fc2ブログ

フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2008-12
« 12345678910111213141516171819202122232425262728293031 »

akaboshiコラム008●2008年セクマイ的10大ニュース~勝手にランキング

 「未曾有の大不況」で先行きが不透明な中、あちこちで「パラダイムシフト」が希求されている昨今。

 その反面「セクマイ」にとっての今年は、実はものすご~くパラダイムシフト「した年」だったのではないかと思われる。特に、マスメディアの世界に乗る「セクマイ像」での変化が大きかった。

 そこで年の瀬にあたり、2008年における「セクマイ的10大ニュース」をランキングにしてみた。順位の基準は、世間への波及効果の広さと深さと今後に向けた影響力の大きさ。ただし、あくまでも僕の目線による独断と偏見に満ちたランキングとなるのでご容赦を。それでは勝手にカウントダウン!

10位 東京プライドパレード延期、市民祭り参加型パレード定着

 8月9日に開催することが発表され、実行委員会も動き始め、ボランティア募集がスタートしたタイミングでの突然の東京プライドパレード開催延期の発表は、参加しようと思っていた多くの人びとを驚かせた。日本のLGBT系イベントの中では東京国際レズビアン&ゲイ映画祭に次ぐ動員数を誇る大イベント。その運営は一筋縄ではいかないようだ。

 一方で5月にはクィアレインボーパレード福岡神戸LGBTIQプライドマーチが順調に開催された。参加者は少数ながらも数万人以上の多数の観客の目に触れる「市民祭り参加型パレード」というスタイルが、開催地においては定着しつつあることを印象付けた。

 動員約1000人の大規模型パレードとしては、9月14日に開催されたレインボーマーチ札幌が12回目、10月19日に開催された関西レインボーパレードが3年目を迎えた。それぞれ開催地の首長から応援メッセージが寄せられるなど、すっかり秋のイベントの定番として定着しつつある。その一方、実行委員会の「担い手」が不足気味であり、準備が少人数でたいへんな苦労が強いられているという話を、あちこちで耳にした。

 なお延期が発表されていた東京プライドパレードは、12月23日に運営母体である「東京プライド」の再建説明会が開かれ、2009年には東京プライドパレードの開催が行われないことが発表された。その代わり5月23日に代々木公園前広場でイベントを開催するとのこと。「東京プライド」が主催する形での東京におけるパレードの開催は2010年以降に持ち越されることになった。

9位 共生ネット発足、セクマイ特化のロビイング開始

 早稲田のパフスペースで開催されているパフスクール「国に意見をする方法」の受講者有志を中心に 「“ 共生社会をつくる” セクシュアル・マイノリティ支援全国ネットワーク」が発足。日本で初めての「セクシュアル・マイノリティ関連のロビイング活動」に特化した超党派の団体として、静かに歩みをスタートさせた。2007年に「当事者カミングアウト」をしたセクマイ候補が現職1名を除いてことごとく当選できなかったという政治の世界の厳しい現実を受けとめ、別のアプローチから行政や立法機関に働きかける方策を模索中。主要メンバーの年齢層は幅広く、セクシュアリティも多様な人々が構成している。

 また、今後は教育問題やメディアでの情報発信にも積極的に取り組む方針で、すでにいくつかのプロジェクトには自治体や企業からの助成金が下り、2009年から各分野の活動が本格的にスタートする見込み。

8位 携帯フィルタリングから「同性愛」項目の削除

 その共生ネット初の「実績の1つ」というべきなのが、携帯フィルタリングから「同性愛」の項目を削除できたことだろう。

 青少年健全育成条例により未成年者への携帯フィルタリング強化が叫ばれる中、サイトのジャンルを問わず「同性愛関連」にカテゴライズされたサイトが、携帯電話からアクセス出来ないという事態が発生。そもそも「同性愛」という項目を設けて特別扱いすること自体がおかしな話だということで、共生ネットを含むいくつかの当事者団体や個人が、同時多発的にメーカーやEMA(モバイルコンテンツ審査・運用監視機構)に問題提起を行った。その結果、項目を設けていたメーカーに対して「同性愛という項目を外すように」との通達が出され、撤廃されることにつながった。

 周囲にカミングアウト出来なかったり孤独を抱えがちな思春期のセクマイとインターネットとの親和性は非常に高い。項目を設けた側に意図的な差別意識は無かったようではあるが、その結果、多くの若者が有益な情報に触れて自己肯定感を得るチャンスが遮断されていたかもしれないわけで、このアクションの成果が後世にもたらす影響力は侮れない。
 
