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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2008-10
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akaboshiコラム006●ファンタジーからの卒業

 10月2日に放送された、『ハートをつなごう・LGBT第2夜』。だいぶ遅くなってしまったのだが録画を見た。

 まず思ったのは、「そうかNHK教育テレビは基本的に『ハートをつなぐ方向性』で番組を作るチャンネルなんだろうなぁということ。

 29分30秒の番組録画を見終わって、残り30秒のところに入っていた別番組『めざせ!会社の星・職場もご機嫌!ホメヂカラ』の放送予告を見て、その思いを強くした。たぶんその番組は社会人版の『ハートをつなごう』なのだろう。「違う者同士いろいろあるけど、とにかく仲良くやっていきましょうよ」という方向に、視聴者の思考を着地させる番組なのだろう。まるで道徳の授業のような短絡的なウザったさ。

 そもそも僕は、人は皆が必ず「ハートをつながなくっちゃならない」とは思わない。実際問題、嫌な奴は嫌な奴だし、わかり合えない奴とはわかり合えない。LGBT同士であろうが無かろうが、手が結び合えない人間関係というものはある。そうした「自分の意志のままならない、どうしようもない状態」に、必ず直面するのが現実というものだ。

 そこを理想論で「つながなきゃ」と強引に押し通そうとするのは、互いにとって不幸以外の何物でもない。「コイツとわかり合おうとしても徒労に終わるだけだな」と判断したら、さっさと手を引き、別の人と過ごす時間を大事にした方がいい。人生の時間は限られている。

 今はこんな風に「リアリスト」になった僕だけど、振り返ってみると10代とか20代の前半の頃までは、正反対の性格だった。「周囲の視線」にやたら敏感で、他人の評価を最優先に考えてしまいがちで、人前では当たり障りのない「優等生キャラ」を演じることで本来の自分からは逃げていた。

 ある先輩から真顔で「お前には座標軸がない。」と言われたことがある。言われた当時は真意がわからなかったのだが、今ではよくわかる。

 その後、大きな挫折をして糸の切れた凧のようになった時期があり、経済的にも精神的にも自立できていない自分に原因があるのだろうと思い立ち、家を出て不安定な生活の中にわざわざ飛び込んだ。「その日暮らし」で明日の食費すらままならないような日々を、あえて自分で選択して過ごした。そこで初めて気が付いた。己がいかに恵まれた環境の中でぬくぬくと甘やかされて育って来たのかと。

 テレビも見れないしネットも繋げない、銭湯通いの「貧しい日々」は、しかしけっして辛いわけではなかった。なにしろ心が自由だったし、生活をすべてゼロから組み立てる経験を通して強くなっていく自分に気が付いた。やがて、「これから自分がやって行きたいこと」が日常の中から自然と湧きあがって見えて来た。それは探してもいないのに勝手に見つかった。

 『ハートをつなごう』の9月2日放送分に登場した若者たちの多くは、まだ人生が「ファンタジー」の渦中にあるのではないかと感じた。でもそれでいいのだ。「若さ」ってのはきっと、そういうもんなのだから。理論的には整理されているけれど、どこかで聞いたことのあるような、ありきたりで抽象的な現実解釈が口を衝いて出てくる彼ら。まだ世界を「言葉上の問題」で頭でっかちになって「想像」しているように見える。高校生の「レロさん」の取材VTRと出演場面から、特にそのことが象徴的に感じられた。

 「両思いってどんななんだろうと思いますよね。両思いになって付き合うってことがわからないし。わからないっていうか、もちろんやりたいんですけど。ファンタジーでしかない。今の自分にとっては。」

 いわゆる「ノンケ」(異性愛者)への片思いが続いてきたというレロさんは、日英LGBTユースエクスチェンジで来日したイギリスの同年代の若者に、「どうしたら両思いという関係が築けるのか」を相談する。すると「とにかく出来るだけ多くのLGBTの人たちに会うことよ。」というアドバイスが返ってきた。

 スタジオ収録場面で尾辻かな子さんがレロさんに、「あの恋愛アドバイスは役に立った?」と聞く場面があったのだが、「いや。あれは強引です。」と応えたレロさんは、その返答にちっとも納得できていないようだった。そりゃそうだろう。ただ、そんな風に「ファンタジー」から早く脱却したいという「焦りそのもの」を臆面もなく見せてしまえるレロさんという開放的な人柄に、とても親近感を覚えた。

