パフナイト114★テレビに“虹”はどこまで映る?NHK「ハートをつなごう」ディレクターと話そう16●生き抜いてきたことが、ロールモデル

こちらの記事に続いて再び「ロールモデル」が話題に出てきます。11月1日に放送されたETVワイドで若者が「ロールモデルがない」と言ったことが、年上の人たちにとってはよっぽど印象的だったようです。(僕もそうだった。)
18●生き抜いてきたことが、ロールモデル
う~ん。人の人生のなにが失敗で成功なのかは、誰にも決められないことではないかと僕は思います。また、「私の生き方は失敗なのかもしれない」と感じるような(あるいは、そう言わせてしまうような)一面的なロールモデルが暗に発せられているのだとしたら、それは大いなる問題だなぁと常々思っています。
そういう意味で僕は最近、「活動家的なベクトル」という言葉で、いわゆる「90年代リブ」以降に流布した「ガチガチの活動家的な思想」の傲慢さを相対化して批判しています。たとえば「ホモ」という言葉が戦略的に「ゲイ」に置き換えられる以前と以後では、世代間の分断の不幸が起きてしまっていると思います。そうした歪みは今後、歴史的な視座から冷静に見直されるべきです。
「同性愛者ならこう生きるべきだ」などという正解なんて無いはずだと思うんですよね。そういうバイアスが発生し、現に生きている人が自分の生き方に劣等感を抱えたり、コンプレックスを感じる結果になるようなメッセージや表現が、今後もし生み出されるようなことがあったとしたら・・・。
その傲慢さに対しては厳然と異議を唱えます。→FC2 同性愛 Blog Ranking
パフナイト113★12月は「年忘れ!パフでアライさんが洗いざらい~レインボーはセクマイだけのもの?~」

パフナイト
「年忘れ!パフでアライさんが洗いざらい
~レインボーはセクマイだけのもの?~」
今年もあと少し!ってなわけで、
この不況ムードを吹っ飛ばすべく、パワフルな
「アライさん」たちがパフナイトに集結します!
「アライさん」とは、LGBTフレンドリーな人たちを
指す呼び名として、最近使われ始めた言葉。
英語の「ally」から来ています。
日本でも『薔薇族』を創刊した伊藤文学さんなど
昔から「異性愛者」というアイデンティティで
セクマイ支援の活動に関わる人が居るわけですが…
よくよく考えてみると、セクマイが多く居る場所では
「アライさん」は「少数派」になるわけで。
今回集まってもらうのは、最近あちこちで活発に
「アライさん活動」を展開している人たち。
セクマイ支援にどうして関わるようになったのか。
関わる前は、セクマイのことをどう思っていたのか。
活動を通して、ぶっちゃけ、嫌になることはないのか。
などなど…
普段は言い出しにくいことも含めて
率直な思いを語ってもらいながら、
今後どうしたらもっとたくさんの
「アライさん」を増やすことが出来るのかを、
会場に集った皆さんとともに考えてみようと思います。
セクマイが生きやすい世の中って、すなわち
「アライさんがいっぱい居る世の中」のことですからね。
出演者(アライ歴順)
●沢辺均さん(ポット出版代表)
…1956年生れ。2001年6月に2000年パレードの記録集を出版。
以降、伏見憲明さん、レズビアン向けエロ雑誌「Carmilla」、
をはじめとしたレズビアン・ゲイをテーマとした本も出版。
2007年民主党尾辻かな子選対。
女性と結婚2回、一度目の結婚で娘一人つくる。
●橋本惠代(やすよ)さん(東京学芸大学 K類国際教育専攻2年)
…アライさん歴3年。授業や恩師の影響でセクマイに興味を持ち、
1人で名古屋・東京・札幌・関西のLGBTイベントをめぐり、
自分は異性愛者だと納得してしまう。
日英ユースエクスチェンジプロジェクト、ETVワイドに参加し、
"非当事者"として発言することを考え始める。
教育からセクマイを含めた様々な"マイノリティ"が
住みやすい社会を創るために活動するのが夢。
●桑島健太郎さん(通称:クワ犬さん)
…アライさん歴約1年。ただし準備期間約30年。
愛妻とチワワと暮らす四十郎。男性?だけの武蔵高校卒後、
「性」に関しては虹色も黒色もある早稲田大学卒。
(学)河合塾と(株)SEGで働きながらセクマイ支援を訴えるが…。
●浜田幹子さん(パフスペース管理人)
…アライさん歴1年。2007年6月に経済産業省を退職し、
生活協同組合の活動を行うとともに、2008年4月1日より
イトー・ターリさんよりパフスペースの経営を引き継ぐ。
夫と社会人になる子ども2人あり。
聞き手
●翔子
