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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2009-06
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akaboshiコラム018●たかがトイレ、されどトイレ



 6月26日(金)の「関西クィア映画祭が東京にやってくる!」上映会は、高田馬場にあるMediRという市民メディアの発信基地のようなスペースで開催されました。初めて行ったのですが、早稲田の趣のある閑静な住宅街の中に、溶け込むようにして存在していました。

 部屋は2つあって、1つはパソコンがたくさん置いてあり10人位の若者たちがなにやら映像の編集作業にいそしんでいるところ。もう一つが、集会&上映スペース。

 上映場所の広さとしては、パフスペースの半分くらいなので30人も入ればいっぱいという感じなのですが、今日の観客はちょうど定員いっぱいという感じで、順調な集客ぶりは健在。映画は短編が3本上映されました。

 1本目に上映された『何でも聞いてみよう』は、2008年の神戸LGBTIQプライドマーチのアフター上映会でも観たことがあったのでこれで2回目。6歳と9歳と12歳の女の子たち3人が主人公で、彼女たちの「叔父にあたる人が叔母さんにトランスする」という事実を、どういう風に受け止めて行くのかを彼女たちの「本音トーク」を収録することで描きだした作品。

 つまり、忌憚なく本音を語っても「子どもだから」ということで笑い話として受け止められるという仕掛けになってるんですねぇ~。子どもは残酷。でも憎めない。この映画の監督は、うまいところに目を付けました。

 3姉妹の両親も登場し、娘たちがどのように受け止めて行くのかを親の視点から分析して語る場面も見せながら、子どもの成長物語としても感じられる作りになっています。しかしこの映画、肝心の「トランスした叔母さん本人」を、なかなか登場させません。

 映画も後半になって、3姉妹がトランスした叔母さんに会いに行く場面で、ようやく登場したわけですが・・・叔母さん本人をアップで映しだすわけでもなし。3姉妹を追いかけていた画面の中に叔母さんは「映り込んでいる」という映し方なのです。あくまでもカメラの目線は「3姉妹側」に徹底して寄り添い続けていました。そして、普通だったら撮りたくなるだろう、トランスした叔母さんへのインタビューなども全く行わないというところに、この映画の制作者のこだわりを感じました。

 「トランス当事者の声」をあえて封じ、「周囲の反応」によって描き出すことに徹したわけです。そのことによって、観客の想像力には翼が与えられました。

 2本目の『トイレのレッスン』は、トイレが「男」「女」に区分けされていることをすんなりとは受け入れられない様々な立場の人たちが登場。日常生活の中で、それがどれだけの精神的・肉体的ストレスになっているのかを描き出していました。

 ちなみに僕は外出先や公共施設で「男性用トイレに入る」という行為に違和を感じたことがないのですが、それが実は「当たり前のことではないのだ」ということに向き合わされました。

 「トランス」のように性別違和を感じたり、見た目がはっきりと「男」「女」と断定され得ないタイプの人にとっては、外出すれば何度も行かざるを得ないトイレに行くたびに、身の危険や恥ずかしさを感じている場合が多いのです。そして実際、トイレに行くことを我慢する頻度が高くなり、膀胱や内臓機能が病んでいるケースが多いというデータも示されていました。また、トイレでの行為について語ることが「タブー」とされていることが、不利益を被っている人たちが声を上げにくい一因になっているのではないかという指摘も、なされていました。

 上映後のトークでは、この映画が発端となって議論が噴出。「宿泊のあるイベント」において風呂や宿泊部屋、更衣室などが「男」「女」と分けられている場合、トランス的であり、なおかつ一人一人が様々に違う人たちにどのように主催側が対応すべきなのか。議論は収拾がつかず、途中で堂々巡りにもなっていましたが、結論がなかなか出ない分、実はこれって、かなり「面白いテーマ」なのではないかとも気付きました。

 そういえば先日のパフナイト「男子であること 胸があること」の事前スタッフミーティングでも、パネリスト3名の間で自然に盛り上がっていたのは「トイレ、どうしてる?」という話でした。その人がどのような性自認で、周囲からどのように扱われやすいのか。また、それに対して自分がどのように対処しているのかは、トイレの話をすると実はわかりやすく浮かび上がるのです。

 本番のパフナイトでのトークでは、そのへんの話が全く出なかったわけですが・・・ということは、次回以降のトークのテーマとして、なかなか面白いんじゃないかなぁとも思いました。

 たかがトイレ。されどトイレ。トイレとの付き合い方を仔細に見つめてみることで、一人一人の違いだとか、「世界の有り様」が炙り出されても来るんです。これは発見でした。FC2 同性愛 Blog Ranking
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