 「差別をされたと感じた時の思い」とか、「ノンケ社会の無理解」とか。スタジオ収録場面で他のメンバーから語られたような「理不尽だと感じる思い」を言葉に出して訴えることは、もちろん大切なことではある。しかし一方で「ちょっと過剰すぎないか?」と感じられる発言もあった。

 僕は思う。セクシュアルマイノリティは結局のところ、人口の数%しかいない少数派なのだから誤解されたり偏見を持たれがちなのは「ある程度は付き物」なのだと覚悟を決める柔軟性を持つことも、時には必要なのではなかろうか。いちいち細かいことにまで毎回のように突っかかっていたら、自分が消耗するばかり。そんなにまでして意固地になって皆と無理やりハートをつながなくってもいいではないか。

 大切な人とさえつながっていられれば、人は生きて行ける。そう感じられるようになったとき、「ファンタジー」から卒業できるのだろう。ただ、それまでは存分に「ファンタジーの住人」であることを楽しんで模索したり挫折したりすればいい。それが若さの特権でもあるのだから。

 今回の取材VTRでのレロさんは、自分のセクシュアル・アイデンティティなんてどうでもいい、「大切だ」と思える人と出会い、「両思い」になってみたいという、自らの欲求に忠実な姿をカメラに晒した。

 制作者たちもその部分を「面白い」と感じて撮影した。結果、「若さ」というものの持つ特色や魅力を見事に掬い上げることに繋がった。そこに表現としての「普遍性」があった。

 LGBTだのノンケだの、そういう次元はもはや、大した問題ではなかった。そこにはただ、「ファンタジー」と「現実」の狭間に居る自分を持て余しつつ実は同時に楽しんでいる、一人の典型的な「若者」の矛盾した心情の面白さが描き出されていた。

 ハートは誰とでもつながなきゃならないものではないからこそ、「誰とつなげるのか」を探し求め、矛盾に満ちた現実の中で、人はもがき苦しむのだろう。その姿を提示されることでこそ、番組の映像表現と視聴者のハートはつながれる。FC2 同性愛Blog Ranking
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PLuS+2008見聞録01●12日(日)開催!いまのところ晴れそうな気配



 10月12日(日)、大阪の扇町公園で「PLuS+」というイベントが開催されます。公式ホームページの説明によると、 「エイズの予防啓発と、陽性者への支援・共生。 コミュニティの活性化」 をテーマとして開催されるお祭り型複合イベントとのこと。

 僕は2年前、関西レインボーパレード2006の実行委員会を取材していた時に初めて参加しました。たしかPLuS+2006開催の前日には、扇町公園で尾辻かな子さんとテント立てをやり、「ふ・・・府議が自らテント建てかよっ!」と驚いたのを憶えてます。(その時の模様はPVに少しだけ出てきます。笑)そのまま警察にパレードの許可書をもらいに行ったり、慌ただしく動き回ったことが懐かしいです。

 そして翌日にはパレード実行委員会はブースを出展。ボランティア・ミーティングを何度も行ったり、ステージに上がって共同代表たちが宣伝したり、尾辻さんが大阪府議としてあいさつする姿を撮影したりしました。大阪での初めての大規模パレード開催を前に、成功するのか失敗するのかわからない独特の緊張感と共に過ごした一日でした。

 そんな思い出深いイベントである「PLuS+」に今年、再び行くことにした最大の理由はトークショーが見たいからです。 『ゲイ・マネーが英国経済を支える!?』の著者である入江敦彦氏が、このためにイギリスから来日するのだとか。マーガレットさん、山田創平さんとどんなトークを繰り広げるのか。とにかくそれが楽しみで、現在同書を読み返しているところです。

 他にも、ドラァグ・クイーンのショーをはじめ、ステージでは様々な演目が行われるようですし、各出展ブースも凝ってて面白そう。また、翌週の日曜日に開催を控えた関西レインボーパレード2008ブースでは、ビデオメッセージの収録なんていう新企画も行われるそうで、その模様を更に収録しちゃおっかなぁ~なんて企んでます(笑)。

 天気予報は今のところ晴れのようだし、関西の見知った顔に会いに行くのがとにかく楽しみ!FC2 同性愛Blog Ranking

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