…パフナイトスタッフ。青森セクシュアルマイノリティ協会
「にじいろ偏平足」とロビイング団体「共生ネット」メンバーとして
セクシュアルマイノリティの「都会と地方の格差問題」に
取り組んでいる。
●まめた
…パフナイトスタッフ。学生。Rainbow Collegeのメンバー。
「やっぱ愛ダホ!」イベント呼びかけ人の1人。
NHKのLGBT特設サイト「虹色」にて「今月のアライさん」を
企画・連載。
●akaboshi
…パフナイトスタッフ。
ブログ「フツーに生きてるGAYの日常」を通じて映像等を公開中。
パフナイト
「年忘れ!パフでアライさんが洗いざらい
~レインボーはセクマイだけのもの?~」
日時:12月22日(月)18:30開場/19:00開演(翌日は祝日です)
会費:1000円 ※予約は不要。お気軽にお越しください。
会場:パフスペース
…東京メトロ東西線早稲田駅下車、馬場下口(2or3b)より2分
馬場下町交差点を文学部の方向(左)に曲がり3軒目のビル。
TEL&FAX:03-5991-6117(浜田)
★パフスペースではセクシュアル・マイノリティ関連での使用には
レンタル料を初回2000円引き、以降1000円引きする「セクマイ割引」
を行っています。ぜひご活用下さい!
■レンタル使用料金表
■パフスクールカレンダーで空き状況をチェック!
この企画、ずっと前から実現したかったんですよ。じっくりと語ってみたかった人たちが揃いました。開催は平日の夜になりますが、翌日は祝日です。師走の慌ただしさが始まる直前に、一足早くパフナイトで年忘れのトークをお楽しみください!
★出演者たちの「カコYouTube」
・・・今回出演してくださる4名のうち3名は、過去にこのブログのYouTube映像に出演してくださっているので振り返ります。まずはポット出版社長の沢辺均氏。
●ペンギンの同性愛を描いた絵本「タンタンタンゴはパパふたり」出版記念パーティー●沢辺均さん挨拶(ポット出版社長)
・・・レズビアン・エロ雑誌から学術系、はたまた同性愛ペンギンの絵本まで。幅広いジャンルの刺激的な書籍を発行してきたポット出版の社長だけあって、人間そのものがものすご~く骨太な方だという印象があります。今回、じっくりお話しできるのが楽しみです。続いては大学生の橋本惠代(やすよ)さん。以下の映像の3番目に登場する方です。
●LGBTの家族と友人をつなぐ会in東京04●ノンケだって、一緒に考えたっていいじゃん
・・・この映像は2007年11月25日に青山の東京ウィメンズプラザで開催された「LGBTの家族と友人をつなぐ会」を撮影したものです。通常、この会で話されたことは「他言禁止」なのですが、恐る恐る撮影を申し出てみたところ、たまたまこの日は参加者の大多数の方がOKを出してくださったので、こうしてYouTubeに載せることが出来たのでした。
その後も、やすよさんとはあちこちで顔を合わせ続けています。ここ数年のセクマイ当事者とのふれあいの中で、彼女の眼には何が映り、何を考えるようになっているのでしょう。「今」の率直な気持ちが聞いてみたいです。続いてはクワ犬さんこと桑島健太郎さん。
●LGBTの家族と友人をつなぐ会in東京03●いちばん知られたくないのは「家族」だという辛さ
・・・やすよさんと出会った同じ日、くしくもクワ犬さんの「LGBTコミュニティデビュー」を撮影することになったのでした。当事者にとっての心配事の「本質」を見事に鋭く衝いた発言だったため、鮮明に記憶に残っています。クワ犬さんはその後、今年の7月には勤務先でセクマイ当事者を招く講演会を企画されたりしています。その方法論が戦略的でユニークだったので、その辺も詳しく語っていただきたいと思います。
そして、パフスペース管理人の浜田幹子さんは、スペース運営に携わることが決まった今年から、いきなり「セクマイ当事者」たちとの交流が始まったばかり。それまでの日常では接点がほとんど無かったらしいので、なにかと戸惑うことの多い日々が続いているようです。そんな時期の人に特有の鋭い感性で、「ノンケという立場から見たセクマイ像」を、率直に語ってくださることでしょう。
今回お呼びする「アライさん」たちは、いわば「セクマイ当事者」と「セクマイに無関心な世の中」との橋渡し役。そのポジションだからこそ見えるものや感じることを、洗いざらい語ってもらおうと思います。→FC2 同性愛 Blog Ranking
Ronとakaboshiの直撃トーク★既婚者ゲイに聞く!「同性婚する」ってどんな感じ?03●結婚式ビデオ再生~!

