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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2009-07
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akaboshiコラム023●惚れさす技術

 先日、まるで自分が「ロビイングされる側」に立ったかのような気持ちになる経験をした。つまり、さまざまなプレゼンが行われる場において、プレゼンを「聴く側」にも廻ったわけだ。

 自分のプレゼンのことはさておいて、他人のプレゼンを聴きながら思ったのは、意見を相手に通すにはきっと、「人間心理」というものへの相当に細かな配慮が必要になってくるのだろうということだ。

 自らが提案するプロジェクトへの思い入れが強ければ強いほど、人は、肩をイカらせて「力説」しがちだ。そして、相手の心に届けたいがあまりに、手を替え品を替え、いろんな言葉を駆使していつまでも語り続けたりする。

 それらの言葉の多くは、冷静に考えれば同じ内容の繰り返しに過ぎなかったりするのだが、気持ちが昂ぶる提案者としては、「まだまだ言い足りない」と思って語り続ける。そして、繰り返せば繰り返すほどに、口調は荒く攻撃的になる。

 それを聴かされている側としては・・・最初は冷静に「そうかもなぁ」と、相手の意見を新鮮な気持ちで聴いていられるのだが、いつまでも捲くしたてられ続けているとだんだん「押し」の強さに辟易してくる。

 なぜなら、攻撃的な口調を一方的に聴かされることほど、人を不快にさせるものはないからだ。自分が屈服されているような気がしてくる。そして次第に、その意見の内容には関係のない「感情」の部分で「いいかげんにしてくれよ」という気持ちが湧いてきてしまう。つまり、生理的な拒否反応が起きてしまうのだ。

 そうやって聴き手に拒否反応が起きた頃。困ったことに、意見を提案している側としては「こんなに言ってるのに、まだ届いてないのかしら」と焦り、念を押すために更に強く感情を込め、言葉を重ね続けたりする。そうなると逆効果。聴き手としては、さらに嫌気が増してしまう。こうして結果的には悪循環のループに陥ってしまうのだ。

 プレゼンテーションの終了後には、ただ発言者の「押しの強さ」ばかりが印象に残り、「自分が自分が」と自己中心的なプレゼンだったなぁという、余計な印象が付いてしまう。各方面とのバランスを調整する必要がある案件の場合、特にその印象は強くなる。

 そして、「あれだけ強くプレゼンテーションできるのならば、なにも我々がそのプロジェクトを支持しなくても、他の機会に上手く通すことができることだろう。それよりは、ここでしか通らないかもしれない提案者の企画を通すことにしよう」という風に話が進む事だって、有り得るのではなかろうか。

 人に何かを伝える時。伝える側にとって気持ちいいことが、伝えられた側にも気持ちいいとは限らない。

 むしろ逆の場合が多いだろう。これは演劇における役者の演技に置き換えても言えることだ。想いを込めて強く激しく演じれば観客や相手役に的確に表現できるかと言えば、そうではないことがほとんどだ。

 むしろ冷静な思考を常に同居させ、腹八分目のレベルで感情を抑えてコントロールしながら演じた方が、相手には効果的に伝わることが多い。つまり、役者にとって気持ちのいい自己没入型の演技というものは、その独りよがりな様子が観客にとっては「不快」だと感じられることが多々あるのだ。

 本当に意見の内容を相手に効果的に伝えたいのならば。意識して冷静に語るように務め、相手に「ものを考えるための隙間」を与え、感情的な拒否反応を起こさせないように柔らかく優しい物言いを心がける節度や抑制力が必要になってくるだろう。つまり「演出家的なセンス」が必要なのだ。

 この場合、発言者にとっては「想い」が十全に発散できない分、気持ちいいことではないかもしれない。しかし、その方がかえって相手の主体的な関心を呼び起こし、結果的には「心」を掴める可能性も増すことだろう。そのバランス感覚を掴むことこそ、ロビイングや交渉事を担う者に不可欠なセンスなのではなかろうか。

 なぜなら人は、ミステリアスなものや未完成なものにこそ、可能性を感じて惹かれるからだ。押し付けがましく自己完結した隙のない振る舞いや発言には「エロス」(色気)がない。つまり、魅了されない。

 さらに言うならば。伝えたい相手を敵視していては、相手も身構えてしまうだろうから真の意味で心を掴むことなど出来やしない。すなわち相手に「惚れさす技術」こそが、人と人との関係を具体的に築きつつ社会を変えて行くために、必要不可欠なものなのだ。

 片思いの相手にアタックするときの心構えと同じなのかもしれない。押しが強すぎると相手は逃げてしまうから、駆け引きできる冷静さが必要。相手を人間として愛おしく尊重しながら、そっと。やさしく。(でも狡猾に。爆)FC2 同性愛 Blog Ranking
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