だと感じないようになって欲しいものだと、この雑誌での掲載を見る度に思うのでした。Tokyo graffitiさん、これからも現実に即した当たり前の編集方針を貫き、バイセクシュアルやトランスジェンダー、その他いろんな「性と生のあり方」で暮らしている人を登場させてくださいね!→FC2 同性愛 Blog Ranking
●『Tokyo graffiti #61』 恋愛は自由!
●『Tokyo graffiti #67』 愛情表現のカタチ
●『Tokyo graffiti #73』 ふたり暮らし
東京国際レズビアン&ゲイ映画祭39●レインボー・リール・コンペティション表彰式。グランプリは乙女チック少年と少年の映画『くらげくん』

第19回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭2010。最終日の7月19日に行われた恒例の「レインボー・リール・コンペティション」では国内の映像作家らによる多彩な上映作品の競映が繰り広げられました。
観客の投票によってグランプルが決定されるわけですが、僕としても正直「どっちにしようか」と本気で悩むほど全体的なレベルが高いと感じましたし、上映された6作品のバランスや上映順などのプログラム構成も丁寧に練られており見応えがありました。
レインボーリールコンペティション1/2
レインボーリールコンペティション2/2
■第19回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭2010 PLAYLIST
グランプリを受賞した『くらげくん』はその後、以下の映画祭で上映されたり数々の賞を受賞しています!
●第32回 ぴあフィルムフェスティバル *準グランプリ
●那須国際短編映画祭2010 *グランプリ
●Shinsedai Film Festival 2010 招待上映(カナダ)
●ひめじ国際短編映画祭2010 *監督賞
●第2回下北沢映画祭 *グランプリ&観客賞
●長岡アジア映画祭2010 *グランプリ
●仙台短篇映画祭2010 (9/19上映)
●西東京市民映画祭2010 (10/3上映)
●ふかや映画祭2010 (10/10,11,16,17上映)
●福井映画祭2010 (11/20上映)
乙女チックな少年と、少年の会話がチャーミングで、でも渋い後味も残る映画でした。これからも上映機会があるみたいですから、ぜひチェックして見てみてくださいね。ちなみに僕が最終的に投票したのは『友達』でした。他の作品もバラエティに富んでて、それぞれの良さがあって本当に充実した上映でした。→FC2 同性愛 Blog Ranking