顔を隠す中村彰さんと、覗き込むRonさん。パソコン画面には抱き合う男性が2人の図。
05●結婚式ビデオ再生~!
06●養子縁組すると結婚できない!?
パソコンで映像を見てやっと、「あぁ、僕の隣で喋ってるこの人は、結婚してきた人なんだぁ~」と感じました。映像ってすごっ!→FC2 同性愛 Blog Ranking
たかがテレビ055●椿姫彩菜さん、Goro’s Barで性転換手術を語る!?

テレビ欄のコピーが興味をそそられます。「性転換手術SP…ニューハーフたちに人気の整形顔とは」ですから。ふだん、あまり自分を崩すことなく「かわいい路線」で売っている椿姫さんが、どこまで自分のことを語るのかという意味でも注目。
それにしても、はるな愛さんと椿姫彩菜さんの「売れ方」と「扱われ方」って見事に対照的で面白いですよね。はるなさんの場合はとことん、性転換した経験や年齢(若くはないこと)を自虐ネタにして「笑い」をもたらすことで人気を得ているのに対し、椿姫さんは若々しい「女性的なルックスのかわいさ」がリスペクトされる路線で人気を得ているのですから。要するに「ニューハーフ」という言葉のイメージを「おしゃれでかわいい」ものに変化させてしまったんですよね、この人の存在感が。
ちょっと前まではセクマイ関連の講演会で「ニューハーフは差別語です」などと語られてもいたのですが、今年の状況を見るに、その認識は改めた方がいいのかもしれません。
言葉ってのは生き物ですから、時代状況によって常に使われ方や意味は変化します。今では差別語に分類されがちな「ホモ」だって、『薔薇族』世代の人たちにとっては今で言う「ゲイ」と同じ文脈で使われていたわけだし、現に今でも自らのアイデンティティを「ホモ」と言い表す人はたくさん存在しています。だから若者や活動家の論理で「ホモ」を言葉狩りして差別語だと決めつけるような頭の硬い人は、先行世代の人々の存在が見えていないわけですね。歴史を冷静に勉強し、広い視野を持つべきだと思います。
さらにもっと前の時代においては「ゲイ」は「ゲイ・ボーイ」という水商売人を連想させ、どちらかと言うとマイナスのイメージを帯びていた時代もあったわけです。したがって、もしもその頃ブログがあったとしたら僕は「フツーに生きてるHOMOの日常」というタイトルにしていたかもしれません。セクマイ関連用語は今後もどんなふうに変化するかわかりませんし、明確な「答え」なんて有るようで無いようなものですから、今の文脈や自分の感覚だけを絶対視せずに、柔軟な姿勢で居たいものですね。
ところで、はるなさんと椿姫さん。表と裏をなすこの2人が今「同時に人気を博している」という状況は、実は互いに相乗効果をもたらしているのではないかと思います。どちらか片方だけでは「ニューハーフタレント」のイメージが一色になり、消費されて飽きられるのも早くなりますから。一人が絶対視されるのではなく「対照的な存在」が居て相対化される方が、イメージの新鮮さが保てるような気がするんですよね。
このままの調子で「聖」は椿姫さんの役目。「俗」は、はるなさんの役目として全うし続けながら、どうか息長~く活躍し続けてもらいたいです。→FC2 同性愛 Blog Ranking
パフナイト112★テレビに“虹”はどこまで映る?NHK「ハートをつなごう」ディレクターと話そう15●怒ってほしい、不満を持ってほしい

続いて、映像の専門学校に通っているという学生さんから質問がありました。その結果、けっこう深い「映像論」「創作論」が語られましたよ。今回は後半の今村ディレクターの発言が特に面白いです!必見!
