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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2009-06
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ガス・ヴァン・サント「ミルク」で見る世界013●「MILK」で語る、これから07●大塚隆史さん 「性的なこと」は黙っててもいいんじゃない?



 「同じ同性愛者」だからと言って必ずしも意見が同じかといえばそうではないことはこちらのトークでも触れられていますが、そういう意味で今回の映像は注目に値します。

 前々回前回と続けて「2007年の尾辻かな子さんの選挙戦」を振り返っているわけですが、話の途中で大塚隆史さん(ゲイバー「Tac's Knot」)が、「カミングアウト」について意外な発言をし、一時、会場は騒然となります。どうぞ最後まで続けて御覧ください。

07●自分たちだけの利益追及では広がらない
  

08●大塚隆史さん 「性的なこと」は黙っててもいいんじゃない?
  
映像を最初からご覧になるにはこちらから。
パフナイト「選挙戦をふりかえる~レインボーは蜃気楼だった?」(2007年9月開催)

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MILK(上)-ゲイの「市長」と呼ばれた男
MILK(下)-ゲイの「市長」と呼ばれた男
MILK 写真で見るハーヴィー・ミルクの生涯

 なぜ、大塚隆史さんの発言で会場が騒然となっているかといえば、彼は日本で初めて「カミングアウト」という言葉をメディアに乗せた人として知られているからです。そんなタックさんの発言の、該当部分を抜き出してみます。

 「カミングアウトって・・・リブ的に考えれば手段として『すごい大事なことだ』って感じだけど、でも、『普通に生活しててカミングアウトってそれほど必要かな?』って言われると、『確かになぁ』って。言わなくても済むことってたくさんあるから・・・みたいな気にもなっちゃうんですよね。

 僕はすごく『パートナーシップ、パートナーシップ』って言ってた人間だからなのかもしれないけど、ホモセクシュアルっていうか性的なことは、黙ってたっていいんじゃないかなっていう気がするんですよ。」

 個人的には、タックさんのこの発言に「日本のゲイリブ」が突き当たっている問題点や課題が集約されているように感じました。「リブ的に、こうであらねばならない」という理念というのは、要するにタテマエ。生活感覚の中から滲み出て来た「本音」ではないわけです。しかしその使い分けを平気でしている人が、いわゆる「活動家」の中に多いように感じるんです。

 ハーヴィー・ミルクらが牽引し、世界中に影響を与えた方法論や思想。そういった外来的な理念をもとにした「ゲイリブとは、こういうもの」という「答え」がまずあって。それに当てはまらない考え方や方法論を「後進的」だとついつい思ってしまう思考の癖。そこから解放されて一度、根本から疑って自分の頭で考え、身体で感じてみながら自らの思想を鍛え上げなければ、真に「日本の社会に根差した形での本当に必要な活動」って見えてこないのではないかと思うんですよね。

 2007年の選挙において、「日本のLGBTはまだカミングアウトが進んでいないから広がらなかった」と言ってしまうのは簡単です。しかしそれは裏を返せば当時の選対本部が、2007年の時点での「日本社会に生きるセクシュアル・マイノリティの多数派の生活感情(本音)をわかっていなかった」ということ。それだけ「カミングアウト推進圧力(あるいは強制圧力)」を当事者たちに感じさせるような方法論が取られていたわけですから、投票行動や支援活動に至らせる心理的な敷居を自ら「上げてしまっていた」とも言えるわけですよ。

 あの選挙から学ぶことがあるとするならば。

 こうした活動に関わっている人たちこそ、「絶対的に正しい答え」があると思いがちな思考の癖を疑ってみることの必要性。そして、「本音」と「タテマエ」を使い分けずに語り合える関係性を、周囲の人々と築けているかどうかの点検ではないでしょうか。

 僕は今回の記事において、タックさんの発言やカミングアウトについての見解が「正しい」とか「間違っている」とか言いたいわけではありません。異論を忌憚なくぶつけ合えない環境には「進化」なんてない。そして、その環境は自らが心から必要だと気付いて求めて動かなければ、作り出せるものではない。そのことを言いたいのです。

 そういう意味で、いろんな見解が拮抗して述べられ、ぶつかり合っているこのトークは「豊かな場」ではあったんだなぁと感じています。「進化への可能性」というのは常に「本音」のぶつかり合い=対話の中からこそ見えてくるものなのではないでしょうか。FC2 同性愛 Blog Ranking
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