7位 「カミングアウト・レターズ効果」

 2007年12月に出版された書籍『カミングアウト・レターズ』(砂川秀樹・RYOJI編著)の売れ行きが順調に伸び、パフナイトでのトーク開催やNHK「ハートをつなごう」での「ゲイ・レズビアンシリーズ」スタートなど、この本の出版を契機に様々な動きが生まれた。全国各地のイベントで朗読が行われたりもした。

 同書が評価されるべきなのは、これまでの類似本とは違い、「カミングアウトの多様性」に焦点を当てて描き出すことに成功した点にあるだろう。カミングアウトは決して「当事者だけの問題」ではなく、「受け取る側」にも変化を生じさせる。また、人と人とのコミュニケーションを繊細に冷静に見つめなおすための機会にもなり得る。そのことを優しく静かな語り口で読者の心に感じさせることに成功した点が、新しい。

「カミングアウト・レターズ~子どもと親、生徒と教師の往復書簡」

6位 NHK教育テレビ「ハートをつなごう」で新シリーズスタート

 近年の民放ではバラエティやドキュメンタリー、あるいは尾辻かな子さんの選挙の際などに頻繁に同性愛者が番組に登場しているわけだが、何故かNHKに登場することはなかった。

 しかし今年、NHKとしては13年ぶりにその重い腰を上げた。1995年に放送され、ゲイやレズビアンを企画段階から制作側に組み入れ、NHK衛星第2で放送された『真夜中の王国~サンクチュアリ』以来久々に、「同性愛」を真正面から取り上げる番組を放送したのだ。

 NHK教育テレビの福祉番組『ハートをつなごう』における「ゲイ/レズビアン」シリーズのスタートだ。すでに同番組では「性同一性障害」を長期にわたって取り上げていたのだが、新シリーズでは『カミングアウト・レターズ』に登場した当事者たちを中心に、まずは4月に第一弾が放送され、NHKのもとには当事者からの反響が多数寄せられた。反響の大きさを受け、10月からは更に「LGBT」シリーズがスタート。「ゲイ/レズビアン」も第2弾が放送され、11月には2時間番組として「ETVワイド」でLGBTをテーマに番組が制作された。夏には「性同一性障害」シリーズも引き続き放送されるなど、NHK教育テレビの「福祉」の文脈でセクマイが頻繁に取り上げられるようになった。

 ただ、「福祉」という枠だとどうしても「非当事者から救済してもらう」というニュアンスが付きまとうことは事実であり、そこに違和感を覚えるという意見を多数、耳にした。11月3日にはパフナイトで担当ディレクター2名が参加しての討論会が行われたのだが、番組が取り上げている世代が今のところ若者中心であることと、表現スタイルにおける制作者の「主体」が明確ではないことによって視聴者に混乱がもたらされている点など、現在におけるさまざまな問題点が指摘された。

 なお制作者側は長期にわたって番組を制作する意志を表明しており、今後、「表現主体」をどのように位置付けるのか。あるいはボカしたままで「旧来のテレビ表現通りに」進むのか。インターネットによるネットワーク環境の整備や、歴代のコミュニティ活動によって、同性/両性愛者が「隠花植物」と呼ばれていた時代は過去のものとなりつつある現代。当事者の日常における「多様なリアル」と、マスメディアの世界に描き出される「世間向けの当事者像」との間に横たわる齟齬や隙間を、どのようにして埋めることが出来るのか。今後の動向が注目される。

5位 カリフォルニア同性婚をめぐる各種報道とオバマ演説

 6月17日にアメリカのカリフォルニア州で同性婚が「合法化」された。日系俳優ジョージ・タケイさんの結婚表明などもあって日本でもメディアの関心が高まり、夕方のニュースで伊藤文学さんや尾辻かな子さんのインタビューを交えて放送された。同性カップルが喜びの声を上げたりキスをしたり、結婚式をする様子は「同性愛」というものをビジュアル・イメージとして最も鮮明にわかりやすく表現する。そうしたイメージが一時的にではあるが大量に、国際ニュースとして報道された。

 しかし11月4日に再び同州での同性婚は「非合法化」した。米大統領選と同日に行われた「同性婚禁止の是非を決める住民投票=Prop8」が、僅差で可決されたのだ。「非合法化」に関しても日本のマスメディアでは新聞・テレビ・ネットニュースなどで多数報道があった。

 また、この日当選を決めたオバマ次期大統領の勝利演説には、さまざまな人々が構成するアメリカを言い表す際に「ゲイも、ストレートも・・・」という文言が含まれていた。世界中が注目している演説の冒頭で、このような言及があったことによる波及効果は多大なものがあるわけで、現地の当事者で、悲しみと喜びが同時に押し寄せてきた気分になった人は多かったことだろう。

