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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2009-06
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akaboshiコラム017●光ばっかり夢見ていると、焦るばかりで疲弊する



 先日のパフナイトに続いて「関西クィア映画祭が東京にやってくる!」の上映会が6月24日(水)に新宿2丁目であったので観てきたのですが・・・これまた大入り満員!。それどころか、1回の上映では人が入り切れずに21時30分から急きょ2回目の上映をやることにまでなってました。

 海外の「インディペンデント系」のドキュメンタリー作品が観られる機会って、東京ではこれまで少なかったわけで。こういう機会が「求められていた」のではないかとさえ思います。

 今回上映された映画『フェンスで囲われ追い出され』は、映画『MILK』では決して描かれることのなかった歴史の別側面。「白人ゲイ」以外の視点から観た場合、アメリカの大都市部におけるLGBT史はどのように見えるのか?という意味で興味深い内容でした。

 ニューヨークの白人ゲイたちがクリストファーストリートの公園に「ハッテンスポット」を作って盛大に楽しんでいた同時代に、レズビアンの居場所なんて無かったこと。有色人種の居場所もなかったこと。そしてエイズ危機後、ようやくその公園に来る人たちが多様化してきた矢先に、警察からの取り締まりが厳しくなりフェンスで囲われて封鎖されてしまったこと。

 メインストリームのメインストリーム側による「プロパガンダ」的な意味合いを含んだ歴史ばかりを見ていては、いつの間にか過大に幻想が膨らんで現実をありのままに見る目が曇ってしまいます。したがって、こういう映画を見て現実をシビアに捉え返してみることって、視点を健全に保つためには必要不可欠だと思いました。

 もう一本上映された『商業主義をぶっとばせ!ー「ゲイ同化」へのクィアな応答ー』の方は、何十万人も集めるようになったNYのLGBTパレードや、盛んに喧伝されている「ピンク・マネー」だとか「LGBT市場」だとか、資本の論理で煽られてイメージ作られた「きらびやかなもの」のおかげで出来てしまう「影の側面」にスポットを当てた作品でした。

 要するに大資本の食い物にされているという側面もあるわけです。しかも「白人ゲイ」たちが中心ターゲット&消費者となって。そうした動きは、たしかに「可視化」のためには役立っていたとしても、経済的な「格差の拡大」だとか、貧しい者、持たざる者たちの側から見れば「格差の可視化」に貢献しているという風にも見えてくるようなのです。かえって劣等感を味合わされたり、不全感を強める人々が出てしまうということにも目を向ける必要があります。

 NYのパレードの初期、まだ商業化されていない頃に参加していたというレズビアンの方がカメラに向かって、「今のパレードには、私にとってのプライドはない」と語っていたのが印象的でした。

 こういう情報に触れると。「アメリカがあの規模でパレードが出来ているのだから、日本でもいつか、そうなるべきだ」と考えることが・・・いかに短絡的で浅はかな発想かがわかります。国も違えば文化も違う。社会構造も言語の使い方も違う。違うのに、ついつい「同じになろうとしている」ということの不思議。そして、「影の側面」を知らないが故の無邪気さ・・・。

 いいかげん、僕はそういった幻想からは醒めてますが、醒めてない人は辛いんじゃないかなぁと思います。だって「理想」って、過大に高邁に抱き過ぎると、それに届かない自分の現実に焦ってばかりになりますから。本人の健康のためにも、程々にするべきだと思います。

 また、どんなに「きらびやかに思えるもの」にも影は必ずあるということ。むしろ、きらびやかに光り輝いて見えれば見えるほど、影も色濃く出来てしまうのだという「当たり前のこと」を、忘れてはならないと思います。誰かが笑顔になる時には、そのせいで誰かが泣いているのかもしれないのです。そういう意味で世の中に「正義」なんてあるのかどうか、僕には疑問です。

 アメリカのLGBTムーブメントでの尖った末端の「生の声」が記録され、映されているスクリーンを見つめながら・・・。やっぱり「あの国」と「この国」の社会状況には大きな差があると思いますし、どちらが良くてどちらが悪いとか、どちらが進んでてどちらが遅れているかなどと、単純に語れるものではないなぁと思いました。僕はあくまでも「日本の現実」の中で地に足を付けながら、規模は大きくなくてもいいから自分の身の丈にあった「楽しいこと」を、やっていきたいです。

 そして、あんなふうに尖らなくてもいい=「尖る必要のない」日本社会で生きていて良かったとも思いました。FC2 同性愛 Blog Ranking
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