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フツーに生きてるGAYの日常

やわらかくありたいなぁ。

2008-07
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シンシア・ウェイド「フリーヘルド / Freeheld 」●MOVIEレビュー

 「記録」への執念
 
 レズビアン・カップルとして長い間、ともに暮らしてきたローレルとステイシー。しかし末期がんに侵されたローレルには、49歳にして最期の時が迫っている。

 若くして一人残されるステイシーは、このままでは遺族年金を受け取ることが出来ない。なぜなら彼女らの住む「郡」では、同性パートナーへの遺族年金の支給が認められていないからだ。長年住み慣れた我が家を、手放さなくてはならない。

 生活上の具体的な危機が迫り、彼女らは郡に申請を出す。切羽詰っているのだ。人は強くなる。

 この映画で最もフォトジェニックなのは、なんといっても「死」を前にしたローレルが、しわがれた声でインタビューに丁寧に答える表情だろう。静かな口調で真っ直ぐに前を見据える瞳からは、内面に滾る炎の激しさが想起された。その迫力が「映像」として捉えられたから、この映画に「命」が吹き込まれたのだ。

 ローレルは残された日々を、郡との闘争のみに費やしたのではない。この映画に映像として「永遠に焼き付ける」行為をも糧にして、残された日々を生き抜いたのだろう。その並々ならぬ決意は、スクリーンをはみ出して溢れんばかりに迫って来た。

 抱き合わさせたり、セックスさせたり。

 映画で「同性愛者」を描写する際に用いられる、どんなありふれた愛情表現よりも。「私の生き様を、ちゃんと記録して!」と、撮影隊に懇願するかのようなローレルの鬼気迫る表情からは、彼女の「生」への執着だけではなく、残されるパートナーへの真剣な「愛」を感じた。

 映画は、言葉や論理を超えた目に見えない何物かを捕まえたときにこそ、大化けする。FC2 同性愛Blog Ranking


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