 なお、この件に「ニュース価値」を見出して報じるかどうかは、各マスメディアごとに対応が分かれた。(新聞各紙の調査はこちら。)民放のニュースでは報じていたという目撃談があるが、同日夜の「NHKニュース7」の翻訳字幕では当該個所がカットされていたことがわかっている。セクマイ関連の情報を得るには日本の既存のマスメディアには期待せず、ネットメディアで探し出すというのが「常識」である状態は、依然として続いている。

4位 椿姫彩菜さん、男子校出身のファッションモデルとして認知

 従来、セクマイ当事者であることを明言している人がテレビタレントとして人気を博す場合には、たいていが「おネエ」キャラを前面に押し出して「笑い」を取ることが定番だった。しかし、彼女の場合は「おしゃれ」で「かわいい」というイメージを身にまといながら、自らの存在を世間に認知させた。昨年来からの「おネエタレントブーム」によって、手に職を付けたセレブ系おネエの存在などが広く知られるようになっており、「リスペクト」の対象にもなっている流れを更に進化させたのは彼女だった。

 著書が「わたし、男子校出身です。」というタイトルであり、バラエティ番組などで自己紹介する際にも「男子校出身」であることを前面に押し出してアピールしている彼女。しかしそれが「笑い」の文脈で捉えられず、彼女のキャラクターである「可愛らしくて清楚」なイメージが、結果的には「笑うことは失礼なことだ」という雰囲気を醸し出すことに成功しているという点で、新しいタイプのセクマイ・タレントの登場と言うべきだろう。

3位 「Lの世界」キャンペーン戦略でレズビアンのイメージが「おしゃれ」に

 レズビアンたちの日常を描き、米ケーブルTVで放送されていた連続ドラマのDVDが大ヒット。劇場公開版ではなく、DVDのリリースに合わせて大手配給会社が仕掛けた大量宣伝により、街頭や電車の吊り広告、雑誌広告やテレビCMなどで「レズビアン」の文字が躍った。

 その結果、それまでは一般的に「暗くじめじめした隠微なエロス」の雰囲気を漂わせていた「レズビアン」という言葉に、「おしゃれ」で「格好いいもの」「先進的なもの」というスタイリッシュなイメージが付加された。

 主演者たちのDVD発売キャンペーンのための来日が複数回仕掛けられ、空港などでスターを迎えるために女性が女性に歓声を上げている光景が、ワイドショーなどで紹介され、女性誌などのグラビアを飾った。主演者はNHKの『英語でしゃべらナイト』をはじめ、様々なインタビューの度ごとに「同性愛」に肯定的な発言を繰り返した。

 その波及効果として「L」がおしゃれワードとして扱われた。テレビ雑誌の表紙を♀♀マークが飾ったり、ノンケとレズビアンの間を揺れ動くアイデンティティを持つ女性を「ちょいL」と呼んで特集が組まれるなど、セクシュアリティの「曖昧さ」までもが「おしゃれで進んでいること」として、それらの記事では扱われた。特に、女性ファッション誌の中心読者層である20代~40代の女性たちにとって「L的であること」は、トレンドであるかのような印象すら、もたらすような内容だった。

 一方の男性誌では、女性たちが女性同士で付き合う傾向を「男のユニセックス化」による「不甲斐なさ」がもたらした結果だと論じたり、さらには女同士の世界を勉強するために『Lの世界』を観るようにと推奨したりする記事が載った。それも恐らくDVD発売元によるキャンペーン戦略とのタイアップなのだろう。このように、資本力のある会社が戦略的にキャンペーンを仕掛け、幅広い層のマーケットを開拓すると、世論まで変えてしまうような影響力があることを見せつけた一年だった。日本のレズビアンやバイセクシュアル女性らにとっては「降って湧いたような幸運」だったと言えるだろう。

2位 はるな愛さん大ブレイク、「言うよね~」が流行語に

 松浦あやの口パク物まね「エアあやや」の面白さから大ブレイクした、今年を代表する「顔」の一人。本名が大西賢治つまりMtFトランスジェンダーであることを隠さず、「あいさつ代わり」に必ず述べて自ら笑いに転嫁する。トークの節々で垣間見える「男らしさ」を指摘されると「言うよね~」と笑って切り返す。そうした芸風で今年後半から毎日のようにブラウン管を賑わせている。

 物まねだけでは無く当意即妙でユーモアあふれる会話を繰り広げられる本人の実力も評価され、生放送のトーク番組にも多数出演。一過性の人気で終わらずに今後ますます活躍の場は広がることだろう。