17●怒ってほしい、不満を持ってほしい
映像というものは、どんなドキュメンタリー映像も必ず「限られたフレーム」の中に「限られた方向のもの」しか映しとれない以上、それは現実の断片であり創作物です。つまり、そこには人為的な選択がなされているわけですからフィクションなんです。(←現実は、映像に映し取った瞬間からフィクションになるのです。)
また、撮影者も確実に、その現実に関与しながら撮影しているわけですから、その映像には日常ではなく「カメラがある非日常」が映っているわけです。・・・こう考えるとおもしろいですね~映しとる行為って。
でもですね。いわゆる「ドキュメンタリー」と言うと視聴者の多くは「日常の事実」が嘘いつわりなく映っているものだと思ってしまうことが多いわけです。それって大いなる誤解!。「ドキュメンタリー」という言葉にまとわりついた偏見の一種ですね。
また、不誠実な制作者は、実際は作為に満ちた「創作」をたくさん施しているのにも関わらず、その主体性を隠して「創作している痕跡」を気付かせないようにして視聴者を騙すわけです。けっこう、テレビで「ノン・フィクション」とされている映像の多くは構造的に、この「騙し」によって成り立っていたりもしていますから厄介なものだと思いますし、警戒して見ないと危険ですよ。

この今村ディレクターの発言、すごく大事だと思います。納得の行く「フィクション」を一緒にクリエイトするためには、双方が裸になる必要があるということでしょう。「怒ってほしいと思うし、我々に対して不満を持ってほしい。出演者の人たちにも、視聴者の人たちと同じように、不満を感じてほしいし、怒りを持ってほしいし、あるいは、我々に対して親しみを持ってもらいながら関係性を作っていきたい。」
こっからぶっちゃけます(爆)。どうもねぇ。昨年来、僕が関わってきたいわゆる「LGBTコミュニティ」と呼ばれる空間の活動の現場では、「異論」を述べることが出来にくい空気を濃厚に感じたりすることが多かったんですよ・・・(特に昨年はまだ自分に、その度胸がなかったということもあります。つまり自分にも責任があります)。
でも・・・互いに褒め合ったり本音を表では語らずに陰口を叩き合っているだけでは、本当の意味での関係性の深まりだとか、多様性のある社会の実現なんて出来ないんじゃないかと思うんです。多様性って「意見の多様性」も互いに認め合おうよということではないんですか?と言いたくなることがある(というか、その不満がものすご~~~く溜まった)。その反動で今、パフナイトをやってるんだろうなぁと思うことがよくあります。
NHKとの関係作りにしてもそう。僕はただやみくもに「NHKで放送されるなんてスゴイことだ!応援して情報を広めましょう~!」と無邪気に呼びかけるようなことはしたくなかったし、出来なかった。だって、いったいどんなものを放送されるのかもわからないし、もし賛同できないものだったら後悔するでしょうし。そこらへんは冷静でいなくちゃいけないんじゃないかと思うし、「ドキュメンタリー」の怖さを少しばかりですが自覚している者として、これからもそう思い続けると思います。影響力の大きいメディアだから余計にね。
あと・・・これは自分に置き換えても感じることなのですが、創作者(モノを表現する人)って、創作物が褒められることはもちろん嬉しいものでしょう。しかしそれ以上に、「批判されること」だったり「異論をぶつけてもらうこと」によって結果的に、自分では思いもよらなかった違う視点を見つけることに繋がった時にこそ、より大きな「やりがい」を感じるものなのではないかと思うのです。(だから両ディレクターはパフナイトにも出演してくださったのでしょう。)
まっとうな制作者なら、「達成できなかったこと」が見つかれば、次への原動力が湧いてくるものではないでしょうか。だから僕は思います。「異論」を述べることを恐れずに、愛のある批判ならば遠慮せずに届けましょうよと。むしろ安易に達成感を感じられたりしたら、LGBT関連シリーズはさっさと終わってしまうわけですからね(笑)。
達成感なんていう「そう簡単には感じるはずがないもの」を、「感じた」と思ってもらわないためにも、僕は言いたいことをこれからも言い続けます。賛同も批判も含めて正直に。→FC2 同性愛 Blog Ranking