尾辻かな子さんWe're OK!116●象徴さよなら

いつも通りの階段を上がって扉を開けると、たくさんのダンボール。事務所を彩っていた『物』たちが、要るものと要らないものに整理され、運び出されるのを待っていた。
セクシュアル・マイノリティに関する書物で溢れかえっていた本棚。部屋の真ん中の柱に設置され、木の香りが温かくて柔らかくて、事務所を象徴する存在だった。
その本棚を、事務所の女性スタッフの方と一緒に分解した。『バディ』や『G-men』などのゲイ・ヌードグラビアが満載な雑誌を、棚から外す。
「もう、こういうの見てもな~んにも思わなくなったわよ。」
その人が何気なく言った。ノンケさんであり、セクマイ当事者との接点が全くないままに、いきなり新宿二丁目のド真ん中にある事務所スタッフとして関わり始めた彼女。さすがに最初の頃は「おっかなびっくり」だったみたいで、よくいろんなことを質問された。
それに対して「僕にとってのフツー」を説明すると、目をまん丸くしたり、口をポカーンと大きく開いたり。あるいは、「なんだ、おんなじなのねぇ・・・」と納得したり。

本棚を分解しながら、「ああ・・・本当にここ、無くなるんだなぁ」と、やっと実感した。
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