 彼女が新しいのは、従来の「おネエ」的なイメージに新たに「清潔感」「清涼感」「親しみやすさ」を持ち込み、老若男女から幅広く受け入れられやすいキャラクター・イメージを形成することに成功しているところ。「笑い」を武器に使うか否かで、同時期にブレイクしたMtFトランスジェンダーの椿姫彩菜さんとは方法論が違い、どうやら反目し合っているようではあるが、結果的には相乗効果で「ニューハーフタレント・ブーム」と呼ばれるまでの勢いを獲得した。

 2008年の紅白歌合戦では美川憲一の応援に、IKKOと一緒に出演するという。大人から子どもまで幅広い世代が知っている好感度の高い有能なお笑いタレントに「セクマイ当事者」が居るということはまさしく幸運だ。

1位 「ラストフレンズ」が高視聴率、社会現象に

 4~6月期にフジテレビで放送され、主人公が性同一性障害なのかレズビアンなのか、その相手役がレズビアンなのかノンケなのか。もう一人の相手役がゲイなのかノンケなのか。そういった「性的指向」や「性自認」が物語の「謎」として仕掛けられ、視聴者に推理させながら最終回まで引っ張ったという点で、とても新しい形式の連続ドラマだった。

DVDも発売された。

 ただ、FtMトランスジェンダー役を「好演」したとされる上野樹里さんの演技については、「性別違和」を感じているようには思えないような「Girly(ガーリー)」なビジュアルや立ち振る舞いが目立ったことについて、不満を感じた当事者も少なくなかったようではある。

 事前の番組宣伝では「何がテーマとして描かれるのか」がほとんど伏せられていたということもあり、さほど注目を集めずに放送された初回の視聴率は13.4%だった。しかし初回に長沢まさみの寝顔に上野樹里がキスをする場面が放送されたことが話題になり、回を重ねるごとに口コミや宇多田ヒカルの主題歌効果も手伝って注目度が増し、あちこちのメディアで話題になり始めた。最終回が迫ったタイミングで再放送が開始され、煽りに煽られた上で迎えた最終回の視聴率は22.8%まで上昇(ビデオリサーチ調べ)。その後も東京地区では2度にわたって再放送が行われるなど、反響はかなり大きかった。僕の会社でもこのドラマの放映翌日や再放送のタイミングで、同僚たちの話題に何度も上がっていた。今年、セクマイ関連の話題が頻繁に身の回りでなされていたのは「ラストフレンズ関連」のみだったという意味からも、このトピックを1位にした。

2008年セクマイ的10大ニュース~勝手にランキング

1位 「ラストフレンズ」が高視聴率、社会現象に
2位 はるな愛さん大ブレイク、「言うよね~」が流行語に
3位 「Lの世界」キャンペーン戦略でレズビアンのイメージが「おしゃれ」に
4位 椿姫彩菜さん、男子校出身のファッションモデルとして認知
5位 カリフォルニア同性婚をめぐる各種報道とオバマ演説
6位 NHK教育テレビ「ハートをつなごう」で新シリーズスタート
7位 「カミングアウト・レターズ効果」
8位 携帯フィルタリングから「同性愛」項目の削除
9位 共生ネット発足、セクマイ特化のロビイング開始
10位 東京プライドパレード延期、市民祭り参加型パレード定着


 こうして見てみると今年は、いわゆる大手メディアや大手広告代理店が仕掛けたエンターテインメント系の出来事の中で、「Girly(ガーリー)」なイメージのセクマイが幅広く人気を集める傾向にあったようだ。

 「ラストフレンズ」にしても、上野樹里さんが演じた役柄はFtMトランスジェンダーであるにも関わらず、「Girly(ガーリー)」である印象は否めなかった。だからと言って、もう少しリアルに「自らの女性性を忌避する強度が高い人物」として造形されていたとしたら、「レズビアン」なのか「トランスジェンダー」なのかというミステリアス性も生まれなかっただろうし、「おしゃれ」で「格好いい」という捉えられ方での人気は博さなかったのかもしれない。リアルなものが必ずしも正しいとは限らないわけで、「マーケティング」や「戦略性」というキーワードが脳裏に浮かぶ事例ではあった。

 2009年もきっと世間一般での「Girly(ガーリー)優勢」な状況は続くことだろう。いわゆる「男社会」の行き詰まりによるパラダイムシフトが希求されている時代において、それは必然だとも言える。

 こういう時代だからこそ、積極的な意味での「マイノリティ的な視点」から、新時代のビジョンを構想してみよう。2009年も今年同様、たくさんの「パラダイム・シフト」が起こってほしいし、起こしたいものだ。FC2 同性愛 Blog Ranking
スポンサーサイト



HOME |

無料ホームページ ブログ(blog)